東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故の被害に遭い負傷した場合、通常加害者の任意保険会社と示談交渉となります。
場合によっては、口頭で示談について話し合った上で、示談書や示談内容確認書という書面が被害者の元に送られてくることがあります。保険会社から書面が届き、その書面に具体的な示談金の額が記載されていると、多くの被害者はその金額は交渉できないものだと思い、同意してしまいがちです。
しかし、記載された金額が必ずしも妥当なものとは限りません。この記事では、保険会社から届く書面の内容について知っておきたい事項について解説します。
交通事故では、過失割合が高かった方が低かった側に対して、事故の慰謝料を支払います。
根拠としては、民法709条に、故意過失により、他人の生命、身体、財産に損害を与えたものは、その損害を賠償する責任があるという定めがあることです。
通常多くの運転者は、法律上の強制保険である自賠責保険に上乗せ保険である任意保険に加入しています。その場合、任意保険会社が当事者に代わり示談交渉をすることになります。
加害者の保険会社は、示談金がかかれた確認書や案内書を被害者に送り、被害者がそれに合意すると、示談が成立したとして、合意された保険金額を支払います。
示談とは、交通事故の怪我の慰謝料など民事上の紛争について、裁判所などを介さず当事者同士の話し合いにより解決することを言います。
示談書は一種の契約書であり、当事者が事後的に揉めることを避けるために作成されます。
一旦同意すると基本的には同意を撤回することができません。
示談書や案内書面の書面は、各保険会社によってフォーマットが違います。
しかし、記載されている項目はだいたい同じになり、以下のような情報になります。
まず、事故発生の日時や場所、当事者や車両登録ナンバーなどの具体的情報が特定されます。
また交通事故によって損害が発生した事実や、被害内容についても簡潔に記載されます。そして事故により被害者に発生した損害額が記載されますが、この点が非常に重要です。
参照:示談書の書き方 徹底解説
慰謝料の金額について、案内書のような体裁で書かれていると、まるで既に決まった金額のようにもみえます。
また、怪我の慰謝料の場合はある程度まとまった金額になるので、これまであまり目にしない大きな金額をみて、これならば合意してもよいだろうと考えてしまいがちです。
しかしながら、慰謝料には法律で決まった金額はなく、当事者が合意した金額が慰謝料となります。そのため、保険会社から送られてきた金額は、あくまで保険会社による提案金額であり、被害者はこれに応じる必要はないのです。
交通事故慰謝料には3つの基準があり、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準があります。この中で最も金額が高くなるのが弁護士基準であり、裁判例の蓄積による相場となります。そのため、被害者としては弁護士基準で慰謝料をもらいたいところですが、保険会社としてはなるべく示談金を安く抑えたいので、任意保険基準というもう少し安い基準を適用して示談金を提案します。
そのため、保険会社から送られてきた書面に記載されている金額は、この任意保険基準で算出された金額であり、弁護士基準に近づけるよう交渉の余地がある金額なのです。
保険会社から送られてきた書類に記載された金額を確認したら、安易に合意せず、交通事故案件の取り扱い実績が豊富な弁護士にチェックしてもらうなど、金額の妥当性を必ず確認しましょう。
保険会社から送られてくる書面には、示談金の合計額だけではなく、その内訳も示されています。例えば、車の修理代、入院費、通院費、松葉杖などの装具代、病院までの交通費、休業損害などの項目に分かれてそれぞれいくらの支払いかということがわかります。
参照:「休業損害」の職業別計算方法と抑えるべきポイントを一挙解説!
金額のみならず、項目にも漏れなどがないから合わせて確認しましょう。
また、双方に過失があり、過失割合に応じて支払いがなされる場合は過失割合も記載されています。
過失割合は、保険会社が、契約者からの聞き取りなどで理解した事故の状況から、保険会社の担当者が判断します。
過失割合が正しく認定されているとも限りませんので、この点も要確認です。納得がいかない過失割合であれば、警察から実況検分調書を取り寄せたり、事故の際に周りに目撃者がいれば証言してもらえるよう頼んだり、正しい過失割合になるように、保険会社と交渉しましょう。
いかがでしたでしょうか。保険会社から示談について書類が届き慰謝料の金額について提案があった場合は、金額や内訳などを確認し、妥当な内容なのかをチェックしましょう。
保険会社は交通事故のプロではありますが、法律家ではなく、金額を抑えたいという思惑が働きます。正しい知識を持って、保険会社と交渉しましょう。