東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故による捻挫で治療が必要でも、仕事を休むことができない方は多くいます。
しかし、無理して治療を後回しにすると、症状が悪化し、あるいは後遺症が残るリスクが高まる可能性があります。
また、保険会社との交渉がうまくいかないこともあります。
この記事では、仕事を休めない場合でもできる治療や交渉を進め方や、病院や整骨院への通院方法、弁護士に相談する際のポイントを解説します。
目次
交通事故による頚椎捻挫(むちうち)で治療が必要でも、仕事を休むことが難しい状況は多々あります。
しかし、無理をして治療を後回しにすると、体への負担が大きくなり、症状が悪化するリスクもあります。
では、仕事を休めない場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
その方法について詳しく解説します。
交通事故でケガを負っても、仕事を休めない場合には、働きながら通院することが必要です。
忙しい日々の中で通院を後回しにすると治療が遅れ、体の回復が進まないだけでなく、法的な問題や金銭的な不利益を被る可能性があります。
たとえば、通院頻度が少ないと、相手方の保険会社が「それほど通院が必要ない程度のケガ」と判断し、治療費が全額支払われないことがあり得ます。
また、治療期間が長引いた場合、慰謝料が減額される可能性も考えられます。
特に初診が遅れると、ケガと事故との因果関係が曖昧になり「本当に事故によるケガなのか?」と疑われてしまうこともあるでしょう。
特に、捻挫のような比較的軽い症状は、仕事や家庭の事情で我慢しがちですが、適切な治療を受けないと後々大きな問題となることがあります。
働きながらでも、医師の指示に従い、しっかりと治療を受けることが大切です。
治療を怠ることで、体にも経済的にも大きな損失を生じさせないようにしましょう。
仕事をしながらだと、勤務時間と診察時間が合わないことや、病院が遠くて通いにくいことから、通院するのが難しい場合があるでしょう。
そんなときは、通院がしやすい整骨院や接骨院の利用を検討してみてください。
これらの施設は病院よりも開院時間が長く、アクセスもよいことが多いため、仕事後でも通いやすいのが特徴です。
整骨院や接骨院に通院した場合でも、基本的には休業損害や慰謝料、治療費を相手方に請求できます。
ただし、整骨院や接骨院は病院とは異なるため、適切な補償を受けるためには次の点に注意が必要です。
さらに、整骨院に通うだけでなく、月に1回以上は病院への通院も続けなくてはなりません。
仕事のある平日に受診が難しい場合は、休日に診察を受けられる病院やクリニックへ転院することもよいでしょう。
転院の際には、必ず相手方の任意保険会社に事前連絡をして、治療費の支払いが滞らないよう手続きを進めてください。
仕事と治療を両立することは、身体的・精神的な負担に加え、時間的な制約も大きいものです。
さらに交通事故の場合、相手方との示談交渉や事務的な手続きなど、治療の合間に行わなければならないことが多く、負担が増します。
示談交渉が始まると、仕事中に相手方の保険会社から連絡が入ることもあり、対応に困ることが少なくありません。
こうした状況にストレスを感じる、また時間がかかる場合は、弁護士に依頼するのが効果的です。
弁護士が相手方との交渉や手続きを代行してくれるため、治療と仕事に専念することができます。
また、仕事をどうしても休めない状況がある場合、弁護士に相談することで、入通院慰謝料が増額される可能性もあります。
治療期間をやむを得ず短縮した場合、事情を考慮して慰謝料が増額されるケースがありますが、「やむを得ない事情」に該当するかどうかは、明確な基準がありません。
そのため、加害者側との交渉次第で結果が異なることも多くあります。
こうした交渉を効果的に進めるためにも、早めに弁護士に相談することが重要です。
捻挫の治療よりも仕事を優先すると、様々なリスクが生じます。
交通事故後、適切な治療を受けないと、痛みやしびれが長期間にわたって続く可能性が高まります。
こうした症状が慢性化すると、仕事に集中できなくなり、作業効率が大幅に低下してしまいます。
早期の治療は、後々の仕事や日常生活でのパフォーマンスを高めるためにも不可欠です。
事故後は、無理をせず一定期間治療に集中することが大切です。
治療を先延ばしにすると、後遺症が残るリスクが格段に上がります。
後遺症は一度発生すると回復が難しく、日常生活だけでなく、仕事にも大きな支障を与えることがあります。
後遺症を抱えたまま働くことは、生活の質を大きく低下させる要因となるため、無理をせず早期に適切な治療を受けることが重要です。
事故後、治療を後回しにすると、交通事故とケガとの因果関係が証明しづらくなります。
特に初診が遅れた場合や、通院の間隔が空いてしまうと、ケガが本当に事故によるものか、それとも他の要因によるものか判断が難しくなります。
また、通院が不規則になると、「症状が改善された」と見なされ、保険会社が治療費や休業損害の支払いを拒否する可能性があります。
治療のタイミングが遅れることで、あなたの権利が十分に守られないリスクも高まるのです。
交通事故で後遺症が残ってしまった場合、自賠責保険から「後遺障害等級認定」を受けることで賠償金を請求できますが、治療を怠るとこの認定が受けられなくなる可能性があります。
後遺障害等級認定を受けるためには、6カ月以上の継続的な治療が必要となるケースが多く、仕事を優先して通院を怠ると、認定を逃してしまうリスクがあります。
これにより、後遺症に対する適切な補償を受けられないという事態に陥る可能性が高まります。
交通事故による捻挫で仕事を休む期間は、症状によってまちまちですが、一般的には以下のようなことが言われています。
捻挫を負った場合、一般的には受傷後2週間程度の「急性期」や「安静期」に安静が求められ、この期間は仕事を休むことが推奨されます。
その後も、治療が続く間は最低でも月に1回の通院が必要です。
また、通院日が仕事と重なる場合は、仕事を休むことが可能です。
通常、治療期間は急性期を含め約3カ月程度ですが、後遺症が残る場合は6カ月以上の治療が必要になることもあります。
休む期間や頻度は、頚椎捻挫の程度や医師の判断によって異なるため、担当医の指示に従うことが大切です。
交通事故による捻挫で仕事を休む場合、会社から診断書の提出を求められることがあります。
会社の担当部署に確認し、必要な手続きを行いましょう。
医師からの休業指示がない日でも、症状がつらくて仕事が難しい場合は、勤め先に連絡することで休むことが可能です。
ただし、自己判断で仕事を休む際には注意が必要です。
医師の診断がない状態で休むと、休業の必要性を証明できず、休業損害が支払われない可能性があります。
もし自己判断で休む場合でも、可能な限り病院を受診し、その日の症状が強くて仕事ができなかったことを医師に証明してもらうといいでしょう。
これにより、休業損害の請求を適切に行える可能性が高まります。
交通事故で捻挫を負い、仕事を休む、パフォーマンスが落ちるなどの場合、その損害は加害者側に賠償を請求できます。
この損害賠償には「休業損害」や「後遺障害逸失利益」といったものが含まれます。
ここでは、それぞれの損害についてわかりやすく説明します。
交通事故によって仕事を休まざるを得なくなった場合、その休んだ期間の収入減少は「休業損害」として補償を受けることができます。
これには、単に休業した日数分の損害だけでなく、事故の影響で仕事を失った、あるいは就職が遅れた場合も含まれます。
たとえば、治療が長引いて内定が取り消された、就職のタイミングが遅れてしまった場合にも、休業損害として請求できる可能性があります。
事故が原因で解雇された場合も、次の就職先が見つかるまでの期間に応じて、休業損害が支払われることがあります。
注意点として、自主退職ではなく、解雇や会社都合での退職であることが必要です。
治療が終わった後も頚椎捻挫による痛みやしびれが残る場合、それが後遺症として認められることがあります。
この場合、仕事や日常生活に支障が出た分の補償を「後遺障害逸失利益」として請求できます。
後遺障害逸失利益とは、事故により後遺障害が残らなければ、将来得られたはずの収入のことです。
たとえば、体の不調が原因で仕事の幅が狭まった、昇進が難しくなった、労働時間が短縮された場合には、生涯にわたる収入の減少が賠償対象となります。
休業損害、後遺障害逸失利益の計算方法を紹介します。
休業損害は、交通事故で仕事を休んだことにより生じた損害を補償するものです。
計算方法には以下の3つの基準があります。
休業損害を算出する際、以下の計算式を使用します。
1日あたりの基礎収入は、事故前の3カ月の収入を基に算出します。
休業日数は、交通事故によるケガで実際に仕事を休んだ日数を指します。
これには、以下の理由で仕事を休んだ日も含まれます。
後遺障害逸失利益の計算式は、以下の通りです。
それでは、基礎収入や労働能力喪失率について、簡潔に説明します。
基礎収入は、事故前の1年間の収入が基本となります。
給与明細や源泉徴収票、確定申告書などを基に算出します。
職業や状況によっては、厚生労働省の賃金センサス(日本人の平均賃金)を参考にする場合もあります。
後遺障害の等級によって、労働能力がどれだけ低下したかを表す数値です。
以下の表を参考に、後遺障害等級に応じて決定します。
後遺障害等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
第1級 | 100% |
第2級 | 100% |
第3級 | 100% |
第4級 | 92% |
第5級 | 79% |
第6級 | 67% |
第7級 | 56% |
第8級 | 45% |
第9級 | 35% |
第10級 | 27% |
第11級 | 20% |
第12級 | 14% |
第13級 | 9% |
第14級 | 5% |
後遺障害による労働能力の低下がどれくらい続くかを表す期間で、通常は67歳までとされます。
年齢によって計算方法が異なるため、以下の表を参照してください。
被害者の年齢 | 労働能力喪失期間 | 補足 |
---|---|---|
幼児~高校生 | 49年間(67歳~18歳) | 高校卒業後から67歳まで働くと仮定して計算します |
大学生 | 45年間(67歳~22歳) | 大学卒業後から67歳まで働くと仮定して計算します |
社会人 | 67歳~症状固定時・死亡時の年齢 | 交通事故がなければ67歳まで働けたと仮定します |
高齢者 | 平均余命の2分の1または67歳までの期間 | より長い期間を選択して計算します |
交通事故に遭うと、どのように対処すべきか迷うことが多いですが、弁護士に相談することで多くのメリットを得られます。
ここでは、その主なポイントをまとめます。
交通事故後、相手方やその保険会社との交渉は避けられません。
しかし、被害者自身が交渉に慣れていない場合、時間がかかるだけでなく、相手方保険会社の提案に流されてしまうこともあります。
保険会社はできるだけ支払いを抑えたいので、被害者に不利益な条件で進められることが少なくありません。
弁護士に相談すれば、交渉をすべて代行してもらい、被害者は治療に専念できます。
弁護士に依頼する大きなメリットは、示談金が増える可能性があることです。
保険会社は「任意保険基準」を使って賠償金を算出しますが、この基準は弁護士が使う「弁護士基準」より低額になることがほとんどです。
弁護士基準を使うことで、被害者は正当な賠償金を受け取る可能性が高くなります。
弁護士に依頼することで、保険会社に対して有益な条件で交渉を進めることができ、慰謝料の増額が期待できます。
過失割合や損害賠償の減額について、被害者が自分で交渉するのは困難です。
たとえば、保険会社が主張する過失割合が納得できない場合でも、被害者自身では対抗するのは難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、交通事故の状況や証拠を基に法的に正当な主張を行い、被害者に有益な結果を導き出すことが可能です。
また、持病が事故のケガに影響を与えたとされて慰謝料が減額されそうな場合でも、弁護士が被害者に有益な法的主張を展開してくれます。
交通事故で捻挫を負っても、仕事を休めない場合でも治療を後回しにすることは避けなくてはなりません。
整骨院や接骨院など、仕事の合間に通える医療機関を選ぶのも有効な手段です。
さらに、保険会社との交渉は難しいため、弁護士に相談することで、慰謝料や損害賠償の額が増える可能性があります。
仕事と治療を両立しながら適切な賠償を受けるためには、専門家の助けを得ることが大切です。