東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故によって普段使用していた車両が損壊した場合には、修理や買い替えまでに使用したレンタカーなどの代車使用料を加害者に請求できる場合があります。
また、事故で損壊した車両がバスやトラックなど営業に使用していた車の場合は、修理や買い替えの間に営業できなかった損害について加害者に請求することができます。
事故で車が使えない場合の代車使用料と休車損害についてご紹介します。
代車の使用料を加害者に請求することが認められるためには、まず代車を使用することの必要性が認められることを要します。
代車を使用することの必要性とは、交通事故が原因で手持ちの車両が使用できない場合に、その期間に代車を使用する必要があることです。
代車を使用することの必要性が認められるかは、事故で損壊した車両がどのように使用されていたかが重要になります。損壊していた車両が営業用に使用されていた場合などは、代車を使用することの必要性が認められやすくなります。
一方、マイカーとして使用していた場合には、代車の必要性が認められるかどうかはケースバイケースです。事故にあう前の車両の使用状況、代車をどのような用途に使用していたか、電車やバスなどの車以外の代替交通機関を利用できたか、などが重要な要素になります。
代車を使用することの必要性が認められた場合には、次に代車の使用が相当であることが必要になります。
代車の使用が相当であるというためには、代車の使用料が適正な金額であること、代車を使用した期間が相当であること、の2点を満たす必要があります。
代車の使用料が不相当に高額な場合や、代車の使用期間が不当に長い場合などは、代車を使用することの必要性が認められたとしても、相当でない金額や期間については損害として認められないことになります。
代車使用料として支出した金額が相当であるかについては、代車として使用した車が高級車であり、通常のレンタカー等に比べてレンタル料が高額になる場合などに問題になります。
基本的な考え方としては、交通事故で損壊した車両の車種やグレードなどの要素を考慮し、損壊した車両と同種または同等のグレードの車種を使用したかどうかが重要な目安になります。
裁判例においても基本的に上記の目安と同様に、交通事故にあった車両の車種やグレード等から相当とされる代車使用料の金額を算定しています。
注意点としては、裁判例においては必ずしも事故車両と同等のグレードの代車を使用することを無条件に認めているのではないことです。
裁判例においては、代車使用料が通常よりも高額になる高級外車が事故車両の場合には、同じ高級外車をレンタルした場合の使用料ではなく、それよりも使用料が安くなる国産高級車クラスの使用料を持って相当な金額として認定する傾向があります。
その場合には、同グレードの高級外車をレンタルした分の差額については被害者が自己負担することになります。
代車を使用することが相当とされる期間については、事故車両を修理する場合には、車両の修理が完了して引き渡しを受けるまでの期間になります。事故車両を買い換える必要がある場合には、新しい車両が納車されるまでに要する期間です。
もっとも、上記の期間はあくまで原則であり、事故車両の損壊の程度や保険会社の手続きの経緯等の事情によっては、より長い期間が相当として認められる場合もあります。
具体的なケースとしては、修理のために必要な部品等を調達するために長期間を要する場合や、車の損壊の程度から見て修理か買い替えかをすぐに判断することが難しい場合などです。
交通事故によって使用できなくなった車両がタクシー、バス、トラックなどの営業車として使用されていた場合は、事故車両の修理や買い替えが終了して引き渡しを受けるまでの期間については、その車を用いての業務ができなくなります。
その場合には、車両を使用しての業務を休んだ分だけ営業による利益が減少することになるので、減少した利益分の金額を損害として加害者に請求することができます。これを休車損害といいます。休車損害の計算方法は以下の通りです。
日額基礎収入(営業収入―経費) × 休車期間 = 休車損害
日額基礎収入とは、事故車両を使用すれば得られたはずの営業収入から、休業によって支出を免れた燃料費や有料道路料金などの経費を差し引いたものです。日額基礎収入に休車期間を乗じることで、休車損害を計算することができます。
休車損害については2つの注意点があります。1つ目は、事故車両の代わりに代車を使用して営業をした場合は、代車使用料のみを損害として請求することになります。代車によって営業自体は可能であったため、休車損害の請求は認められません。
2つ目の注意点としては、事故車両以外にも普段営業に使用していない遊休車両を使用してある程度営業ができた場合などは、それによって休車損害が減額されることがあります。
交通事故によって営業等に使用していた車両が損壊した場合は、修理や買い替えまでに使用した代車使用料を加害者に請求することができます。
代車使用料の請求が認められるためには、代車を使用する必要性、代車使用料が相当な金額であること、代車を使用した期間が相当であること、の3点が重要です。
バスやトラックなどの営業に使用していた車が損壊した場合は、修理や買い替えのために営業ができなくなった期間の損害について、休車損害として請求することができます。
<参考記事>車自体に生じた損害について