東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故によるむちうちは、多くの人が経験する可能性のあるケガの一つです。
しかし、その診断方法や治療、損害賠償の手続きについて、詳しく知っている人は少ないかもしれません。
この記事では、むちうちにおけるレントゲンの有効性、MRI検査の役割などを解説します。
さらに、交通事故によるむちうちで請求できる損害賠償についても詳しく紹介します。
むちうちについて正しく理解し、適切な対応を取るために、ぜひご一読ください。
目次
むちうちは、首の神経や靭帯に問題が生じることで起こる症状です。
しかし、レントゲンではその詳細を把握することはできません。
レントゲンは主に骨折や骨のずれなど、骨の異常を確認するための検査です。
むちうちの場合、神経や椎間板、靭帯といった軟部組織の損傷が原因になるため、レントゲンではわからないことがほとんどです。
もしむちうちの診断を受けるのであれば、骨以外の部分を調べる検査が必要です。
むちうちの原因を詳しく調べるには、MRI検査が有効です。
MRIでは、骨だけでなく、靭帯や椎間板、神経の状態も確認することができます。
たとえば、以下のような場合に役立ちます。
特に、むちうちで続く痛みやしびれの原因がはっきりしない場合は、MRI検査を行うことで治療方針が明確になります。
MRI検査を行っても異常が見つからない場合でも、痛みが続くことがあります。これは以下のような理由による場合があります。
このような場合には、痛みの原因を多角的に分析し、リハビリや薬物療法、必要に応じて心身のケアを行うことが重要です。
交通事故でむち打ちになった場合、以下の損害賠償を請求できる可能性があります。
むちうちによる治療費は、交通事故の損害賠償の対象になります。
病院での診察や入院、通院にかかる費用のほか、薬代、レントゲンやMRIなどの検査料も含まれます。
これらはすべて、実際にかかった費用として請求できます。
治療を受けた際の領収書を保管しておくことが、スムーズに請求を進めるためのポイントです。
通院に必要な交通費も、損害賠償として請求できます。
公共交通機関を利用した場合はその運賃が対象となり、自家用車を使用した場合はガソリン代として、通常1キロメートルあたり15円が基準となります。
これらの費用を証明するために、通院記録や領収書などを準備しておくことが重要です。
むちうちの診断や治療に関連して発生する文書料や手数料も、請求可能な損害の一部です。
たとえば、医師に診断書を作成してもらった場合や、病院から検査結果の資料を取り寄せる際にかかる費用が含まれます。
また、事故証明書の取得費用も対象になります。
これらの費用も忘れずに申請しましょう。
むちうちの症状が原因で仕事を休まなければならない場合、休業損害を請求することができます。
これは、休業中に得られなかった収入を補償するものです。
会社員や公務員、自営業者、アルバイト、さらには専業主婦の場合でも認められる場合があります。
休業損害の計算には、収入証明書や勤務記録が必要となりますので、準備しておきましょう。
むちうちの治療中に感じる痛みや不便さ、精神的苦痛に対しては入通院慰謝料が支払われます。
この慰謝料は、治療期間や通院日数に基づいて算出されるものです。
交通事故に遭ったことで負った苦痛に対する補償として、受け取ることができます。
むちうちが完治せず、後遺障害が残った場合は、後遺障害慰謝料を請求できます。
認定される等級によって、慰謝料の金額は異なります。
たとえば、12級13号では弁護士基準で280万~290万円、自賠責基準では94万円、14級9号では弁護士基準で110万円、自賠責基準で32万円程度が支払われます。
さらに、後遺障害が労働能力に影響を与えた場合には、逸失利益も請求できます。
逸失利益とは、本来得られるはずだった収入が失われた分を補償するもので、働いている人だけでなく専業主婦や学生、子どもでも請求できる場合があります。
むちうち治療を受けるにあたり、疑問に思うこともあるでしょう。
ここでは、むちうちに関するよくある質問をまとめました。
むちうちの治療でMRI検査を受けた結果、異常が見つからなかった場合、相手方の保険会社が治療費の支払いを打ち切る可能性があります。
特に、治療が3カ月を過ぎる頃から、保険会社が「これ以上の治療は不要」と判断し、打ち切りの打診をしてくることが多いです。
ただし、MRIで異常が見つからなくても、むちうちは痛みや不快感が続くことがあります。
そのため、保険会社の打診にすぐに応じる必要はありません。
むちうちの治療期間は、一般的に3カ月から6カ月が目安とされています。
しかし具体的な治療期間は、症状の程度や回復具合によって異なります。
治療を続けるかどうかの最終的な判断は、医師が行います。
医師が治療を続けるべきだと判断した場合、その意見は重要な証拠となります。
保険会社の打診に納得がいかない場合は、医師の診断書を提出し、治療費の継続支払いを求めてみましょう。
むちうちの症状は、事故の当日から翌日(受傷後72時間以内)にかけて現れることがほとんどです。
事故直後は「少し首が気になる」程度の違和感しかない場合でも、翌日になると痛みや首の動きにくさが出てくることがあります。
特に翌朝、目覚めたときに首がほとんど動かせなくなるケースは珍しくありません。
たとえば、事故直後は特に問題がないように感じても、翌日以降に首の痛みやしびれが強くなる場合があります。
こうした症状の進行には、事故後の身体の炎症反応が関係していると考えられています。
そのため、事故後は痛みがなくても、油断せずに体調の変化を注意深く見守ることが大切です。
むちうちの症状は、事故から3日以上経ってから新たに症状が現れることは、非常にまれです。
医学的な観点からも、3日以上たってから発症した場合、交通事故との因果関係を証明するのは難しいとされています。
保険会社もこの点を根拠に、遅れて出た症状について補償を拒否する場合があります。
むちうちは目に見えない症状が多く、正確な診断や適切な治療を受けるには早めの対応が必要です。
事故後は体調の変化を日記に記録するなど、証拠を残すことが大切です。
また、むちうちによる生活への影響を補償してもらうには、保険会社との交渉や後遺症の等級認定が重要になります。
こうした手続きは複雑なため、交通事故に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。
専門家のサポートを受けることで、適切な賠償を受け取り、治療に専念できる環境を整えましょう。