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最終更新日:2024/4/16

資本金1,000万円未満で節税になる!メリット・デメリット、金額を決める場合の注意点も解説

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

資本金1,000万円未満で節税になる!メリット・デメリット、金額を決める場合の注意点も解説

この記事でわかること

  • 資本金の額を1,000万円未満に設定するメリットとデメリットがわかる
  • 資本金の額を決める際に注意すべき点がわかる

会社を設立するにあたって、資本金の額が大きい方がいいのではないかと、漠然と考えている方もいるかもしれません。

特に、以前は株式会社の資本金は1,000万円以上であったため、1,000万円という金額にこだわりのある方もいることでしょう。

資本金を1,000万円未満に設定することにはデメリットがある一方、節税できるメリットもあります。

そこで、資本金の額を1,000万円未満にした場合の節税効果とデメリットを確認していきましょう。

また、資本金の額を決める際の注意点もあわせて解説します。

資本金を1,000万円未満に設定するメリット・節税効果

【消費税と法人住民税】資本金1,000万円未満と1,000万以上だとどう違か

資本金の額は、その会社を設立した時に株主が出資した金額のことです。

この資本金が少ないということは、それだけ株主が出資した金額が少ないことを意味します。

しかし、資本金を1,000万円未満に設定することはデメリットだけではなく、節税効果というメリットも存在しています。

具体的にどのような形で節税になるのか確認してみましょう。

法人住民税が安くなる

会社は、税務署に対して、国の税金である法人税を納めています。

また、法人税のほかに会社の本社や事業所がある都道府県や市町村に法人住民税を納めています。

そして、この法人住民税の中には会社の規模によって決められる「均等割」と呼ばれる金額があります。

会社の規模を判定する際に指標となるのは、従業員数と資本金の金額です。

たとえば、従業員数が5名の会社が東京都内に本社を構えていたとしましょう。

この場合、資本金の額が1,000万円以下であれば、均等割の額は7万円となります。

これに対し、資本金の額が1,000万円を超えると、均等割の額は18万円にまで跳ね上がるのです。

なお、この均等割は、赤字の場合でも負担しなければなりません。

資本金の額を1,000万円以下にするだけで、赤字の場合であっても、税負担を抑えられるメリットがあるのです。

会社設立時の消費税が最大2年間免税される

消費税の納税義務が発生するのは、2年前の課税売上高が1,000万円を超える事業者とされます。

しかし、会社設立後1期目と2期目は、2年前の課税売上高がないため、会社設立後最大2年間は消費税の納税義務が免除されます。

しかし、資本金額が1,000万円を超える会社については、この規定に該当しません。

資本金の額が1,000万円以上ある会社については、設立後すぐに消費税の課税事業者として納税義務が発生します。

資本金を1,000万円未満に設定するデメリット

資本金を1,000万円未満に設定した場合のデメリットには、以下のようなものがあります。

  • 会社としての信用を得にくい
  • 下請法の適用対象となる

会社としての信用を得にくい

資本金の額が大きいほど、会社の資金繰りが安定しているといえます。

会社の資金調達の方法には、株主の出資のほか、役員などからの借入などもあります。

しかし、資本金として調達した場合は返済義務がないのに対し、借入によって調達した場合は一定期間で返済しなければなりません。

そのため、同じように1,000万円の現金がある会社でも、その調達方法によって評価は大きく変わります。

資本金として多くの資金を調達した場合は、それだけ今後の資金繰りが楽になるため、金融機関や取引先からの評価は高くなります。

1,000万円未満だと評価が低いわけではありませんが、特に開業直後は、資本金の額が少ないほど信用を得にくいのは事実です。

下請法の適用対象となる

下請法とは、下請企業に対して親会社がその優越的な地位を乱用しないよう、様々な行為を制限する法律です。

下請企業にとっては自社を守るために、大きな意味のある法律です。

一方、親会社にとっては、下請企業との取引関係を規定する重要な法律となっています。

下請法で親会社となるのは、資本金1,000万円を超える会社です。

下請法の対象となる親会社は、発注の際の書面交付義務、給付の受領後60日以内に支払期日を定めるなどの義務を負うほか、支払が遅延した場合には、遅延利息の支払義務も発生します。

資本金1,000万円超の会社は、これらの内容を理解して、下請法違反として摘発されないようにしなければなりません。

資本金を決める場合の注意点

資本金の額をいくらにするかで悩んだ場合、どのような点に注意して資本金の額を決めるといいのでしょうか。

ここでは、資本金の額を決める際の注意点を見ていきましょう。

業種によっては資本金の基準がある

一般労働者派遣業や建設業など、その業種の許認可を得るために一定以上の財産を保有していることが要件とされる業種があります。

そして、設立当初に許認可を取得するためには、それだけの資金を準備することが必要です。

しかし、準備した資金を全額資本金にする必要はありません。

会社を設立した際には、出資した金額の半分まで資本準備金とすることが認められるからです。

たとえば、会社設立時に1,000万円を準備した場合でも、資本金500万円、資本準備金500万円とすることで、設立1期目については消費税の免税事業者となれます。

資本金が2,143万円より多いと登録免許税は高くなる

登録免許税は会社を設立した後、法務局で登記を行う際に発生する税金です。

株式会社を設立した場合、登録免許税の税額は「資本金の額×0.7%」と「15万円」のいずれか大きい金額とされています。

例えば資本金の額が1,000万円の株式会社を設立すると、1,000万円×0.7%=7万円となり、15万円より少ない金額となるため、登録免許税の額は15万円となります。

資本金の額が少ないうちは、最低限必要となる15万円の登録免許税を負担することとなりますが、一定の金額を超えると、資本金の額×0.7%で計算した金額の方が大きくなります

その金額とは、資本金の額が2,143万円を超えた場合です。

資本金の額が2,143万円を超えると、15万円を超える登録免許税が発生することとなるので、できるだけ資本金の額を抑える方が有利といえます。

まとめ

設立する会社の資本金を、無理に1,000万円以上にする必要はありません。

資本金を1,000万円未満に設定することには、消費税や法人住民税の節税といったメリットがあります。

実際、最低資本金制度が廃止されてから設立された多くの会社は、資本金1,000万円未満となっています。

ただ、資本金の額をいくらにしても問題はないと言っても、事業運営上問題が発生しては意味がありません。

会社が本格的に収益を上げることができるようになるまでの運転資金や、開業にかかる費用をあらかじめ計算しておきましょう。

そして、事業が円滑に進められるだけの資金を確保して、資本金とすることをおすすめします。

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