

東京弁護士会所属。
「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。
初心を忘れず、研鑽を積みながら、皆様の問題に真摯に取り組む所存です。

目次
示談書は、当事者・事故内容・示談条件(示談金や支払方法など)を具体的に記載すれば作成できます。ここでは、「人身事故」と「物損事故」に分けて、すぐに使えるテンプレートを紹介します。

人身事故の示談書では、治療費や慰謝料、後遺障害の有無などを踏まえて、補償内容を明確に定めることが重要です。特に、清算条項の記載内容には注意が必要です。
後遺障害が残る可能性がある場合は、「将来発生する損害を含むかどうか」を慎重に検討する必要があります。
物損事故の示談書では、修理費や代車費用など、対象となる損害を明確にすることがポイントです。人身事故と比べて内容はシンプルですが、過失割合や支払範囲の認識違いに注意が必要です。
評価損(事故による車両価値の低下)やレッカー代なども請求対象となる場合があるため、必要に応じて明記しましょう。
示談書とは、交通事故などのトラブルについて当事者同士が話し合いで解決し、その合意内容を文書として残したものです。口頭でも示談自体は成立しますが、内容が曖昧なままだと後から「言った・言わない」で揉めるリスクがあります。合意内容を正確に残すためにも、書面として示談書を作成しておくことが重要です。
示談書は、法律上「どちらが作成しなければならない」という決まりはなく、当事者のいずれが作成しても問題ありません。実務では、加害者側(またはその保険会社)が作成するケースが多い傾向にあります。
もっとも、提示された示談書の内容が必ずしも自分に有利とは限りません。特に保険会社が作成した書面には、一般的な内容が盛り込まれている一方で、被害者にとって不利な条項が含まれていることもあります。
そのため、内容を十分に確認し、必要に応じて修正を求めることが重要です。
示談書と似た名称の書類はいくつかありますが、厳密な法的定義が明確に区別されているわけではありません。
いずれも「当事者間の意思を文書化する」という点では共通していますが、一般的には以下のような使い分けがされています。
交通事故の場面では、損害賠償や今後の請求関係まで整理する必要があるため、「示談書」という名称が一般的に用いられます。名称そのものよりも、記載されている内容が重要であり、当事者間の権利義務が明確に定められているかを重視することが大切です。
示談書には、「誰が・どの事故について・どのような条件で解決するのか」を具体的に記載することが重要です。不明確な表現や記載漏れがあると、後のトラブルにつながるおそれがあります。
以下では、記載すべきポイントを解説します。
示談書では、「誰と誰が合意したのか」が一目で分かる状態にしておくことが重要です。ここが曖昧だと、そもそも合意の当事者が誰なのかをめぐって争いが生じかねません。
あとから見返したときに「この人で間違いない」と判断できるレベルまで具体化しておくことが、実務上も重要なポイントです。
示談書では、どの交通事故について合意したのかが明確に分かるようにしておく必要があります。事故の特定が不十分だと、示談の対象範囲をめぐって後から争いになる可能性があります。
第三者が読んでも「どの事故か」を特定できる内容にしておくことが、後のトラブルを防ぐうえで重要です。
示談書では、事故における責任の割合(過失割合)についても整理しておくことが重要です。これがはっきりしていないと、どの程度の負担を前提に合意したのかが不明確になり、あとから争いになる原因になります。
「甲〇%・乙〇%」といった形で具体的に数値を示しておくことで、当事者それぞれの責任の程度が明確になります。保険会社が提示する過失割合は、契約者に有利な前提で判断されていることもあるため、そのまま受け入れるのではなく内容をよく確認することが重要です。
過失割合は、最終的な示談金額の算定にも影響する重要な要素です。双方が納得した内容を示談書に反映させておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。
示談書では、支払金額やその条件をはっきりと定めておくことが欠かせません。曖昧なままにしてしまうと、「いつまでに支払うのか」「どの方法で支払うのか」といった点でトラブルに発展しやすくなります。
金額だけでなく支払のプロセスまで含めて、誰が見ても理解できる内容にしておくことが大切です。
示談書には、必要に応じて謝罪の意思を盛り込むこともあります。もっとも、必ず記載しなければならない項目ではなく、当事者の意向や事案の性質に応じて判断されます。
たとえば、人身事故などで被害者の心情に配慮する必要がある場合には、簡潔な謝罪文を記載することで、円満な解決につながることがあります。一方で、過失割合に争いがある場合などは、謝罪の文言が責任を認めたものと受け取られる可能性もあるため、慎重に検討する必要があります。
示談書は法的な合意内容を定める文書であるため、謝罪の記載はあくまで補足的な要素です。記載する場合でも、内容や表現は当事者双方の合意に基づいて調整することが重要です。
示談書では、「本件に関してはこれで完全に解決した」とする清算条項を入れることが重要です。この条項がないと、示談後に追加請求が行われる余地が残ってしまいます。
清算条項では、「本示談書に定めるほか、当事者間に債権債務は存在しない」「今後一切請求しない」といった形で、請求関係を最終的に整理します。治療費や慰謝料、修理費など、どの範囲まで含めるのかを明確にしたうえで文言を検討することが必要です。
もっとも、将来後遺障害が発生する可能性や、今後のリハビリ費用が見込まれる場合には、その点を考慮せずに包括的な清算条項を設けると不利益につながるおそれがあります。「後遺障害が認定された場合は別途協議する」といった留保を設けるなど、将来の損害への対応も見据えて内容を調整することが重要です。
一度清算条項に合意すると、原則として後から追加請求はできません。将来のリスクも踏まえ、慎重に内容を確認したうえで記載することがポイントです。
示談書では、約束どおりに支払いが行われなかった場合の対応もあらかじめ定めておくことが重要です。何も取り決めがないと、支払いが遅れた際の対応に手間や時間がかかる可能性があります。
あらかじめルールを定めておくことで、万が一の不履行にも対応しやすくなります。実務上も、こうした条項があることで回収の見通しが立てやすくなる点がポイントです。
示談書には、いつ合意が成立したのかを明確にしておくことが重要です。成立日が不明確だと、支払期限や遅延損害金の起算点などをめぐって問題になることがあります。
なお、示談成立日について「書面に記入した日」と「当事者間で書面を取り交わした日」のどちらを基準とするのかで迷う場面があるかもしれません。一般的には、双方が署名押印を行い、最終的に合意が成立した日を示談成立日とすることが多いといえます。
示談書には、作成日を記載し、当事者双方が署名押印を行うことが重要です。これらが欠けていると、いつ・誰が合意したのかが不明確になり、証拠としての信用性が低くなるおそれがあります。
作成日は、示談書を作成した日付として記載し、署名は自筆で行うのが一般的です。押印については認印でも有効ですが、金額が大きい場合や重要な内容を含む場合には、実印の使用や印鑑証明書の添付を検討することもあります。
示談書は、合意内容をまとめて署名押印し、双方で保管することで成立します。取り交わしの方法はいくつかありますが、証拠として残る形で確実に行うことが重要です。
まずは、示談金額や支払方法、清算条項などの条件について当事者間で合意します。口頭ではなく、書面(またはデータ)として内容を整理しておくことがポイントです。
合意した内容をもとに、示談書を作成します。ひな形を使っても問題ありませんが、事故の内容や合意条件に応じて適切に修正することが必要です。
作成した示談書の内容について、当事者双方で確認します。特に、清算条項や支払条件などは後から変更が難しいため、この段階でしっかり確認しておくことが重要です。
内容に問題がなければ、当事者双方が署名押印を行い、示談書を取り交わします。
対面での取り交わしがもっとも確実ですが、郵送によるやり取りも可能です。メールはあくまで内容確認の手段として用い、最終的には書面で取り交わすのが一般的です。
なお、電子契約サービスを利用して締結することも可能ですが、証拠としての確実性を踏まえて方法を選ぶことが重要です。
示談書は原本を2通作成し、双方が1通ずつ保管します。紛失すると証拠として使えなくなる可能性があるため、大切に保管しておくことが必要です。
示談書は一度締結すると、原則としてやり直しができません。内容を十分に確認し、後から不利益が生じないよう慎重に対応することが重要です。
示談書に署名押印すると、その内容に法的に拘束されます。よく理解しないまま署名してしまうと、不利な条件でも受け入れたものとして扱われてしまいます。
専門用語や条項の意味が分からない場合には、そのままにせず確認することが大切です。内容を一つひとつ理解したうえで署名することが基本となります。
示談書には、被害者にとって不利な内容が含まれていることもあります。特に、清算条項の範囲や支払条件などは注意が必要です。
提示された内容をそのまま受け入れるのではなく、自分にとって不利益がないかという視点で確認することが重要です。必要に応じて修正を求めることも検討しましょう。
支払いが確実に行われるか不安がある場合には、公正証書として作成する方法もあります。公正証書にしておくと、支払いが滞った際に強制執行が可能になるため、回収の実効性が高まります。
特に分割払いの場合や高額な示談金が発生する場合には、公正証書の活用を検討する価値があります。
示談に至るまでの交渉内容ややり取りは、できるだけ記録として残しておくことが重要です。あとから「言った・言わない」の争いになることを防ぐことにつながります。
メールや書面でのやり取りを中心に進めることで、証拠として残しやすくなります。電話でのやり取りについても、内容をメモしておくと安心です。
示談書の内容に不安がある場合や、判断に迷う場合には、弁護士などの専門家に相談することを検討しましょう。専門的な視点から内容を確認してもらうことで、不利益を回避しやすくなります。
特に、後遺障害や高額な損害が関係する場合には、早い段階で相談することが適切な解決につながります。
示談書の内容が不十分だったり、重要な点を見落としたまま締結してしまうと、後から大きなトラブルに発展することがあります。ここでは、実務でもよく見られる典型的なNG事例を紹介します。
治療中の段階で示談を急ぎ、「今後一切請求しない」とする清算条項に合意してしまった結果、その後に症状が悪化しても追加の慰謝料や治療費を請求できなくなったケースがあります。
示談書に清算条項を入れる場合は、将来の損害も含まれているのかを慎重に確認することが重要です。
示談金の金額だけを決めて、支払期限や方法を具体的に定めていなかったため、支払いが遅れても適切に対応できず、回収に苦労するケースもあります。支払期限や振込方法、分割払いの条件などは、示談書に明確に記載しておくことが必要です。
示談書を作成したものの、署名や押印が不十分だったため、相手方が「正式な合意ではない」と主張し、効力を争われるケースもあります。
これらのトラブルは、いずれも示談書の内容や作成方法を適切に押さえていれば防げるものです。重要なポイントを理解したうえで、慎重に作成することが大切です。
示談書は一見シンプルに見えますが、内容によっては将来の請求が制限されるなど大きな影響があります。弁護士に依頼することで、法的リスクを抑えながら適切な内容で作成できる点が大きなメリットです。
弁護士が関与することで、清算条項の範囲や支払条件などに不利な内容が含まれていないかをチェックできます。見落としがちなリスクも踏まえて修正提案が受けられるため、安心して示談書を取り交わせます。
交通事故の損害賠償には一定の基準があり、専門的な知識がないと適正額を判断するのは難しいものです。弁護士が介入することで、いわゆる弁護士基準を前提とした交渉が可能となり、結果として賠償額の増額が期待できます。
後遺障害の可能性や通院の継続など、将来のリスクを見据えた条項を盛り込める点も大きなメリットです。「後遺障害が認定された場合は別途協議する」といった留保を適切に設けることで、あとから不利益を受けるリスクを抑えられます。
示談交渉や書面作成には一定の時間と労力がかかります。弁護士に依頼すれば、相手方や保険会社とのやり取りを任せることができ、精神的な負担も軽減されます。
自動車保険などに弁護士費用特約が付いている場合、弁護士費用の多くが保険でカバーされることがあります。費用面の不安を抑えながら専門家に依頼できる点も大きなメリットです。
当事者間で合意した内容が適切に記載され、署名押印がされていれば、自分で作成した示談書でも法的な効力は認められます。
もっとも、記載内容に不備があると、あとから解釈をめぐって争いになる可能性があります。特に交通事故の場合は、清算条項や損害の範囲などが重要になるため、内容の正確性には注意が必要です。
示談書は手書きである必要はなく、パソコンで作成しても問題ありません。実務上も、パソコンで作成した書面が一般的に用いられています。
重要なのは形式ではなく内容と署名押印です。パソコンで作成した場合でも、最終的には紙に印刷して署名押印することで、証拠としての確実性が高まります。
スマートフォンでも示談書の作成自体は可能です。GoogleドキュメントやMicrosoft Wordのアプリをスマホに入れておけば、そのまま文章を作成・編集することも可能です。
一般的には、示談書を作成する側や支払う側を「甲」、受け取る側を「乙」とするケースが多いですが、必ずしも統一されたルールがあるわけではありません。いずれにしても、どちらが誰を指すのかを明確にしておくことが重要です。
用紙のサイズに特別な決まりはありませんが、A4サイズで作成するのが一般的です。
部数については、当事者それぞれが原本を保管できるよう、少なくとも2通作成します。ページが複数にわたる場合は、契印(ページのつなぎ目への押印)を行うことで、改ざん防止につながります。
示談書は、交通事故の解決内容を確定させる重要な書面です。一度締結すると原則としてやり直しができないため、記載内容に漏れや不備があると、後から大きな不利益につながるおそれがあります。
特に、清算条項や過失割合、示談金の内容などは、将来の請求に直接影響するため慎重な判断が必要です。形式を整えるだけでなく、「本当にこの内容で問題ないか」という視点で確認することが重要といえます。
示談書の内容に少しでも不安がある場合は、取り交わす前に弁護士へ相談することをおすすめします。
「VSG弁護士法人」では、交通事故に関して無料法律相談を行っています。被害者として泣き寝入りしないためにも、まずはお気軽にご相談ください。
