最終更新日:2024/2/27
最短2日で会社設立するには?やるべき事前準備と具体的な流れを解説
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
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YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- 最短2日で会社設立するための流れや事前準備
- 最短2日で会社設立する場合の注意点
- 会社設立に必要な書類
最短で会社設立を行いたい理由として「取引を継続するために法人化してほしいと取引先から言われたから」「大安の一粒万倍日に法人としてスタートを切りたいから」という方もいるかもしれません。
会社の設立には複雑な手続きが必要ですが、ポイントを押さえれば、最短2日で会社設立の手続きは可能です。ただし、最短で設立するために準備しておくべきことや注意点がいくつかあります。
本記事では、最短2日で会社を設立するための流れや、準備しておくべきことについて解説します。法人登記に必要な書類のテンプレートをご用意していますので、スムーズな会社設立手続きにお役立てください。
目次
会社設立の手続きにかかる日数は最短2日
一般的に、会社設立には2週間~1カ月ほどかかるといわれていますが、ポイントを押さえて事前準備しておけば、最短2日で会社設立の手続きを終えることが可能です。ただし、最短2日でできるのは、あくまでも法務局での法人登記申請までです。法人登記が完了するまでに1週間ほどかかります。そのため、法人登記の完了後にできる法人口座の開設手続き、税務署や都道府県税事務所への必要書類の提出、労働基準監督署や年金事務所での手続きなどは含まれていないためご注意ください。
まずは、会社設立手続きをスムーズに進められるよう流れを知っておきましょう。最短2日で会社を設立する場合の流れは以下のとおりです。
- 発起人と役員全員の印鑑証明書を取得する
- 会社概要や設立要項を決定する
- 定款を作成し、公証役場で認証する(合同会社は認証不要)
- 資本金を払い込む
- 登記申請書を法務局へ提出する(法的な設立日)
最短2日で会社設立するには、資本金の準備をはじめ、定款の認証や法人登記申請に必要な書類などを漏れなく用意することが欠かせません。また、法務局へ法人登記申請した日が会社の設立日になるため、設立日にこだわりたい方は申請日にも気をつけましょう。
最短2日で会社設立するためのToDoリスト
最短2日で会社を設立するには、1日目と2日目でやるべきことを分けて、時間のロスを減らすことが大切です。
ここでは、最短2日で会社設立を行うToDoリストを1日目、2日目に分けて、詳しくご紹介します。
■最短2日で会社設立するためのToDoリスト
To Do | 1日目 | 2日目 |
---|---|---|
・発起人と役員全員の印鑑証明書を取得する | ・公証役場で定款認証を受ける | |
・会社設立要項を決定する | ・銀行で資本金を振り込み、通帳記帳する | |
・定款などの必要書類を作成する | ・法務局に法人登記申請する | |
・公証役場の予約を取る |
1日目:発起人と役員全員の印鑑証明書を取得する
会社を設立するには、発起人と役員全員の実印と印鑑証明書が必要です。印鑑証明書は、住所地を管轄する役所の窓口、またはマイナンバーカードがあればマルチコピー機のあるコンビニやオンラインで申請も可能です。株式会社の設立では、公証役場と法務局の手続きで必要になるため、発起人と役員の両方を兼ねる場合は2部用意しておきましょう。
また、法人登記では会社の実印も必要で、実印が法務局に登録されます。会社の実印とは、会社名に加え、代表取締役員印や代表者印といった役職名が刻印されているものです。会社の実印の準備が間に合わなかった場合、個人の実印で法人登記しても問題はありません。特に、会社設立のスピードを重視する場合は、いったん代表取締役個人の実印で登録して後から変更するほうが設立までの時間を短縮できます。
なお、代表取締役個人の実印で登録した場合は、会社の実印が作成できた段階で、実印を変更する「印鑑(改印)届書」を法務局へ提出する手続きが必要です。書類は法務局のWebサイト「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」からダウンロードできます。
1日目:会社設立要項を決定する
株式会社も合同会社も会社設立をするには、会社のルールを定めた定款という書類を作成しなければなりません。定款には記載すべき要項が会社法で定められているため、最低限、以下の項目については決めておきましょう。
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金
- 1株あたりの金額
- 発行可能株式総数
- 設立日
- 会計年度
- 発起人(出資者)
- 役員の構成や任期
定款に記載した項目は後から変更することは可能ですが、株主総会で定款変更の承認が必要になります。また、設立要項の中には設定を誤るとトラブルに発展することもあります。特に資本金の設定や会計年度、役員の構成について不安な場合は税理士などの専門家に相談しましょう。
定款の作成方法については、関連記事を併せてご確認ください。
1日目:定款などの必要書類を作成する
1日目に必要書類の作成や収集を行っておけば、2日目は提出するだけになるため無駄な時間を省けます。会社設立手続きに必要な書類は、以下のような書類があります。
- 定款
- 発起人の決定書(株式会社は必要)
- 就任承諾書(合同会社で定款に代表社員を記載した場合は不要)
- 本店所在地および資本金決定書
- 出資金の払込証明書(株式会社の場合は代表取締役、合同会社の場合は代表社員が発行)
- 会社実印の印鑑届書
- 印鑑カード交付申請書
- 設立登記申請書
- 登記すべき事項を記載した用紙(CD-Rなどの記録媒体でも可)
書類の作成や準備は、慣れていない場合、時間がかかります。また、書類に記載ミスがあれば、会社設立ができないこともあります。最短で会社設立を進めるには、書類作成の専門家である行政書士や登記の専門家である司法書士に依頼することも検討してみましょう。
なお、会社設立に必要な書類一式のテンプレートは、以下よりダウンロードできます。ぜひ書類の準備にお役立てください。
<会社設立を最短2日で行いたい人必見!>
会社設立時に必要な書類テンプレートはこちら(zipファイル 639KB)
1日目:公証役場の予約を取る
株式会社を設立する場合、会社の本店所在地を管轄する公証役場に定款を認証してもらう必要があります。事前予約がないと認証に時間がかかったり、その日に認証してもらえなかったりする可能性があるため、遅くとも前日には公証役場の予約を取りましょう。公証役場の予約は、電話、またはメールや問い合わせフォームで行います。本店所在地を管轄する公証役場は、日本公証人連合会のWebサイト「公証役場一覧」でご確認ください。
なお、合同会社の設立では、定款の作成は必要ですが、公証人による認証は不要です。
2日目:公証役場で定款認証を受ける
2日目はまず、公証役場で定款の認証を受けます。定款の認証手数料は、資本金100万円未満なら3万円、資本金100万円以上300万円未満の場合なら4万円、その他の場合は5万円がかかるため、事前に準備しておきましょう。
2日目:銀行で資本金を振り込み、通帳記帳する
法人登記前に法人口座を開設できないため、資本金は発起人の個人口座に払い込みます。発起人が複数人いる場合は、代表者1人の個人口座に振り込みます。資本金の払い込みの証明は、口座残高ではなく振り込みによる証明が必要となります。したがって、すでに個人口座に資本金とするお金が入っている場合も、引き出してから振り込む必要があるため注意しましょう。
資本金の払込証明書として、通帳の表紙、見開きで支店名等が記載された1ページ目、資本金の振り込みが確認できるページをコピーします。
なお、資本金は会社設立の初期費用や運転資金に使うことができます。ただし、資本金は、払い込んだ後にプライベートな用途で使うことはできません。会社設立後の生活費分を確保した上で、資本金にできる金額を慎重に判断する必要があります。資本金の額は、社会的な信用や融資審査、税金にも関わるため、金額の設定に不安がある場合は税理士に相談しておくと安心です。
2日目:法務局に法人登記申請する
資本金の払込証明書、公証役場で認証を受けた定款、法人登記に必要な書類を準備し、法務局で登記申請します。法務局の窓口へ書面で提出、またはオンラインで申請する方法があります。
なお、法人登記では登録免許税がかかります。株式会社の登録免許税は「資本金額×0.7%」もしくは「15万円」のどちらか高いほうの金額、合同会社の登録免許税は「資本金額×0.7%」もしくは「6万円」のどちらか高いほうの金額です。法務局の窓口で現金、収入印紙、インターネットバンキング・ATMのいずれかの方法で納めます。ここまでが最短2日で会社設立を行う流れです。
1週間ほどで法人登記が完了したら、会社として名乗ることができます。個人の実印で法人登記した場合は、登記完了後に、会社実印の作成や印鑑(改印)届書の提出を忘れないようにしましょう。また、法人口座の開設手続き、税務や社会保険などの手続きも必要です。
最短2日で会社設立する際の注意点
最短2日間で会社を設立する際には、以下のような点に注意する必要があります。後から手間が増えたり、設立ができなかったりしないよう、しっかり確認しておきましょう。
設立手続きは合同会社のほうが早いがデメリットもある
合同会社は、公証役場での定款認証が不要のため、会社設立にかかる時間は株式会社よりも短縮できます。また、認証手数料がかからず、法人登記の登録免許税も株式会社より安いため、費用を抑えることができます。ただし、上場を目指したい場合をはじめ、株式会社や代表取締役という表記が欲しい場合や、資金調達を検討したい場合は株式会社のほうが向いているといえます。合同会社は株式会社よりも早く設立できて、費用も抑えられますが、株式会社のような知名度がないことや資金調達面でもデメリットになることはあるかもしれません。合同会社から株式会社に変更することも可能ですが、手続きの手間や費用がかかるため、法人形態は設立にかかる時間だけで決めないように注意しましょう。
土日祝日を挟む場合は最短2日で設立できない
会社の設立日は、法人登記の申請日になります。法務局が休みの日は、会社設立ができないため注意しましょう。法務局の窓口対応時間は、平日の午前9時~午後5時で、土曜日、日曜日、国民の祝日などの休日、年末年始期間(12月29日~1月3日)は休業となります。
最短で会社設立するなら税理士と行政書士、司法書士に相談しよう
会社の設立要項が決められなかったり、書類の作成が終わらなかったりすると最短で設立することはできません。また、定款に漏れがあるとやり直しになるほか、設立後のトラブルになることもあります。
こうした状況を回避するには、会社設立の手続きを代行できる専門家の力を借りることが大切です。例えば、定款など会社設立に関する書類の作成や、定款認証の代行は行政書士に依頼できます。また、登記申請書の作成や申請の代行は司法書士に依頼できるため、振り分けて依頼しましょう。併せて、税理士に資本金の適切な金額設定や会計年度、役員の構成などを相談しておくと、会社設立後の節税対策やトラブルの回避につながります。
特に、税理士は設立1期目の決算で依頼することになるため、設立段階から信頼のおける税理士を探しておくといいでしょう。税理士に相談すると、行政書士や司法書士と連携してもらえることもあるため、多くの士業が在籍するグループ法人などを検討してみるのもおすすめです。
専門家に依頼した場合の会社設立費用
専門家に代行を依頼すると費用がかかるため、自分で手続きしようという方もいるかもしれません。しかし、最短で会社設立を行うには、専門家の力は必要不可欠といえます。また、手続きの方法によっては、自分で手続きした場合と専門家に依頼した場合の費用に、大きな差が出ないことがあります。
例えば、資本金100万円の株式会社を設立した場合、自分で行うときと専門家に依頼したときの費用の差は1万円です。内訳は以下の表のようになります。
■資本金100万円の株式会社を設立した場合の費用例
自分で会社設立を行う場合 | 専門家に依頼する場合 |
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合計:232,000円 | 合計:242,000円 |
なお、会社設立と税務を両方担える税理士事務所などでは、顧問契約を前提として会社設立時の相談を無料にしていることがあります。会社設立後の税務を依頼することも考えると、会社設立から依頼しておけばスムーズに手続きを進められるでしょう。
事前準備と専門家への依頼で、最短2日の会社設立を実現しよう
会社設立の手続きは煩雑ですが、事前準備と専門家の力を借りれば最短2日で法人登記申請までを行うことが可能です。今回紹介した流れや書類のテンプレートを参考に、適切な専門家のサポートを受けて会社設立をスピーディーに行い、ビジネスチャンスを逃さないようにしましょう。
ベンチャーサポート税理士法人では、顧問契約に関係なく、会社設立に強い税理士が無料で会社設立に関するあらゆる相談に応じています。また、会社設立の手続きを丸投げで依頼することも、必要な部分だけ司法書士や税理士に連携することも可能です。会社設立の手続きでお悩みの際はお気軽にご相談ください。