東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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歩行者として歩いている際に車にぶつけられた時や、運転時にエアバックが作動することで、肋骨を骨折してしまう事例も少なくありません。
このように、交通事故の被害により、肋骨を骨折してしまった場合、後遺障害認定や損害賠償請求はどのようなるのか不安がつきまとうことでしょう。
ここでは、交通事故で肋骨を骨折したときの後遺障害等級と慰謝料請求について解説していきます。
肋骨は肋硬骨と肋軟骨からなる左右12対の骨です。
心臓を含む胸部にある内臓を保護する役目を担っていますが、ひとつひとつの骨は決して丈夫ではなく、交通事故で胸部に強い刺激が加わると骨折してしまうことがよくあります。
肋骨の骨折は交通事故の怪我の中でもかなり多いです。
肋骨を骨折すると、くしゃみやせき、腰をかがめたり、起き上がったりと日常のちょっとした衝撃でも胸に痛みが走ります。
肋骨骨折の程度によっては、患部に内出血や腫れが生じたり、折れた骨により内臓が損傷し、重症化するケースもあります。
肋骨が骨折しているか胸部打撲ですんでいるかは素人にははっきりとは判断できません。
なので、交通事故に遭ったあと胸部に痛みを感じたら、すぐ病院に向かい、レントゲンなどの検査や医師による診断を受けましょう。
肋骨骨折の診断を受けたら症状の程度によって、手術などの外科的処置、保存療法、鎮痛剤内服薬処方といった処置が考えられます。
概ね、患部を固定するコルセットやバストバンドにより、患部を固定する保存療法がおこなわれます。
後遺障害とは、交通事故によって負った精神的・肉体的障害が、それ以上治療を続けても良くも悪くもならない状態(固定状態)に達した後に、労働能力の喪失を伴う症状だと言われています。
後遺症のうち、上記の定義を満たしたものが後遺障害であり、後遺障害は損害賠償請求の対象となるのです。
損害賠償請求の目的は、残ってしまった障害により、労働能力を失われたことによる損害を補填すること。
後遺障害の内容は人によって異なりますが、被害者の損害を個別に算定するのは困難です。
そのため後遺障害の内容を16等級142項目の等級に分類し、迅速で公平な処理をおこなっています。
本題の肋骨を骨折した場合の後遺障害認定で注意すべきなのは、肋骨の骨折それ自体では後遺障害認定されないこと。
肋骨の骨折が原因で、肋骨が変形した場合について、一定の等級が認定されます。
肋骨の変形により認定される可能性のある等級には、以下の2つがあります。
後遺障害等級表12級5号には、「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」と定義されています。
具体的には、裸になった時に肋骨の変形が明らかな場合には、12級が認定される可能性があります。
変形は骨折箇所の治癒が不完全であったり、骨自体が欠損していることから生じます。
最低、半年以上の通院が必要とされています。
ちなみに障害等級は番号が若ければ高く、12級の慰謝料の相場は290万円となっています。
裸になった際の変形が明らかでなくても、痛みなどの何らかの症状が残っている場合は14級が認定される可能性があります。
肋骨骨折から派生して生じた神経症状として、骨自体には問題ないものの、患部に痛みや腫れなどが残存する症状です。
14級の慰謝料の相場は110万円。
上記の慰謝料の相場はいずれも弁護士基準で算出したものです。
弁護士基準とは、後遺障害の慰謝料を弁護士が交渉した場合の相場です。
慰謝料の基準は「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つあり、弁護士基準がこの中で最も相場が高いです。
ちなみに自賠責基準での肋骨骨折の慰謝料の相場は、第12級が93万円、第14級が32万円です。
後遺障害等級14級の症状について詳しく知りたい方は、「後遺障害等級14級」の症状とは?何を請求できるのか解説」を参照してください。
肋骨骨折の症状が固定したら、後遺障害等級の認定申請手続きを行いましょう。
後遺障害等級認定の方法は「被害者請求」と「事前認定」の2種類です。
被害者請求とは、交通事故の被害者自身が加害者の自賠責保険会社に対し、直接認定の請求を行うことです。
自分でやるは手間がかかる一方、証拠を集めるなど積極的な活動ができますので、認定が下りやすくなる利点があります。
事前認定とは加害者側の任意保険会社に申請手続きを代行してもらうことです。
加害者側の任意保険会社は後遺障害等級認定に向けて積極的な活動を行はないので、等級認定の可能性が「被害者請求」と比べて高くありません。
また、加害者側との示談の交渉は出来る限り弁護士に依頼しましょう。
弁護士費用がかかるので自力で行いたいと考えている方が多いのではないでしょうか?
しかし、加害者側の交渉相手となるのは加害者本人ではなく、加害者側の任意保険会社であることが多いです。
加害者側の任意保険会社は交渉のプロですので、相手に上手く丸め込まれてこちらの要求を通せないことが多いです。
そのため、こちらもプロである弁護士にお願いしたほうが、相手側も慰謝料の増額に応じてもらう可能性が高まります。
<参考記事>示談交渉で注意すべき3つのポイント!損しないためにまずは弁護士へ相談しよう
交通事故で肋骨を骨折してしまった場合、通常の損害賠償とは別に、後遺障害等級認定による損害賠償を受けることもできます。
しかし、一定の条件を満たしていないと賠償を受けることはできませんので注意してください。
肋骨を骨折しただけでは認定されず、骨折により肋骨が変形するという状態になっていないと、後遺障害認定は受けられないと考えられています。
後遺障害等級認定申請については、「交通事故の「後遺症」 残ってしまったらどうする?どうなる?」を参照してください。