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最終更新日:2024/2/20

住民税の所得割・均等割とは?意味や納付方法をわかりやすく紹介

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること

  • 住民税とはどのような税金なのかを知ることができる
  • 住民税の計算方法や納付方法を知ることができる
  • ふるさと納税を行うと住民税が節税になることがわかる

税金の金額を考える場合、所得税の金額を気にしている方が多い一方で、住民税の額を気にしていない方がいます。

しかし、所得税と同じように、住民税の額も所得に応じてその金額は増減します。

所得税とは違い、住民税は市町村で計算されるため、その詳しい計算方法を知っている方は少ないでしょう。

ここでは、住民税の計算方法や納付方法などを解説していきます。

住民税とは

住民税とは、地方公共団体に住む人が、その地方公共団体に納める税金です。

なお、住民税と呼ばれる税金は正式には存在せず、都道府県民税や区市町村民税を合わせて住民税と呼ばれます。

住民税は個人だけでなく、法人も負担をします。

このうち個人に対する住民税は、1月1日時点でその地方公共団体に居住している人が納税するものとされています。

また、住民税は前年の所得金額に応じて、6月から翌年5月にかけて納付するものです。

そのため、年の途中で引っ越した場合でも、翌年5月まではその年の1月1日時点の住所のある自治体に納め続けることとなります。

均等割・所得割とは

住民税の金額は、均等割と所得割という2種類の金額から構成されています。

均等割・所得割とはそれぞれどのような金額なのか、ご紹介します。

住民税の均等割とは

住民税の均等割とは、所得の金額にかかわらず、すべての人が同額を負担するものとされている住民税の金額です。

さらに均等割の金額は、都道府県民税と区市町村民税の金額から構成されています。

均等割の金額は、居住している自治体によって若干の違いがあります。

均等割の金額は、都道府県民税が1,500円、区市町村民税が3,500円となっています。

たとえば東京都では、この均等割額が採用されています。

一方、必ずしもこの均等割額を採用する必要はなく、これとは異なる税額が採用されている自治体もあります。

たとえば大阪府の場合、個人府民税の均等割額は1,500円ではなく、1,800円となっています。

これは、森林環境税として300円が課されているためです。

また、神奈川県の個人県民税の均等割額も、水源環境保全税300円が上乗せされて1,800円となっています。

この他にも、均等割額が異なる自治体は数多くあるため、注意が必要です。

なお、均等割の額は基本的にすべての人が負担するものとされています。

しかし、所得金額が一定以下の人や生活保護を受けている人などは、非課税枠として課税されることはありません。

住民税の所得割とは

住民税の所得割とは、所得の金額に対して税率を乗じて計算される住民税の金額です。

住民税の税率は、都道府県民税が4%、区市町村民税が6%と一定の税率となっています。

所得税の税率は、最低5%から最高45%まで7段階に分かれており、所得金額が大きくなるほど税率は上がります。

しかし、住民税の税率は一律となっており、税率の変動を考慮する必要はありません。

なお、住民税の所得割の計算で用いる所得金額は、前年度の所得金額となることに注意が必要です。

たとえば、令和5年6月以降に発生する住民税の額は、令和4年1月~12月の所得金額から計算します。

所得金額の計算は、給与所得や事業所得、不動産所得など、所得税と同じ区分に分けて計算します。

所得金額の計算は、区分ごとの所得金額を合計した後、その合計額から所得控除の額を差し引いて計算します。

所得控除の金額は、所得税の金額を計算する場合と若干の違いがありますが、おおむね同じような計算となっています。

住民税における税額の計算方法

住民税の計算は、均等割額と所得割額に分けて行います。

このうち、人によって異なるのは所得割の金額です。

住民税の所得割額の計算式は、「(総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除額」となります。

それぞれの金額の計算方法について、ご紹介します。

総所得金額等

住民税の金額の基礎となる総所得金額等とは、それぞれの所得区分ごとに計算される所得金額を合計したものです。

給与所得の金額は、給与収入の金額-給与所得控除額の計算式で算出されます。

また、事業所得や不動産所得の金額は、収入金額-必要経費となります。

給与所得控除の額や必要経費に計上する金額は、基本的に所得税と同一です。

事業所得や不動産所得の金額を算出する際に青色申告特別控除を適用する場合、住民税からも控除されます。

所得控除額

総所得金額等を求めたら、その金額から所得控除額を差し引く計算を行います。

所得控除の項目は、基礎控除や配偶者控除、扶養控除など全部で14種類あります

項目の数は所得税の計算を行う場合と同一となっていますが、その金額には違いがあります。

所得控除の金額が所得税と金額が異なるもので、多くの人に関係する一部の項目をご紹介します。

所得税住民税
基礎控除(合計所得金額2,400万円以下)48万円43万円
配偶者控除(納税者本人の合計所得900万円以下)38万円33万円
扶養控除(特定扶養親族)63万円45万円
生命保険料控除(合計の上限額)12万円7万円
地震保険料控除(上限)5万円25,000円

住民税に対する所得控除額は、所得税に対する所得控除額より少なくなっています。

そのため、所得税がかからないのに住民税が発生するという人もいます。

税率

すでにご紹介しましたが、住民税の所得割額の税率は一律10%となっています。

ただし、自治体によっては税率に若干の違いがある場合もあります。

政令指定都市の場合、住民税の税源移譲が行われており、都道府県民税が2%、市民税が8%となっています。

これに加えて神奈川県の場合、県民税の税率は2.025%となっているので、横浜市の合計の税率は10.025%となります。

なお、税源移譲という耳慣れない言葉は「国民の国への納税額を減らした分を地方税へ回すことで、税源を国から地方に移すことをいいます。

この他にも、個人住民税の所得割額の税率が異なるケースがあるため、気になる人は確認しておきましょう。

税額控除額

税額控除の適用を受けると、納付する住民税の金額は少なくなります。

税額控除額として適用されるものには、住宅ローン控除や寄付金税額控除(ふるさと納税)などがあります。

住宅ローン控除の適用を受けるには、初年度は確定申告が必要です。

また、ふるさと納税をした場合は、一定の条件を満たせば確定申告は不要となりますが、原則的には確定申告が必要です。

この他の税額控除額も、適用を受けるためには確定申告が必要になるので、注意しましょう。

住民税の納付方法

住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収の2つの方法があります。

所得税などとは納付の方法も異なるので、その違いを確認しておきましょう。

住民税の普通徴収

普通徴収とは、税金の納税義務者に送付されてきた納付書を使って、税金を納める方法です。

住民税の金額は、都道府県民税と区市町村民税とあわせて市町村で計算されます。

その後、住民税が発生する6月までに、納税者に対して納税通知書と納付書が送られてきます。

住民税を普通徴収で納付する場合、年に4回に分けて納付することとされています。

納付時期は、基本的に6月、8月、10月、翌年1月となっています。

ただし、自治体によっては、この納付時期に若干の違いがあります、

納税方法については、本人名義の口座を指定することで、住民税額を口座から引き落としにすることもできます。

また納付書で納付する場合には、住民税額を一括で納付することも可能です。

住民税の特別徴収

会社員の場合、ほとんどの方が住民税を自分で納めたことがないはずです。

これは、住民税の納付方法には普通徴収以外に特別徴収という方法があるためです。

住民税の特別徴収は、給料を支払う会社や事業主が、本人に代わって住民税を納付する方法です。

ただし、会社や事業主は住民税を負担しているのではなく、給与を支払う際に本人から住民税の金額を天引きします。

この仕組みによって、給与の支給を受ける際には、住民税の金額が支給額から控除されます。

特別徴収の場合も、6月から翌年5月にかけて住民税の計算を行います。

会社員の方の多くは確定申告を行っていませんが、給与の支払い元が1か所のみの場合、住民税の納付までは以下のような流れで行われます。

住民税の納付までの流れ

  1. 会社で年末調整の計算を行う
  2. 会社から従業員の居住する市区町村に給与支払報告書を提出する
  3. 給与支払報告書の金額を基に、各従業員の住民税の計算を行う
  4. 住民税の金額を従業員の勤務する会社に通知し、同時に納付書などを送付する

住民税はふるさと納税の活用で節税できる

ふるさと納税は、節税の方法としてすっかりおなじみになりました。

ここでは、ふるさと納税が節税になる理由や、確定申告が不要になる条件について改めて確認しておきます。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、都道府県や市町村など、全国各地にある自治体に対して行う寄附のことです。

ふるさと納税を行うと、所得税の計算においては、その寄附を行った年の所得税額から控除されます。

また、住民税の計算においては、翌年度に納める住民税の金額から控除され、納付する住民税が減額されます。

ふるさと納税で税額が控除されるのは、自身が居住する自治体以外の自治体に寄付を行った場合です。

ふるさと納税で都市部に住む人が地方の自治体に寄付を行うと、地方の自治体に寄附金が集まる一方、都市部の税収は減少します。

そのため、都市部の自治体が安定した税収を確保することが、大きな課題となっています。

ワンストップ特例制度

ふるさと納税を行うと、寄付を行った年の所得税から控除を受けるために確定申告をするのが原則となっています。

しかし、サラリーマンの方は確定申告をしないのが一般的です。

そのため、確定申告を義務化すると、ふるさと納税が普及しないという問題が指摘されていました。

そこで、確定申告しなくてもふるさと納税の恩恵を受けられるような制度が設けられています。

この制度が、ワンストップ特例制度です。

1年間に寄付した自治体の数が5か所以内である場合、申請書を寄付先の自治体に提出すればワンストップ特例制度が利用できます。

ただし、会社員の方でも注意しなければならない場合があります。

それは、医療費控除や住宅ローン控除などの適用を受けるため、確定申告をする場合です。

どのような理由であっても確定申告した場合は、申請書を提出していてもワンストップ特例制度が適用されなくなります。

そのため、ふるさと納税以外の理由で確定申告する場合、ふるさと納税も忘れずに申告しましょう。

まとめ

節税を考える場合、ほとんどの人は所得税の節税を考えているでしょう。

所得税の節税を行えば、結果的に住民税の節税になることが多いのですが、計算に若干の違いがあることに注意しましょう。

また、ふるさと納税を節税のために行っている人も多いでしょう。

ふるさと納税の仕組みを理解しておくと、より節税効果を高めることができるので、うまく活用することをおすすめします。

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