東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故が原因で手術が必要なほどの大怪我を負ってしまったら誰もが不安になります。
「交通事故で骨折してしまい手術が必要だけれど、手術費が払えないかも・・・」
「社会復帰できるのかどうか不安」
「手術をしたら慰謝料が増えるのかどうか知りたい」
など、数え上げればキリがありません。
初めて交通事故に遭われた被害者の方でしたらなおさらです。
ここでは、交通事故で骨折をしたケースの慰謝料まわりについてみていきます。
ご不安が少しでも解消され、適正な慰謝料を受け取るための一助となれば幸いです。
目次
結論からいえば、手術の有無で慰謝料の額が変わることはありません。
なぜなら、交通事故による受傷で慰謝料を計算する基となるのは「治療期間」や「治療日数」だからです。
しかし、一定の事由に該当すれば増額する余地があります。(※後述)
また、心配な「手術費用」についてですが、慰謝料とは別に請求することが可能です。
以下は、交通事故問題で多く登場する用語です。
示談金 | 加害者から被害者に支払われる損害賠償金+慰謝料のこと。 ※法的な規定はなく金額も当事者双方に委ねられる。 |
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示談金の項目(内訳) | 損害賠償金の費目を合計したもの。 (例:治療費、修理代、通院交通費、休業損害など) |
慰謝料 | 交通事故が原因となり負った怪我に対する精神的なダメージを補償するもの。 |
同じような意味で混同してしまいやすいものも、先に知ることでぐっと理解が深まります。
次に、骨折の治療方法についてみていきましょう。
保存療法 | 比較的骨折の程度が軽いケースで行われる治療方法。 ギプス固定などをした後、そのまま経過観察をする。 数週間~数ヶ月間の安静を要するが、長期間固定したままだと関節が固まるので医師の指示の下、出来るだけ早めにリハビリを開始し回復を目指す。 |
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外科手術 | 重症の骨折のケースで行われる。 粉骨骨折や内出血が認められる場合は外科手術を行う。 保存療法で効果が見られない場合も外科手術を行うことがある。 |
続いて、骨折で認められることの多い代表的な「後遺障害」についてみていきましょう。
神経障害 | 骨折部位に疼痛や痺れ、熱さなどの症状が残ってしまうもの。 神経損傷やギプスの長期間固定をしていた場合や交感神経の異常がある場合などに神経障害として残存する可能性がある。 |
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機能障害 | 骨折後の骨癒合がうまくいかなかったことが原因となり指や腕、脚の関節を自由に動かことができなくなってしまう障害のこと。 可動域制限の程度が重く自重に動かせない範囲が広くなればなるほど後遺障害の「等級」が上がる。 |
欠損障害 | 手足の指や腕、脚の一部または全部が失われてしまう後遺障害のこと。 欠損した部分が広範囲になるほど後遺障害慰謝料は高額になる。 |
変形障害 | 骨折後の骨癒合不全が残ってしまう、または腕や脚に偽関節が生じてしまうこと。 偽関節が生じると正しく癒合せず本来の関節ではない箇所が曲がってしまう障害となる。 |
短縮障害 | 骨折が原因となり、脚の骨が元の長さより短縮してしまう障害。 短縮の程度により後遺障害の「等級」に影響を及ぼす。 |
まずは、算出基準からみていきましょう。
慰謝料を算出する基準は3つあります。
このうちどの基準で計算するかにより、受け取ることのできる慰謝料の額にかなりの差が生じてしまいます。
弁護士基準(裁判基準) (最も高い基準) | 過去の裁判例に基づいて裁判所や弁護士が交通事故の慰謝料を計算する際に使う基準。 |
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任意保険基準 (中間に位置する基準) | 任意で加入する保険で各社独自の算出基準を定めている。 計算方法などは保険会社の内部運用であるため非公開。 |
自賠責保険基準 (最も低い基準) | 車両所有者全員が強制加入する保険で、必要最低限の補償を目的としている。 |
続いて、これらの基準を用いて算出された実際の数字をみていきましょう。
※自賠責保険基準は1か月あたり10日間通院したと仮定し算出した金額。
※()内の数字は「むち打ち」など他覚症状の無いケースの金額。
自賠責保険基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 (裁判基準) | |
---|---|---|---|
1か月 | 8万4,000円 | 12万6,000円 | 28(19)万円 |
2か月 | 16万8,000円 | 25万2,000円 | 52(36)万円 |
3か月 | 25万2,000円 | 37万8,000円 | 73(53)万円 |
4か月 | 33万6,000円 | 47万8,000円 | 90(67)万円 |
5か月 | 42万円 | 56万8,000円 | 105(79)万円 |
6か月 | 50万4,000円 | 64万2,000円 | 116(89)万円 |
表をご覧いただければおわかりいただけるとおり、3倍ほどの差が生じるケースもあります。
下記のような事由があれば、慰謝料が20%前後増額される可能性があります。
共通することは「重傷」かつ「精神的ダメージが大きい」ことです。
これらの増額事由が認められるためには「事故と主張内容の因果関係」を立証しなければなりません。
客観的な証拠となり得るものや、法的テクニックを要しますので、ご不安な方は弁護士にご相談されることをご検討されてみてはいかがでしょうか。
まず、慰謝料についてご理解いただきたいと思います。
骨折のケースで受け取ることのできる慰謝料は以下の2種類があります。
入通院慰謝料 | 「入院期間」や「通院日数」を元に算出する。 交通事故による怪我で入通院を強いられたことに対する精神的ダメージに対する補償。 |
---|---|
後遺障害慰謝料 | 任意で「後遺障害等級」の申請をし、認定されれば請求することができる慰謝料のこと。 「等級」(第1級〜第14級までに分類)により慰謝料額が異なる。 交通事故で後遺障害が残るほどの怪我を負わされたことにより受けた精神的ダメージに対する補償。 |
このように、「後遺障害慰謝料」は申請さえすればもらえるものではありません。
申請しても「認定」されなければ加害者側に対して請求する権利を有しません。
この「後遺障害等級認定の手続き」は、煩雑かつ厳格な様式が求められます。
また、良い結果を得るためには法的なテクニックや経験がものを言います。
等級が1つ異なるだけで慰謝料額に影響してしまいます。
示談交渉が決裂してしまった場合は「裁判」で決着をつけることになります。
前述のとおり裁判では「弁護士基準(裁判基準)」が採用されますので、高額な慰謝料を受け取ることが期待できます。
裁判は長期間に及び費用もかかります。
「裁判手続き」もまた煩雑かつ厳格な様式が求められます。
法的な知識を有していない被害者の方が弁護士に頼らずに裁判手続きを進めていくことは至難の技であり、あまりおすすめできません。
どうしても裁判を回避したい場合は、早い段階で弁護士に依頼することで、示談交渉を不備なくスムーズにまとめることができ、裁判を回避することが期待できます。
また、裁判に依らなくても「弁護士基準(裁判基準)」で慰謝料を算出するので高額な慰謝料を受け取ることが期待できます。
何よりも、面倒な手続きや交渉を弁護士に全て任せてご自身は「治療に専念」することができることが大きなメリットではないでしょうか。
ここまで慰謝料についてみてきましたが、少しはご理解いただけたでしょうか?
一度で理解することはなかなか難しいかと思います。
ご自身の「適正な慰謝料額」についてよくわからない場合は、法律の専門家である弁護士に一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
個々の事情ごとに損害賠償の項目も異なります。
漏れなく請求することが出来るか否かは、やはり「交通事故に精通した弁護士」に依頼されることがベストといえます。
交通事故の慰謝料は増額できる可能性があることが多いので、今後の生活の一助とするためにも弁護士を活用されることをおすすめします。
また、ご自身の加入している任意保険に「弁護士特約」が付帯されているかどうか確認してみてください。
弁護士特約は、加入している保険会社がご自身に代わり一定額まで弁護士費用を負担してくれるものです。
一般的な保険会社の目安は以下のとおりですのでご参考にしてください。
余程の重大な事故でないケースは、特約の限度額をオーバーすることはないでしょう。
「弁護士特約」が付いていることを知らずに使っていない方は意外と多くいらっしゃいます。
保険料や等級をご心配される方もいらっしゃいますが、不利益になることはありませんので心配無用です。
交通事故は、残念ながらいくら自分が気をつけていても起きてしまうことがあります。
一生涯背負わなければならない大怪我を負ってしまうケースが、現在も無くなることがありません。
事故後は、誰しもパニックになり慰謝料や示談交渉のことなど考えられないのが普通です。
また、安心して治療を受けるためにも経済的・肉体的な不安は最小限におさえておきたいところではないでしょうか。
事故後の人生において、慰謝料はとても大切な事柄です。
一度「合意」してしまうとやり直しはできません。
遠慮する必要などありませんので、ご自身のために最高額での慰謝料(適正な慰謝料)を得るべきです。
一度弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。