東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故でもらえる慰謝料の額を知っていますか?
交通事故を取り扱う職業や、交通事故経験者でもない限り知らないことの方が一般的です。
重要なのは、単に「慰謝料」ではなく「適正な慰謝料」がもらえるかどうかという点です。
事故態様や怪我の程度など、同じ事故は存在しません。
個々の事情により、もらえる慰謝料の額は大きく左右されます。
「とはいっても何から調べたらよいかわからない・・・」
交通事故で骨折のように重症な怪我を負われた被害者の方は、肉体的なダメージだけではなく精神的にも相当なダメージを負います。
事故以前の生活にはなかなか戻ることができないからです。
だからこそ「適正な慰謝料」をもらうためにも、正しい知識を備えて今後の示談交渉に備えてください。
ここでは「適正な慰謝料」を受け取るためのコツやポイントをご紹介していきます。
交通事故で苦しまれている被害者のご不安が少しでも解消されれば幸いです。
目次
交通事故に遭ったら、すぐに病院を受診すること
まず、何より大切なことといえます。
例え軽傷でも当日中に病院へ行くべきです。
事故発生直後は興奮状態で痛みを感じなくても、翌日以降に痛みが出てくることが多くのケースで見られます。
いわゆる「むち打ち」の症状ですが「後遺障害」となるケースもありますので適切な治療を受けるためにも必ず病院に行きましょう。
首や腰だけではなく、吐き気や頭痛などいつもと違う症状を少しでも感じるのであれば、整形外科や脳神経外科を受診されることをおすすめします。
「軽微な事故だから大丈夫」
「面倒なことにしたくないから物損事故扱いにしよう」
などと軽く思わず、後に後悔しないためにも「早期受診」はとても重要なポイントなのです。
※物損事故では、慰謝料請求することはできません。
また、骨折が疑われるような大怪我のケースでは、自覚症状があることがほとんどですのでこのような心配はないかと思いますが、くれぐれも早めに受診することを心がけてください。
次に、上記3つについてみていきましょう。
自己判断で通院をやめない。
何故、自己判断で通院をやめることが好ましくないのでしょうか?
理由は2つあります。
「適正な慰謝料」を受け取るためには「適正な通院頻度」が必要です。
通院頻度が少ないと、保険会社から「あの人はそんなに通院しなくてもよい程度の怪我なんだ」と思われてしまい慰謝料を減額されてしまう可能性があります。
痛みが引かない場合は、しっかりと回復させるためにも必要な治療(通院)は続けるべきです。
医師としっかりコミュニケーションを取りながら「完治」又は「症状固定」となるまでは通院を継続することをおすすめします。
入通院期間が長くなればなるほど「入通院慰謝料」の受取額は増額することも心に留めておいてください。
結論からいえば、治療の必要性を感じる状態であれば、治療は継続するべきです。
事故発生後から、ある程度の期間が経過すると加害者側の保険会社から「そろそろ治っている頃ですよね?治療費を打ち切りますね。」などと連絡が来ます。
このような連絡を受けた被害者の方はパニックになるのではないでしょうか。
ですが、ここは落ち着いて冷静に対応しましょう。
保険会社はご自身の主治医ではありません。
そもそも、治療継続の必要性は「主治医」が判断することです。
だからといって、頑なに「治療費を立て替えろ!」ともいえませんので、しっかりと「治療継続」をしていくための対応をしていく必要があります。
また、保険会社が治療費を病院に直接払いをする「一括対応」は任意保険会社がサービスの一環として行っているということを頭に入れておいてください。(※自賠責保険には無し)
つまり、相手方の任意保険会社は「一括対応」の打ち切り時期を自由に決めることができます。
言い換えれば、被害者は相手方保険会社に対して「一括対応の継続」に関して請求する法的権利は有していません。
では、いったいどのように対応していけばよいのでしょうか?
以下で、詳しくみていきましょう。
以下のようなケースでは、被害者自身の「健康保険」を使い立て替えて支払う必要があります。
流れを把握しておきましょう。
主治医の判断の下「治療継続の必要性がある」と判断されたら、保険会社に一括対応の継続をしてもらえるように交渉してみましょう。
必ずしも継続に応じてもらえるわけではありませんが、継続可能性の余地があります。
一括対応の継続が難しい場合は、被害者自身の「健康保険」を使い自費で治療を継続し、後日加害者側の任意保険会社に請求することが可能です。
慰謝料は、被害者の立場(職業や年収、性別、年齢など)や事故の大きさや怪我の程度により金額が左右されるわけではありません。
なぜなら、交通事故の慰謝料とは、交通事故が原因となり負った怪我に対する精神的なダメージを補償するものだからです。
骨折のケースで受け取ることのできる慰謝料は以下の2種類です。
入通院慰謝料(傷害慰謝料) | 「入院期間」や「通院日数」を元にして計算する。 交通事故が原因となる怪我で入通院を強いられたことに対する精神的ダメージに対する補償のこと。 |
---|---|
後遺障害慰謝料 | 「後遺障害等級」の申請をして認定されれば請求することができる(第1級〜第14級までに分類)慰謝料のこと。 「等級」により慰謝料額が異なる。 交通事故が原因となり、後遺症が残るほどの怪我を負わされたことによる精神的ダメージに対する補償のこと。 |
また、上記の慰謝料の算出には3つの基準があります。
最終的に受け取ることのできる金額が左右されてしまいますので、よく確認しておきましょう。
自賠責保険基準 (3つの中で最も低い基準) | 車両所有者全員に加入義務のある保険。 必要最低限の補償を目的としている。 |
---|---|
任意保険基準 (自賠責保険基準に少し上乗せされた程度) | 任意で加入する保険。 各社独自に基準を定めており、保険会社ごとに基準が異なる。 計算方法などは保険会社の内部運用であるため非公開。 |
弁護士基準(裁判基準) (3つの中で最も高い基準) | 過去の裁判例に基づいて裁判所や弁護士が交通事故の慰謝料を計算する際に使う基準。 ※弁護士に依頼しなくても主張することはできるが、正当な根拠(事実関係・裁判例など専門的で多岐にわたる)を示すことは複雑・専門的な知識を要するため法的知識や経験を備えていなければ一般的には困難といえる。 |
どの基準を用いて慰謝料請求の算出をするかにより、2倍ほどの差が生じるケースも多々あります。
示談交渉をする上で、押さえておきたい重要なポイントです。
以下をご参考にしてください。
算出基準の違いにより、驚くほど金額が左右されることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
通院期間 | 自賠責保険基準 | 任意保険基準基準 | 弁護士基準(裁判基準) |
---|---|---|---|
3か月 | 25.2万円 | およそ37.8万円 | 53〜73万円 |
※1か月あたり10回程度の通院で算出しています。
※自賠責保険基準では、2020年4月以降に発生した事故は日額4,300円で計算し、それ以前は日額4,200円で計算します。
個々のケースにより異なるので一概にはいえませんが、ここでおよその目安をみていきましょう。
(用語解説)
Gurlt(グルト) | 骨がつながるまでの最短日数を示すもの |
---|---|
Coldwell(コールドウェル) | 標準的な治療期間を示すもの |
上記2種類の表を参考にしていきます。
部位 | Gurlt(グルト) | Coldwell(コールドウェル) | |||
---|---|---|---|---|---|
仮骨出現 | 骨癒合に至るまで | 機能回復に至るまで | |||
鎖骨 | 4週 | ||||
指骨 | 2週 | 2~3週 | 3~6週 | 6週 | |
肋骨 | 3週 | ||||
上腕骨 | 上端部 | 7週 | 2~4週 | 6週 | 8~12週 |
骨幹部 | 6週 | 2~4週 | 6週 | 8週 | |
下端部 | 2~4週 | 6週 | 8週 | ||
骨盤 | 4週 | 8週 | 8~16週 | ||
大腿骨 | 頸部 | 12週 | 12週 | 24週 | 60週 |
転子間部 | 4週 | 12週 | 16週 | ||
骨幹部 | 8週 | 6週 | 12週 | 14週 | |
顆上部 | 6週 | 12週 | 14週 | ||
膝蓋骨 | 6週 | 6週 | 6~12週 | ||
踵骨 | 6週 | 8週 | 12~14週 |
このように部位や怪我の程度などにより、治療に必要な期間が異なることがわかります。
また、同じ部位の骨折でも単純骨折と、粉砕骨折(バラバラに砕けている状態)などでは治療期間が異なります。
個々の健康状態や年齢などにも左右されますので、医師の指示に従い治療を継続していくことが大切だということは言うまでもありません。
過去の裁判例を参考に、実際にどのくらいの慰謝料が支払われたかをみていきましょう。
(case1:東京地裁 平成20年)
被害者 | 会社員 |
---|---|
怪我の程度 | 脳外傷などの頭部外傷、右膝関節の靭帯損傷、上下顎骨骨折及び顔面骨骨折による外貌醜状が残る。 |
後遺障害等級 | 併合6級 |
入通院慰謝料 | 400万円 |
後遺障害慰謝料 | 1,300万円 |
(case2:千葉地裁 平成22年)
被害者 | 大学生 |
---|---|
怪我の程度 | 左脛骨開放骨折、左下腿皮膚欠損創の傷害を負う。 |
後遺障害等級 | 併合6級 |
入通院慰謝料 | 220万円 |
後遺障害慰謝料 | 1,330万円 |
(case3:大阪地裁 平成18年)
被害者 | 小学生 |
---|---|
怪我の程度 | 後遺障害の内容が重症かつ複雑であることや、経過観察及び治療継続が必要で今後も手術を要する可能性があることが裁判所により考慮された事例。 |
後遺障害等級 | 足指の機能障害により9級15号、左足瘢痕で12級13号で併合8級 |
入通院慰謝料 | 368万円 |
後遺障害慰謝料 | 996万円 |
前述のとおり、後遺障害慰謝料が認定されることで慰謝料額が増額されることがおわかりいただけたかと思います。
「慰謝料」というと、被害者側の感情からしてみれば何もしなくても怪我をすればもらえるという間違えた認識をお持ちの方がほとんどです。
しかし、慰謝料には種類があり、申請し認定されなければ受け取ることができないものもあります。
ここまでみてきた重要なポイントをまとめていきましょう。
以上の3つをおさえておきましょう。
まず、大前提として主治医の指示のもと「適切な通院頻度」を保ちながら治療にあたることが大切です。
その際に、日頃から主治医とのコミュニケーションを取り、ご自身の怪我についてありのままを伝えていくことが大事です。
後遺障害が残れば、「後遺障害等級認定」の手続きを任意で行うことができます。
その際に、医師の診断書が大変重要なキーポイントとなりますので「日常生活に支障をきたしている点」や「体の不調」など不安に思っていることは余すことなく伝えていきましょう。
なぜなら「等級」が1つ異なるだけで「後遺障害慰謝料額」はかなりの差が生じてしまうためです。
また、今後の生活の一助となる慰謝料額ですから、一番高額な慰謝料を受け取ることも大変重要です。
そのためには「弁護士基準」で算出することが必要ですので、弁護士にご相談されることをおすすめします。
慰謝料額を総額するためには弁護士に依頼することが大切であることは既におわかりいただけたのではないでしょうか。
重複しますが、キーワードは「弁護士基準で慰謝料を算出する」です。
「敷居が高い」というイメージをお持ちの方が多くいらっしゃいますが、実際に弁護士に相談することで不安が解消されたとおっしゃる方が多いのも事実です。
それ以外のメリットとしては、関係各所との煩わしいやり取りから開放されて精神的に楽になります。
また、全てを弁護士に一任することでご自身は治療に専念することができます。
「この先の人生どうしたらよいのだろう・・・」
「仕事に支障が出てしまい困っている」
「事故のせいで介護が必要になってしまった」
1人で抱え込むにはあまりに大きすぎるご不安です。
交通事故を得意としている弁護士に相談することで、交通事故特有の事情を漏れなく拾うことが出来ます。
何よりも、大きなご不安に寄り添い解決へ導いてくれるでしょう。
あまりお一人で抱え込みすぎず、気を楽にしてと言っては語弊があるかもしれませんが、一度弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。