東京弁護士会所属。新潟県出身。
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目次
2008年に道路交通法が改正され、すべての座席およびすべての道路上でシートベルトの着用が義務化されました(同法第71条の3第2項)。
シートベルトの着用義務化は、高速道路はもちろん一般道路でも適用されます。
「後部座席のシートベルト着用義務化は高速道路だけだ」と勘違いしている人も多いですが、法律上は一般道でもシートベルトの着用義務があることを規定しています。
このシートベルト着用義務は、運転者に課される法的な義務です。運転者がシートベルトを着用していても、後部座席の人がシートベルトの着用を怠れば着用義務違反となるので、注意が必要です。
2020年9月1日以降に発売される新型車には、後部座席にシートベルトリマインダーの設置が義務付けられています。
シートベルトリマインダーとは、対象者がシートベルトをしていない場合に、音やランプでシートベルト未着用であることを知らせてくれる仕組みのことです。
リマインダーがあれば、うっかりシートベルトをし忘れることもなくなります。
なお、2020年8月31日以前に発売された車には、後部座席のシートベルトリマインダー設置の義務化は適用されません。そのため、後付けで装着する必要もありません。
後部座席の人がシートベルトを着用していない状態で車を運転した場合、「座席ベルト装着義務違反」に該当します。
後部座席の人がシートベルト着用義務に違反したとしても、罰金や反則金などはありません。
ただし、シートベルト装着義務に違反すると、次のような行政罰が与えられる可能性があります。
【シートベルトをしなかった場合の違反点数】
一方で、一般道路上で後部座席の人がシートベルト装着義務に違反した場合、口頭注意のみで行政罰を受けることはありません。
後部座席でシートベルト着用義務があるのは高速道路に限られるという誤解は、この違いに原因があるかもしれません。
全座席でシートベルトの着用が義務化されている一方で、道路交通法および同法施行令で定める一定の場合には、例外的に後部座席でのシートベルト装着義務が免除される場合があります。
運転者のシートベルト着用義務が免除されるケースは、次のとおりです。
助手席・後部座席の同乗者がシートベルトの着用義務を免除されるケースは、次の通りです。
「座席の数を超える数の者を乗車させるため〜」とは、主に12歳未満の子どもを後部座席に乗せる場合が想定されています。
自動車の乗車定員の数え方は、大人(12歳以上)1人に対して子どもは1.5人です(道路運送車両の保安基準第53条2項)。たとえば、5人乗りの自動車の場合、後部座席に乗車できるのは大人3人までですが、子どもだけであれば4.5人(実際は4人)まで乗車が可能となります。
5人乗りの自動車の場合、後部座席にはシートベルトが3つしか設置されていません。つまり、子どもが4人乗車した場合には、1人分のシートベルトが足りないことになってしまうのです。
法令上は、後部座席に乗った4人のうち3人がシートベルトを着けていれば、残りの1人はシートベルトを着用しなくてよいことになっています。
警察庁とJAFが合同で、2023年10月〜11月に行った「シートベルト着用状況全国調査結果」によると、後部座席のシートベルト着用率は一般道路で43.7%、高速道路で78.7%となっています。
一般道路の後部座席シートベルトの着用率を都道府県別にみると、最も高かったのが群馬県の62.7%、最も低い数値は沖縄県の12.6%となっています。
調査箇所数 | 調査対象 | 着用 | 非着用 | 合計 | 着用率(%) |
---|---|---|---|---|---|
781 | 運転者 | 302,143 | 2,588 | 304,731 | 99.6 |
助手席同乗者 | 45,665 | 1,355 | 47,020 | 98.6 | |
後部座席同乗者 | 24,456 | 31,479 | 55,935 | 78.7 |
調査箇所数 | 調査対象 | 着用 | 非着用 | 合計 | 着用率(%) |
---|---|---|---|---|---|
104 | 運転者 | 55,797 | 236 | 56,033 | 99.6 |
助手席同乗者 | 18,911 | 266 | 19,177 | 98.6 | |
後部座席同乗者 | 10,819 | 2,935 | 13,754 | 78.7 |
参照元:シートベルト着用状況全国調査結果(令和5年)|警視庁
同調査は、道路交通法改正により後部座席シートベルト着用が義務化される前年の2007年から、全国の調査地点で目視により行われています。
なお、この調査では幼児や妊婦などの着用免除事由該当者は対象に含まれていません。
また、一般道路でのシートベルト着用率は次のように変化しています。
【一般道路での後部座席シートベルト着用率の変化】
この数字をみると、車の同乗者によるシートベルトの着用率は年々上がってきていることがわかります。
引用元:警察庁「人身加害部位別自動車後部座席同乗中シートベルト非着用死者数・構成率(平成26年〜令和5年)
後部座席でシートベルトを着用せずに交通事故に遭った場合、以下のような危険性があります。
仮に時速60kmで走行している車が壁などに衝突した場合、高さ14m(5階相当)のビルから落ちるのと同じ衝撃を受けるといわれています。
シートベルトは、同乗者の命を守るための重要な装置です。事故の衝撃で全身を強打する可能性や車外に放り出されるリスクを避けるためには、シートベルトで車と身体を繋いでおくことが重要です。
また、衝突の勢いで後部座席の人が前方に投げ出されると、前席の人はシートとエアバッグに挟まれ、頭部に重傷を負って最悪の場合死に至る危険もあります。
このように、後部座席の人がシートベルトをしていなかったことにより、運転席や助手席に乗っていた人まで重大な被害を受ける恐れがあることも知っておいてください。
引用:後部座席シートベルト着用・非着用別致死率|警察庁
※ 致死率:死傷者数に占める死者数の割合
警察庁が公表しているデータによると、後部座席でシートベルト着用していなかったときの致死率は、一般道路で着用時の約3.3倍、高速道路で着用時の約25.9倍も高くなっています。
一般道路では後部座席でシートベルトをしなくても罰則はありませんが、自分の身を守るためにも必ずシートベルトは着用するようにしてください。
シートベルトをしない状態で事故にあった場合、相手方保険会社との示談交渉において、過失割合が不利に認定される恐れがあります。
後部座席のシートベルト着用義務違反の場合、運転席や助手席の場合と比べて過失相殺の対象となりにくいです。過失相殺されるとしても、5~10%程度の割合になることが多いでしょう。
ただし、事故の衝撃で車外に放り出された場合などのケースでは、シートベルトをしていれば防げるけがであったと主張される可能性が高いです。
シートベルトの未着用により過失割合で不利になりそうな場合には、早めに弁護士に相談して対応してもらうことをおすすめします。
シートベルトは、一般道路・高速道路・運転席・後部座席問わず着用が義務付けられています。しかし、後部座席のシートベルト着用は徹底されておらず、「一般道路ではシートベルトをしなくてもいい」と勘違いしている人も多いのが現状です。
シートベルト非着用が事故の致死率を高めることは知られていますが、命を落とす危険があるのは後部座席も同様です。
また、交通事故の被害者がシートベルトを着用していなかった場合、被害者側に過失があると判断され、損害賠償や慰謝料を減額される可能性も否定できません。
「一般道路で後部座席に乗る場合でも、シートベルトの着用義務がある」自分の身を守るためにも、シートベルトは必ず着用するようにしてください。