最終更新日:2026/6/25
バーチャルオフィスとは?しくみやメリット・デメリット、活用法を解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

会社を設立する際には、法人登記のための住所が必要になります。
従来は自宅をそのままオフィスとして登録したり、賃貸オフィスを借りるのが一般的でした。
しかし近年は、初期費用を抑えつつプライバシーも守りやすい、バーチャルオフィスを活用する起業家も増えてきました。
一方でバーチャルオフィスには「本当に法人登記に使えるのか」「銀行口座の開設で不利にならないか」「信用面で問題はないのか」といった不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、バーチャルオフィスのしくみやメリット・デメリットに加え、会社設立時に押さえておくべき注意点や事業者の選び方まで、起業準備中の方が判断に必要な情報を、税理士が解説します。


バーチャルオフィスとは

バーチャルオフィスとは、事業用の住所を借りられるサービスです。
ただし「事務所」などの物理的なスペースを借りるわけではなく、あくまで場所としての「住所」を貸し出すのが、バーチャルオフィスの大きな特徴です。
利用者はバーチャルオフィスの住所を、連絡先として名刺やWebサイトに記載したり、開業届や法人登記に記載する住所(本店所在地)として活用できます。
フリーランスや起業したばかりの人は、自宅を作業場にしているケースがよくあります。
連絡先や本店所在地として、自宅の住所をそのまま使うこともできますが、プライバシー保護の観点から見ると大きなリスクになります。
そういった場合にバーチャルオフィスを利用することで、ビジネス用の住所を確保し、自宅住所の公開を避けることができます。
さらに実際にオフィスに入居するわけではないため、賃貸オフィスと比べてコストを大幅に抑えられる点や、契約から利用開始までのスピードが早いなど、さまざまなメリットがあります。
バーチャルオフィスで提供されるサービス
バーチャルオフィスは、運営会社が保有する住所を複数の利用者に貸し出すしくみです。
利用者はその住所を法人登記や名刺、Webサイトなどに記載できますが、その場所を作業スペースとして利用できるわけではありません。
そのため、バーチャルオフィスを本店所在地にした場合、実際のビジネスは自宅やカフェ、借りスペースなどで行うことになります。
ただし、バーチャルオフィスによっては会議室や来客応対などを追加のサービスとして提供していることもあります。
提供されるサービスの範囲は事業者やプランによって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
| サービス内容 | 概要 |
|---|---|
| 郵便物の受取・転送 | 届いた郵便物を指定の住所へ定期的に転送する |
| 電話対応(転送・秘書代行) | 事業用の固定電話番号を提供し、着信の転送や、スタッフによる一次対応・取次を代行 |
| 共用会議室 | 打ち合わせや商談用スペースの提供 |
これらのサービスはオプション扱いとなっている場合も多いため、自分の事業に必要なサービスがプランに含まれているかを確認しましょう。

代表税理士
森 健太郎
どのようなサービスが必要になるかは、営むビジネスの種類などによって変わるため一概にはいえません。
郵便物の受取・転送サービスについては、税務署などからの重要書類は、異動届などで送付先住所を指定すればバーチャルオフィスを介さずに自宅に送ってもらうことも可能です。
とはいえ実務上は、転送サービスは付けたほうが安全と言えるでしょう。
レンタルオフィス・シェアオフィスとの違い
バーチャルオフィスと類似するサービスとして、レンタルオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースなどがあります。
それぞれの特徴を比較すると、以下のとおりです。
| バーチャルオフィス | レンタルオフィス | シェアオフィス | コワーキングスペース | |
|---|---|---|---|---|
| 作業スペース | なし | あり | あり | あり |
| 専用個室 | なし | あり | なし | なし |
| 法人登記 | 可能 | 可能 | 事業者による | 事業者による |
| 費用帯の目安(月額) | 1,000円程度〜 | 数万~数十万円 | 数万円~ | 数千円~ |
※上記の表はあくまで一般的な傾向です。具体的なサービスは、事業者やプランによって異なります。
レンタルオフィスは、個室の執務スペースを借りられるサービスです。
デスクや椅子などの設備があらかじめ備わっており、自分で物件を探して内装を整える必要がありません。
専用の個室が確保されるため、機密性の高い業務にも対応しやすいのが特徴です。
シェアオフィスは、1つのオフィス空間を複数の利用者で共有するサービスです。
レンタルオフィスと同様に作業スペースを利用できますが、基本的にはフリーアドレス形式で、専用の個室は用意されません。
コワーキングスペースも、作業スペースをほかの利用者と共同で利用するサービスです。
シェアオフィスと似ていますが、利用者同士の交流や協業を促す設計になっている施設が多く、ドロップイン(時間単位の一時利用)に対応していることが多い点も特徴です。
バーチャルオフィスの費用相場
バーチャルオフィスの費用は、利用できるサービスの範囲によって大きく異なります。
主要な事業者の公表料金をもとに、サービス内容別の費用相場を整理しました。
| サービス内容 | 月額費用の目安 |
|---|---|
| 住所利用のみ(法人登記不可) | 300〜1,000円程度 |
| 住所利用+法人登記対応 | 1,000〜3,000円程度 |
| 住所利用+法人登記+郵便物転送 | 1,500〜5,000円程度 |
| 住所利用+郵便物転送+電話対応 | 5,000〜1万円程度 |
※上記は東京都内の主要事業者における代表的なプランの価格帯です。
こうした月額費用のほかにも、入会金や保証金として初期費用が5,000〜1万円程度かかることもあります。
しかし、賃貸オフィスを借りた場合は初期費用として数十万、月額費用としてさらに数十万が継続的に発生することを考えると、バーチャルオフィスは起業時の本店所在地として非常にコストパフォーマンスの高い選択と言えるでしょう。
バーチャルオフィスのメリット
バーチャルオフィスは、物理的なオフィスを持たずに事業用の住所を確保できるという特性上、コストやプライバシー面で大きな利点があります。
賃貸オフィスを借りる場合と比較しながら、バーチャルオフィスならではのメリットを具体的に見ていきましょう。
その1:初期費用・固定費を大幅に抑えられる
バーチャルオフィスの最大のメリットは、オフィスにかかるコストを大幅に削減できる点です。
賃貸オフィスを契約する場合は、敷金・礼金・保証金・内装工事費など、入居前の段階でまとまった初期費用が必要になります。
加えて、毎月の賃料や光熱費、通信費、設備の維持管理費といった固定費も継続的にかかるため、資金を圧迫する要因になりがちです。
バーチャルオフィスであれば、物理的なスペースを借りないため、こうした費用の大部分が発生しません。
月額費用とオプション料金だけでオフィスの住所を確保できるので、起業初期の資金を自分の事業そのものに振り向けやすくなります。
その2:自宅住所を公開せずに事業を運営できる
会社を設立する際、定款に定めた本店所在地は法人登記によって公的に記録されます。
この登記内容は、登記簿謄本として誰でも取得・閲覧できるため、自宅を本店所在地にした場合、その住所が第三者に知られる状態になります。
さらに国税庁の法人番号公表サイトでも、法人番号とあわせて本店所在地が公開されるため、検索するだけで誰でも確認できてしまいます。
バーチャルオフィスを利用すれば、これらの場面でバーチャルオフィスの住所を使用できるため、自宅住所を公開することなく事業を運営できます。
本店所在地の扱いや注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

代表税理士
森 健太郎
なお、ネットショップを運営する場合は、特定商取引法に基づき、事業者の住所をサイト上に表示する義務があります。
この住所にバーチャルオフィスの住所を使うことも可能ですが、開示請求を受けた際には遅滞なく本来の住所を開示する必要があります。
また、自宅が賃貸の場合、そもそも事業所として利用することが禁じられているケースも少なくありません。
賃貸物件は利用目的によって「居住用」「事務所用」「店舗用」の3種類に分類され、自宅として利用される賃貸は基本的に居住用です。
これらを事務所あるいは店舗として利用すると、管理規約違反などにより大きなトラブルにつながる可能性があります。
これらのリスクを回避する際にも、バーチャルオフィスは有力な代替策になります。
その3:都心の一等地の住所も使える
バーチャルオフィスは、東京都心をはじめとする主要エリアの住所を事業用として利用できます。
名刺やWebサイトに記載される住所は、取引先や顧客が目にする情報の1つです。
業種や取引先との関係によっては、知名度のあるエリアの住所を使うことで事業の信頼性を補強できる場合があります。
実際にそのエリアで賃貸オフィスを借りると高額な費用がかかりますが、バーチャルオフィスであれば低コストで同じエリアの住所を利用可能です。

代表税理士
森 健太郎
ただし、バーチャルオフィスの住所と実際に業務を行う自宅が異なる自治体にある場合、法人住民税の均等割が両方の自治体から課税される可能性があります。
もっとも、自治体によって事業実態の判断基準は異なるため、バーチャルオフィスの所在地を選ぶ際は、設立前であれば自治体などに、設立後であれば税理士に相談しておくと安心です。
その4:契約から利用開始までが早い
バーチャルオフィスは、契約手続きが完了すればすぐに住所を利用できるケースが多いため、事業開始までのスピードが求められる場面で有利に働きます。
賃貸オフィスの場合、物件探し、内見、審査、契約締結、入居準備と、利用開始までに数週間から数カ月以上かかることも珍しくありません。
バーチャルオフィスであれば、オンラインでの申し込みに対応している事業者も多く、審査から数日程度で利用を開始しやすい傾向があります。
バーチャルオフィスのデメリットと会社設立時の注意点
バーチャルオフィスはコスト面やプライバシー面で多くのメリットがある一方で、サービスの特性上、事前に理解しておくべきデメリットや注意点もあります。
その1:作業スペースや保管場所としては使えない
バーチャルオフィスはあくまで住所や電話番号などを提供するサービスであり、実際に作業できるスペースは用意されていません。
そのため、来客との打ち合わせや商品在庫の保管といった、物理的な場所を必要とする用途には原則として対応できません。
ただし、近年ではオプションとして会議室やミーティングルームを時間単位で利用できるプランを提供する事業者も増えています。
打ち合わせの頻度が高い場合は、こうしたオプションの有無を契約前に確認しておきましょう。
その2:郵便物の転送にタイムラグが生じる
郵便物転送サービスが含まれたプランであっても、届いた郵便物がすぐに手元に届くわけではありません。
バーチャルオフィスに届いた郵便物は、運営会社が一定の間隔でまとめて転送するため、受取から到着までにタイムラグが生じます。
転送の頻度は事業者やプランによって異なり、「週1回」「月1回」などさまざまです。
転送頻度が低いプランを選んだ場合、税務署や金融機関などからの重要な書類の受け取りが遅れる可能性があるため、特に会社設立直後の届出が多い時期には注意が必要です。
その3:社会的信用の面で不利になる場合がある
バーチャルオフィスは物理的な事務所を持たないサービスのため、取引先や金融機関から「事業の実態があるのか」という目で見られやすい傾向があります。
特に法人口座を開設する際には、過去にバーチャルオフィスの住所が詐欺やマネーロンダリングなどに悪用されたケースがあることから、賃貸オフィスに比べて金融機関の審査が慎重になりがちです。
実際に金融機関は、犯罪収益移転防止法(犯収法)という法律によって、口座開設時に以下の4項目を確認する義務を負っています。
- 本人特定事項:法人の名称および本店所在地
- 取引を行う目的:口座をどのような目的で利用するか
- 事業の内容:定款や登記事項証明書などから確認
- 実質的支配者:法人を実質的に支配している人が誰か(議決権を25%超保有する人などが確認対象)
バーチャルオフィスは、登記上の住所に実際の業務スペースがなく入居実態を確認しにくいため、金融機関にとっては「事業の内容」の裏づけが取りにくい構造になっています。
そのため、以下に記したような、事業内容や取引目的を説明できる資料を準備しておくことで、審査がスムーズに進みやすくなります。
| 準備しておきたい資料 | ポイント |
|---|---|
| 事業計画書(創業計画書) | 事業の内容、ターゲット顧客、収益の見込みを具体的な数値とともに記載する |
| 取引先との契約書・請求書 | すでに取引実績がある場合は、事業が実際に動いていることの証拠になる |
| 自社のWebサイト | 事業内容や所在地、連絡先が掲載されていることで、事業の実態を補強できる |
| バーチャルオフィスの契約書 | 住所の利用が正規のものであることの証明になる |
バーチャルオフィスでの法人口座の開設については、以下の記事でより詳しく解説しています。
加えて、バーチャルオフィスは複数の事業者が1つの住所を共有するしくみのため、同じ住所を利用するほかの事業者がトラブルを起こした場合には、住所自体の信用が低下してしまうこともあります。
バーチャルオフィスの利用自体は合法であり、適切なサービスを選んでいれば事業上の問題にはなりません。
近年はバーチャルオフィスを利用する起業家も多いため、以前よりは信用面で大きなマイナスと見なされることは少ないです。
しかし、信用面への影響を最小限に抑えるためには、運営実績が豊富で審査体制の整った事業者を選ぶといった対策が重要となります。
その4:許認可の要件によっては利用できない場合がある
バーチャルオフィスの利用自体は合法ですが、業種によっては許認可の取得要件として「実体のある事務所」の設置が求められるため、バーチャルオフィスの住所では開業できません。
バーチャルオフィスでは開業できない業種の、代表的な例は以下のとおりです。
| 業種 | 利用できない主な理由 |
|---|---|
| 人材派遣業 | おおむね20㎡以上の事業所の確保が許認可の要件とされている |
| 不動産業(宅地建物取引業) | 宅建業免許を取得する場合、継続的に業務を行える独立した事務所が求められる |
| 古物商 | 主たる営業所の所在地を管轄する警察署への申請が必要。住所貸しのみのバーチャルオフィスでは営業所としての実態を説明しにくい |
| 建設業(建設業許可を要する場合) | 建設業許可が必要な工事を請け負う場合、営業所の設置が許可の要件とされている |
上記は代表的な例であり、許認可の要件は業種や管轄の行政機関によって異なります。
自分の事業が許認可を必要とする業種に該当する場合は、バーチャルオフィスの契約前に、要件について詳しくチェックしておきましょう。
その5:バーチャルオフィスの廃業・移転で住所変更が必要になる
バーチャルオフィスの住所を本店所在地として法人登記している場合、運営会社が廃業や移転をすると、その住所が使えなくなってしまいます。
この場合、新たな住所への本店移転登記の手続きが必要です。
本店移転登記には登録免許税がかかり、移転先が同じ法務局の管轄内であれば3万円、管轄外への移転であれば6万円が発生します。
さらに、登記上の住所が変わることで、銀行口座や各種届出の住所変更手続きも必要になるため、事務的な負担も生じます。
本店移転については、以下の記事で詳しく解説しています。
その6:商号や届出に制約がある
商業登記法第27条により、同一の住所にすでに同じ商号の法人が登記されている場合、その住所では同じ商号の法人を新たに登記することはできません。
バーチャルオフィスは複数の利用者が1つの住所を共有するしくみのため、賃貸オフィスと比べてこの制約に該当する可能性が高くなります。
(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)
第二十七条 商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。
こうした思わぬトラブルを避けるためにも、商号を決める前には法務局のオンライン登記情報検索サービスを利用して、同一住所に同じ商号の法人がないか確認しておきましょう。
参考:オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について|法務省
バーチャルオフィスが向いている人・向いていない人
バーチャルオフィスにはコストやプライバシー面での利点がある一方、業種や事業形態によっては適さないケースもあります。
メリット・デメリットを踏まえたうえで、自身の状況に当てはめながら確認してみてください。
バーチャルオフィスを利用すべきかの判断とは
まず、以下の項目を確認することで、バーチャルオフィスがそもそも選択肢に入るかどうかを判断できます。
| チェック項目 | 確認方法 |
|---|---|
| 自分の業種に実体のある事務所の設置義務はないか | 管轄の行政窓口(都道府県の担当課や所轄の警察署など)に許認可要件を確認する |
| 取引先から独立した事務所の所在を求められていないか | 取引先との契約内容や入札条件を確認する |
| 日常的に来客対応や商品の保管が必要か | 月に数回程度であれば会議室オプションや外部の貸し会議室で対応可能。毎日発生する場合はレンタルオフィスや賃貸オフィスが適している |
チェックリストでは判断がつかない場合や、「自分の事業形態で本当に問題ないか不安がある」という場合は、以下のステップで確認を進めることをおすすめします。
- 許認可の要件を確認する:事業に許認可が必要な場合は、管轄の行政窓口にバーチャルオフィスの住所で要件を満たせるか直接確認する
- 自宅住所を本店所在地にできるか検討する:自宅住所の公開に抵抗がなく、賃貸契約上も事業利用に問題がなければ、自宅を本店所在地にするという選択肢もある
- 事業全体のコストを試算する:バーチャルオフィスの月額費用+オプション費用と、レンタルオフィスや賃貸オフィスなどとの費用を総額で比較する
- 税理士に相談する:法人登記の住所選びは、納税地や届出、銀行口座開設など複数の実務に影響する。事業形態に応じた最適な判断をするには、会社設立に詳しい税理士に相談するのが確実
バーチャルオフィスの選び方
バーチャルオフィスは事業者によってサービス内容や料金体系、契約条件が大きく異なります。
そのため、選び方を誤ると「必要なサービスが使えない」「コストが思ったよりも高かった」といった問題が起こります。
ここでは、契約前に確認しておくべきポイントを整理します。
運営会社の信頼性・実績を確認する
バーチャルオフィスを選ぶ際には、サービスの内容や値段も重要ですが、運営会社の信頼性や実績にも注意しておきましょう。
過去に犯罪に利用された履歴のあるバーチャルオフィスの住所は、金融機関のチェック対象になっている場合があります。
そうした住所で法人登記を行うと、自社に問題がなくても口座開設や融資の審査で不利に働くリスクがあります。
また、仮にバーチャルオフィスの運営会社が廃業した場合は、その住所を使い続けることができなくなります。
本店所在地の変更登記には登録免許税(同一管轄内で3万円、管轄外で6万円)がかかるうえ、銀行口座や各種届出の住所変更手続きも必要になるため、費用面・事務面の両方で負担が生じます。
こうしたリスクを避けるためにも、契約前に以下のようなポイントを確認しておきましょう。
| 確認項目 | チェックすべきポイント |
|---|---|
| 運営実績 | 運営歴が長く複数拠点を展開している事業者は廃業リスクが相対的に低い |
| 審査体制 | 本人確認や事業内容の審査を厳格に行っているか。審査が緩い事業者ほど不正利用者が混在するリスクが高まる |
| 住所の犯罪利用歴 | 契約前に住所をインターネットで検索し、過去に事件や詐欺に関連する情報が出てこないかを確認する |
提供サービスが自分の事業に合っているか確認する
バーチャルオフィスの提供サービスは事業者やプランによって異なります。
自分の事業に必要なサービスが含まれているか、逆に不要なサービスが付帯していないかを、契約前に必ず確認しましょう。
特に確認しておきたい項目は以下のとおりです。
| 確認項目 | チェックすべきポイント |
|---|---|
| 法人登記の可否 | すべてのバーチャルオフィスが法人登記に対応しているとは限らない。登記利用にオプション料金がかかる場合もある |
| 郵便物転送の頻度・方法 | 週1回、月2回など事業者とプランによって異なる。届いた郵便物の写真通知に対応しているかも確認しておくと安心 |
| 電話対応の有無と内容 | 電話番号の貸与のみか、秘書代行による一次対応・取次まで含まれるか |
| 会議室利用の可否・回数 | 対面での打ち合わせが発生する場合は、会議室の有無と月ごとに利用出来る回数を確認しておく |
契約条件(最低契約期間・解約条件・料金体系)を確認する
サービス内容に加えて、細かい契約条件も事前に確認しておくべきポイントです。
まず、最低契約期間の有無を確認しましょう。
バーチャルオフィスのなかには最低契約期間が設定されている事業者もあり、期間内に解約すると違約金が発生する場合があります。
事業の見通しが立ちにくい起業初期には、短期間から契約できるプランのほうがリスクを抑えやすくなります。
料金体系についても、月額費用だけでなく、初期費用(入会金・保証金)やオプション費用を含めた総額で比較することが重要です。
月額費用が安く見えても、必要なサービスがオプション扱いになっていると、結果的に割高になるケースがあります。
また、解約時の手続きについても確認しておきましょう。
事業者によっては解約の申し出期限が設定されている場合があり、手続きのタイミングを逃すと余分な費用が発生することがあります。
この記事のまとめ
バーチャルオフィスとは、物理的なオフィスを持たずに事業用の住所を確保できるサービスです。
自宅住所を公開せずに法人登記や事業運営ができ、賃貸オフィスと比べて大幅にコストを抑えられるため、起業初期の方や1人社長、フリーランスからの法人成りを検討している方にとって有力な選択肢です。
一方で、社会的信用の面で不利に働く場合があること、業種によっては利用できないこと、法人口座の開設時に審査が厳しくなる場合があることなど、事前に把握しておくべき注意点もあります。
バーチャルオフィスが自分の事業に適しているかは、業種や事業形態、取引先との関係によって判断が分かれるため、メリット・デメリットを踏まえたうえで検討することが大切です。
会社設立にあたって住所の選び方に迷われている方は、設立手続き全体の流れの中で最適な判断ができるよう、専門家に相談してみることをおすすめします。
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