最終更新日:2026/6/26
バーチャルオフィスで法人登記はできる?手続きの流れと注意点を解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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バーチャルオフィスの住所で法人登記を行うことは、法律上問題ありません。
初期費用を抑えて法人を設立できる手段として、近年は広くバーチャルオフィスが利用されています。
ただし、業種によっては許認可の要件を満たせない場合があるほか、法人口座の開設審査に影響が出ることもあるため、事前にポイントを押さえておくことが大切です。
この記事では、バーチャルオフィスで法人登記をする際の手続きの流れを、定款への住所記載方法や登記後の届出まで含めて解説します。
メリット・デメリット、事業者選びの注意点もあわせて紹介しますので、これから会社設立を検討している方はぜひ参考にしてください。


目次
バーチャルオフィスでの法人登記は法的に問題ない
バーチャルオフィスの利用を検討するなかで、「住所を借りるだけのサービスで本当に法人登記ができるのか」と不安を感じる方は少なくありません。
結論として、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として法人登記を行うことは、法律上まったく問題ありません。
会社法や商業登記法には、本店所在地として登記できる住所の種類を制限する規定がなく、登記する場所に物理的な執務スペースがあるかどうかは要件とされていないためです。
実際の業務は自宅やそのほかの場所で行いつつ、登記上の住所だけをバーチャルオフィスに置くという使い方は、株式会社・合同会社を問わず制度上認められています。
ただし、バーチャルオフィスのプランによっては、住所の利用は可能でも法人登記での使用が認められていないケースがあります。
料金の安いプランでは「住所利用のみ(登記不可)」と設定されていることがあるため、契約前にそのプランで法人登記が可能かどうかを必ず確認しましょう。
バーチャルオフィスのしくみや提供サービスの詳細、費用相場については、以下の記事で解説しています。
バーチャルオフィスで法人登記をする流れとは

バーチャルオフィスの住所を使って法人登記を行う場合、手続き自体は通常の会社設立と大きく変わりません。
ただし、バーチャルオフィスならではの注意点がいくつかあります。
ここでは株式会社の設立を例に、バーチャルオフィスで法人登記を行う際の流れと、そのなかでも特に注意すべき点について詳しく解説します。
より具体的な会社設立の流れについては、以下の記事もご確認ください。
Step1:バーチャルオフィスを選んで契約する
会社設立にあたって最初にやるべきことは、バーチャルオフィスの契約です。
次のステップで作成する定款には本店所在地を記載するため、定款を作成する前には契約を済ませておく必要があります。
なお、会社設立前の段階では法人格がまだ存在しないため、バーチャルオフィスの契約は個人名義で行い、登記完了後に法人契約へ切り替えるのが一般的な流れです。
多くの事業者がこの切り替えに対応していますが、手続き方法や必要書類は事業者ごとに異なるため、契約前に確認しておきましょう。
バーチャルオフィスを選ぶ際の具体的なチェックポイントは、この記事の「法人登記に使うバーチャルオフィスを選ぶポイント」で詳しく解説します。
Step2:定款を作成し、本店所在地を記載する
バーチャルオフィスの契約が完了したら、定款を作成します。
定款は会社の基本的なルールを定めた書類であり、本店所在地は必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)の1つです。
定款での本店所在地の記載方法には、以下の2つの方法があります。
| 記載方法 | 記載例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 最小行政区画までの記載 | 「当会社は、本店を東京都渋谷区に置く」 | 同じ区内での移転であれば定款変更が不要 |
| 番地や建物名、階数、部屋番号まで記載 | 「当会社は、本店を東京都渋谷区◯◯一丁目2番3号◯◯ビル4階501に置く」 | 同じ区内でも番地や建物名、階数、部屋番号が変わる移転では定款変更が必要 |
バーチャルオフィスの運営会社がサービスを終了したり、提供住所が変更になった場合には、別のバーチャルオフィスへの移転が必要になります。
その際、定款に番地や建物名、階数、部屋番号まで記載していると、定款を変更する手続きが発生します。
最小行政区画までの記載にしておけば、同じ区内(同じ市内)での移転であれば定款変更は不要となり、本店移転の手続きがスムーズになります。
そのため、バーチャルオフィスを利用する場合は、定款での本店所在地は最小行政区画(市区町村)までの記載にとどめておくのが一般的です。
作成した定款は、株式会社の場合は公証役場で認証を受けます。
合同会社を設立する場合は、定款の作成自体は必須ですが、認証は不要です。
定款の認証後(合同会社の場合は定款の作成後)、発起人の個人口座に資本金を払い込みます。
この払込記録のコピーが、登記申請時の「払込証明書」として必要になるため、通帳の表紙・1ページ目・振込が記載されたページをコピーして保管しておきましょう。
Step3:法務局で設立登記を行う
定款の作成・認証、資本金の払い込みが完了したら、法務局で設立登記の申請を行います。
登記申請書の「本店」欄には、バーチャルオフィスの住所を番地・号室まで正確に記載します。
定款では最小行政区画までの記載で足りますが、登記申請書にはビル名や階数を含む正確な住所が必要です。
バーチャルオフィスの契約書に記載されている住所表記をそのまま記しましょう。
登記申請は、本店所在地を管轄する法務局に対して行います。
窓口への持参のほか、郵送やオンラインでの申請にも対応しています。
法人登記の必要書類や費用などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
Step4:登記完了後の届出と法人契約への切り替え
登記完了後は、バーチャルオフィスの契約を個人名義から法人名義へ切り替えます。
この切り替えを行わないと、法人名宛の郵便物を受け取れなくなる場合があるため、早めに手続きを行いましょう。
多くの事業者では、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の提出が求められます。
さらに税務署や年金事務所などへ、各種の届出を提出します。
会社設立後に必要になる主な届出などについては、以下の記事で全体像を確認できます。
バーチャルオフィスを利用している場合、登記上の本店所在地と実際に業務を行う場所が異なります。
この点自体は問題ありませんが、納税地は原則として本店所在地(バーチャルオフィスの住所)となるため、税務署からの書類はバーチャルオフィスに届きます。
バーチャルオフィス側で郵便物の転送を行わないプランの場合、税務署からの通知や届出の控えなどを受け取れないおそれがあります。
設立直後は重要な書類が届く機会が多いため、郵便物の転送サービスが含まれたプランを選んでおくことを強くおすすめします。
バーチャルオフィスで法人登記をするメリット
- 初期費用・固定費を抑えて法人を設立できる
- 自宅住所を登記簿に載せずに済む
- 都心の住所で登記できる
- 契約後すぐに登記手続きを進められる
バーチャルオフィスの住所で法人登記を行うことには、自宅登記や賃貸オフィスにはないメリットがあります。
それぞれについて詳しく解説します。
その1:初期費用・固定費を抑えて法人を設立できる
賃貸オフィスを契約して法人登記を行う場合、登記に先立ってオフィスの契約を済ませる必要があり、敷金・礼金・保証金・仲介手数料といった初期費用が発生します。
さらに毎月の賃料や光熱費、通信費などの固定費も継続的にかかります。
バーチャルオフィスであれば、月額1,000~3,000円程度で法人登記に使える住所を確保できます。
物理的なスペースを借りないため、賃料や光熱費も発生しません。
その2:自宅住所を登記簿に載せずに済む
法人登記を行うと、本店所在地は登記簿に記録されます。
この内容は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)として法務局で誰でも取得・確認できるほか、国税庁の法人番号公表サイトでも法人名とあわせて本店所在地が公開されます。
自宅を本店所在地にした場合、こうした公的な記録を通じて自宅の住所が不特定多数に知られる状態になり、プライバシー面のリスクが大きくなります。
また、自宅が賃貸物件の場合、管理規約で事業所としての利用が禁止されているケースも少なくありません。
規約に反して法人登記を行うと、契約違反としてトラブルに発展する可能性があるため、こうしたケースでもバーチャルオフィスは有力な選択肢になります。

代表税理士
森 健太郎
ただし、たとえバーチャルオフィスを使ったとしても、登記簿には「代表者の住所」も記載されるため、結局は自分の住所は公開されてしまいます。
ですが2024年10月1日から、一定の要件を満たす株式会社は、代表取締役などの住所の一部を登記事項証明書などに表示しない「代表取締役等住所非表示措置」を利用できるようになりました。
なのでどうしても自宅住所を登記簿に載せたくない場合は、「本店所在地を自宅以外のバーチャルオフィスなどにする」+「株式会社の代表取締役等住所非表示措置を活用する」の2つの対策が必要になります。
その3:都心の住所で登記できる
バーチャルオフィスを利用すれば、都心の主要エリアの住所を本店所在地として登記できます。
名刺やWebサイトに記載される本店所在地は、取引先や顧客が目にする情報の1つです。
業種や取引先との関係によっては、知名度のあるビジネスエリアの住所を使うことで、事業の信頼性を補強できる場合があります。
同じエリアに賃貸オフィスを借りると月額数十万円以上のコストがかかることもありますが、バーチャルオフィスであれば低コストで同じ住所を利用できます。
なお、事業の実態がある場所と異なるエリアのバーチャルオフィスで登記することも、法律上は問題ありません。
たとえば、北海道で事業を行いながら東京のバーチャルオフィスの住所で法人登記をすることも可能です。
ただし、この場合は納税地がバーチャルオフィスの所在地(東京)となり、税務署の管轄も東京の税務署になります。
税務署からの書類は東京のバーチャルオフィスに届くため、転送サービスの体制を確認しておきましょう。

代表税理士
森 健太郎
事業の実態と離れた地域で登記すること自体は違法ではありませんが、税務署との対応が遠方になる点は実務上の負担になり得ます。
特段の理由がなければ、実際に事業を行う地域付近のバーチャルオフィスを選ぶほうが、届出や税務対応がスムーズに進みやすくなります。
その4:契約後すぐに登記手続きを進められる
賃貸オフィスを借りる場合、物件探しから内見、審査、契約締結、入居準備まで、利用開始に数週間から数カ月かかることもあります。
その間は法人登記に必要な住所が確定しないため、設立手続き全体が遅れる要因になります。
バーチャルオフィスであれば、オンラインで申し込みから契約まで完結できる事業者も多く、審査を経て数日程度で住所を利用できるケースが一般的です。
住所が確定すれば定款の作成にすぐ取りかかれるため、会社設立までのスケジュールを短縮しやすくなります。
バーチャルオフィスで法人登記をするデメリット・注意点
- 許認可が必要な業種では登記しても開業できない場合がある
- 法人口座の開設審査が厳しくなることがある
- ほかの法人と登記住所が重複する
- 運営会社の廃業・移転で住所変更を迫られることがある
バーチャルオフィスでの法人登記は合法であり、コスト面やプライバシー面で大きなメリットがありますが、サービスの構造上、事前に把握しておくべき注意点もあります。
特に、業種による制約や銀行口座の開設への影響は、設立後の事業運営に直結するため、契約前に確認しておきましょう。
その1:許認可が必要な業種では登記しても開業できない場合がある
事業を始めるために許認可が必要な業種では、その許認可の取得要件として「実体のある事務所」の設置が求められる場合があります。
これらの業種の場合、バーチャルオフィスでは登記はできても許認可を得られないため、結果として事業を開始することができません。
バーチャルオフィスでは許認可の取得が難しい業種の代表例は以下のとおりです。
| 業種 | バーチャルオフィスを利用できない主な理由 |
|---|---|
| 人材派遣業 | おおむね20㎡以上の事業所の確保が許認可の要件とされている |
| 不動産業(宅地建物取引業) | 宅建業免許を取得する場合、継続的に業務を行える独立した事務所が求められる |
| 古物商 | 主たる営業所の所在地を管轄する警察署への申請が必要。住所貸しのみのバーチャルオフィスでは営業所としての実態を説明しにくい |
| 建設業(建設業許可を要する場合) | 建設業許可が必要な工事を請け負う場合、営業所の設置が許可の要件とされている |
上記は代表的な例であり、許認可の要件は業種や管轄の行政機関によって異なります。
自分の事業が許認可を必要とする業種の場合は、バーチャルオフィスの契約前に、管轄の行政機関に要件を確認しておきましょう。
その2:法人口座の開設審査が厳しくなることがある
法人を設立したら、多くの場合で事業用の銀行口座(法人口座)が必要になります。
しかし、バーチャルオフィスの住所で法人登記をしている場合、法人口座の開設審査が賃貸オフィスに比べて慎重になる傾向があります。

金融機関は、口座の悪用を事前に防ぐため、審査時に法人の名称・本店所在地・取引目的・事業内容・実質的支配者などの確認を行います。
賃貸オフィスであれば、オフィスの賃貸借契約や入居の事実そのものが事業実態を示す材料の1つになりますが、バーチャルオフィスには物理的な業務スペースがないため、入居実態による裏づけが難しくなります。
ただし、バーチャルオフィスだからといって法人口座が開設できないわけではありません。
法人口座の審査では、オフィス形態にかかわらず事業の実態や計画を示す資料の提出が求められます。
バーチャルオフィスの場合は入居実態を示せない分、こうした資料の内容が審査上いっそう重視されるため、以下の点を意識して準備しておきましょう。
| 準備しておきたい資料 | ポイント |
|---|---|
| 事業計画書(創業計画書) | 事業の内容、ターゲット顧客、収益の見込みを具体的な数値とともに記載する |
| 取引先との契約書・請求書 | すでに取引実績がある場合は、事業が実際に動いていることの証拠になる |
| 自社のWebサイト | 事業内容や所在地、連絡先が掲載されていることで、事業の実態を補強できる |
| バーチャルオフィスの契約書 | 住所の利用が正規のものであることの証明になる |
その3:ほかの法人と登記住所が重複する
バーチャルオフィスは、1つの住所を複数の法人で共有するしくみです。
そのため、登記簿に記載される本店所在地がほかの法人と同じ住所になります。
取引先がその住所を検索した際にほかの法人が表示されることで、バーチャルオフィスの利用が判明するケースがあります。
これ自体は違法ではありませんが、業種や取引先によっては、信用面でマイナスの印象を持たれる可能性がゼロではありません。
また、商業登記法第27条により、同一の住所にすでに同じ商号(会社名)の法人が登記されている場合、その住所では同じ商号で新たに登記することができません。
バーチャルオフィスは多数の法人が同一住所を共有しているため、この制約に該当する可能性が相対的に高くなります。
(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)
第二十七条 商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。
商号を決める際には、法務局のオンライン登記情報検索サービスを利用して、同一住所に同じ商号の法人がないか事前に確認しておきましょう。
参考:オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について|法務省
その4:運営会社の廃業・移転で住所変更を迫られることがある
バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記している場合、運営会社が廃業したり、提供する住所が変更になったりすると、その住所を使い続けることができなくなります。
この場合、新たな住所への本店移転登記が必要です。
本店移転登記には登録免許税として、移転先が同じ法務局の管轄内であれば3万円、管轄外への移転であれば6万円が発生します。
さらに登記上の住所が変わると、銀行口座の届出住所変更、税務署や都道府県税事務所への異動届出、取引先への通知など、さまざまな手続きも必要になります。
こうした事態を避けるためには、運営歴が長く経営基盤の安定した事業者を選ぶことが重要です。
法人登記に使うバーチャルオフィスを選ぶポイント
バーチャルオフィスは事業者によってサービス内容や料金体系が異なります。
法人登記に使う住所は簡単に変更できないため、契約前に確認しておきたいポイントを整理します。
料金体系とサービス内容を総額で比較する
バーチャルオフィスの料金体系は事業者によって異なり、基本料金に含まれるサービスの範囲にも差があります。
月額料金だけを比較すると安く見えても、必要なサービスをオプションで追加すると総額が変わるケースがあるため、注意が必要です。
たとえば以下の項目は、基本料金に含まれる場合と別途費用が発生する場合があります。
| 項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| 法人登記の利用 | すべてのプランで登記利用が可能とは限らない |
| 郵便物の転送 | 転送の頻度はプランによって異なる |
| 電話転送・電話応対 | 着信を携帯電話に転送したり、スタッフが社名で電話応対するサービスを提供している事業者もある |
先述のとおり、バーチャルオフィスのなかには月額料金が格安な代わりに、住所を法人登記に利用できないプランも存在します。
会社設立時の本店所在地として利用するのであれば、法人登記が可能なプランは必須となります。
また設立直後は、税務署などから重要な書類が集中して届くため、郵便物の転送体制が不十分なプランを選ぶと、届出の期限に間に合わないといった実務上の支障が生じるおそれがあります。
電話転送・対応は不要なケースも多いですが、取引先との連絡手段として固定電話番号が必要な場合などは、確認しておきたいオプションです。
料金の安さだけで判断するのではなく、法人登記後に必要となるサービスを含めた総額と内容で比較しましょう。
運営実績と審査体制を確認する
法人登記に使う住所は、登記簿や法人番号公表サイトを通じて対外的に公開されます。
その住所の信頼性は、取引先からの印象や銀行口座の開設審査にも影響し得るため、運営会社の信頼性は重要な判断基準になります。
確認しておきたいポイントは以下のとおりです。
| チェック項目 | 確認の意図 |
|---|---|
| 運営歴の長さ | 運営歴が長い事業者ほど、急な廃業やサービス終了による住所変更を迫られるリスクが低い |
| 契約時の審査の有無 | 本人確認や事業内容の審査を行っている事業者は、反社会的勢力や不正利用の排除に取り組んでいると判断できる |
犯罪収益移転防止法により、郵便物受取サービスや住所貸しサービスを提供するバーチャルオフィス事業者には、契約時の本人確認などが求められます。
そのため、本人確認なし・審査なしで利用できることを強調する事業者は、法令上の義務を十分に履行していない可能性があるため注意が必要です。
解約条件と最低契約期間を確認する
バーチャルオフィスの契約では、最低契約期間や契約期間が設定されている場合があります。
契約期間は事業者やプランによって異なり、1カ月単位で利用できるものもあれば、数カ月・半年・1年単位の契約を前提とするものもあります。
契約期間中に解約する場合、違約金や解約手数料が発生したり、残りの契約期間分の利用料が返金されなかったりする場合があるので、注意が必要です。
また、契約の自動更新の有無、更新時の料金改定条件、解約の申し出期限も、あらかじめ確認しておきたいポイントです。
バーチャルオフィスでの法人登記に関するよくある疑問
バーチャルオフィスで法人登記をする際に、多くの方が気になるポイントをまとめました。
その1:バーチャルオフィスで登記すると税務調査で不利になる?
バーチャルオフィスの住所で法人登記をしていること自体が、税務調査で不利に働くことはありません。
税務調査を受ける場所にも法律上の制限はなく、調査官との面談や書類確認ができる環境があれば問題ありません。
ただし、登記上の本店所在地と実際の業務場所が異なるため、調査の際に事業の実態について通常より詳しく確認されることはあり得ます。
具体的には、登記住所と業務場所が異なる理由の説明を求められたり、取引の実在性や経費の計上根拠について書類の提示を求められるケースです。
こうした場面で問題なく対応するには、以下の点を日頃から整えておくことが大切です。
- 税務署や自治体への届出が正しく行われていること(法人設立届出書の本店所在地、納税地の記載など)
- 帳簿や請求書・契約書などの証憑書類が整理・保管されていること
- バーチャルオフィスの契約書を保管していること(経費計上の根拠にもなる)
その2:バーチャルオフィスで登記すると創業融資は受けられない?
バーチャルオフィスの住所で法人登記をしていることだけを理由に、創業融資が必ず受けられなくなるわけではありません。
たとえば、創業期の資金調達先として広く利用されている日本政策金融公庫の創業融資では、バーチャルオフィスで登記していることだけを理由に一律で対象外とするような基準は設けられていません。
実際の審査では、事業計画の内容、自己資金の状況、経営者の経験、資金使途、返済可能性などをもとに総合的に判断されます。
ただし、自治体の制度融資を利用する場合は注意が必要です。
自治体によっては、バーチャルオフィスのみで実体のある事業所がない法人を、制度融資の対象外としているケースがあります。
実際に新宿区が行っている「創業等支援融資制度」では、登記のみや郵便受取のみで契約するバーチャルオフィス、都度払いで座席を利用する契約の事務所は対象外と明記されています。
創業融資を検討している場合は、会社を設立する前の段階で、登記予定地の自治体の制度融資の要件を確認しておきましょう。
また、日本政策金融公庫の融資では、契約手続き後、融資金は銀行などの金融機関の口座へ送金されます。
「法人口座の開設審査が厳しくなることがある」で解説したとおり、バーチャルオフィスで法人登記をしている場合、法人口座の開設審査が慎重になる傾向があります。
融資の審査に通っても、送金先となる口座の準備が遅れると融資実行までに時間がかかる可能性があります。法人口座の開設と創業融資の準備は、できるだけ並行して進めておきましょう。
その3:登記後にオフィスを借りたら住所変更は必要?
事業拡大に伴い賃貸オフィスを借りた場合、本店所在地をそのオフィスに移すかどうかは任意の判断です。
バーチャルオフィスの住所を本店所在地として残したまま、賃貸オフィスは業務拠点として利用するという選択も可能です。
本店所在地を移転する場合は、法務局で本店移転登記の手続きが必要になります。
さらに、定款に番地まで記載している場合は、定款変更の手続きも必要になります。
移転登記のほかにも、税務署・都道府県税事務所・市区町村への異動届出、銀行口座の届出住所変更、取引先への通知など、関連する手続きが多岐にわたる点も考慮しておきましょう。
その4:個人事業主でもバーチャルオフィスの住所で開業届を出せる?
個人事業主がバーチャルオフィスの住所を使って開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出することは可能です。
開業届には「納税地」と「納税地以外の住所地・事業所」を記載する欄があります。
バーチャルオフィスの住所を納税地として届け出ることもできますが、その場合は税務署からの書類がすべてバーチャルオフィスに届くことになります。
実務上は、自宅住所を納税地とし、バーチャルオフィスの住所を「納税地以外の住所地・事業所」の欄に記載する方法がよく使われています。
こうすることで、税務署からの書類は自宅に届くため管理しやすく、バーチャルオフィスの費用も事業所の経費として計上できます。
なお、個人事業主が法人成りを検討するタイミングでバーチャルオフィスをすでに利用していれば、同じ住所をそのまま法人登記にも使えるため、移行がスムーズに進みやすくなります。
この記事のまとめ
バーチャルオフィスの住所を使った法人登記は、初期費用を抑えて法人を設立できる、自宅住所を公開せずに済むなど、起業初期の事業者にとってさまざまなメリットがあります。
一方で、許認可が必要な業種では事業を開始できない場合があること、法人口座の開設審査が慎重になる傾向があることなど、事前に把握しておくべき注意点もあります。
登記住所の選択は、届出先の管轄や法人口座の開設、将来の移転コストにまで影響が及ぶ、会社設立の重要なポイントの1つです。
判断に迷う場合は、会社設立の手続きに慣れた税理士などの専門家に相談することで、設立全体を見据えた最適な選択がしやすくなります。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立に関する無料相談を受け付けています。
税理士だけでなく行政書士や司法書士、社労士も在籍しているため、さまざまなお悩みに対してワンストップで相談が可能です。
バーチャルオフィスの活用を含め、設立時の届出や税務の疑問があれば、お気軽にお問い合わせください。



















