最終更新日:2026/7/30
マイクロ法人は年収いくらからが目安?年収別に解説します

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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- マイクロ法人は年収いくらから検討できるか
- 年収と所得の違い
- 所得別のマイクロ法人設立
マイクロ法人は、個人事業主やフリーランス、副業収入がある会社員などが、節税や社会保険料の負担軽減を目的に検討することがあります。
所得が増えてくると、個人の所得税や国民健康保険料の負担が重くなり、法人化したほうがよいのではないかと考える人もいます。
年収や所得はマイクロ法人設立の目安になりますが、それだけで判断できるものではありません。法人維持費、役員報酬、社会保険料、事業実態などを総合的に見て判断する必要があります。
この記事では、マイクロ法人は年収いくらから検討できるのか、所得別のシミュレーション、維持費や副業会社員の注意点を解説します。


目次
マイクロ法人は年収いくらから?
年収は、マイクロ法人設立の1つの基準になります。年収が一定以上になるとマイクロ法人を設立するメリットが大きくなるためです。
もちろん、年収以外にも検討すべき要素はありますが、まずはマイクロ法人を設立する年収の目安を解説します。
法人化の目安になる年収はどのくらい?
マイクロ法人を検討する年収は500万円を超えるあたりとされています(ここでの年収は、会社員の給与総額や個人事業主の事業所得を想定しています)。
500万円を超えると、所得税や住民税、国民健康保険料の負担が重くなる傾向があるため、マイクロ法人を検討する1つの目安になります。
ただし、年収が500万円を超えたからといって、すべての人がマイクロ法人を設立したほうがいいわけではありません。法人の設立費用や維持費、事務負担なども合わせて検討する必要があります。
たとえば個人事業主の法人化の目安となる所得の大枠を整理すると、下表のとおりです。
| 年収の目安 | 傾向 |
|---|---|
| 300万円未満 | マイクロ法人設立のメリットは小さい |
| 300万~500万円程度 | 検討する余地はあるがメリットは限定的 |
| 500万~800万円程度 | 税金や社会保険料を試算してマイクロ法人を検討するタイミング |
| 800万円超 | 専門家に相談して法人設立を検討したい |
マイクロ法人を検討する際に知っておくべきポイント
マイクロ法人を検討する際には、いくつか注意点があります。
まず、年収・年商・所得は、それぞれ意味が異なります。また、法人としての事業実態も必要です。ここでは、年収と所得の違いや、法人の維持について解説します。
年収と所得の違い
年収とは、1年間の収入の総額を指します。個人事業主の場合は所得(売上総額-経費)、会社員の場合は給与収入を年収と呼ぶことが多いです。
所得は、収入から必要経費(会社員の場合は給与所得控除)などを差し引いた金額です。個人事業主の場合は年収と同義で使われることもありますが、会社員の場合では年収と所得に差が出ることがあります。
このほか年商という言葉もありますが、年商は個人事業主や法人の売上総額を指すのが一般的です。
たとえば、個人事業主で年商が800万円あっても、経費が400万円かかっていれば、所得は400万円です。反対に、年商が600万円でも経費が80万円であれば、所得は520万円となります。
法人は利益がなければ維持できない
当然ながら、法人としての利益がなければマイクロ法人の維持は難しくなります。マイクロ法人は会社ですから、ビジネスの利益があることは前提です。
まず、法人を設立すると、売上が少なくても赤字であっても一定の維持費がかかります。たとえば法人住民税の均等割は、赤字でも払わなければならない税金です。また、社会保険料の会社負担分も必要になります。
また、マイクロ法人は、ペーパーカンパニーのような実態のない運営ではなく、法人としての事業実態が求められます。ここでの事業実態は、法人名義で契約を結び、法人名義で請求書を発行し、法人の口座で入金を受けるといったものです。
「売上がある=実態がある」という見方もできるため、売上がほとんどない状態でマイクロ法人を作ると、法人としての実態を説明できなくなる可能性があります。そのような状態だと、社会保険への加入が否認されるリスクもあります。
マイクロ法人の設立で失敗しないための注意点
マイクロ法人は小規模であっても法人であり、年収や所得だけで判断するものではありません。設立後に後悔しないためにも、失敗を避けるための注意点を知っておきましょう。
ここでは、年収以外も含めた多角的な視点から、設立で注意したいポイントを解説します。
法人の売上がほとんどない
法人の売上がほとんどない場合、マイクロ法人を設立する意義はほとんどないといえます。会社は利益を上げるために作られるものだからです。
また、法人を作ると、売上が少なくても法人住民税の均等割などの維持費が発生します。この点も踏まえて、売上の見込みがない状態でのマイクロ法人の設立は時期尚早という意見もあります。
加えて、売上がほとんどない法人は、法人としての実態を説明しにくくなります。昨今、マイクロ法人を利用した社保逃れも問題になっています。節税になるケースがあるのは事実ですが、実際に法人として事業を行うことが大前提です。
法人の売上が見込めない場合は、勢いでマイクロ法人を作らず、まずは個人事業主として実績を作りましょう。

代表税理士
森 健太郎
もっとも、コンサルや商品開発事業など、売上の見込みがなくても、売れたときに法人格がブランド力につながる事業があるのも事実です。売上があることが大前提のように語られることもありますが、1年ほど売上が上がらない事業も普通にあります。
節税だけを目的にしている
マイクロ法人を活用すると、税金や社会保険料の負担を見直せる場合があるのは事実です。しかし、法人を設立すれば必ず有利になるわけではありません。
マイクロ法人の維持には費用がかかり、節税効果は限定的になるケースもあります。
また、マイクロ法人は会社であり、事業で利益を出すことが目的です。節税だけを目的に設立するのは本来の意義に反しています。
会社員で副業収入が少ない
会社員で副業の収入が少ない場合も、マイクロ法人の設立は慎重に判断しましょう。
会社員は、すでに勤務先で健康保険や厚生年金保険に加入しています。そのため、国民健康保険料を抑える効果はほとんどないに等しいです。
また、会社員の場合は会社の就業規則や不正競争防止法に抵触しないかといった別の問題も発生します。
マイクロ法人が必要?所得別シミュレーション
マイクロ法人が必要かどうかは設立前に慎重にシミュレーションするべきです。
ここでは、事業所得200万円、500万円、1,000万円の個人事業主について、マイクロ法人を検討すべきかを整理します。
事業所得200万円の場合
事業所得200万円の場合、マイクロ法人を設立する必要性は高くありません。
この段階では、税金や国民健康保険料はそれほど大きな負担になっていない場合もあります。一方で、マイクロ法人を設立すると、法人住民税の均等割、会計ソフト代、税理士費用、社会保険料の会社負担分などが発生し、経費の負担が大きくなります。
事業所得が200万円前後であれば、まずは個人事業主として売上や利益を増やしてから、事業実績を作ることを優先するとよいです。
事業所得500万円の場合
事業所得500万円は、マイクロ法人を検討する1つの目安になります。所得が500万円を超えると、所得税、住民税、国民健康保険料の負担が重くなるためです。
ただし、法人化すれば必ず有利になるとは限りません。法人の維持費についてはシミュレーションが必要になります。
維持費を差し引いてもマイクロ法人を設立するメリットがあるかはケースバイケースです。事業内容や経費の額によって判断は大きく変わります。
事業所得1,000万円の場合
事業所得が1,000万円の場合は、マイクロ法人を具体的に検討する価値があるといえます。
累進課税という今の課税のしくみでは、個人の所得が大きくなると、所得税や住民税が大きな負担になります。また、国民健康保険料の負担も大きくなります。
マイクロ法人を活用することで、法人に利益を残したり、役員報酬を調整したりして適切に節税できる場合があります。
さらに、法人名義で事業を行うことで、取引先からの信用が高まるというメリットもあります。将来的な事業拡大を考えている場合は特に法人化の意義が大きくなるでしょう。
事業所得1,000万円前後でマイクロ法人を検討する場合は、税理士や社会保険労務士に相談し、所得、維持費、社会保険料、事業実態を総合的に勘案してください。
副業でマイクロ法人を作るべき?
会社員が副業で収入を得ている場合、マイクロ法人を作るべきか迷うケースもあります。
確かに、副業であっても、マイクロ法人を設立することで税金や社会保険料の負担を見直せる場合があります。
ただし、会社員の場合は、すでに勤務先で健康保険や厚生年金保険に加入していることが多く、個人事業主とは前提が異なるため注意が必要です。
ここでは、副業でマイクロ法人を作る際の注意点を解説します。
社会保険料削減目的では効果が薄い
会社員が副業でマイクロ法人を作る場合、社会保険料の削減効果は極めて限定的になるケースが多いです。
会社員は勤務先で健康保険と厚生年金保険に加入しています。そのため、副業用にマイクロ法人を作って役員報酬を受け取ると二以上事業所勤務に該当する可能性があります。
会社員がマイクロ法人を検討する際は、社会保険料だけで判断せず、勤務先の規定や役員報酬の設定、手続きの負担も含めて確認しましょう。
副業収入が少ないうちは慎重に判断する
これは会社員の副業に限ったことではありませんが、副業収入が少ないうちは、マイクロ法人の設立は慎重に判断する必要があります。
マイクロ法人は、小規模であっても法人です。維持費は当然かかり、解散にも手続きや費用が必要です。
副業収入が少ないうちに「いつか独立する」と勢いでマイクロ法人を設立するのは、時期尚早です。まずは、個人事業主として事業を成長させてからマイクロ法人を検討しましょう。
マイクロ法人には維持費がかかる
マイクロ法人は「節税」や「経費」などの言葉と一緒にSNSなどで使われることが多いですが、マイクロ法人があくまで法人であることは忘れないようにしましょう。
何度も言及しているとおり、法人には維持費がかかります。
法人住民税の均等割
法人を設立すると、法人住民税の均等割がかかります。
法人住民税の均等割は、法人の利益にかかわらず発生する税金です。赤字の場合でも売上がゼロでも毎年負担しなければなりません。
個人事業主の場合、赤字であれば所得税は発生しません。しかし、法人は利益が少ない場合でも法人住民税の均等割がかかるのです。
社会保険料の会社負担分
マイクロ法人を設立する場合は、社会保険料の会社負担分についても考えておく必要があります。
法人で健康保険や厚生年金保険に加入する場合、社会保険料は本人負担分と会社負担分に分かれます。1人で運営するマイクロ法人の場合、本人負担分は役員報酬から天引きされ、会社負担分は自身の法人から支払うことになります。
そのため、本人負担分だけでなく、会社負担分も含めて資金繰りを考えなければなりません。ちなみに、社会保険の料率は、個人と法人を合計して役員報酬の約30%です。
【FAQ】マイクロ法人と年収についてのよくある質問
マイクロ法人は年収だけでなく総合的な判断が必要
マイクロ法人は、所得500万円を超えるあたりから設立を検討するのがおすすめです。1年の稼ぎが1つの目安になるのは事実ですが、マイクロ法人の設立はそれだけで判断するものではありません。
マイクロ法人を検討する際には、固定でかかる税金や社会保険料、法人維持費も考慮します。
マイクロ法人を作ったほうがよいのか、年収はいくらくらいがよいのかについて迷う場合は、税理士や社会保険労務士などの専門家へ相談しましょう。
専門家であれば、個人事業主のまま続ける場合と法人化した場合のシミュレーションを比較することもできます。


















