東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故を起こしてしまうと今までの生活が一変してしまうことも珍しくありません。
事故直後だけではなく、事故後もさまざまな不安を抱えてしまうものです。
「この怪我本当に治るのかな……」
「車の修理代はちゃんと払ってもらえるのだろうか?」
「自分にも不注意があったから全額は負担して貰えなさそうだけどなんとかならないかな?」
自分1人で悩んで抱え込んでしまうことは、精神的に追い込まれてしまい解決までにも時間がかかってしまいます。
おそらくこの記事を読み始めた方は過失割合5対5と保険会社から提示され、ご不安を抱えていらっしゃる方ではないでしょうか?
ご不安の解消に少しでもお役に立てれば幸いです。
正しい知識を備えて示談交渉に臨みましょう。
目次
交通事故の過失割合は、レアケースではない限り、当事者双方に過失があるのが普通です。
車を運転するのならば、起こり得る事態を想定しつつ危険を予知し、回避するべきともいえます。
「過失」「過失割合」とは具体的には、いったいどのような意味なのでしょうか?
過失 | ≒不注意のこと。 (例) |
---|---|
過失割合 | 「交通事故の結果に対する過失(≒不注意)」の割合です。 事故当事者双方の過失がどの位あり、相手にどの位の責任追求(損害賠償請求)することができるのかといいかえることができます。 当然のことながら、自己の過失分についても責任を負います。 ※過失割合は、事故の態様から詳細な「修正要素」を考慮して調整することができるケースがあります。 |
双方に過失がある場合どちらか一方だけに負担を強いることはできません。
当事者双方が過失割合に応じ公平に「責任」を分担します。
「修正要素」とは、基準となる過失割合を調整する際に用いる要素のことです。
加算要素・減算要素といわれる要素を用いて調整をしていきます。
保険会社が提示してきた過失割合が最終的なものではありませんので慎重に対応していきましょう。
交渉のプロである保険会社に過失割合を提示されたら合意しなければいけないような雰囲気になるかもしれませんが、必ずしも合意する必要はありません。
納得がいかない場合は、前述のような「修正要素」を用いて過失割合の調整をしていくことが可能となるケースもあります。
そのためには、客観的な証拠が必要です。
交通事故の事実に基づいた主張立証をもって交渉します。
事故の態様により修正要素が異なります。
「車vs車」のケースの場合は、「加算要素に該当する車」として過失ありとし5〜20%が加算されることとなります。
つまり、修正要素の調整により過失が増すのです。
修正要素は多岐に渡りとても細かいものです。
一部を抜粋しましたのでご参考になさってください。
重過失 | 嫌がらせ、居眠り、無免許、酒酔い運転、時速30km以上の速度違反 など |
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著しい過失 | 酒気帯び運転、前方不注視、著しい運転操作ミス など |
道路交通法50条 違反に該当する直進 | 進入禁止交差点に進行してしまった |
大型車 | 大型車運転手の注意義務の程度が高いため など |
自分の事故に修正要素が使える余地があるかどうかなど、わからないことがたくさんありご不安に思われることがあるかと思います。
そのような場合は、あまり悩んでいる時間をかけすぎてしまうとかえって不利益を及ぼすことが考えられます。
弁護士に相談してみることもご検討されてみてはいかがでしょうか。
次に、過失割合が5対5のケースを見ていきましょう。
まず、「交通弱者」について理解していただく必要があります。
すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、とても大切なことですので確認しておきましょう。
車>バイク>自転車>歩行者
歩行者は、「最も弱い立場にある交通弱者」です。
一方で、車は「最も強い注意義務を負う」こととなります。
具体的な事故のイメージを持ってみるとグッと理解が深まるかと思います。
上記に挙げたケースについて、以下をご参考になさってください。
【直進車と右折車の赤信号同士の事故】
→赤信号で交差点に侵入してきた直進車と赤信号で交差点に侵入してきた右折車が衝突
【赤信号同士の事故】
→交差点で双方赤信号にもかかわらず、それぞれ交差点に侵入し衝突した
【(追い越し禁止ではない交差点)右折車と追い越し直進車の事故】
→中央に寄らずに右折しようとした車と、追い越しをしようとした車が衝突
【(信号のない同幅員の交差点)直進車と左折車の事故】
→ほぼ同じ幅の信号機のない交差点で、直進車と左折車が衝突
【車側に道路交通法24条違反あり】
→前方を走行している車が、危険を回避するために止むを得ずという状況ではなく、急ブレーキをかけ後方のバイクが追突。
※道路交通法24条(急ブレーキの禁止)
車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、またはその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。
【(信号機のない交差点)左方直進車と右方バイクの事故】
→ほぼ同じ幅員の道路の交差点で、かつ同じ速度で、左方からの直進車と右方からの直進バイクが衝突。
【(黄色信号の交差点)右折車と直進バイクの事故】
→黄色信号の交差点に侵入してきた右折バイクと対向車線から交差点に侵入してきた直進車が衝突。
【(信号機のある交差点)右折自転車と直進車の事故】
→二段階右折を正しく行わずに青信号で右折してきた自転車と、交差点を青信号で直進してきた対向車が衝突。
たとえば、夜間に道路に座り込んでいたり倒れていたりするような人と車が衝突したようなケースなどです。
【(信号機のある交差点)横断中の歩行者と自転車の事故】
→赤信号の交差点で横断を開始した歩行者と黄色信号で交差点に侵入してきた自転車が衝突。
「過失」が認められれば、相手方に対して損害賠償金を支払う義務があります。
たとえば、双方の過失割合が5対5(A対B)のケースではどうでしょうか。
過失割合 | 損害額 | 損害賠償請求金額 | 過失相殺後の金額 (最終的な受け取り金額) | |
---|---|---|---|---|
Aさん | 5 | 500万円 | 500万円×0.5=250万円 | 0円 |
Bさん | 5 | 1,000万円 | 1,000万円×0.5=500万円 | 500万円−250万円=250万円 |
このように、最終的に受け取ることのできる損害賠償金は、自身の過失分(5割)が差し引かれた額となります。
一度は耳にしたことがある方もいらっしゃると思いますが、このような方法を「過失相殺」といいます。
「差し引いて帳消しにする」と表現するとわかりやすいでしょうか。
交通事故の態様は完全に一致するということはまずあり得ず、少しずつ違うものです。
損害額や過失割合など個々の事情により最終的な受取額がゼロということも珍しいことではありません。
つまり、慰謝料の増額を望むのであれば「自分の過失割合をいかに小さくするか」ということが重要なポイントです。
自身の過失が5割あった場合に、損害額を満額受け取る方法はないのでしょうか?
結論からいえば、解決方法はあります。
「人身障害補償特約」
→加入していれば、過失の割合に関係なく保険金が支払われる。
つまり、自身の過失分を補償してくれる特約のこと。
ただし、受け取ることの出来る金額は自身が加入時に設定した金額の範囲内。
→たとえば、歩行中、単独事故、当て逃げ、他人の乗車中の事故、バスやタクシーに乗車中の事故など多岐に渡る事故のケースにおいても補償を受けることが可能となりメリットが大きい。
交通事故の示談交渉は、双方の主張が食い違うと非常に長引く傾向があります。
なぜなら、先述のとおり「過失割合」は最終的に受け取ることのできる額に大きな差が生じてしまうからです(当然、相手方も過失割合を小さくしたいと思うものです)。
お怪我を負われている場合は、示談成立を待たずに治療費や慰謝料の実損分をスピーディーに支払ってもらうことができます。
費用面の不安がなく治療に専念することができ、お怪我を負われた方にとってはメリットが大きいといえるのではないでしょうか。
示談交渉において「過失割合」がいかに重要なポイントであるかおわかりいただけたでしょうか?
実際に、過失割合の交渉を自分1人で行うことは大変な労力を要します。
また、主張立証など法的なテクニックを要するので、治療をする必要がある方にとっては負担が大きく酷といえます。
もし、ご自身の加入されている保険に「弁護士特約」が付帯されていれば、躊躇せずに一度弁護士に相談されることをおすすめします。(弁護士費用などの負担なし)
今回ご紹介したとおり、過失割合が小さくなれば慰謝料の受取額もアップします。
また、「弁護士基準」といわれる算出基準により保険会社の提示金額よりも慰謝料額が2〜3倍アップし1,000万円ほどの差が生じるケースも少なくありません。
弁護士特約に加入していなくても、最終的に得られるメリットが大きいので交通事故を得意としている弁護士にご相談することも選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。