最終更新日:2025/6/18
代表者印(丸印)とは?会社印(角印)や認印との違いなどについて解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
会社を設立する際に作る法人印の1つに、会社代表者印(以下、代表者印)があります。
代表者印は、法務局に印影を登録する唯一の印鑑です。
会社を運営するうえでとても重要な役割を持つ代表者印ですが、具体的にどのような場面で使えばいいのでしょうか?
この記事では「代表者印とはなにか」「いつ使うべきか」について、会社印(角印)など他の印鑑との使い分けを交えて解説します。
代表者印をどのように使えばいいのか悩んでいたり、他の印鑑との違いがわからないという人は、ぜひ参考にしてください。
目次
代表者印(丸印)とは
代表者印は丸印あるいは会社実印とも呼ばれる、会社にとって最も重要な印鑑です。
何らかの契約や官公庁に提出する書類など、対外的な手続きに使用するもので、会社の意思決定にも関わるため厳重に保管する必要があります。
代表者印は、印影が二重の円になるように作られることが多く、そのデザインから「丸印」と呼ばれることもあります。
外枠には社名が円に沿うように配置され、内枠には「代表取締役印」や「代表者印」などの役職名が彫刻されます。
代表者印(丸印)は会社実印や社長印とも呼ばれる
その重要性から、代表者印は会社にとっての実印として「会社実印」と呼ばれることもあります。
また、一般的に社長の立場にある人が管理し使用する印鑑であることから、「社長印」とも呼ばれます。
代表者印には多くの呼び方があるので、注意しましょう。
代表者印(丸印)と会社印(角印)の違いとは
よく代表者印と混同される印鑑に会社印(角印)がありますが、これらは全く違うものです。
会社印は「代表者印を押すのはためらわれるが、会社名は残しておかないといけない場面」で使われます。領収書や発注書への押印など、日常業務で使用する認印の一種です。
丸い代表者印とは違い、会社印は一般的に四角い形をしているため、「角印」と呼ばれています。印影にも違いがあり、通常、会社印には会社名だけが刻まれています。
代表者印は法務局への届出が必要ですが、会社印はどこにも届出を出さずに使用できます。
またサイズの規定がなく、所持本数の制限もありません。
会社印は、認印として使用頻度も高く便利な印鑑ですが、押印する際には会社としての正式な通達であることを示す効力があります。
法務局に届出をしていないので本人性は担保されないものの、十分に注意して管理しなくてはならない印鑑です。
代表者印(丸印)とその他の印鑑の使い分け
代表者印の他にも、法人はさまざまな印鑑を持つことになります。
具体的にどのような印鑑があり、どのように使い分ければいいのかについて解説します。
代表者印(丸印・会社実印)
代表者印は最も重要な印鑑であり、一般的には法務局で印鑑登録をしたものを指します。
正式な文書で重要な契約を結ぶときには、代表者印を使います。
代表者印は主に以下のシーンで使用します。
- ・官公庁など役所に出す書類
- ・雰囲気で代表者の署名捺印が必要な重要書類
- ・法律上の権利に関わる書類
- ・印鑑証明書の提出が必要な書類
銀行印
銀行印はその名のとおり、銀行に関わる場面で使用する印鑑です。
代表者印は法務局に届出を出しますが、銀行印は銀行や信用金庫などの金融機関で口座を開設する際に登録します。
銀行印は主に以下のシーンで使用します。
- ・金融機関での法人口座の開設、変更
- ・預金の引き出し
- ・小切手や手形の発行
- ・公共料金の支払いやクレジットカード作成時などの口座引き落とし照合
会社印(角印)
会社印(角印)は普段の業務で使用する印鑑です。
届出を出さずに何本でも所有できるため、事業所ごとに会社印があると便利です。
会社印と代表者印は、本人性の担保において大きな違いがありますが、その使い分けは会社によってさまざまです。
先述したように、大きな契約の際や役所に出す書類には代表者印を使う必要がありますが、それ以外の場面で会社印と代表者印のどちらを使うべきか迷った場合は、個別に確認しましょう。
一般的には、会社印は以下のような書類の作成時に使用します。
- ・見積書、請求書、領収書、発注書などの書類
- ・社内への通達文書
役職印
役職印は、部長や課長など社内の役職者が、それぞれ使用する印鑑のことです。
社内のやりとりや部門レベルでの社外との取引の際に、責任の所在を明らかにするために使われます。
役職印は主に以下のシーンで使用します。
- ・部門レベルでの契約締結
- ・請求書や見積書など、部門ごとの書類の作成
- ・社内でのやりとり
代表者印(丸印)のよくある質問
代表者印に関するよくある質問をまとめました。
法人印の作成を考えている方は、ぜひ一度目を通してください。
代表者印(丸印)は作らなくても会社設立できるのか
以前は、会社を設立するときには代表者印を法務局に登録したうえで印鑑届書を作成する必要がありました。
つまり、代表者印は絶対に必要なものだったのです。
しかし2021年に商業登記規則が改正され、オンラインで登記申請をする場合は印鑑届出書の提出が任意になりました。
そのため、現在は代表者印がなくても会社設立は可能です。
もっとも、金融機関で法人口座を作ったり融資を受けたりする際や、取引先と契約を結ぶ際には、代表者印の押印を求められることがほとんどです。
現実的には、代表者印の作成と印鑑登録はまだまだ必須といえるでしょう。
代表者印(丸印)以外に作るべき印鑑はどれなのか
銀行印や角印は、代表者印と兼用することができます。
代表者印の使用場面には特に規定がなく、代表者印を金融機関に登録することも可能です。
そのため、印鑑が必要な場面では、代表者印さえあれば対処はできます。
しかし、すべての取引を代表者印だけで行っていると、紛失や盗難にあった際に非常に大きなリスクを負うことになります。
そのため、一般的には銀行印と会社印を別々に作成し、権限や用途に応じて使い分けることが推奨されています。
金融機関や取引先によっては、銀行印や角印がないと取引を断られるケースもあるので、可能な限りこの2本も会社設立時に用意しておくといいでしょう。
まとめ
代表者印は経営者が対外的な手続きの際に使用する印鑑です。
法人印のなかでも最も大切な印鑑で、丸印や会社実印、社長印とも呼ばれます。
その重要性から、普段の業務では会社印(角印)のほうを使用する会社が大多数です。また、銀行印や役職印など、さまざまな印鑑が代表者印の代わりとして使われます。
2021年の法改正によって会社設立に必須ではなくなった代表者印ですが、いまだに使用する場面は多く、1本は持っておくべき印鑑です。
紛失や盗難がないよう、適切に管理しておきましょう。
代表者印(丸印)の使い方や管理について悩んだら税理士などに相談しよう
代表者印(丸印)は会社にとって非常に重要な印鑑であり、使用するタイミングなどは常に気にしておく必要があります。
また、法務局への登録なども必要であり、万が一紛失した場合は早急に手続きを行い、既存の印鑑を廃止したうえで新しい代表者印を用意しなくてはいけません。
もし代表者印の作成や管理などで疑問や不安がある場合は、税理士などの会社設立の専門家に相談してみてください。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立・運営に関する無料相談を実施しています。
税理士だけでなく行政書士や司法書士、社労士も在籍しているためワンストップで相談が可能です。
レスポンスの速さにも定評があるため、初めての方もお気軽にご相談ください。