最終更新日:2022/6/6
「確定拠出年金」は老後にも節税にもメリットだらけ!いくら節税できる?
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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最近よく耳にする確定拠出年金やiDeCo(イデコ)という言葉。
でも知っているようでいて、よくわからない制度ですよね。
しかし、この確定拠出年金、老後にも節税にもメリットだらけなのです。
どんなメリットがあり、いくらぐらい節税できるのでしょうか。
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは
個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ))とは、年金制度の一種なのですが、これはどのような制度になるのでしょうか。
また、個人が加入するメリットはどこにあるのでしょうか。
確定拠出年金とは
確定拠出年金とは、私的年金制度といって、制度への加入が任意となる年金制度のことになります。
この確定拠出年金には、「企業型確定拠出年金」と「個人型確定拠出年金」との2つがあります。
企業型確定拠出年金のことを「企業型DC」といい、個人型確定拠出年金のことを「iDeCo(イデコ)」(以下、「イデコ」で統一します)といったりします。
「企業型DC」は、企業が任意に加入する制度で、イデコは個人が任意に加入する制度となります。
イデコの特徴としては、個人が申し込みを行い、個人が掛金を拠出し、個人が掛金の運用方法を選ぶ!ということころにあります。
そして、老後に掛金と運用益の合計額の給付を受け取れる私的な年金制度なのです。
イデコのメリットについて
ここからはイデコのメリットを紹介します。
節税効果がある
イデコに加入する一番のメリットは、税制上の優遇措置が受けられるというところにあります。
この税制上の優遇措置は、掛金のみならず、運用益についても受けられますし、給付を受け取るときにも受けられるというものです。
ですので、毎年の掛金だけでなく、運用益や給付を受けるときにも節税できるので、投資商品としても人気がある制度なのです。
例えば毎年50万円をイデコで積み立てているとしたら、50万円は控除として利用できます。
控除とは、課税金額から控除金額を引けるシステムのことです。
もし年間の収入が100万円で経費が50万円だった場合に、100万円ー50万円=50万円(課税金額)になります。
ここでイデコの控除を使えば、課税金額から控除金額を差し引くことができます。
上記の例だと、50万円(課税金額)ー50万円(控除金額)=0円となり、税金がかからなくなります。
このようにイデコを使えば節税効果もあるため、節税をしたい人・現金を持て余している人にはおすすめの制度になります。
老後の資産不足を解決できる
イデコに加入するもう一つのメリットとしては、老後の資産形成の選択肢が拡大するところにあります。
従来の加入義務のある年金制度の場合、加入義務がある反面、加入する制度や運用面に自由はありません。
イデコは、加入も任意ですが、運用方法も個人が選択できますので、そういった資産形成に自由さがあり、いろいろな形での資産運用方法を取ることができます。
そういった個人で運用方法を決められるというところがイデコの特徴です。
イデコのデメリットについて
イデコのデメリットを紹介します。
資産が減るリスクもある
デメリットの一つとしては、個人が掛金の運用方法を決めますので、運用については自己責任になってしまうところです。
イデコには、元本確保型・元本変動型の2種類があります。
まず元本確保型とは、積み立てたお金が減らないようになっている商品です。
次に元本変動型とは、元本を使って積極的に投資するため、必ず利益が出るわけではなく損失が出るケースもあります。
運用では必ず利益が出るわけではなく損失が出ることもあります。
そういった損失について個人が負うというリスクがあります。
またもう一つのデメリットとしては、途中引き出しができないところがあります。
イデコはあくまでも年金制度ですので、60歳以降に老後給付金を受け取ることができます。
ですので、途中でお金がないからといって引き出すわけにはいきません。
加入者が死亡・病気・怪我になった場合は例外的に解約が認められていますが、基本的には途中解約ができません。
ですので、途中でお金がないからといって引き出すわけにはいきません。
イデコによっては積み立てを停止できる場合もありますが、積み立てを停止した場合でも手数料を取られることがあります。
イデコでならいくら節税できる
イデコの一番のメリットは、税制上の優遇措置が受けられるところにあります。
では、これによりいくらぐらい節税できるのでしょうか。
イデコで受けられる税制上の優遇措置
イデコに加入すると税制上の優遇措置が受けられます。
これには、どんな優遇措置があるのでしょうか。
- ①掛金は全額所得控除となる
- ②運用益も非課税で再投資できる
- ③給付金を受け取るときも各種控除が適用される
掛金は、全額所得控除となりますので、掛金に対する所得税や住民税の税金が軽減されることになります。
また、掛金を運用して出た用益も非課税となります。
通常、何らかの金融商品を運用し、運用益が出ますと、その運用益には課税されることになりますが、イデコは非課税なのです。
そして、その非課税額分を再投資に回すことができ、複利効果が大きくなります。
イデコは、私的年金制度ですので、給付金を年金として受け取ることができます。
この受け取りは、年金として受け取るか、あるいは一時金として受け取るかの選択ができます。
年金として受け取る場合は公的年金等控除が、一時金として受け取る場合は退職所得控除が適用されます。
イデコでの節税額はいくらぐらい
イデコに加入すると掛金は全額所得控除となります。
掛金が全額所得控除になると、その金額から所得税と住民税が軽減されることになります。
では、いくらぐらい軽減することができるのでしょうか。
日本の国の場合、住民税は10%となっていますが、所得税については、累進課税制度が採用されており、所得によって税率が変わる仕組みになっています。
イデコの掛金は、その人が公務員なのか会社員なのか自営業者なのかによって、上限額が変わります。
個人自営業者の場合、月額6.8万円(年間81万6千円)、会社で確定給付企業年金がある場合や公務員の場合、1.2万円(年間14万4千円)、企業年金のない会社員の場合、月額2.3万円(年間27万6千円)が上限額となっています。
掛金が全額所得控除となりますので、やはり課税所得が多い人ほどメリットがあります。
自営業者とサラリーマンでの節税額の違い
同じ課税所得でも自営業者なのか会社員なのかによって、負担軽減額は大きく違ってきます。
たとえば、課税所得を300万円と同じにするサラリーマン(Aさん)と、自営業者(Bさん)を比べてみます。
Aさんを企業年金のない会社員として、Aさん、Bさん上限額いっぱいまで掛金を拠出するとします。
課税所得300万円の場合、税率は、所得税率10%、住民税率10%となります。
計算しますと、Aさんの税負担軽減額は年間5万5,200円、Bさんの税負担軽減額は年間16万3,200円となります。
課税所得が同じであっても、年間の掛金額が大きくなれば、節税効果も大きくなるのです。
また、これを10年、20年と長い期間で見たときには、その差はさらに大きくなるのです。
イデコが向いている人
イデコにはデメリットもありますが、うまく活用すれば魅力的な投資商品です。
そこでここからは、イデコが向いている人を紹介します。
- ・掛金を支払う余裕がある
- ・自分で貯金するのが苦手
- ・将来の収入が安定している
- ・老後の資金に不安がある
イデコは60歳になるまで毎月掛金を支払い、途中解約も基本的にはできません。
そのため毎月の掛金を支払う余裕のある人には、イデコが向いています。
お金に余裕がある人なら現金として貯金するではなく、イデコを利用すれば節税にもなるのでおすすめです。
次に自分で貯金するのが苦手な人は、イデコのような強制力がある積み立て商品が向いています。
毎月強制的に積み立てされて、さらに途中解約もできないため、お金の管理が苦手な人にこそピッタリな商品でしょう。
また大企業の正社員といった、将来の収入も安定している人であれば、イデコがおすすめです。
なぜならイデコは決まった掛金を60歳まで支払うため、収入の変動がある人にはリスクが高いからです。
最後に老後の資金に不安がある人は、年金と合わせてイデコを利用してもいいでしょう。
イデコは老後の資産形成を目的とした投資商品なので、「老後のためにコツコツ貯金したい」という人におすすめです。
イデコは途中解約ができず、強制的に毎月掛金を払うため、自力で老後の貯金を作るよりも安心できます。
自分で「毎月いくら貯金しよう」と思っても、なかなかできないと思うので、イデコを活用しましょう。
まとめ
確定拠出年金は、私的年金制度で企業型と個人型があり個人型をイデコといいます。
イデコは、加入は任意で個人が掛金を拠出し、個人が運用方法を選ぶものとなります。
イデコのメリットは、税制上の優遇措置が受けられることと老後の資産形成の選択肢が拡大するところ、デメリットは、運用の損失リスクを個人が負うところと60歳まで引き出せないところになります。
イデコでは、掛金は全額所得控除になり、運用益も非課税、給付金を受け取るときも各種控除が適用されます。
イデコは、課税所得が多い人ほど節税額が大きくなり、掛金が多い人ほど節税効果が大きくなります。
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