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交通事故に精通している弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所 > 交通事故弁護士コラム > 慰謝料・示談金・賠償金 > 交通事故の示談金が30万は妥当?妥当なケースと共に示談金の計算方法や相場を解説

交通事故の示談金が30万は妥当?妥当なケースと共に示談金の計算方法や相場を解説

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

この記事でわかること

  • 交通事故の示談金について理解できる
  • 示談金30万円は妥当なの?!事故のケースにより妥当性が異なることがわかる
  • 交通事故の損害賠償金の計算方法がわかる
  • 交通事故の慰謝料計算方法と相場がわかる
  • 交通事故で示談金30万円がもらえるケースがわかる

「交通事故の示談金ってどうやって決まるの?」
「30万円って提示されたんだけど、これって安いの?相場がわからない・・・。」

交通事故に遭うと、示談交渉を経て「示談金」が相手方から支払われることとなります。

交通事故に遭ったのが初めての経験であれば示談金について「金額の妥当性」などわかるはずもありません。

交通事故の示談交渉時には、難しい専門用語ばかりが並び分かりづらいことばかりです。

それらを一つずつ調べて自力で判断していくことは、かなりのストレスとなるのではないでしょうか?

ここでは、示談金の妥当性や計算方法、相場などをみていきたいと思います。

示談交渉を「適切」に進めるには、正しい知識を備えておくことが大切です。

少しでもお役に立てれば幸いです。

目次

交通事故の示談金とは

「示談金と慰謝料は同じ意味なの?」

どちらも同じような意味ではありますが、少し違います。

交通事故の示談交渉を進めていく際には、とても重要なポイントとなりますので、しっかりとおさえておきましょう。

示談金交通事故の当事者双方の示談(話し合い)が合意に至れば支払われるお金の総称
「財産的損害」を金銭に換算したもの。
慰謝料交通事故の被害者が受けた精神的な苦痛を金銭に換算したもの。
人身事故のみが対象となる(物損事故のみでは対象外)
示談金の中の一つの項目にすぎないので要注意。

示談金=被害者に支払われる損害賠償金+慰謝料

ドラマなどで「慰謝料よこせ!これじゃ少ない!」などといっているシーンを目にしたことがあるのではないでしょうか?

慰謝料さえもらえれば全て解決するように見えますが、実はこれは大きな間違いです。

保険会社や弁護士などを通さず、当事者だけで(自力で)解決しようとすると法外な慰謝料を請求されるだけでなく、慰謝料以外の「損害賠償金」をもらい損ねてしまうことがあります。

いたずらに慰謝料の金額だけを引き上げるだけではなく、その他の損害賠償の項目に着目し取りこぼしのないようにすることが大切です。

交通事故の示談金30万円が妥当かは事故によって違う

果たして「示談金30万円は妥当なラインでしょうか?」

個々の「事故態様」により異なるので一概にはいえないのが結論です。

前述のとおり、「示談金」には慰謝料を含む様々な項目が含まれています。

示談金の中に含まれている「慰謝料」の計算にも重要な要素(3つの算出基準)がありますので、しっかりと確認していかなければなりません。

これからご紹介する内容を理解しておくことで、最終的にもらうことのできる示談金の額が2〜3倍程度アップすることがご理解いただけるかと思います。

損害賠償を構成している項目をざっくりと理解しよう

「損害賠償の項目」の構成についてみていく前に「事故の種類」を確認しておきましょう。

以下の4つに分類できます。

  • 〈case1〉人身事故(傷害事故:軽傷)
  • 〈case2〉人身事故(傷害事故:後遺障害あり)
  • 〈case3〉人身事故(死亡)
  • 〈case4〉物損事故

「損害賠償金の項目(内訳)」は、「事故の種類」により異なります。

※損害賠償の項目と構成

財産的損害精神的損害
積極損害(金銭面での損害)消極損害
  • ・入通院慰謝料
  • ・死亡慰謝料
  • ・後遺障害慰謝料
  • ・治療費(入院料、手術料、投薬料など)
  • ・付き添い看護料
  • ・義肢等費用(松葉杖、義肢、車椅子など)
  • ・葬儀費
  • ・家屋修繕費
  • ・修理費
  • ・代車費用
  • ・その他実費 など
  • ・休業損害
  • ・後遺障害逸失利益
  • ・死亡逸失利益

「こんな感じで構成されているのか」くらいの感覚で全体像をイメージしていただき、被害者ご自身の事故のケースに当てはめて必要な項目をピックアップし加算していきます。

積極損害の計算方法


積極損害とは、実際に支出したり、必要があり支出した費用のことをいいます。

また、「領収書」により金額を証明できることが必要です。

  • ・積極損害の計算方法・・・単純に足すだけです。

代表的な項目についてみていきましょう。

治療費

交通事故により負った怪我を治療するために必要な費用のことです。

加害者が任意保険に加入してれば、直接病院に支払ってくれるケースが多いです。

既に保険会社が支払い済みの治療費に関しては、最終的には示談金から差し引かれます。

ただし、このサービスはあくまでも保険会社の独自のサービスなので、保険会社によっては行わない場合があります。

そのような場合は、被害者自身が治療費を立て替えて支払うこととなります。

通院交通費

通院するためにかかった交通費も必要な費用ですので、積極損害に含まれます。

公共交通機関である電車やバス、自家用車のガソリン代などです。

ただし、タクシーに関しては必要性が認められなければ支払い対象とならない可能性も否定できませんので注意が必要です。

付き添い看護料

被害者が入院や通院をする際に、付き添い看護が必要な場合に請求できます。

「医師の判断」が必要となります。

(参考)家族等が付き添う場合

  • ・自賠責 上限2,100円(1日)
  • ・弁護士基準 上限3,300円(1日)

※2020年4月1日以降の金額です。
※プロの付添人の場合は実費全額が認められます。

入院雑費

入院中に必要なテレビカードや新聞、電話代、包帯などのことをいいます。

介護費

怪我のために身動きが取れず、介護が必要な場合に発生する費用のことです。

入院期間中はもちろんのこと、残念ながら怪我が完治に至らず「後遺障害」が残ってしまった場合は将来に渡って介護が必要になることがあります。

そのような場合に必要な費用を請求することができます。

文書費(診断書など)

交通事故の示談金を請求するためには、様々な書類を揃えなければなりません。

診断書もそのうちの一つです。

また、「後遺障害等級認定手続き」の申請の際に「後遺障害診断書」が必要となります。

これらの文書に関する費用も加害者側に請求することができます。

消極損害の計算方法


消極損害とは、交通事故に遭わなければ支払わずに済んだ費用や得ていた費用のことをいいます。

つまり、交通事故に遭わなければ減収しなかった費用と言い換えることもできます。

不運にも交通事故に遭って知ったがために、多くのものを失ってしまいます。

「仕事を休んでしまい収入が減った」
「後遺障害を負ってしまったために、仕事を辞めなくてはならず収入も減った」
「一生涯介護が必要になってしまった」
「大切な家族を失った」

とても大切なことですので、しっかりと確認していきましょう。

休業損害

交通事故で仕事を休まなくてはならず、休んだことで減収した分に対する補償のことをいいます。

会社員だけではなく、自営業者や主婦、アルバイトをしている学生も対象となります。

また、既に就職が内定していた人に対しても、近い将来収入を得る可能性が高いと認められれば休業損害を請求することができます。

参考までに、有給休暇を使い休んだ日に関しても休業損害の対象となります。

後遺障害逸失利益

まずは、用語の意味を確認しておきましょう。

「後遺症」と「後遺障害」

よく似た言葉ですが意味が全く違います。

いったいどのような違いがあるのでしょうか。

後遺症治療後に残ってしまった神経症状や機能障害のこと。
後遺障害
  • ・交通事故との因果関係を医学的に証明できるもの。
  • ・労働能力の低下や喪失が認められるもの。
  • ・後遺症等級認定(第1級〜14級のいずれか)を受けたもの。

どちらに該当するかにより、もらうことのできる賠償金額が大きく異なり、今後の生活に影響を及ぼしてしまいます。

後遺障害については「等級」が認定されなければ、後遺障害慰謝料をもらうことはできません。

後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害の「等級」を元に算出されます。

下記に具体例を挙げてみます。

(会社員 男性 37歳の事例)

  • ・年収およそ500万円
  • ・後遺障害等級12級7号に該当

 

(逸失利益)

  • ・自賠責基準 131万円
  • ・弁護士基準(裁判基準) 1,042万8,600円

2つの基準での差に驚かれるのではないでしょうか。

「自賠責基準の計算方法」は、後遺障害賠償限度額(逸失利益+後遺障害慰謝料)224万円から慰謝料限度額93万円を差し引いた金額となります。

「弁護士基準の計算方法」は下記のとおりです。

後遺障害の逸失利益=(基礎収入×労働能力喪失率)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

年収500万円×労働能力喪失率0.14%×ライプニッツ係数14.898=1,042万8,600円という結果となります。

基礎収入の計算について

属性により細かく定められています。

下記をご参考にしてください。

会社員(給与所得者)事故以前1年間の実際の収入を基礎収入として計算。
個人事業主(事業所得者)前年度の確定申告で申告した金額を実際の収入として計算。
会社役員(役員報酬)「労働対価」として認められる部分のみを基礎収入として計算。
専業主婦原則、「賃金センサス」に基づき女性労働者の全年齢平均賃金を基礎収入として計算。
学生専業主婦と同じように「賃金センサス」を基礎収入とした計算方式に基づきます。実際に働くことができる年までの分は控除されてしまいます。

※賃金センサスとは、厚生労働省の統計のことをいいます。

例えば、平成30年度では382万6,300円が女性労働者の全年齢平均賃金となっています。

日額基礎収入は10,483円となります。

平均賃金(円)
年齢3,826,300
~19歳2,348,600
20~24歳3,049,800
25~29歳3,623,200
30~34歳3,816,200
35~39歳3,945,500
40~44歳4,117,600
45~49歳4,213,300
50~54歳4,220,700
55~59歳4,118,200
60~64歳3,243,800
65~69歳2,924,100
70歳~2,962,200

労働能力喪失率について

労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われた労働力の喪失率を「後遺障害等級」に応じて定めたものです。

介護不要なケースでの後遺障害の例をあげました。

(労働能力喪失率)

1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

後遺障害等級13級の場合の労働能力喪失率は「9%」となります。

ライプニッツ係数(中間利息控除係数)について

ライプニッツ係数(中間利息控除係数)とは、交通事故による労働能力喪失期間の中間利息を控除するための値のことをいいます。

これは、年齢により異なります。

ご心配であれば、弁護士に相談して確認することをおすすめします。

下記に一部抜粋をご紹介します。

年数ライプニッツ係数
10.952
21.859
32.723
43.546
54.329
65.076
75.786
86.463
97.108
107.722

※改正により2020年4月1日以降に発生した交通事故は、中間利息は年3%の割合で控除することとなりますので注意が必要です。

(参考)適正な後遺障害等級に認定を得るためのポイントとは?!

後遺障害等級認定の審査において、以下の2点が重要です。

  • ・後遺症がいずれの「等級」に該当するか
  • ・その後遺症には、交通事故との「因果関係」があるか

また申請の際に提出する「後遺症診断書」に記載される内容は極めて重要です。

裏付けとなる客観的な資料がなければ、後遺障害認定は非該当となり認めてもらえません。

弁護士のサポートがあれば、これらにおいても適切なアドバイスを受けることができます。

(参考)交通事故との因果関係を立証するには「客観的資料」が必要となる

「交通事故との因果関係」を証明することは一般人にとっては至難の技です。

自賠責保険の調査事務所では、さまざまな角度から審査を行い認定しているのです。

例えば、医師が診断書に「交通事故によるもの」と書いていたとしても、これだけでは不十分です。

  • ・交通事故以前からあった症状なのか
  • ・交通事故直後に発生した症状なのか
  • ・交通事故の発生状況からみて妥当性があるのか
  • ・交通事故の後に、交通事故とは無関係の理由から発症したのか

「事故状況」を立証する「警察記録」や後遺障害の内容を明確にするMRI画像などは、客観的資料に該当します。

死亡逸失利益

交通事故で死亡した被害者が、事故に遭わず死亡しなければ将来にかけて得られるはずであった収入分を失った損害のこと。

一定の計算式(推測値)を使い算出します。

逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数

聴き慣れない難しい用語が出てきましたので、下記をご参考になさってください。

最初はイメージを掴んでいただくことが大切です。

〈参考〉用語解説

基礎収入額交通事故で死亡しなければ将来に渡り労働により得られたはずの収入のことを指す。いわゆる減収分。死亡被害者が子供のケースでは、将来の収入額は不確定であることから「賃金センサス」(厚生労働省が毎年実施している一斉調査)の平均賃金を基礎収入として算出する。
就労可能年数原則67歳まで。
地位や職種、能力など67歳を過ぎても就労可能であったと考えられるような特別な事情があれば、67歳以降についても認められる可能性がある。
生活費控除

生活費控除=基礎収入-生存していればかかったはずの生活費

  • ・被害者が女性(主婦、独身、幼児を含む)のケース 30〜40%
  • ・被害者が男性(独身、幼児含む)のケース 50%
  • ・被害者が一家の生計を立てており被扶養者が1人のケース 40%
ライプニッツ係数損害賠償金は、将来得られるはずの収入を前倒ししてもらうもの。
将来収入が発生する時までの利息を控除しなければならない。
つまり、控除する「係数」のこと。
※民法改正により2020年4月1日以降に発生した交通事故の中間利息は年3%の割合で控除する。

これらの数値は、個々の事情により異なります。

ご心配な方は弁護士にご相談されることをおすすめします。

交通事故の慰謝料の計算方法と相場


まずは、算出基準からおさえていきましょう。

慰謝料を算出する基準は3つあります。

これらのうちどの基準で計算するかにより、もらうことのできる慰謝料の額にかなりの差が生じてしまいます。

自賠責保険基準
(最も低い基準)
車両所有者全員が強制加入する保険。
必要最低限の補償を目的としている。
任意保険基準
(自賠責保険基準に少し加算した程度)
任意で加入する保険。
各社独自の算出基準を定めている。(非公開)
弁護士基準(裁判基準)
(最も高い基準)
過去の裁判例に基づいて裁判所や弁護士が交通事故の慰謝料を計算する際に用いる基準。

続いて、これらの基準を用いて算出された実際の数字をみていきましょう。

入通院慰謝料の相場はどのくらい?!

※()内の数字は他覚症状の無いケース(むち打ちなど)の金額。

自賠責保険基準任意保険基準弁護士基準(裁判基準)
1か月8万4,000円12万6,000円28(19)万円
2か月16万8,000円25万2,000円52(36)万円
3か月25万2,000円37万8,000円73(53)万円
4か月33万6,000円47万8,000円90(67)万円
5か月42万円56万8,000円105(79)万円
6か月50万4,000円64万2,000円116(89)万円

自賠責保険基準は、1か月あたり10日間通院したと仮定し算出した金額です。

表をご覧いただければお分かりいただけるとおり、驚くことに3倍ほどの差が生じています。

自賠責保険基準の計算方法

他の2つの基準と違う計算方法です。

一度、概要を掴んでしまえば難しくはありません。

入通院慰謝料は、算出基準ではなく「通院期間」が長いほど慰謝料額は高額となります

日額4,300円を元にして計算していきます。(※2020年4月以前に発生した事故は4,200円で計算。)

  • ・初診日〜治療終了日(治癒または症状固定の診断)までの期間(総日数)
  • ・実際に病院で治療をした日数(通院日数)×2倍

いずれか少ない方に、日額4,300円をかけていきます。

(例)むち打ちと打撲で3ヶ月間通院したケース

  • ・初診日〜治療終了日(治癒または症状固定の診断)までの期間(総日数) 90日間
  • ・実際に病院で治療をした日数(通院日数)36日×2倍=72日間

実際に病院で治療をした日数(通院日数)の方が少ないため(72日間)、これに4,300円をかけていきます。

72日間×4,300円=309,600円となります

任意保険基準の計算方法

次に任意保険基準の計算方法を見ていきましょう。

前述のとおり算出基準は各保険会社の内部運用により非公開となっているので、あくまで推定値となります。

任意保険基準は加入している保険会社によって異なり、金額等も非公開ですが、平成11年7月以前は統一基準があったため、その金額を参考に解説していきます。

(例)むち打ちと打撲で3ヶ月間通院したケース

表からお分かりいただけるとおり378,000円です。

自賠責保険基準でみた金額よりも4万円程度上乗せされています。

(単位:万円)

入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月9ヶ月10ヶ月
通院25.250.475.695.8113.4113.4128.6141.2152.4162.6
1ヶ月12.637.863.085.6104.7120.9134.9147.4157.6167.6173.9
2ヶ月25.250.473.094.6112.2127.2141.2152.5162.6171.4176.4
3ヶ月37.860.482.0102.0118.5133.5146.3157.6166.4173.9178.9
4か月47.869.489.4108.4124.8138.6151.3161.3168.9176.4181.4
5ヶ月56.876.895.8114.6129.9143.6155.1163.8171.4178.9183.9
6ヶ月64.283.2102.0119.8134.9147.4157.6166.3173.9181.4185.4
7ヶ月70.689.4107.2124.3136.7149.9160.1168.8176.4183.9188.9
8ヶ月76.894.6112.2128.6141.2152.4162.6171.3178.9186.4191.4
9ヶ月82.099.6116.0131.1143.7154.9165.1173.8181.4188.9193.9
10ヶ月87.0103.4118.5133.6146.2157.4167.6176.3183.9191.4196.4

弁護士基準(裁判基準)の計算方法

弁護士基準の金額は、裁判所の考え方や判例などをもとに日弁連の交通事故相談センターの支部等が作成しています。地域によって赤本・青本・黄色い本などがありますが、東京を中心に使われる赤本に従って解説していきます。

(例)むち打ちと打撲で3ヶ月間通院したケース

表からおわかりいただけますが、530,000円です。

自賠責保険基準でみた金額よりも20万円程度上乗せされています。

「むち打ち症」や「打撲」などの比較的軽症といわれている(多角的初見がない)ケースの一覧表です。

(単位:万円)

入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月9ヶ月10ヶ月
通院356692116135152165176186195
1ヶ月195283106128145160171182190199
2ヶ月366997118138153166177186194201
3ヶ月5383109128146159172181190196202
4ヶ月67955119136152165176185192197203
5ヶ月79105127142158169180187193198204
6ヶ月89113133148162173182188194199205
7ヶ月97119139152166175183189195200206
8ヶ月103125143156168176184190196201207
9ヶ月109129147158169177185191197202208
10ヶ月113133149159170178186192198203209

こちらは「骨折」などの重症の怪我のケースでの一覧表です。

任意保険基準とは異なり、弁護士基準では「怪我の程度」により用いる算定表が異なります。

重症の怪我の場合は、慰謝料額がアップします。

(単位:万円)

入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月9ヶ月10ヶ月
通院53101145184217244266284297306
1ヶ月2877122162199228252274291303311
2ヶ月5298139177210236260281297308315
3ヶ月73115154188218244267287302312319
4ヶ月90130165196226251273292306326323
5ヶ月105141173204233257278296310320325
6ヶ月116149181211239262282300314322327
7ヶ月124157188217244266286301316324329
8ヶ月132164194222248270290306318326331
9ヶ月139170199226252274292308320328333
10ヶ月145175203230256276294310322330335

後遺障害慰謝料の相場はどのくらい?!

3つの基準の相場を比較してみました。

等級自賠責保険基準任意保険基準(推定)弁護士基準(裁判基準)
1級1,100万円程度約1,600万円2,800万円
2級958万円約1,300万円2,370万円
3級829万円約1,100万円1,990万円
4級712万円約900万円1,670万円
5級599万円約750万円1,400万円
6級498万円約600万円1,180万円
7級409万円約500万円1,000万円
8級324万円約400万円830万円
9級245万円約300万円690万円
10級187万円約200万円550万円
11級135万円約150万円420万円
12級93万円約100万円290万円
13級57万円約60万円180万円
14級32万円約40万円110万円

※任意保険基準は、保険会社各社が独自で基準を設けているため一般的な数値を入れています。

死亡慰謝料の相場(弁護士基準)

「被害者の属性」により金額が左右されます。

被害者の属性とは「死亡した被害者が家庭内でどのような立場であったか」ということを意味します。

死亡被害者の属性慰謝料額
子供や高齢者、その他2,000〜2,500万円
配偶者や母親2,500万円
一家の支柱(一家の生計を立てている)2,800万円
(point)
弁護士がサポートすることで「死亡慰謝料」のほかに「ご遺族固有の慰謝料」を請求できる可能性があります。

死亡慰謝料の相場(任意保険基準)

弁護士基準と同様に「被害者の属性」により金額が左右されます。

死亡被害者の属性慰謝料額(非公開のため推定値)
子供や高齢者、その他およそ1,100〜1,500万円
専業主婦(主夫)、配偶者およそ1,300〜1,600万円
一家の支柱(一家の生計を立てている)およそ1,500〜2,000万円
(point)
任意保険基準では、「死亡被害者本人の死亡慰謝料」と「ご遺族固有の慰謝料」について分けて計算されることはありません。
両者を合算した金額となっているようです。

慰謝料の相場(自賠責保険基準)

自賠責保険の限度額

入通院慰謝料120万円
後遺障害慰謝料4,000万円
死亡慰謝料3,000万円

※民法改正により2020年4月1日以降に発生した事故に適用される金額です。
※入通院慰謝料に関しては、日額4,300円を元に算出されるため、入通院期間が長期になるほど慰謝料額はアップします。

「死亡慰謝料」についてみていきましょう。

「死亡被害者本人の死亡慰謝料」+「ご遺族固有の慰謝料」を合算した金額です。

  • ・死亡被害者本人の慰謝料 一律400万円
  • ・ご遺族固有の慰謝料(下記参照)

「請求権者(慰謝料請求権を有する者)」の人数により金額に影響を及ぼします。

※以下に該当する一定の範囲に属する人のことを請求権者といいます。

  • ・配偶者
  • ・被害者の父母(養父母含む)
  • ・子供(養子、認知した子、胎児を含む)
請求権者数慰謝料額
1人550万円
2人650万円
3人750万円

※死亡被害者に被扶養者がいるケースでは、上記金額に200万円が加算されます。

「被扶養者」とは、死亡被害者の収入で生計を立てている一定範囲に属する扶養家族のことをいいます。

(参考)葬儀費について

一般的な上限は120万円〜150万円ほどです。

社会通念上必要かつ妥当な範囲内であれば、客観的な立証書類などを元に認められる可能性があります。

(※自賠責保険基準:上限60万円)

「葬儀に関連した費用」のことであり、実際の支出金額ではありませんのでご注意ください。

示談金で30万円と提示されたときの注意点


交通事故の現場やお見舞いの場などでも示談金として金銭を提示されることが少なくありません。

もしも30万円を提示されたとき、いったいどのような行動を取ればよいのでしょうか?

また、注意すべき点はどのようなことなのでしょうか?

後になって取り返しのつかない事態になることもあります。

示談金が30万円の提示ですので、比較的軽い事故のケースとして、一つずつ確認していきましょう。

安易に示談金を受け取らない

「被害者は純粋な見舞金としてもらったつもりだったのに、加害者は損害賠償金や示談金の一部のつもりで渡したから示談が成立したと思った・・・。」

実はこれとても危険な事例です。

このようなケースでは、後に行われる示談交渉のときに、損害賠償額の合計金額から見舞金30万円を差し引いた額で算出されることがあるのです。

本来の示談金の満額を受け取ることができず、被害者の方にとっては不利益となります。

もし見舞金を受け取る際には、相手の(損害賠償金や示談金の一部ではないか)をきちんと確認しておきましょう。

加害者と被害者の主張が異なれば、思わぬことが原因となり示談交渉が長引いてしまいます。

お見舞いの場での示談はしないこと!!

示談交渉は、「完治または症状固定」となった後から始まることが一般的です。

つまり、入院・通院治療費などが含まれるため、事故発生から間もない時期に示談に合意するべきではありません。

「損害賠償の総額が確定する前」に示談に合意してはいけません

レアケースですが、事故現場やお見舞いの場で示談を提示されることがあります。

くれぐれもご注意ください。

一度、示談に合意してしまうとやり直しが効かず損をしてしまうことが考えられます。

保険会社が見舞金を10万円くれたときの対処法

次に、保険会社からいわゆる見舞金(保険金)をもらった場合について確認していきましょう。

様々な種類の保険があるため、一律して問題ないとはいい切れません。

念のため「見舞金(保険金)をもらっても示談交渉に影響しないかどうか」を確認することをおすすめします

基本的には、加害者の賠償責任との関係に影響を及ぼすことはないでしょう。

つまり、示談金や慰謝料額に影響を及ぼさず減額されることはないということです

もらい事故(追突事故など)のケースなど、被害者自身に過失がない場合でも、被害者の方はご自身の加入している任意保険会社に連絡をしましょう。

見舞金(保険金)をもらうために、事故の報告をすることが必要です。

弁護士に相談してみる

交通事故に遭うと、被害者は肉体的なダメージだけではなく精神的なダメージもかなりのものとなります。

事故の大小は関係ありません。

ご不安に思われたら、一度弁護士に相談だけでもしてみてはいかがでしょうか?

自分では考えつかないような解決策や損害賠償の項目など被害者に寄り添い適切なサポートを受けることができます。

自力では難しいこととは?!

以下に一例を挙げましたので、ご参考になさってください。

  • ・なかなか怪我が完治しない場合は「後遺障害等級認定の申請」のサポートをしてもらい慰謝料アップ。
  • ・過失割合について「証拠」をもとに交渉してもらう。
  • ・加害者の「悪質性」などを主張し慰謝料アップ。

慰謝料をアップさせるには、弁護士基準で慰謝料を算出することが必要ですが、後遺障害慰謝料をもらうためには「認定」を得なければなりません。

後遺障害等級認定の申請は煩雑かつ専門知識が必要ですので弁護士のサポートが功を奏します。

示談交渉の際に、最も争点となりやすい「過失割合」について大切なことは、単なる記憶を頼りにするのではなく「客観的な証拠能力の高いもの」をもとに交渉をしていくことです。

例えば、ドライブレコーダーの記録や目撃者の証言、当時の信号サイクルなどが該当します。

また、「加害者の悪質性」について適切に主張していくことにより慰謝料アップが認められる可能性が高まります。(スピード違反や薬物使用、無免許運転、飲酒、ひき逃げ、謝罪が全くないなど)

弁護士のサポートで安心

それ以外にも個々の事情に配慮したサポートの一例をご紹介します。

まだ入院が必要な状態でも、家庭の事情や仕事の都合により早期退院を余儀なくされることがあります。

このような特別な事情があっても、実際よりも長く入通院したと算出することができますので安心なのではないでしょうか。

治療費の打ち切りを保険会社から打診された際も、弁護士に相談し代わりに交渉してもらいましょう。

最善の代替策が得られるか、打ち切らずに継続できる可能性もあります。

被害者の方が抱えている悩みを躊躇せずに伝えてみましょう。

(参考)弁護士特約がついているか確認してみよう

被害者が加入している保険に「弁護士特約」が付帯されていれば下記の金額まで保険会社に負担してもらうことができます。

  • ・法律相談料や書類作成料 10万円まで
  • ・弁護士費用の総額 300万円まで

「軽微な事故だから費用倒れになりそう・・・」

一般的に多くの人が懸念されることです。

しかし、実質自己負担なく交通事故問題を解決することができますので、積極的に活用しましょう。

翌年の保険料が上がる、保険等級が下がるなどの影響もありません。

示談金で損をしないために知っておくべきこと

ここからは示談金を受け取るときに、損をしないための知識を紹介します。

相手の提案をそのまま受け入れない

自分が事故の被害者だった場合は、相手の保険会社から示談金が支払われます。

相手の保険会社は、なるべく自社の出費を減らすために示談金を低く提案してきます。

そのため、相手の保険会社から示談の提案があったとしても、そのまま受け入れてはいけません。

示談金が低く提案されてないか確認したり、専門家である弁護士に相談したりするのがおすすめです。

示談金は事故の過失割合によっても変動するため、示談金の額と合わせて過失割合についても確認が必要です。

「自分では相手の保険会社と交渉ができないかも」と不安に思うなら、弁護士へ相談するのがいいでしょう。

通院・治療は医者の指示に従う

事故で怪我をすると、通院や治療をするかもしれません。

通院費・治療費は相手の保険会社が支払うため、途中で「治療を打ち切ってください」と言われるケースがあります。

そのときの相手の保険会社の指示を、そのまま受け入れるのは危険です。

保険会社は「これ以上治療費を払いたくない」という思惑で治療の打ち切りを提案している可能性があります。

怪我の状況・治療の進行具合を一番理解しているのは担当医なので、必ず担当医に確認をとりましょう。

担当医に確認をしてみて「まだ治療が必要だ」と言われたら、そのことを保険会社に伝えて、治療を継続しましょう。

適切な後遺障害等級を認定してもらう

交通事故の示談金では、怪我の慰謝料が大きな割合を占めています。

その中でも「後遺障害慰謝料」の金額は大きなものになります。

後遺障害慰謝料とは、事故の怪我で後遺症が残った場合に請求できる慰謝料です。

等級(後遺症の重さ)によって慰謝料金額が決まるため、適切な等級認定をしてもらわないと損します。

適切な等級認定をもらうためには、医者に書いてもらう「後遺障害診断書」が必要になります。

後遺障診断書に不備があった場合は、等級認定が適切に行われないこともあるため、事前にチェックしておきましょう。

弁護士基準で慰謝料請求する

交通事故の慰謝料には、下記のような3つの基準があります。

種類内容金額
自賠責保険基準最低限度の補償もっとも低い
任意保険機基準任意保険会社が独自に設定自賠責保険よりは高い
弁護士基準弁護士依頼・裁判時に採用される基準もっとも高い

同じ怪我・被害によっても、基準が変わるだけで慰謝料金額も変わります。

示談金を受け取りで損しないためには、弁護士に依頼して一番金額の高い弁護士基準を適用するのがいいでしょう。

まとめ

交通事故に遭うと、怪我をして入院・通院を余儀なくされます。

仕事や学校に行っている人なら「昇進」「進級」「受験」「復帰できるか否か」などご不安が尽きないのではないでしょうか?

このような大きな精神的な苦痛を法律的には「損害」と捉えており「賠償」を請求する権利があるものとしています。

つまり、「精神的苦痛(損害)を償うものが慰謝料(金銭)」ということです。

また、一方で裁判例の中には「慰謝料は一種の社会的制裁」であるという考え方もあるようです。

例えば、慰謝料額の決定につき加害者の社会的地位や財産、職業なども考慮される裁判例も存在します。

これらのことを考えてみると法外な慰謝料額を請求することは社会的動議に反し許されませんが、被害者感情としては、適正な慰謝料をもらうことで怒りの気持ちが少しは癒えるのではないでしょうか。

【参考】慰謝料を含めた損害賠償請求権には、時効があります。

慰謝料の種類時効の起算日
入院慰謝料事故発生日から3年
後遺障害慰謝料症状固定から3年
死亡慰謝料亡くなった日から3年

※「ひき逃げ」のような相手が不明なケースは、例外的に時効は20年。

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