東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
乗車中のバスやタクシーが交通事故に巻き込まれてしまい、ご自身が被害者となった場合、損害賠償の請求先は以下のように分かれます。
実際に慰謝料を支払うのは相手方が加入している保険会社になるため、示談交渉の相手も保険会社となります。
ポイントは交通事故の過失割合ですが、状況によっては乗客の過失となり、慰謝料を請求される側になってしまうので注意が必要です。
では、交通事故慰謝料の請求先をケース別にみていきましょう。
バスやタクシーに100%の過失が認められる場合は、バス会社やタクシー会社に対して慰謝料を請求できます。
たとえば、赤信号を無視して交差点に進入し、歩行者に衝突してしまった場合や、赤信号で停車中の車に追突したようなケースが挙げられます。
慰謝料はバスやタクシー会社側の保険会社から支払われるため、一般的には保険会社の担当者を相手とした示談交渉になるでしょう。
なお、会社によっては総務課の社員、または顧問弁護士が交渉相手になるケースもあります。
自分が乗っているバスやタクシーにまったく過失がない場合、交通事故の相手方(加害者)が慰謝料の請求先となります。
赤信号で停車しているときに追突されたようなケースであれば、相手方のドライバーに100%の過失があると判定されるでしょう。
このようなケースでは他の乗客やバスやタクシーのドライバー、運営会社も損害を被るため、損害賠償も高額になります。
加害者が任意保険に加入していなかったときは、十分な補償を受けられない可能性もあり得ます。
交通事故を起こしたドライバー双方に過失があれば、被害者はどちらにも慰謝料を請求できます。
ただし、仮に慰謝料が20万円となる場合、双方に20万円ずつ請求できるわけではないので注意が必要です。
いわゆる「二重取り」はできませんが、請求額の割合は被害者側で自由に決められるため、どちらか一方に慰謝料の全額を請求しても構いません。
双方に慰謝料を請求すると手間も2倍になるため、どちらか一方に全額請求する例が一般的ですが、相手の対応や保険の加入状況をみて決めるとよいでしょう。
なお、慰謝料の負担額は事故の当事者双方で話し合い、後日清算されることになります。
乗客の行為がバスやタクシーの安全運転を妨げてしまい、結果的に交通事故が発生したときは、その乗客に対して損害賠償請求が行われます。
タクシードライバーに信号無視や急停止を強要する、あるいはバスの車内で暴れたことで事故が起きると、バスやタクシー会社から損害賠償請求されるでしょう。
交通事故の慰謝料には以下の種類があり、被害の状況によってある程度の相場も決まっています。
それぞれ被害者や遺族が受けた精神的苦痛への償いとなりますが、まず3種類の算定基準を押さえておきましょう。
交通事故の慰謝料は以下の算定基準のいずれかで計算します。
自賠責保険(共済)の算定基準を自賠責基準といい、被害者が請求すれば確実に支払われますが、上限額が決まっているため必要最低限の補償となります。
任意保険基準は各任意保険会社の算定基準となり、自賠責基準より若干高くなるものの、金額の決定は示談交渉に影響されます。
弁護士基準は過去の判例を参考にしており、慰謝料がもっとも高くなる算定基準ですが、弁護士以外が用いることは不可能でしょう。
では、各算定基準別に慰謝料相場をみていきましょう。
交通事故の被害により1ヶ月程度通院した場合、慰謝料の相場は以下のようになります。
自賠責保険は以下のように計算式が決まっており、対象日数は「治療期間」または「入院日数+(実通院日数×2)」のどちらか短い方となります。
自賠責保険の入通院慰謝料
日額4,300円×対象日数
任意保険基準の計算方法は非公開ですが、旧任意保険基準を用いると、通院1ヶ月は12万6,000円程度となります。
なお、弁護士基準で慰謝料を計算した場合、任意保険基準の2~3倍になる可能性があるので、保険会社の補償が不十分なときは弁護士に相談してみましょう。
後遺障害慰謝料は等級によって金額が変わるため、特に決まった相場はありませんが、12等級の場合は以下のような金額になります。
むちうちや指などの欠損、骨折や骨の変形などが後遺障害の12等級となり、いずれも長期的な治療を必要とするケースがほとんどです。
また、もっとも重い後遺障害等級は1級(要介護)となりますが、自賠責基準と弁護士基準では慰謝料の額も以下のように違います。
ただし、後遺障害等級が認定されなければ支払われないので注意しましょう。
自賠責基準では1,250万円程度が死亡慰謝料の相場となりますが、任意保険基準と弁護士基準の場合、家庭内における被害者の立場によって金額が変わります。
【任意保険基準】
【弁護士基準】
被害者が一家の支柱だったときは遺族の生活も脅かされるため、十分な慰謝料を獲得しなければなりません。
交通事故の慰謝料は加害者側の保険会社に請求できますが、必要額が支払われるとは限らないので注意が必要です。
また、慰謝料はあくまでも精神的ダメージへの償いであり、治療費や入院費、休業損害などの補償も必要となるため、請求漏れにも気を付けなくてはなりません。
すべて示談交渉次第となるため、以下の点には十分注意しておきましょう。
交通事故の被害者となった場合、慰謝料以外にも以下の費用を請求できます。
入院雑費や交通費は請求を漏らしやすいので注意しておきましょう。
その他の費用も実際にかかった金額を証明する必要があるので、レシートや領収書は必ずもらうようにしてください。
なお、自家用車を運転していて交通事故に遭ったときは、以下の費用も請求できます。
交通事故の示談交渉は保険会社が相手になるため、弁護士に代理人を依頼した方がよいでしょう。
本来、慰謝料などの損害賠償は必要額が支払われるべきですが、保険会社は営利を目的としているため、基本的には低い金額を提示してきます。
保険会社の主張を鵜呑みにすると十分な補償を受けられず、治療費や休業損害を自己負担する羽目になるかもしれません。
しかし、弁護士に依頼すれば示談交渉が有利な展開となり、慰謝料も増額される可能性が高くなります。
後遺障害が残ってしまう事故や死亡事故であれば、早めに弁護士へ相談しておきましょう。
自動車保険やクレジットカードに弁護士特約を付けていた場合、300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
また、家族が弁護士特約に加入していれば、本人以外の家族にも特約を使える可能性があります。
弁護士特約に加入していることを忘れているケースもあるので、契約書や取引約款などで確認してみましょう。
バスやタクシーに乗車しているときの事故であれば、慰謝料はいくら請求できるのか、誰に請求したらよいのか迷ってしまうでしょう。
しかし、どのケースでも示談交渉の相手は加害者側の保険会社になるので、被害者の事情ではなく、保険会社都合で慰謝料が提示されます。
保険会社の担当者は交通事故処理のプロですから、よほどの専門知識がなければ太刀打ちできず、相場よりも低い慰謝料で納得させられるケースが少なくありません。
交通事故の慰謝料請求で困ったときや、示談交渉が不利な展開になったときは、できるだけ早めに弁護士へ相談しておきましょう。