最終更新日:2024/11/27
会社設立後の社会保険はいつから加入が必要?手続きの期限が過ぎてしまったら
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- 会社設立後、社会保険にはいつから加入するか
- 社会保険の手続きの期限が過ぎてしまった場合
- 社会保険に未加入の場合のリスク
- 社会保険料の支払いはいつからはじまるのか
会社設立すると、たとえ社長が一人でも社会保険に加入する義務が発生します。
はじめて会社設立をする方は「社会保険の手続きはいつまでにすればいいのか」「そもそも期限はあるのか」「どこに何を提出すればいいのか」など、疑問がたくさん浮かぶのではないでしょうか。
この記事では、会社設立後の社会保険はいつから加入するか、手続きの仕方や社会保険に未加入だった場合のリスクなどを解説します。
目次
会社設立後の社会保険加入はいつから?
社会保険には「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類があり、それぞれ加入期限が異なります。
健康保険・介護保険・厚生年金保険は会社を設立してから5日以内、雇用保険・労災保険は従業員を雇用した日の翌日から10日以内に加入手続きが必要となります。
また、それぞれの保険のざっくりとした加入手続きや必要書類、提出先は下記となります。
では、下記でもう少し詳しく見ていきましょう。
健康保険・介護保険・厚生年金保険はいつから?
健康保険・介護保険・厚生年金保険の加入手続きは、会社を設立してから5日以内が期限です。同時に届け出ることができ、書類の提出先は会社の所在地を管轄する年金事務所になります。郵送で提出することも可能です。
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
また、社長一人の会社でも社会保険への加入義務は発生します。ただ、役員報酬を0円に設定している場合は加入できません。
雇用保険・労災保険はいつから?
雇用保険・労災保険の加入手続きは、従業員を雇用した日の翌日から10日以内が期限です。従業員を雇用する場合に加入する義務があり、会社が役員のみの場合は手続きは不要です。
また、一元適用事業か二元適用事業かによって手続きが異なるので、どちらに該当するか調べてから届出を行いましょう(二元適用事業とは一般的に農林漁業・建設業等、一元適用事業はそれ以外の事業となります)。
一元適用事業の場合、次のスケジュールで届出を行い、雇用保険と労災保険に加入します。
書類名 | 手続きの期限 | 提出先 |
---|---|---|
保険関係成立届 | 会社設立後に従業員を雇用した日の翌日から起算して10日以内 | 労働基準監督署 |
概算保険料申告書 | 会社設立後に従業員を雇用した日の翌日から起算して50日以内 | 労働基準監督署、都道府県労働局のいずれか |
雇用保険適用事業所設置届 | 雇用保険が適用される事業所が設置された日(会社設立後)の翌日から起算して10日以内 | 公共職業安定所(ハローワーク) |
雇用保険被保険者資格取得届 | 会社設立後に従業員を雇用した月の翌月10日まで | 公共職業安定所(ハローワーク) |
提出期限の5日を過ぎてしまったら?
社会保険の手続きは、健康保険・介護保険・厚生年金保険が5日以内、雇用保険・労災保険が10日以内と、とても短い期限となっています。
健康保険・介護保険・厚生年金保険は特に短い期限なので、5日以内には必要書類である会社の登記簿謄本などがそろわない場合もあります。
したがって、規定では5日以内となっていますが、年金事務所の側も、多少であれば期限を過ぎてからの提出であっても、何も言わずに受理しているのが実情となっているようです。
ですので、万が一、会社設立後5日過ぎた場合でも、さかのぼって加入することは可能なので、あせらず書類がそろい次第できるだけ早く提出するようにしましょう。
社会保険に未加入の場合のリスク
社会保険に未加入の場合は、罰則があります。
- ・6カ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金
- ・過去2年間にさかのぼって保険料を徴収される
- ・ハローワークに求人を出せない
- ・助成金を受け取れない
- ・会社が損害賠償を請求される可能性がある
6カ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金
健康保険や厚生年金に未加入の場合、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象です。
また、雇用保険に未加入の場合も、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります。
労災保険に未加入の場合、最大2年間さかのぼった労働保険料に加えて10%の追徴金を支払わなければなりません。また、未加入期間に労働災害があった場合、労災保険給付額の最大100%が事業主に請求されます。
過去2年間に遡及して保険料を徴収される
社会保険の適用事業者なのに加入していない場合、年金事務所の調査によって未加入であると発覚することがあります。その場合、最大で過去2年分の社会保険料が追徴されます。
また、退職した従業員がいれば、会社が全額負担しなければならなくなるので、本来よりも負担額が増えます。
ハローワークに求人を出せない
社会保険に未加入である場合、ハローワークは求人票を受け付けてくれません。
また、社会保険が完備されているかどうかは、求職者にとって就職先を選ぶ重要なポイントであるため、就職希望者が集まりにくくなります。
助成金をうけとれない
社会保険に未加入のままでいると、助成金の受給にも影響をおよぼす可能性があります。
会社が損害賠償を請求される可能性がある
社会保険に未加入である場合、従業員から損害賠償を請求されるケースが見られます。
社会保険に加入していなかったため、年金を請求する際に厚生年金が支給されなかったケースなどです。
社会保険はいつから支払いがはじまるか
健康保険、介護保険、厚生年金保険では翌月末日が納付期限です。
例えば、4月分の社会保険料は5月末日までに納付します。
そして、原則として、従業員の給与から社会保険料を天引きするタイミングは翌月です。4月分の社会保険料を、5月に支給される給与から天引きします。
また、社会保険料は日割り計算をしません。入社日が月の中途だった場合でも1カ月分の社会保険料を徴収します。
会社設立後の社会保険はいつから加入?
会社設立後に社会保険はいつから加入すべきか解説しました。
社会保険には、大きく分けて「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」「労災保険」「雇用保険」があります。それぞれの社会保険で、加入の手続きや期日などが異なるので、忘れずに社会保険の手続きを行いましょう。
もし期日までに間に合わない場合でも、さかのぼって加入することも可能ですので、書類がそろい次第できるだけ早く提出するようにしましょう。