会社印鑑と捺印・押印の法的効力の知識と正しい使い方
ベンチャーサポート行政書士法人代表行政書士。
東京都行政書士会 中央支部所属(登録番号:07080055)
1980年生まれ、山形県出身。
都内にある行政書士法人での勤務経験を経て、2014年1月ベンチャーサポート行政書士法人を設立。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-hon
普段の生活では、印鑑は、実印以外は何げなく使っているのではないでしょうか。しかし会社を設立して印鑑を会社として使用するようになると、慎重な使い方をしなければなりません。そして、会社で使用する印鑑は、経営者のみが使用するだけでなく、従業員も使用することがあるため、なおさらの注意が必要です。
会社で使用する印鑑の種類は多く、正しい知識で印鑑を運用・保管しなければ、大きな問題が起こる可能性もあります。そこで、印鑑の種類やその使い方、そして法的な効力などについて説明します。
参考:会社設立完全ガイド
印鑑の法的効力
1.捺印と押印の違い、署名と記名の違い
印鑑を押す行為を「捺印」と「押印」という2つ言い方を同じ意味で使用しますが、厳密には使い分けられています。それを理解するには、まず「署名」と「記名」の違いを知る必要があります。「署名」と「記名」は明確に異なり、「署名」は、当事者本人が氏名を手書きすることです。一方、「記名」は、手書きではなく代筆、ゴム印、ワープロで印刷して氏名を表示することです。署名は筆跡鑑定することで、当事者本人であるかどうかを鑑定することができるので証拠能力があります。記名の場合は証拠能力がありません。
契約書の書類などに、氏名の後に印鑑を押しますが、署名した後に印鑑を押すことを、「署名捺印」と言い、記名した後に印鑑を押すことを「記名押印」と言い使い分けます。
2.氏名の表示の仕方と印鑑による証拠能力の違い
重要なことは、言葉の意味を知ることではなく、実務的にどんな違いがあるかです。
結論から先に言うと、署名捺印 > 署名のみ > 記名押印 >記名のみ(正式な効力なし)の順で証拠能力に違いがでます。
署名か記名かで大きな違いがでるのに対して、使用する印鑑の違いによる証拠能力の違いは、法律上はありません。このことは、逆にいうと、どんな印鑑でも効力を持ってしまうということです。実印だけしっかり管理していれば問題ないとは言えません。
印鑑の種類について
では、法律上の効力に変わりがないのに、会社で使用する印鑑には、なぜ複数の種類があるのでしょうか? 会社で使用する印鑑には以下の種類があります。
1.会社実印
会社実印は「代表者印」とも言われ、本店所在地の法務局へ設立登記申請時や契約書など重要な書類に使用します。作り方には規定はありませんが、一般的には丸印で会社名を外枠に、役職名を内枠にいれてつくります。
2.会社銀行印
銀行へ届け出て使用するのが銀行印です。会社実印と共用することも可能ですが、会社実印よりも使用頻度が高く経営者が常に管理して使うと事務処理がとどこおります。そこで、経理担当者などの従業員にも持たせることができるように会社実印とは別に作っておいたほうが便利で安全です。
3.角印
四角形の中に会社名が彫刻された印で、会社名を記名する場合、重要度の低い多くの書類に使用します。赤い朱肉で使用します。
4.住所印
会社名に加えて会社住所、電話番号、その他必要な情報が彫刻された印です。角印を使用するよりも重要度の低い、連絡事項のような書類に手書きの変わりに使用できるので便利です。通常、黒・紺などのインクパッドで使用します。
大切な印鑑だから
このように、印鑑は、法律上は1種類あれば良いのですが、会社実務運営上は、用途に応じて使い分けられるように複数用意すると便利です。しかし、その使用にあたっては、印鑑の種類に関係なく法律上の効力があることに留意して、充分に注意を払う必要があるといえます。
参考:
印章の法的役割と種類
http://www.b-post.com/info/info_law/zhouhou_houmu_015.html
はんこの印蔵オンラインショップ
http://www.moriinbo.com/catalog/kaisha_j.html
住所印.NET
http://www.add-hankoya.com/
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