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【被害者が主婦】交通事故でむちうちになったときの慰謝料の相場は?計算方法を徹底解説

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • 交通事故の慰謝料の種類や算出基準を知ることができる
  • 主婦が交通事故でむちうちになった場合に請求できる慰謝料の内容が理解できる
  • 主婦が交通事故でむちうちになった場合に請求できる慰謝料の計算方法がわかる
  • 主婦が交通事故で後遺障害が残った場合に請求できる慰謝料の内容が理解できる

主婦が交通事故でむちうちになってしまった場合、加害者に対して慰謝料を請求できます。

たとえ、交通事故の被害者が収入のない専業主婦であってもその結論は変わりません。

そこで、もし、主婦が交通事故でむちうちになったとき、加害者に請求できる慰謝料の相場はどのくらいなのか、詳しく知りたい人も多いでしょう。

この記事では、主婦が交通事故でむちうちになった場合、加害者に請求できる慰謝料の相場や計算方法について解説していきます。

また、交通事故でむちうちになった主婦が請求できる慰謝料の内容にも触れていきます。

実際に交通事故の被害に遭って、加害者に慰謝料を請求しようと考えている人は参考にしてみてください。

目次

交通事故に関する3種類の慰謝料と3つの算出基準

交通事故は、加害者側の不注意によって発生するのが通常です。

加害者の運転の仕方に落ち度があったことにより、交通事故の被害が生じた場合、不法行為が成立します。

不法行為によって被害者に損害を与えた場合、加害者は賠償をしなければならないのが原則です。

そのようなことから、交通事故で主婦がむちうちになった場合、加害者に損害賠償として慰謝料を請求できます。

しかし、交通事故の被害者が加害者に慰謝料を請求する場合、その種類を明確にしなければなりません。

また、仮に請求できる慰謝料の種類が明確になっても、さらに請求できる金額を計算しなければならないのです。

そのため、交通事故の被害者が加害者に対して慰謝料を請求する場合、その種類と算出基準を把握しておく必要があります。

そこで、まず、交通事故の被害者が加害者に対して請求できる慰謝料の種類と算出基準から解説していきましょう。

交通事故被害の程度によって請求できる慰謝料の種類が区分されている

慰謝料とは、交通事故の被害に遭ったときの精神的な苦痛に対する賠償のことです。

精神的な苦痛が生じる交通事故被害の種類にもいくつかあります。

たとえば、交通事故で被害者が死亡することもあれば、負傷で済むケースもあります。

また、負傷で済んだ場合でも、その後治療によって完治する場合もあれば、後遺障害が残ってしまうこともあるでしょう。

そのようなことから、交通事故被害の程度によって、請求できる慰謝料の種類が区分されているのです。

交通事故の被害者が加害者に対して請求できる慰謝料の種類は3つあります。

どのような種類の慰謝料があるのか具体的に見ていきます。

死亡したときに請求できる死亡慰謝料

衝撃の強い交通事故が起こった場合、被害者が死亡するケースもめずらしくありません。

交通事故で被害者が死亡した場合、精神的な苦痛が生じるため、加害者に対して慰謝料を請求できます。

そして、交通事故で被害者が死亡したときに請求できる慰謝料を死亡慰謝料といいます。

死亡慰謝料を請求できるのは、被害者本人とその近親者です。

交通事故で死亡した被害者本人は、すでに亡くなっているため、精神的な損害が生じないのではとも考えられます。

しかし、交通事故で死亡する直前に精神的な苦痛を受けているため、被害者本人は死亡慰謝料を請求できるのです。

また、法律(民法)では、被害者本人の近親者も加害者に対して、死亡慰謝料を請求できる旨が規定されています。

そのため、被害者本人だけではなく、その配偶者、両親、子も加害者に対して死亡慰謝料を請求することが可能です。

さらに裁判所の判例においては、被害者本人の兄弟姉妹、祖父母なども状況によっては死亡慰謝料を請求できる旨の見解が示されています。

負傷したときに請求できる入通院慰謝料

被害者が交通事故に遭った場合、負傷してしまうケースが多いです。

交通事故で負傷した場合、病院で治療してもらうことになります。

負傷を治療するために入院したり、通院したりした場合、身体的にも精神的にも苦痛をともないます。

そのため、交通事故で負傷した被害者は、加害者に対してその苦痛に対する損害賠償として慰謝料を請求することが可能です。

そして、上記の慰謝料のことを入通院慰謝料といいます。

後遺障害が残ったときに請求できる後遺障害慰謝料

交通事故の被害に遭って負傷してしまった部位に後遺障害が残ってしまうケースもあります。

後遺障害が残ってしまうと、交通事故で負傷する前よりも、行動が制限されてしまいます。

それにより、後遺障害が残らなければ得られた利益を失うことになるため、被害者はその損害に対する慰謝料を加害者に請求できるのです。

上記の場合に請求できる慰謝料が後遺障害慰謝料です。

慰謝料額は自動車保険の補償額や裁判の判例を基準にして算出される

交通事故の慰謝料額の算出基準とされているのが、自動車保険の補償額や裁判所の判例です。

また、交通事故の慰謝料額の算出基準は3つ設けられています。

そこで、どのような算出基準があるのか、具体的に見ていきましょう。

自賠責保険を下に算出するのが自賠責基準

自動車を所有する際に加入が義務付けられている保険が自賠責保険です。

そして、交通事故の慰謝料額を自賠責保険の補償額を基準に算出するのが自賠責基準になります。

自賠責保険は、交通事故の被害者へ最低限の補償をするための保険なので、慰謝料の総支払限度額も120万円以下と定められています。

そのため、この基準で算出される慰謝料額は、交通事故の実損害額と比較して、大幅に低くなるのが通常です。

任意保険を下に算出するのが任意保険基準

自動車保険には、自賠責保険の他に任意保険があります。

任意保険とは、自賠責保険で補償しきれない損害部分の補償を目的として加入する保険です。

任意保険を取り扱う各保険会社は、それぞれ独自の基準で補償額を定めています。

そして、慰謝料額を上記の基準を下に算出するのが任意保険基準になります。

裁判の判例を下に算出するのが弁護士基準

弁護士が代理人として交通事故の慰謝料請求をする際の算出基準が弁護士基準です。

弁護士基準では、これまでの交通事故の裁判の判例を下に慰謝料額を算出します。

そのため、算出される慰謝料額も交通事故の実損害相当額になるのが特徴です。

弁護士基準で算出して慰謝料請求をすれば、加害者から適切な金額の損害賠償を受けることができるでしょう。

主婦が交通事故でむちうちになった場合の損害賠償

主婦が交通事故でむちうちとなった場合、「休業損害」「入通院慰謝料」を損害賠償として加害者に請求できます。

休業損害とは、交通事故で負傷した被害者が治療する際、仕事を休んで収入が減った場合の損害です。

一方、入通院慰謝料とは、被害者が交通事故による負傷を治療する目的で入通院する際の精神的な苦痛に対する賠償をいいます。

専業主婦でも休業損害の請求は可能

主婦には、仕事をしないで家庭内のことだけを行なっている専業主婦と仕事と家庭内のことを並行して行なっている兼業主婦がいます。

このうち、兼業主婦が交通事故でむちうちになり、仕事の収入が減ってしまった場合、加害者に対して問題なく休業損害の賠償を請求できます。

これに対して、専業主婦が交通事故でむちうちになった場合、加害者に対して休業損害の賠償を請求できるのかが問題になります。

専業主婦は仕事をしていないため、それが原因で仕事の収入が減ることはないと考えられるからです。

しかし、専業主婦が交通事故でむちうちになった場合でも、加害者に対して休業損害の賠償を請求できます。

なぜなら、交通事故でむちうちになったことにより、家事を行なう際に支障が出てしまうケースもあるからです。

家事も一般の仕事と同様の扱いがなされています。

そのため、交通事故の負傷で家事を行なう際に支障が出た場合、休業損害とされて加害者に損害賠償の請求ができるのです。

対象者であれば主婦でも入通院慰謝料を請求できる

交通事故による負傷の治療のために入通院する際、どのような人であっても精神的な苦痛を感じます。

したがって、入通院慰謝料を請求できる対象者の属性はないため、主婦でも問題なく請求することが可能です。

主婦が事故でむちうちになった場合の「入通院慰謝料」と計算例

交通事故の被害でむちうちになった主婦が、加害者に対して請求できる入通院慰謝料の相場と計算方法は決まっています。

交通事故裁判の損害賠償額の算定基準が記載されている「赤い本」がありますが、この本に入通院慰謝料の相場や計算方法も定められています。

したがって、入通院慰謝料は、「赤い本」に記載されている相場や計算方法によって、その額を算出していくのです。

「赤い本」で定められている入通院慰謝料の相場は、弁護士基準で算出されています。

そのため、この本の定めにしたがって賠償額を計算すれば、実損害に見合った入通院慰謝料を加害者に請求することが可能です。

なお、交通事故でむちうちになった場合、別表Ⅱを用いて入通院慰謝料の請求額を計算していきます。

別表Ⅱは、骨折など他覚症状のある場合の入通院慰謝料額を算出する際に使用する別表Ⅰよりも金額が低く設定されているのが特徴です。

下記の表が「赤い本」で定められている入通院慰謝料基準の別表Ⅱになります。

入通院慰謝料別表Ⅱ(単位万円)
入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院356692116135152165176186195204211218223228
1月195283106128145160171182190199206212219224229
2月366997118138153166177186194201207213220225230
3月5383109128146159172181190196202208214221226231
4月6795119136152165176185192197203209215222227232
5月79105127142158169180187193198204210216223228233
6月89113133148162173182188194199205211217224229
7月97119139152166175183189195200206212218225
8月103125143156168176184190196201207213219
9月109129147158169177185191197202208214
10月113133149159170178186192198203209
11月117135150160171179187193199204
12月119136151161172180188194200
13月120137152162173181189195
14月121138153163174182190
15月122139154164175183

そこで、交通事故でむちうちになった主婦が実際に請求できる入通院慰謝料の相場を上記の表で使って計算していくことにしましょう。

むちうちの治療のために1カ月間通院した場合の相場は19万円

入通院慰謝料算定基準の別表Ⅱの縦軸が通院期間、横軸が入院期間をあらわしています。

むちうちの治療に要した通院期間や入院期間に該当する数値を選択して、入通院慰謝料額を計算していくことになります。

むちうちの治療のために1カ月間通院した場合は、まず、上記表の縦軸の「通院」から一つ下にある「1月」の横列に並んでいる数値が選択候補になります。

また、治療に入院を要していないため、横軸の入院期間を考慮する必要はありません。

そのため、縦軸の通院期間の「1月」の横列に並んでいる数値で一番左側に記載されている「19」を選択します。

結論として、むちうちの治療のために1カ月間通院した場合、請求できる入通院慰謝料の相場は19万円になります。

むちうちの治療のために2カ月間通院した場合の相場は36万円

むちうちの治療のために2カ月間の通院を余儀なくされた場合、上記表の縦軸の「通院」から二つ下にある「2月」の一番左の数値である「36」を選択します。

そのため、この場合で請求できる入通院慰謝料額の相場は36万円になります。

むちうち治療のために1カ月間入院、1カ月間通院した場合の相場は52万円

交通事故によるむちうちの治療をするため、1カ月間の入院および1カ月間の通院を要した場合、縦軸と横軸の「1月」が交わる「52」を選択します。

そのため、このケースで請求できる入通院慰謝料額の相場は52万円です。

むちうちになった主婦が請求できる「休業損害」と計算方法

交通事故の被害者が加害者に休業損害を求める場合、その請求額は、「基礎収入額×休業日数」の式で計算します。

ただ、交通事故の被害者が主婦の場合、休業損害の請求額を計算するための「基礎収入額」と「休業日数」を単純に判断できないケースもあります。

そこで、主婦が交通事故でむちうちになった場合に請求できる休業損害の相場の計算方法について具体的に解説していきます。

基礎収入額は賃金センサスをもとに算出するのが原則

専業主婦の場合、仕事で得られている収入額を下に基礎収入額を算出することができません。

そのため、賃金センサスをもとに算出することになります。

賃金センサスとは、年齢や学歴を考慮して算出された平均賃金額のことで、国が毎年公表しています。

賃金センサスをもとに算出された主婦の平均年収額を年間の日数(365日)で除すると、基礎収入額を計算することができるのです。

専業主婦の休業損害額を算出するための基礎収入額は、年齢や学歴によって異なります。

たとえば、大卒30代専業主婦の1日の基礎収入額は、7,000円から8,000円が相場です。

また、大卒40代専業主婦の場合、9,000円から1万円が相場になります。

これに対して、兼業主婦の場合は、仕事で得ている給与額を下に計算した額と賃金センサスを下に計算した額を比較して、大きいほうを基礎収入額とするのが通常です。

休業日数は入通院日数とするのが原則

専業主婦の休業損害の対象は、家事になります。

家事の場合、仕事とは異なり、休業したか否かを明確に判断することができません。

そのようなことから、専業主婦の場合、負傷の治療のために入通院した日数を休業日数とするのが原則です。

たとえば、交通事故でむちうちになった専業主婦が治療のために10日間通院したとしましょう。

この場合の休業日数は10日ということになります。

一方、兼業主婦の場合、むちうちの治療のために仕事を休んだ日数と入通院した日数を比較して多いほうを休業日数にするのが原則です。

後遺障害が残ったときに請求できるもの

主婦が交通事故でむちうちになり、それがきっかけで後遺障害が残ってしまうケースも少なくありません。

もし、そのような状況になった場合、後遺障害による逸失利益を加害者側に請求することができます。

逸失利益とは、交通事故で負傷して後遺障害が残らなければ得られた利益のことです。

専業主婦の場合、仕事で収入を得ていないため、そもそも後遺障害が残らなければ得られた利益は存在しないのではとも考えられます。

しかし、裁判所の判例では、「主婦の家事も利益を生み出す財産的行為」と判断されています。

そのため、被害者が専業主婦でも交通事故のむちうちで後遺障害が残り、その結果、家事を行なう際に支障が生じた場合、加害者に逸失利益を請求できます。

そこで、主婦が交通事故でむちうちになって後遺障害が残ってしまった場合、加害者に対して請求できる逸失利益の額の計算方法を見ていきましょう。

基礎収入額に失われた労働力の割合を乗じて算出する

交通事故の被害で請求できる逸失利益の額は、「基礎収入額×労働能力喪失率×ライプニッツ係数」の式で計算します。

主婦の基礎収入額の算出方法は、休業損害のときと同じです。

専業主婦の場合は賃金センサスを下に計算し、兼業主婦の場合は、賃金センサスと仕事で得ている収入額の多いほうを下に計算します。

労働能力喪失率とは、後遺障害が残ったことにより、失われた労働力の割合のことです。

自賠責保険の後遺障害等級一覧表に労働能力喪失率が定められています。

むちうちによって後遺症が残る場合、12級または14級相当の後遺障害と認定されます。

後遺障害等級12級の場合の労働能力喪失率は14%、14級の場合は5%です。

そのため、上記のどちらかの割合を基礎収入額に乗じて逸失利益の額を計算することになります。

また、将来得られる収入分を事前に逸失利益として受け取ることができれば、実質上その前倒し分の利息を得たことになります。

逸失利益の額を計算するにあたって、その利息分は控除しなければなりません。

したがって、基礎収入額に労働能力喪失率を乗じた後、さらにライプニッツ係数を乗じて計算するのです。

まとめ

主婦が交通事故でむちうちになった場合、他の属性の人と同様、加害者に対して複数種類の慰謝料を請求することが可能です。

ただ、主婦の慰謝料相場を算出するための計算式の中に、聞きなれない文言が出てくるケースがあります。

たとえば、休業損害を計算する際の「賃金センサス」、逸失利益を計算する際の「ライプニッツ係数」などです。

そのため、請求する慰謝料額を計算する際、スムーズに事が運ばないケースもあるかもしれません。

しかし、弁護士などの専門家を利用すれば、請求できる慰謝料額を正確に計算できるため、不安に感じる必要はありません。

難しいことは弁護士などの専門家に任せて、加害者へしっかり慰謝料を請求しましょう。

交通事故計算機

保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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