東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故により頭蓋骨骨折となると、重篤な後遺症が残る可能性があります。
そして、交通事故で頭蓋骨骨折を負うと、高次機能障害や神経障害による後遺障害認定が受けられる場合があります。
あらかじめこれらの後遺障害の症状や慰謝料・逸失利益の計算方法や相場について知りたいと思う方もいるでしょう。
この記事では、頭蓋骨骨折と関連する後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。
目次
頭蓋骨骨折・意識不明となると、高次脳機能障害、神経障害、てんかん、醜状障害などの後遺症が現れる場合があります。
また、頭蓋骨は脳や顔を構成する器官でもあるため、頭蓋骨骨折により眼、耳、鼻、口などにも後遺症を残す可能性があります。
さらに、顔面や頭部にひどい傷を残す醜状も後遺障害として認められる場合があります。
では、それぞれについてみていきます。
高次脳機能障害とは、脳を損傷することで引き起こされる機能障害をいいます。
たとえば、かっとなり怒りっぽくなる、物忘れが激しい、集中力がなくなるなどの症状があります。
交通事故後に性格が変わってしまったように感じることがあるのは、高次脳機能障害により影響を受けている可能性も高いため、注意して観察することが必要です。
高次脳機能障害では、認知障害や社会的行動障害を引き起こすこともあります。
社会的行動障害とは、意欲や自発力の低下、感情・欲求のコントロール不全、対人関係障害などの症状を含む障害です。
具体的には、以下のものがあげられます。
社会的行動障害の症状が出始めると、学校に行けない、仕事ができないなど、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
また、常時介護が必要となることもあります。
高次脳機能障害の場合に認定される可能性のある後遺障害等級は、1、2、3、5、7、9級です。
頭部の頭蓋骨には、視覚、聴覚、味覚、嗅覚をつかさどる神経が通っています。
頭蓋骨骨折によりこれらの神経を損傷すると、視覚、聴覚、味覚、嗅覚に重大な支障をきたす可能性が高くなります。
眼、耳、鼻、口に関する後遺障害は、その多様性に応じて様々あります。
後遺障害等級は、1~14級までが該当します。
交通事故で意識不明となったとき、たとえその後に意識が回復しても、てんかん発作が残る後遺症もあります。
てんかん発作が出ると、後遺障害認定される可能性が高くなります。
てんかん発作はけいれんを起こし、突然に意識を失うことや記憶が飛んでしまうなどの意識障害が現れます。
発作を繰り返すことで、人格が変化する、または知能が低下するなどの精神障害を来します。
てんかん発作の後遺障害等級は、5、7、9、12級です。
頭蓋骨骨折では、頭蓋骨の一部が欠損する、あるいは陥没するなどの醜状障害が残るケースがあります。また、醜状障害は、手術や治療の過程で生じた醜状も後遺障害の認定対象となります。
醜状障害の等級は、7級、9級、12級です。
交通事故により頭蓋骨骨折で脳を損傷して後遺症が残るときは、自賠責保険における後遺障害等級に応じた認定を受けることができます。
この認定をもとに後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を、事故の加害者に請求できるようになります。
では、それぞれについてみていきましょう。
頭蓋骨骨折により高次脳機能障害が残った場合は、後遺障害が認定される可能性が高いでしょう。
後遺障害等級の慰謝料基準は、自賠責保険基準、加害者の任意保険基準、弁護士・裁判基準の3種類があります。
自賠責保険が最低額、弁護士・裁判基準が最高額の慰謝料金額となっています。
以下は、頭蓋骨骨折による高次脳機能障害の後遺障害等級と認定基準、また弁護士・裁判基準の後遺障害慰謝料についてまとめたものです。
等級 | 認定基準 | 後遺障害慰謝料(裁判基準) |
---|---|---|
1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 2800万円 |
2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 2370万円 |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 1990万円 |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 1400万円 |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 1000万円 |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 690万円 |
参照元:損害賠償額算定基準 公益財団法人 日弁連交通事故センター東京支部
頭蓋骨骨折により醜状障害が残った場合に、後遺障害の認定が受けられます。
以下は、頭蓋骨骨折の醜状障害等級と後遺障害慰謝料の弁護士・裁判基準の相場です。
等級 | 認定基準 | 後遺障害慰謝料(裁判基準) |
---|---|---|
7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの | 1000万円 |
9級16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの | 690万円 |
12級14号 | 外貌に醜状を残すもの | 290万円 |
参照元:損害賠償額算定基準 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部
後遺障害逸失利益とは、交通事故によって後遺障害が残ったために十分に働くことができなくなり、それに伴って予想される将来の収入の減少に対する補償のことをいいます。
逸失利益は、以下の計算方法で算出されます。
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
たとえば、48歳で年収480万円の会社員が、後遺障害等級5級2号に認定された場合の逸失利益は、以下の通りです。
480万円 × 79% ×14.3238= 5431万5849円
交通事故で頭蓋骨折になると、高次脳機能障害などの後遺症が出る可能性も高いため、後遺障害慰謝料や逸失利益も高額になる可能性があります。
適切な補償を得るためにも、まずは交通事故を専門とする弁護士に相談することをおすすめします。