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最終更新日:2026/7/24

マイクロ法人の維持費はどのくらい?年間費用や必ずかかるコストを解説します

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
【公式】ベンチャーサポートグループチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:【公式】ベンチャーサポートグループチャンネル
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること
  • マイクロ法人の維持費の目安
  • マイクロ法人で必ずかかるコスト
  • マイクロ法人の維持費を抑えるポイント

マイクロ法人は、1人または少人数で運営する小規模な法人を指す俗称です。スモールスタートで事業を始めたい人や、個人事業主が法人化するときに設立されるケースがあります。

マイクロという単語から「維持費が安そう」「楽に運用できそう」という印象を受ける人もいるかもしれません。しかし、法人として運営を続ける限り、税務・会計、社会保険、変更登記などに関する維持費や手間は必ず発生します。

この記事では、マイクロ法人の維持費が年間どのくらいかかるのか、その内訳や抑える方法をわかりやすく解説します。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

マイクロ法人の維持費は年間いくらかかる?

マイクロ法人の維持費は、最低でも年20万〜30万円程度が目安です。小規模な法人であっても、法人住民税や会計処理の費用は必ず発生します。

ここでは、維持費の目安をケース別に整理します。

ケース 維持費の目安 主な内容
法人として最低限の運営をする場合 年20万〜30万円程度 法人住民税、通信費、最低限の事務費用など
税理士に依頼する場合 上記+年間30万~50万円程度 決算申告、税務相談、記帳代行など
インボイス登録をする場合 売上の10%相当の消費税負担が生じる※ 実際の納税額は仕入税額控除で少なくなる
役員報酬を取る場合 役員報酬に応じて変動 健康保険料、厚生年金保険料など
バーチャルオフィスや事務所を借りる場合 月数千~数万円程度 バーチャルオフィス、事務所家賃など

※インボイス登録をした法人は消費税の納税義務が生じます。開始当初は2割特例により売上税額の2割で済みましたが、この特例は令和8年9月30日を含む事業年度で終了し、以後は原則課税または簡易課税となります。

参考:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁

最低限必要になる維持費

マイクロ法人で最低限考えておくべき維持費が、法人住民税の均等割です。

法人住民税の均等割は、法人が存在している限り継続的に発生する税金です。利益が出ているかどうかにかかわらず支払義務があります。

また、決算や税申告を行うための費用も必要です。定款変更や役員の重任・再任などで変更登記が必要な場合は、登録免許税も発生します。

このように、マイクロ法人は設立後も継続的に維持費がかかる点を忘れないようにしましょう。

税金や社会保険料以外の維持費

マイクロ法人は、税金や社会保険料以外にも維持費がかかります。

たとえば、通信費、ドメイン代、サーバー代、バーチャルオフィス代などです。もちろん事業内容によって追加で必要なツールもあるでしょう。

また、税理士に決算申告を依頼する場合は、年間10万~30万円程度かかります。記帳代行まで依頼すると、さらに費用が増えます。

マイクロ法人の維持費の内訳

マイクロ法人の維持費は、法人住民税・社会保険料・通信費・専門家費用などで構成されます。ここでは、想定される費用の内訳を項目ごとに解説します。

費用項目 目安 注意点
法人住民税の均等割 年間7万円程度~ 赤字でも発生する税金
社会保険料 役員報酬に応じて変動 役員報酬の金額によって変わる
通信費 月数千円程度~ 電話、インターネット、郵送物管理など
ツール使用料 年間数万円程度~ プランや機能で変わる
登記変更や各種手続きの費用 手続きごとに発生 役員変更や本店移転などで発生
家賃・住所利用料 月数千~数万円程度 自宅、事務所、バーチャルオフィスで異なる
専門家の手数料・顧問料等 年間10万~50万円程度 税理士、社労士、司法書士などに依頼する場合に発生

法人住民税の均等割

法人住民税の均等割は、マイクロ法人を維持するために必ずかかる税金です。

小規模なマイクロ法人であっても、法人である以上は均等割が発生します。均等割は事務所の所在地ごとに課税され、初年度は月割となります。

均等割の税額は「資本金等の額」と「従業員数」で決まります。マイクロ法人の場合、最低金額で年間7万円程度が目安です。

資本金の額と本店を置く市町村によって税額が変わるため、事前に確認しましょう。

社会保険料

法人から役員報酬を受け取る場合は、原則として健康保険・厚生年金保険の加入対象になります。

社会保険料は、役員報酬などの収入金額に応じて変わります。会社負担分と本人負担分があり、マイクロ法人では実質的にどちらも負担することになります。

通信費

マイクロ法人の維持に欠かせない経費の1つが通信費です。

通信費には、電話代、インターネット代、スマートフォン代などが含まれます。法人用の電話番号やメールアドレスを用意する場合は、毎月費用が発生します。

通信費は1つずつ見ると少額でも、年間では大きな固定費になる場合があります。

会計ソフト代などのツール代

マイクロ法人を運営するには、会計ソフトなどのツール代もかかります。

法人では、日々の取引を記録し、決算書や申告書の作成につなげる必要があります。クラウド会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携でき、会計処理を効率化できます。

また、事業内容によっては、チャットツール、オンラインストレージ、予約システム、請求書発行ツールなどが必要になることもあります。

変更登記や各種手続きの費用

法人は、変更登記をする際に登録免許税がかかります。

たとえば、本店所在地の変更、役員の変更、商号や目的の変更などでは、登記手続きが必要になります。

毎月継続的に発生する維持費ではありませんが、役員の変更や重任・再任の際には必ず変更登記が必要です。マイクロ法人を長く存続させる場合は、複数回、登録免許税を支払う場面が出てくる可能性があります。

家賃

マイクロ法人の運用のために事務所を借りる場合は、家賃も維持費になります。

事務所を借りる場合は、家賃だけでなく、共益費、敷金、礼金、保証料、火災保険料なども発生します。小規模なマイクロ法人では、事務所の賃借で固定費が大きくなるため注意が必要です。

事業の本拠地としては、自宅や事務所、バーチャルオフィスといった選択肢がありますが、事業内容や信用面、住所公開のリスクを踏まえて判断しましょう。

バーチャルオフィス・住所利用料

マイクロ法人の設立でバーチャルオフィスを利用する方法もあります。

バーチャルオフィスは、法人登記や郵送物の受け取りなどに使える住所を借りられるサービスです。月数千円程度から利用できるものもありますが、郵送物の転送や電話番号の利用を追加すると費用が増えるケースがあります。

専門家の手数料・顧問料等

税理士、社会保険労務士、司法書士などの専門家に依頼する場合には費用が発生します。

たとえば、税理士に依頼するなら、決算申告のみをスポットで依頼するケースや、顧問契約を結ぶケースが考えられます。決算申告だけなら費用を抑えられますが、日常的な記帳代行まで依頼すると費用は高くなります。

専門家の手数料や顧問料は高く感じられるかもしれませんが、事務処理の負担が減り、ミスを防ぎやすくなるなどのメリットもあります。

赤字や売上ゼロでもマイクロ法人の維持費がかかる

マイクロ法人は、赤字や売上ゼロでも維持費がかかります。これが個人事業主との大きな違いです。売上がない年度でも、法人として存在する限り、申告や帳簿管理が必要で、税金の支払義務があります。

ここでは、赤字や売上ゼロの場合の維持費について解説します。

法人住民税の均等割は必ずかかる

法人住民税の均等割は、赤字でも発生する税金です。

法人税は利益に対して課税されるため、赤字の場合は基本的に発生しません。一方、法人住民税の均等割は、法人が存在していること自体に課税されるため、赤字でも支払義務があります。

売上ゼロでも会計処理や申告は必要

マイクロ法人は、売上ゼロでも、法人として存在する限り、原則として会計処理や申告が必要です。

売上がゼロでも、会計帳簿を作成し、決算書を作る必要があります。法人税や法人住民税などの申告も行います。

申告しないまま放置すると、税務署から連絡が来ることになります。また、青色申告の場合、2期連続で無申告または期限後申告となると青色申告の承認が取り消されます。

参考:法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)|国税庁

売上ゼロの年度でも、通帳や領収書を整理して決算をしましょう。

社会保険料が発生する

マイクロ法人で役員報酬を受け取っている場合は、社会保険料が発生します。

法人は、個人事業主とは異なり、社会保険の適用事業所です。役員報酬を支払っている場合は、原則として健康保険・厚生年金保険の加入対象になります。

社会保険料は、役員報酬の金額で決まります。売上が少ない場合でも、役員報酬に応じて会社負担分が発生するため注意しましょう。

休眠させた場合の維持費

マイクロ法人をしばらく運用しない場合は、休眠という方法があります。

休眠とは、法人格を残したまま事業活動を止める状態です。将来的に事業を再開する可能性がある場合に選ばれます。

休眠届を提出すると、法人住民税の均等割が課されない扱いになる場合があります。取扱いは自治体によって異なるため、必ず確認しましょう。

また、休眠中でも法人格は残ります。役員変更登記、会社情報の管理、申告手続きなどが必要になる場合があります。

将来的に事業を再開する予定がない場合は、休眠ではなく解散・清算を検討しましょう。

税理士なしでマイクロ法人を維持できる?

マイクロ法人は、条件によっては税理士なしでも維持できます。税理士への依頼を義務づける法律はありません。

ここでは、自分で対応できるケースと、依頼したほうがよいケースを解説します。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

設立後すぐは調べながら自分で対応できることもあります。しかし、法人の決算となると会計の全体像が見えていなければならないため、AIなどで調べても難しいのが現実です。決算のタイミングで税理士に依頼するのも1つの方法です。

決算をする時間と労力が必要

税理士なしでマイクロ法人を維持するには、決算をする時間と労力、そして最低限の会計・税金の知識が必要です。

法人は、日々の取引を帳簿に記録し、事業年度が終わったら決算書を作成します。そのうえで、法人税、法人住民税、法人事業税などの申告書を作成します。

個人の確定申告と比べると、法人の決算は複雑です。勘定科目、減価償却、役員報酬、社会保険など、確認すべき点が多くなります。

設立後すぐは調べながら対応できる部分もありますが、自分1人では手に負えなくなるケースも多いです。

取引が少なければ可能性はある

取引が少なく、会計処理がシンプルであれば、税理士なしで維持できる可能性はあります。

たとえば、取引先が少なく経費も限られている場合は、クラウド会計ソフトを使って自分で帳簿を作成できるかもしれません。銀行口座やクレジットカードを連携すれば、仕訳作業も効率化できます。

税理士に依頼したほうがいいケースは?

税理士に依頼したほうがいいのは、取引が複雑なケースや判断に迷う処理が多いケースです。

たとえば、役員報酬を支払っている、インボイス登録をしている、複数の収入源がある、家族に給与を支払っているといった場合は、税理士に相談したほうがよいでしょう。

また、初年度の決算では、設立費用や資本金、役員報酬、創立費・開業費などの処理が必要です。最初の処理を誤ると、その後の会計にも影響することがあります。

税理士に依頼すると費用はかかりますが、申告ミスや税務調査のリスクを下げられるため安心です。

マイクロ法人の維持費を抑えるポイント

維持費を抑えてマイクロ法人を運用したい人に向けて、費用を抑えるポイントを解説します。

クラウド会計ソフトなどでできるだけ自己管理する

維持費を抑えたい場合は、自分でできることは自分でするのが基本です。たとえば、クラウド会計ソフトなどを活用して、できるだけ会計を自己管理するのもその1つです。

ただし、専門知識がないまますべてを自己判断で進めるのはリスクがあります。勘定科目の判断や役員報酬、消費税・インボイス対応などは、専門家に相談したほうがいいケースもあります。

日常の記帳は自分で行い、決算や申告だけ税理士に依頼する方法もあります。

外部サービスの契約を最低限にする

マイクロ法人の維持費を抑えるには、外部サービスの契約を最低限にすることも大切です。

バーチャルオフィス、電話番号、チャットツール、オンラインストレージ、請求書発行ツールなどは便利ですが、契約数が増えると毎月の固定費もかさみます。

特に月額数千円のサービスは少額に見えても、年間では大きな負担になります。使っていないサービスや、個人契約で問題ないサービスがないかを定期的に見直しましょう。

役員報酬を適切に設定する

役員報酬は、マイクロ法人の維持費に大きく影響します。役員報酬を支払う場合は、所得税や住民税だけでなく、社会保険料も発生します。

役員報酬は、マイクロ法人の設立時にしっかりシミュレーションして設定しましょう。

合同会社と株式会社で維持費は変わるのか

マイクロ法人では、合同会社または株式会社が選ばれることがほとんどです。設立後の維持費に大きな差はありませんが、その違いを解説します。

維持費には差がない

合同会社と株式会社の設立後の基本的な維持費に、大きな差はありません。

設立時の費用は合同会社のほうが安く抑えられますが、維持費については同程度です。

法人住民税の均等割や社会保険料は、合同会社でも株式会社でも基本的に同じように発生します。維持費は大きく変わらないため、設立費用や運営のしやすさも含めて検討しましょう。

【FAQ】マイクロ法人の維持費に関するよくある質問

Q:マイクロ法人の維持費は最低いくらですか?

A:最低でも年20万~30万円程度を見込んでおくとよいでしょう。維持費を抑えるには、固定費を増やしすぎないことが重要です。
Q:赤字でもマイクロ法人の維持費はかかりますか?

A:法人の場合、赤字でも維持費がかかります。法人税は利益に対して課税されるため、赤字なら基本的に発生しません。しかし、法人住民税の均等割は利益の有無にかかわらず発生します。また、法人を維持している限り、会計処理や決算申告も必要です。
Q:売上ゼロでも申告は必要ですか?

A:売上ゼロでも、法人として存在する限り、原則として申告は必要です。売上がない場合でも、決算書を作成し、法人税や法人住民税などの申告を行います。売上ゼロの年度でも、帳簿や通帳の動きは整理しておきましょう。
Q:マイクロ法人は社会保険に加入しないといけませんか?

A:法人から役員報酬を受け取る場合は、原則として社会保険への加入が必要になります。
Q:役員報酬を0円にすれば維持費は安くなりますか?

A:役員報酬を0円にすると、社会保険料の負担を抑えられる可能性があります。ただ、役員報酬を0円にしても、法人住民税の均等割などはかかります。また、法人から個人へお金を移せないため、生活費や事業収支とのバランスも考える必要があります。維持費だけを見て役員報酬を0円にするのではなく、個人の所得、社会保険、税金、将来の資金計画を含めて判断しましょう。
Q:税理士なしでマイクロ法人を維持できますか?

A:取引が少なく、会計処理がシンプルであれば、税理士なしでマイクロ法人を維持できる可能性はあります。ただ、経費として認められる範囲が個人より法人のほうが広いため、適正な役員報酬ひとつ取っても選択肢は多様です。後出しができないものもあるため、税理士をつけることをおすすめします。
Q:休眠させれば維持費はゼロになりますか?

A:休眠させても、維持費が完全にゼロになるとは限りません。休眠届を提出すると、自治体によっては法人住民税の均等割が課されない扱いになることがあります。しかし、法人格は残るため、税務申告、役員変更登記、会社情報の管理などが必要になることはあります。
Q:合同会社と株式会社で維持費は変わりますか?

A:合同会社と株式会社で、設立後の基本的な維持費に大きな差はありません。法人住民税の均等割、社会保険料、会計ソフト代、通信費、専門家の手数料などは、合同会社でも株式会社でも基本的に同じように発生します。

マイクロ法人の運営には維持費がかかる!わからないことは専門家に相談を

マイクロ法人は、小規模に運営できる法人ですが、維持費がかからないわけではありません。法人住民税の均等割、社会保険料、通信費など、設立後もさまざまな費用が発生します。

マイクロ法人を設立するか迷っている場合は、設立費用だけでなく年間の維持費まで含めて試算することが大切です。

税金、社会保険料、専門家の手数料、会計処理の負担を比較し、必要に応じて税理士や社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。

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