東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故に遭って怪我をすると、加害者に対して慰謝料をはじめとする損害賠償金を請求することができます。
慰謝料の金額は事案によって異なりますが、後遺障害が残った場合は高額になりがちです。
かつ、認定される後遺障害等級によっては金額に大きな違いが生じることがあります。
通常の場合は、加害者側の保険会社が慰謝料をはじめとする損害賠償金を算定した上で示談案を提示してきます。
しかし、その示談案で示された慰謝料額は不当に低額であることが多いのです。
そこで今回は、後遺障害の問題を中心として、示談で損をしないために知っておくべき慰謝料・損害賠償の計算方法と請求方法をご紹介します。
目次
後遺障害が残った場合には、治療期間に応じた「入通院慰謝料」とは別に「後遺障害慰謝料」という独自の慰謝料を請求することができます。
後遺障害慰謝料の金額は後遺障害の等級に応じて決められているため、慰謝料を計算する際には何級に認定されるかが重要となります。
そこでまずは、後遺障害等級表をご紹介した上で、その見方と請求額を左右するポイントについてご説明します。
後遺障害等級表とは、どのような症状が何級の後遺障害に該当するのかということと、等級ごとの慰謝料額などをまとめた一覧表のことです。
ここでは、自賠責保険で公開されている後遺障害等級表をご紹介します。
なお、次の表の金額は後遺障害慰謝料の額ではなく、逸失利益も含めた自賠責保険金の「限度額」であることにご注意ください。
【介護を要する後遺障害の場合の等級および限度額】
等級 後遺障害 自賠責保険金額 別表第一
第1級
- 1 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
- 2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
4,000万円 第2級
- 1 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
- 2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3,000万円 【後遺障害の等級および限度額】
等級 後遺障害 自賠責保険金額 第1級
- 1 両眼が失明したもの
- 2 咀嚼および言語の機能を廃したもの
- 3 両上肢を肘関節以上で失ったもの
- 4 両上肢の用を全廃したもの
- 5 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
- 6 両下肢の用を廃したもの
3,000万円 第2級
- 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
- 2 両眼の視力が0.02以下になったもの
- 3 両上肢を手関節以上で失ったもの
- 4 両下肢を足関節以上で失ったもの
2,590万円 第3級
- 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
- 2 咀嚼または言語の機能を廃したもの
- 3 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 5 両手の手指の全部を失ったもの
2,219万円 第4級
- 1 両眼の視力が0.06以下になったもの
- 2 咀嚼および言語の機能に著しい障害を残すもの
- 3 両耳の聴力を全く失ったもの
- 4 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
- 5 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
- 6 両手の手指の全部の用を廃したもの
- 7 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
1,889万円 第5級
- 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
- 2 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 4 1上肢を手関節以上で失ったもの
- 5 1下肢を足関節以上で失ったもの
- 6 1上肢の用の全廃したもの
- 7 1下肢の用を全廃したもの
- 8 両足の足指の全部を失ったもの
1,574万円 第6級
- 1 両眼の視力が0.1以下になったもの
- 2 咀嚼または言語の機能に著しい障害を残すもの
- 3 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
- 4 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
- 5 脊柱に著しい奇形または運動障害を残すもの
- 6 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
- 7 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
- 8 1手の5の手指またはおや指を含み4の手指を失ったもの
1,296万円 第7級
- 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
- 2 両耳の聴力が40cm以上の距離では、普通の話し声を解することができない程度になったもの
- 3 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
- 4 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 5 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 6 1手の親指を含み3の手指を失ったものまたは親指以外の4の手指を失ったもの
- 7 1手の5の手指または親指を含み4の手指の用を廃したもの
- 8 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
- 9 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
- 10 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
- 11 両足の足指の全部の用を廃したもの
- 12 外貌に著しい醜状を残すもの
- 13 両側の睾丸を失ったもの
1,051万円 第8級
- 1 1眼が失明し、または、1眼の視力が0.02以下になったもの
- 2 脊柱に運動障害を残すもの
- 3 1手の親指を含み2の手指を失ったものまたは親指以外の3の手指を失ったもの
- 4 1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの または親指以外の4の手指の用を廃したもの
- 5 1下肢を5cm以上短縮したもの
- 6 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
- 7 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
- 8 1上肢に偽関節を残すもの
- 9 1下肢に偽関節を残すもの
- 10 1足の足指の全部を失ったもの
- 11 脾臓または1側の腎臓を失ったもの
819万円 第9級
- 1 両眼の視力が0.6以下になったもの
- 2 両眼の視力が0.6以下になったもの
- 3 両眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの
- 4 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
- 5 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
- 6 咀嚼および言語の機能に障害を残すもの
- 7 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
- 8 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
- 9 1耳の聴力をまったく失ったもの
- 10 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
- 11 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
- 12 1手のおや指または親指以外の2の手指を失ったもの
- 13 1手の親指を含み2の手指の用を廃したものまたは親指以外の3の手指の用を廃したもの
- 14 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
- 15 1足の足指の全部の用を廃したもの
- 16 外貌に相当程度の醜状を残すもの
- 17 生殖器に著しい障害を残すもの
616万円 第10級
- 1 1眼の視力が0.1以下になったもの
- 2 正面視で複視を残すもの
- 3 咀嚼または言語の機能に障害を残すもの
- 4 14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
- 5 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
- 6 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
- 7 1手のおや指または親指以外の2の手指の用を廃したもの
- 8 1下肢を3cm以上短縮したもの
- 9 1足の第1の足指または他の4の足指を失ったもの
- 10 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
- 11 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
461万円 第11級
- 1 両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
- 2 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 3 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
- 4 1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
- 5 10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
- 6 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
- 7 脊柱に変形を残すもの
- 8 1手のひとさし指、中指または薬指を失ったもの
- 9 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
- 10 胸腹部臓器に障害を残すもの
331万円 第12級
- 1 1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
- 2 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 3 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 4 1耳の耳介の大部分を欠損したもの
- 5 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの
- 6 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
- 7 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
- 8 長管骨に変形を残すもの
- 9 1手の小指を失ったもの
- 10 1手のひとさし指、中指または薬指の用を廃したもの
- 11 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったものまたは第3の足指以下の3の足指を失ったもの
- 12 1足の第1の足指または他の4の足指の用を廃したもの
- 13 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 14 外貌に醜状を残すもの
224万円 第13級
- 1 1眼の視力が0.6以下になったもの
- 2 正面視以外で複視を残すもの
- 3 1眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの
- 4 両眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの
- 5 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 6 1手の小指の用を廃したもの
- 7 1手の親指の指骨の一部を失ったもの
- 8 1下肢を1cm以上短縮したもの
- 9 1足の第3の足指以下の1または2の足指を失ったもの
- 10 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したものまたは第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
- 11 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
139万円 第14級
- 1 1眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの
- 2 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 3 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
- 4 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
- 5 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
- 6 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
- 7 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
- 8 1足の第3の足指以下の1または2の足指の用を廃したもの
- 9 局部に神経症状を残すもの
75万円
上記のように、後遺障害等級表には「体のどの部位に」「どのような症状が」残っているかに応じて、第1級~第14級までの14段階に分類されています。
したがって、ご自分の後遺障害の部位・程度と等級表の記載とを照らし合わせて等級を判断することになります。
なお、系列が異なる後遺障害が複数ある場合は、「併合処理」をすることによって適切な後遺障害等級を割り出します。
併合処理とは、複数の後遺障害がある場合に以下のいずれかの処理を行うことをいいます。
適切な後遺障害慰謝料を請求するためには、後遺障害等級の認定を適切に受けることが何よりも重要です。
たとえば、むち打ち症で後遺障害等級が認定される場合は第12級または第14級となります。
このどちらに認定されるかによって、慰謝料額は約150万円も違います。
両者の違いは神経症状が「頑固」かどうかだけですが、頑固な神経症状を証明するためには適切な治療を受けた上で、有効な資料を提出する必要があります。
交通事故の慰謝料の計算基準は1つではなく、次の3種類があります。
後遺障害慰謝料についても、この3つの基準ごとに金額が異なります。
そのため、慰謝料を請求する際はどの計算基準を用いるかということも重要になります。
自賠責保険基準とは、自賠責保険から保険金が支払われる場合の慰謝料の計算基準です。
自賠責保険は交通事故の被害者に対して最低限の補償を行うことを目的として運用されている保険です。
そのため、3つの基準の中では自賠責保険基準で計算した慰謝料額が最も低額となります。
任意保険基準とは、加害者側の任意保険会社が被害者に対して示談金を支払う際に用いられる慰謝料の計算基準です。
任意保険基準で計算した慰謝料額は自賠責保険基準の場合よりは高額になりますが、保険会社の利益を確保した計算基準であるため、弁護士基準による場合よりは低額となります。
弁護士基準とは、被害者から損害賠償の依頼を受けた弁護士が賠償金を請求する場合に用いる慰謝料の計算基準です。
裁判でも適用される法的に正当な根拠のある計算基準であり、3つの基準の中で最も慰謝料額が高額となります。
後遺障害慰謝料を請求する際は弁護士基準を用いるのが、被害者にとって最も有利になります。
ここでは、どのくらい有利になるのかをイメージしていただくため、3つの基準による慰謝料額を比較した一覧表を掲載しました。
ただし、任意保険基準は公表されておらず、保険会社ごとに多少異なる部分もあるため、おおよその推定値であることにご注意ください。
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1,100万円 | 1,300万円 | 2,800万円 |
2級 | 958万円 | 1,120万円 | 2,370万円 |
3級 | 829万円 | 950万円 | 1,990万円 |
4級 | 712万円 | 800万円 | 1,670万円 |
5級 | 599万円 | 700万円 | 1,400万円 |
6級 | 498万円 | 600万円 | 1,180万円 |
7級 | 409万円 | 500万円 | 1,000万円 |
8級 | 324万円 | 400万円 | 830万円 |
9級 | 245万円 | 300万円 | 690万円 |
10級 | 187万円 | 200万円 | 550万円 |
11級 | 135万円 | 150万円 | 420万円 |
12級 | 93万円 | 100万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 60万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
最も軽い第14級でも自賠責基準と弁護士基準では80万円近くも異なります。
第3級以上では1,000万円を超える差が出てきます。
弁護士基準で慰謝料を請求することで、いかに被害者に有利になるかがおわかりいただけるでしょう。
それでは、後遺障害等級に応じて実際にいくらくらいの損害賠償金を請求することができるのか、いくつかの計算例をみてみましょう。
ここでは、わかりやすいように被害者が症状固定時30歳、事故前の年収が500万円で、被害者に過失はなかったものと仮定して3つの計算例をご紹介します。
上記の被害者が交通事故によってむち打ち症となり、3ヶ月通院して症状固定し、うち1ヶ月は休業した場合の損害賠償金を計算すると、一例として以下のようになります。
損害項目 | 賠償金 |
---|---|
治療費 | 300,000円 |
通院交通費 | 16,000円 |
休業損害 | 417,000円 |
入通院慰謝料 | 530,000円 |
後遺障害慰謝料 | 1,110,000円 |
逸失利益 | 5,541,750円 |
合計 | 7,904,750円 |
後遺障害等級が認定されると後遺障害慰謝料のほかに逸失利益も請求できるので、後遺障害が非該当の場合に比べて損害賠償金の総額が大幅に増額されます。
逸失利益は、症状固定時の年齢が若く、年収が高いほど高額となる傾向があります。
次は、同じむち打ち症のケースですが程度が重く、12級に認定されたケースの計算例をご紹介します。
事故後に2ヶ月入院し、その後4ヶ月通院して症状固定したとし、休業期間は3ヶ月として計算してみます。
損害項目 | 賠償金 |
---|---|
治療費 | 600,000円 |
入院雑費 | 90,000円 |
通院交通費 | 32,000円 |
休業損害 | 1,250,000円 |
入通院慰謝料 | 1,650,000円 |
後遺障害慰謝料 | 2,900,000円 |
逸失利益 | 15,516,900円 |
合計 | 22,038,900円 |
後遺障害等級が上がると慰謝料も増額されますが、逸失利益が大幅に増額されます。
後遺障害等級の認定を適切に受けることがいかに重要であるかがおわかりいただけるのではないでしょうか。
後遺障害等級が重くなると、損害賠償金は相当に高額となります。
そこで、後遺障害等級1級に認定された場合の計算例をご紹介します。
このケースでは、交通事故で脳に重度の損傷を受け、1年間の入院治療を受けたものの蔓延性意識障害が残って症状固定し、将来にわたって常時介護が必要となったケースを想定します。
損害項目 | 賠償金 |
---|---|
治療費 | 3,600,000円 |
入院雑費 | 547,500円 |
休業損害 | 5,000,000円 |
入通院慰謝料 | 3,210,000円 |
後遺障害慰謝料 | 28,000,000円 |
逸失利益 | 110,835,000円 |
合計 | 151,192,500円 |
このケースでは、1億5,000万円を超える損害賠償金が認められました。
後遺障害等級が重い場合、死亡事故よりも高額の賠償金が認められるケースもあります。
後遺障害等級の認定を受けて慰謝料を計算した結果、予想よりも大幅に低いと感じてしまうケースもよくあります。
その場合、後遺障害等級の認定を適切に受けることができていない可能性が高いのです。
これまでご説明してきたように、後遺障害慰謝料は後遺障害等級に応じて決められています。
むち打ち症の場合、14級では110万円であるのに対して、12級では290万円と倍以上になります。
後遺障害等級の認定に納得できない場合は、異議申し立てをして再審査してもらうこともできます。
ただし、一度審査された結果を覆すことは簡単ではないので、異議申し立てを行う場合は弁護士に相談した方がよいでしょう。
また、同じ後遺障害等級でも自賠責基準や任意保険基準で計算した場合、慰謝料の計算結果が安すぎることになります。
弁護士基準で計算した慰謝料で示談するためには、通常は弁護士に依頼する必要があります。
交通事故の慰謝料や損害賠償の計算には複雑な面もあるので、ご自分で正確に計算するのは難しいものです。
インターネットでは賠償額の自動計算ツールも数多くあるので、信頼できるものを利用してみるのもよいでしょう。
ただし、実際に支払われる損害賠償額は個別の事案に応じてことなります。
自動計算ツールによる計算結果はあくまでも目安に過ぎないことにご注意ください。
保険会社から提示された損害賠償額がシミュレーション結果と相違ない場合は、示談してもよいでしょう。
ただし、そのまま示談をすると損をしてしまうケースもあるので注意が必要です。
すでにご説明したとおり、慰謝料の計算基準には3種類あります。
比較的軽傷で治療期間も短く、後遺障害が残らなかった場合はどの基準で計算しても賠償額に大差はありません。
このような場合に弁護士に依頼すると、費用倒れになってしまうおそれもあります。
一方、後遺障害が残ったり、そうでなくても治療期間が長引いたりした場合は、弁護士基準で慰謝料を用いることによって保険会社の提示額よりも大幅に増額される可能性が高いです。
この場合は、示談する前に弁護士に相談した方がよいでしょう。
多くの場合は、弁護士に依頼することで賠償金は増額されます。
ただ、弁護士に依頼するためには費用が必要なので、場合によっては費用倒れになってしまうこともあります。
また、どのような場合に弁護士に依頼することでどの程度得をするのかについては、なかなかわかりにくいことが多いでしょう。
示談にするか迷ったときは、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
この記事では、後遺障害を中心に慰謝料や損害賠償の計算方法や、計算結果に納得できない場合の対処法についてご説明しました。
後遺障害が残った場合は賠償金が高額となりますが、その分、弁護士基準で計算するかほかの基準で計算するかで金額の差も大きく開いてしまいます。
適切な賠償を受けるためには、弁護士に相談しつつ、後遺障害等級認定を適切に受けることが大切です。