最終更新日:2026/7/24
マイクロ法人は資産管理会社にできる?メリット・デメリットや設立すべき人をわかりやすく解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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- マイクロ法人や資産管理会社の意味
- 資産管理会社をマイクロ法人として設立するメリット・デメリット
- どんな人が資産管理会社に向いているか
小規模の会社であるマイクロ法人は、個人の資産管理会社として活用されることもあります。資産管理会社とは、不動産などの資産を法人で管理するために設立する会社です。
資産管理会社を設立すると、資産を一元管理できるため、収支の整理や家族間での資産共有がしやすくなります。また、相続対策や資産承継という点からも、法人を通じて資産管理を設計できるのは1つのメリットです。
とはいえ、法人を設立すると、設立費用や維持費、税務申告、会計処理などの負担が発生します。資産規模や収入によっては、個人で管理したほうがよいケースもあります。
この記事では、マイクロ法人を資産管理会社として活用できるのか、そのメリット・デメリット、設立すべき人、検討する際の判断基準をわかりやすく解説します。


目次
資産管理会社はマイクロ法人として設立されることが多い
「資産管理会社」や「マイクロ法人」という言葉を聞いたことはあるものの、どういうものかはよく知らないという人もいるかもしれません。
ここでは、マイクロ法人と資産管理会社の基本的な意味を解説します。
マイクロ法人は小規模な会社のこと
マイクロ法人とは、少人数で運営する小規模な会社を指す俗称です。
法律上の正式名称ではなく、株式会社や合同会社として設立される法人の中でも、少人数で運営されている規模が小さい会社がマイクロ法人と呼ばれます。
マイクロ法人は、個人事業主の法人化や資産管理会社として活用されるケースがあります。
小規模とはいえ、マイクロ法人はあくまで「法人」です。法人税の申告、会計帳簿の作成、社会保険の手続きなどは必要になります。

代表税理士
森 健太郎
自己所有の不動産であっても、大規模な不動産管理をしている場合は、資産管理会社ではなく不動産管理会社という表現になります。資産管理会社と表現する場合は、マイクロ法人であるのが一般的です。
また、資産管理会社の多くは株式などではなく不動産の管理を目的としています。株などの投資の管理を法人で行うケースはほとんどないといっていいでしょう。法人の場合は、株の含み益で税金がかかるため、上場株式を会社で管理するメリットはほとんどありません。
資産管理会社は資産をまとめて管理するための法人
資産管理会社とは、不動産などの資産を管理するために設立される法人です。個人が直接資産を管理するのではなく、法人が資産を管理します。
たとえば、個人が所有している賃貸不動産を資産管理会社へ売却し、資産管理会社がその物件を賃貸して家賃収入を受け取る形が、よくある例です。この場合、法人で収入や支出を管理することで、資産全体の状況を把握しやすくなります。
また、資産管理会社は相続対策や資産承継のために設立されることもあります。法人で資産を管理すれば、分割が難しい不動産ではなく、法人の株式や持分として承継ができることもあります。
資産管理会社の設立をするべきか?
資産を法人で管理できる点が資産管理会社の強みです。
しかし、誰にでもメリットがあるわけではなく、資産規模が小さい場合は、法人設立によるポジティブな効果よりも費用や手間が大きくなる可能性があります。
ここでは、資産管理会社のマイクロ法人が向いている人と向かない人を解説します。
資産管理会社のマイクロ法人が向いている人
資産管理会社のマイクロ法人が向いているのは、不動産管理をする必要があり、その不動産を法人で管理するメリットが見込める人です。
たとえば、賃貸不動産を所有していて家賃収入がある人は、資産管理会社の設立を検討する余地があります。家族を役員にすると、将来的な資産承継の準備もできます。
また、資産管理会社は、相続対策をしたい人にも向いています。不動産を個人で所有している場合、相続時の遺産分割でもめるケースもあります。法人で資産を管理していれば、法人の株式や持分を利用して公平な分割ができます。
資産管理会社のマイクロ法人が向かない人
資産管理会社のマイクロ法人は、すべての人に向いているわけではありません。特に不動産収入が小さい場合はメリットが少なくなります。
資産管理会社を設立するためには、法人の設立費用と維持費がかかります。
資産管理が目的であっても、法人である以上、法人住民税の均等割や社会保険料(役員報酬を取る場合)が発生します。また、会計などの手続きのためには税理士費用や会計ソフト代も必要です。
不動産収入が小さい場合だと、法人にするメリットよりも費用や手間が上回ることがあります。
資産管理会社のマイクロ法人を設立するメリット
資産管理会社をマイクロ法人として設立して財産を管理することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、資産管理会社のマイクロ法人を設立する主なメリットを解説します。
所得税・法人税のバランスを調整
資産管理会社を設立すると、個人で受け取っていた不動産収入などを法人で受け取ることができます。
個人で家賃収入を受け取る場合、その収入はすべて個人の所得として扱われます。所得が大きくなると、所得税や住民税の負担が増加します。
一方で、法人で家賃収入を受け取る場合は、法人の所得として法人税などがかかります。いずれにしても税金はかかりますが、法人で収入を受け取り、役員報酬として配分することで、個人(所得税)と法人(法人税)のバランスを調整できます。
ただし、両者のバランスは、単純に法人を作れば有利というものでもありません。資産管理会社を設立する際は、個人と法人を合わせた税負担や法人の維持費も考慮しましょう。
資産を法人で一元管理できる
資産管理会社を設立する大きなメリットの1つに、資産を一元管理できるという点があげられます。
個人で複数の不動産を所有している場合は、家賃収入、修繕費、管理費、借入金、固定資産税などを個別に管理しなければなりません。
資産が多い場合は事業所得として法人同様の会計ソフトを使った処理が必要になります。収支の管理は非常に複雑で、この点において個人と法人に大差はありません。
資産管理会社で不動産を管理すれば、財産を法人でまとめて一元管理できます。将来的に資産を引き継ぐ人が、早い段階から資産管理に関与することも可能です。
相続対策・資産承継
資産管理会社は、相続対策や資産承継のために設立されることもあります。
個人で不動産を所有している場合、相続時に不動産を誰が取得するかが問題になります。特に家賃収入がある場合は、問題が複雑になることもあるでしょう。不動産は現金のように単純に分割できないため、相続人同士のトラブルにつながるケースもあります。
資産管理会社で不動産などを管理している場合は、不動産そのものを分割するのではなく、会社の株式や持分として引き継ぐ形にできます。
また、相続人を役員にして法人運営に関与してもらえば、生前から資産管理の状況を共有できます。相続が発生してから対応するのではなく、早い段階から資産承継の準備を進められるのです。
もちろん、資産管理会社を相続対策として活用する際は、法律の知識が必要です。設立前に専門家へ相談し、個人で管理する場合と法人で管理する場合を比較しましょう。
資産管理会社のマイクロ法人を設立するデメリット
資産管理会社にはメリットがありますが、設立前にはデメリットの確認も重要です。
ここでは、資産管理会社としてマイクロ法人を設立するデメリットを解説します。
設立費用
マイクロ法人を設立するには、登記費用や定款作成費用などがかかります。
株式会社と合同会社のどちらで設立するかで、必要な費用は異なります。株式会社よりも合同会社のほうが設立費用を抑えられますが、それでも設立費用は必ずかかります。
維持費
資産管理会社を設立すると、法人を維持するための費用が発生します。
- 法人住民税の均等割
- 税理士費用(依頼する場合)
- 会計ソフト代
- 社会保険料
維持費が継続的にかかるため、収入が少ない場合は維持費の負担が大きくなる可能性があります。
資産管理会社を設立する際は、年間維持費を上回るメリットがあるかを確認しましょう。
税務申告や会計処理が複雑になる
資産管理会社を設立すると、法人として税務申告や会計処理を行う必要があります。
個人の確定申告と比べると、法人の決算や申告は複雑です。法人税、法人住民税、法人事業税、源泉所得税など、確認すべき税金も増えます。
そして、不動産を法人で管理する場合は、減価償却、修繕費、借入金利息、役員報酬、家族への給与なども適切に処理しなければなりません(もちろん適切な会計処理は個人の場合でも必須です)。
法人資産になるため自由度が下がる
個人の資産を法人へ移すと、その資産は法人のものになります。
法人名義の預金や不動産になると、たとえ法人を設立した人や代表取締役でもその資産を自由に使うことはできません。法人のお金を個人の生活費に使う場合は、役員報酬を支払わなければなりません。
資産管理会社を設立すると、資産を管理しやすくなる一方で、個人資産ではなくなるため自由度は下がります。
また、個人で所有する不動産(土地)を法人名義に変更すると、将来の相続時に「小規模宅地等の特例」の適用対象外となり、相続税の負担が増加するリスクもあります。不動産を法人へ移転する際は、相続税への影響も必ず確認しておきましょう。
制度改正のリスク
資産管理会社は、税制改正や社会保険制度の影響を受ける可能性があります。
設立時点では有利に見えても、将来的な制度改正によってメリットが小さくなる可能性は否定できません。
特に相続税や贈与税、法人税、社会保険料の扱いは制度改正の影響を受けやすいため、リスクとして考えておく必要があります。
事業承継税制の対象外になる可能性
資産管理会社は、原則として事業承継税制の対象外になります。
事業承継税制は、中小企業の株式を後継者へ承継する際に、相続税や贈与税の納税猶予を受けられる制度です。資産保有型会社や資産運用型会社に該当する場合は、原則として制度対象外とされています。
ただし、一定の適用要件を満たす場合は、対象になることもあります。要件を満たしているかは、個別に専門家に相談しましょう。
資産管理会社のマイクロ法人を設立するのはどんな人?
資産管理会社のマイクロ法人は、資産を法人で管理できる点はメリットですが、資産があるすべての人に必要になるわけではありません。
ここでは、どのような人が資産管理会社のマイクロ法人を設立するのかを紹介します。
不動産オーナー
家賃収入や管理費、修繕費、借入金、固定資産税など、資産に関する収入と支出が継続的に発生している不動産オーナーにとっては、資産管理会社のマイクロ法人がメリットになり得ます。
所有している物件数が増えるほど個人で管理する負担は大きくなるため、資産管理会社を設立すれば、不動産に関する収入や支出を法人でまとめて管理できます。法人名義の口座や会計帳簿で整理できるため、資産全体の状況が把握しやすくなるわけです。
ただし、不動産収入が少ない場合は、法人設立のメリットよりも設立費用や維持費のほうが大きくなることがあるため注意しましょう。
相続対策をしたい資産家
資産管理会社のマイクロ法人は、相続対策をしたい資産家にも向いています。
不動産や株式などの資産を個人で所有している場合、相続時に誰がどの資産を引き継ぐのかが問題になることが少なくありません。不動産は現金より分割しにくいため、相続人同士のトラブルにつながるケースもあります。
資産管理会社を設立すれば、不動産そのものではなく、法人の株式や持分を通じて承継を考えられるため、相続対策の1つとして検討されることがあります。
資産管理会社を設立することで、相続が発生してから対応するのではなく、早い段階から資産承継の準備が進みやすくなるのです。
ただし、資産内容や家族構成によってメリットが異なるため、設立前には税理士などの専門家に相談しましょう。
資産管理会社のマイクロ法人はいつ検討すべき?
不動産などの資産を持っているからといって、すぐに法人を設立すればよいわけではありません。
ここでは、資産管理会社としてマイクロ法人を検討する基準について解説します。
年間維持費を超えるメリットがあるか
資産管理会社のマイクロ法人を検討する際は、まずは法人の年間維持費を超えるメリットがあるかをシミュレーションしましょう。
法人設立で資産が管理しやすくなったとしても、年間維持費を上回る効果がなければ、個人で管理したほうがよい場合もあります。
一般的な基準は?
資産管理会社のマイクロ法人を検討する一般的な基準として、所得が一定以上になっているかがあげられます。
具体的には、個人の所得税率が20~23%程度に到達する所得が1つの目安です。この点は他の財産や収入によって判断が異なるため、必ず個別に専門家に相談しましょう。
【FAQ】資産管理会社のマイクロ法人についてよくある質問
資産管理会社としてのマイクロ法人はメリットとデメリットの比較が大切
マイクロ法人は、資産管理会社として活用できる場合があります。個人や家族が所有する不動産、株式、現預金などを法人で管理すると、資産の一元管理が可能になり、相続対策や資産承継の円滑化にもつながる可能性があります。
特に不動産収入がある人や、将来的に資産を家族へ引き継ぎたい人にとって、資産管理会社は有力な選択肢になります。
もちろん、資産管理会社を設立すれば必ずメリットを得られるわけではありません。
資産管理会社としてマイクロ法人を設立するか迷っている場合、税金、維持費、社会保険料、相続対策への効果を試算したうえでの判断が必要です。
法人の管理や税金、相続に関する専門知識が必要になるため、わからないことがある場合や判断が難しい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。


















