最終更新日:2025/12/3
電子定款を自分でできる!画像で解説認証ガイド

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること
- 電子定款とは?
- 電子定款を利用した定款認証
会社設立の際に必ず作成する定款ですが、現在では電子定款が一般的です。電子定款は紙に印刷せず電子データで作成・保存する方式で、紙定款と法的効力は同じです。
定款認証が必要な場合でも、オンラインで認証手続きを進められるため時間と手間を削減でき、印紙代4万円の節約にもなります。
この記事では、電子定款の基礎、作成の3ステップ、必要書類、申請用総合ソフトを使った認証手順、メリット・デメリット、専門家へ依頼する判断基準などを、画像サンプルとともにわかりやすく解説します。


目次
電子定款とは定款の種類
電子定款とは、定款の種類の1つです。定款には電子定款と紙定款があり、どちらかを任意で選択できます。
電子定款は、定款を紙ではなく電子データで作成・保管する方式です。紙定款と法的な意味合いや役割は同じです。しかし、電子定款には定款認証の際にさまざまなメリットがあるため、広く利用されています。
定款には電子定款と紙定款がある
電子定款と紙定款の違いは、保存方法と定款認証の手続きの違いにあります。
電子定款は電子データで保管しますが、紙定款は印刷して紙の状態で保管します。認証手続きは、電子定款の場合はオンラインで、紙定款の場合は定款を公証役場に持参して行います。
こうした違いがありますが、どちらも「会社の定款」であることは変わりありません。
電子定款を自分で作ることができる
電子定款は、専門家に依頼せずに自分で作成できます。
ただし、定款作成には最低限の法律の知識や基本的なPCスキルなどが必要であり、決して簡単な作業ではありません。ですが、Wordなどで定款を作成し、公証役場にオンライン申請を行えば、認証手続きまで完了させることができます。
法的な効力は紙定款と同じ
電子定款と紙定款は、認証手続きの流れや保管方法などに違いがありますが、法的な効力や必要性、役割に違いはありません。
作成と保存の形式が違うだけで、定款の重要性や法律的な意味合い、遵守すべきルールなどは同じです。
電子定款の利用率は9割を超えている
電子定款の利用率は令和5年の時点で9割を超えており、紙定款での定款認証を大きく上回っています。
定款と聞くと、紙の書類をイメージする方もいるかと思います。しかし、新しく会社設立をするケースでは、電子定款を選択する方が圧倒的に多いです。
電子定款の利用率が高い理由の1つに、認証手続き時の利便性や費用面でのメリットが挙げられます。電子定款を選択するだけで、定款認証のときにかかる印紙代4万円を節約できるため人気があります。
電子定款作成の流れ
会社設立時に電子定款を自分で作成する際には、まず作業全体の流れを把握しておきましょう。全体の流れを理解し、準備を進めることで、スムーズに作成が可能です。
電子定款の作成の流れは3ステップ
電子定款の作成の流れは、大きく分けて3ステップです。
- Wordなどで定款を作成する
- 文書をPDFファイルにする
- 電子証明書を発行する
まず、定款の本文を作ります。定款の見本などを参考に、自社の実情に合わせて作成します。
定款には、絶対的記載事項を必ず記載し、必要に応じて相対的記載事項・任意的記載事項を記載してください。
定款の文書が完成したら、定款をPDFに変換して保管します。そして電子証明書を発行して定款のファイルに貼付します。
ここまでが電子定款作成の大まかな流れです。
画像で解説!電子定款の定款認証ガイド
電子定款を作成したあとは、定款認証に進みます。定款認証は公的な証明であり、作成した電子定款を公証人にチェックしてもらう作業です。
ここからは、画像を使いながら電子定款を選択した場合の定款認証を詳しく解説します。
電子定款の認証手続の必要書類
電子定款の認証手続きをする前に、まずは、必要な書類をチェックしましょう。また、必要なPCとインターネット環境が整っていることも確認してください。
電子定款で定款認証を受けるときに必要な書類は以下のとおりです。一覧にすると書類が多く複雑に感じられるかもしれませんが、必要書類はすべて必ずそろえてください。
必要書類は、定款認証を受ける日に向けて計画的に準備しましょう。
| 書類 | 概要 |
|---|---|
| 印鑑証明書 | 個人の場合:発起人の印鑑証明書
海外在住の個人が発起人:公的機関で発行されたサイン証明書か印鑑証明書。また、海外在住で印鑑登録制度がない国の場合、サイン証明書と在留証明書が必要。サイン証明書や印鑑証明書の記載が日本語でない場合は、その日本語訳も用意する必要がある 発起人が日本の法人:法人の印鑑証明書 |
| 登記事項証明書 | 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)・株主名簿(法人印での押印) 発起人が法人の場合、必ず必要 |
| 実質的支配者となるべき者の申告書 | 個人・法人を問わず必要
設立会社の実質的支配者が法人の場合は、その出資法人の実質的支配者(筆頭株主)の本人確認書類が必要 |
| 実質的支配者となるべき者の本人確認書類 | 個人・法人を問わず必要 例:マイナンバーカード等 |
| 委任状 | 代理人が公証役場で認証手続きを行う場合に必要 |
| 代理人の本人確認書類 | 代理人が認証申請する場合 |
| 発起人の身分証明書 | 身分証は原本ではなく写し(コピー)でも可 |
画像あり!電子定款を利用した場合の定款認証の流れ
ここからは、実際の手続き画面を見ながら、電子定款の認証を1つ1つ一緒に進めていきましょう。
「Wordで定款は作成できたが、電子認証をどう進めればよいかわからない」という方でも安心です。画面のサンプルを確認しながら、電子認証の進め方を解説します。
まず、定款認証の流れは以下のようになっています。
定款認証の流れ
- STEP1公証役場へ連絡して詳細を確認・予約
- STEP2定款案の送付
- STEP3申請用総合ソフトのインストール
- STEP4料金の支払い
- STEP5定款の原本を受け取る
では、さっそく、次は1つ1つの手続きについてさらに詳しく解説します。実際の手続きをイメージしながら読み進めてください。
公証役場を予約
まずは、公証役場に連絡をして予約を取ります。
定款認証を受ける公証役場は、本店所在地を管轄する都道府県内の公証役場です。どの公証役場でもよいわけではないため、注意が必要です。公証役場の管轄や場所、連絡先はWebで簡単に調べることができます。
また、電子認証を行ったあとで定款を公証役場に直接受け取りに行く場合は、公証役場の場所に注意してください。自宅や職場から遠い公証役場で手続きを進めてしまうと、受け取りに行くときに時間や手間がかかります。
もちろん、ウェブ会議を利用してオンラインで受け取りまで完結させることもできます。
オンラインで送付する
予約と確認を行ったら、自分で作成した電子定款のPDFを公証役場に送付します。このとき、専用ソフトのインストールが必要です。
電子定款の認証には「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。このシステムを利用するためのソフトが「申請用総合ソフト」です。もちろん、どちらも無料です。

出典:登記・供託オンライン申請システムとは|法務省をもとに作成
オンラインで電子定款の定款認証ができる「登記・供託オンライン申請システム」を利用するためには「申請用ソフト」が必要です。
システム名は「登記・供託オンライン申請システム」であり、そのシステムを利用するためのソフトが申請用ソフトです。
インストールの方法については「ソフトウェアのダウンロード|登記ねっと 供託ねっと」で詳しく解説してあります。
電子認証の申請
申請用ソフトのダウンロードが完了したら、いよいよ電子定款を使った定款認証の手続きを進めます。
ここからは、申請用総合ソフトを使った電子認証の手続きを、実際のパソコン画面を使いながら解説します。
まず、先ほどダウンロードした申請用総合ソフトを起動してください。

続いて、以下の画面にID・パスを入力してログインに進みます。

ログインができると、申請用総合ソフトの画面が表示されます。上部のメニューバーの左端にある「申告書作成」をクリックすると、下記の画像ような画面が表示されます。

ここから「申請様式一覧選択」画面の中の選択肢にある「電子公証」をクリックします。すると、下記の赤枠のように複数の項目が表示されるため、ここの一番上にある「電磁的記録の認証の嘱託」を選んで「選択」をクリックしてください。

選択すると、下記のような画面が表示されます。ここで、赤枠で囲った箇所に必要事項を入力してください。入力ミスがないよう、確認しながら進めていきます。

| 件名 | 特に決まりなし。こだわりがなければ会社名の記載でOK |
|---|---|
| 申請区分 | 定款認証のみの申請 |
| 嘱託人情報 | 電子公証を依頼する本人(またはその代理人)の情報 |
| 実質的支配者 | 実質的支配者の情報を入力 |
| 公証人氏名 | 法務局名、公証役場名、公証人をプルダウンから選択 ※事前確認をしてもらった公証人を選択 |
すべての入力が終わったら、上部のメニューバーから「完了」を選んでクリックします。画面で保存の確認が求められるため「はい」をクリックすると申請書が保存されます。

次に、処理状況表示という画面に変わります。ここで、メニューバーの右端の「電子公証」を選択します。すると、先ほど保存した申請書が表示されます(画面では複数の案件が表示されていますが、自分で会社設立をする場合は1つだけです)。

ここから申請書をクリックすると、上部のツールバーから「ファイル添付」を選択できるようになります。選択をクリックすると次のような画面になります。

次に「ファイル追加」をクリックします。ファイルを選択する画面が表示されるので、事前に作成した定款のファイルを選んでください。ファイル形式はPDFとなります。

作成した電子定款のPDFが添付されるとクリップのアイコンが付加されます。このファイルを選択して、上のメニューバーから「署名付与」を選びます。

選択すると「電子証明書ファイルの選択」というウィンドウが開きます。
ここで、事前にPCに保存していた電子署名のファイルを選択してください。この作業は、電子定款に印鑑証明を追加するような作業です。

続いて、事前に決めておいたパスワードを入力してください。

ここで問題がなければ、署名が完了したというメッセージが表示されます。ただし、これはまだ署名が完了した段階なので、定款認証の手続きはここから続きます。

電子定款への署名が無事完了すると、ファイル選択の画面に戻ります。今度は、上のメニューバーから「申請データ送信」を選択してください。

ここで「送信対象」のチェックボックスにチェックを入れて、送信ボタンをクリックしてください。すると送信確認の画面が出るので「OK」をクリックします。
無事に送信できれば、定款の電子認証の申請が完了します。

ここまでが電子定款を使ったオンライン申請の一連の流れとなります。すべてオンラインで済ませることができるため、公証役場に直接出向く必要はありません。
受け取りをする
電子定款認証の手続きが終了したら、公証役場に直接受け取りに行くか、ウェブ会議(テレビ電話)で公証人と面談したあとに郵送で電子定款を受け取るかを選択してください。
無事、認証手続きが終了したら、法務局での会社設立登記の手続きに移行します。
電子定款の認証はその場で完了する
電子定款の認証は、公証人との面談が終了し、問題がないと判断されればその場で終了します。定款の作成や必要書類をそろえておけば、定款認証そのものに時間がかかることはありません。
書類の不備や定款の内容に大きな問題がなければ、その日のうちに定款認証が完了すると考えて問題はありません。
電子定款の認証にかかる手数料
電子定款で定款認証を行う場合の手数料は、下表のとおりです。会社の資本金等の条件で手数料が変わるためあらかじめチェックしておきましょう。
| 資本金の額 | 手数料 |
|---|---|
| 資本金の額等が100万円未満 | 1万5,000円 ※発起人が3人以下、法人出資でない、設立時株主が発起人のみ、取締役会がない会社の場合 上記以外では3万円 |
| 資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合 | 4万円 |
| その他の場合 | 5万円 |
電子定款のメリット
電子定款を利用するメリットを解説します。「何となく紙の方が安心できそう」と思う人もいるかもしれませんが、電子定款は複数のメリットがある定款の形式です。
現在の会社設立では電子定款を選択する人の方が多くなっています。ここでは電子定款ならではのメリットを解説します。
印刷不要
電子定款は電子データとして作成・保存するため、紙に印刷して保管する必要がありません。電子データとして保存できるため、収納スペースを取らず、管理がしやすく効率的です。
紙定款の場合は、どこにしまったのかわからなくなってしまうリスクがありますが、データで保管できる電子定款であればすぐにファイルを呼び出すことができます。
定款認証の印紙代を節約できる
紙定款では定款認証の際に4万円の収入印紙代が必要ですが、電子定款ならこの費用が不要です。電子定款を選ぶだけで株式会社の設立費用を4万円節約できるのは大きなメリットです。
手続きがスムーズ
電子定款で認証を行う場合、公証役場へ紙定款を持参する必要がなく、オンラインで手続きを進められます。
わざわざ公証役場に出向く時間や手間を大幅に省けるため、会社設立の流れがスムーズになります。
電子定款のデメリット
電子定款には数多くのメリットがありますが、利用するうえで注意すべき点も存在します。ここでは電子定款ならではのデメリットを確認しておきましょう。
PCとネット環境が必要
電子定款を作成するためには、まず手続きと作成に必要な環境が整っている必要があります。主に以下の環境とスキルが必要です。
- PCとネット環境
- PCとネットのスキル
- 電子定款に関する法律の知識
電子定款は電子データで作成し、電子署名を付与したうえで公証役場にオンライン送付します。そのため、最低限のPCスキルやインターネットの知識が求められます。
操作に不慣れな場合、電子定款の認証手続きは大きな負担です。デジタル機器が苦手な人や、そもそもPCやインターネット環境がない人にとってはハードルが高くなります。
また、電子定款を自分で作成して認証を受けるためには、定款に関する会社法の知識も必要です。公証人との面談では法的な質問をされるケースもあるため、会社設立や定款に関する法知識を最低限備えておくことが求められます。
電子定款の作成や認証を依頼することもできる
電子定款の作成や認証は、必ずしも自分で行う必要はありません。「電子定款を自分で作るのは難しい」と感じる場合は、専門家に依頼するのも有効な方法です。
専門家に任せれば、PC操作や法の知識を学ぶ必要がなく、申請に関する調べものや準備の手間も省けます。会社設立をできるだけスムーズに進めたい場合や、手続きに不安がある場合は、プロに任せることが最も確実です。
コストを優先するのであれば電子定款を選択して自分で定款認証をするのが適していますが、効率重視であれば依頼するのがよいでしょう。
専門家に依頼するメリット
電子定款の認証を依頼する際は、司法書士または行政書士に相談するのが一般的です。司法書士に依頼すれば、電子定款の認証に加えて登記手続きまで一括して任せることができます。
定款認証だけを依頼することも可能ですが、電子定款の作成から認証、登記までをトータルでサポートしてもらえるのは大きな安心です。専門家に任せることで、時間や手間を大幅に節約しながら確実に会社設立を進められます。
手続きのスピードを優先するかコストの節約を優先するかが、専門家に依頼するかを決めるポイントです。
電子定款は定款の形式の1つ!自分で作成してオンラインで定款認証も可能
電子定款とは、2種類ある定款の形式の1つです。定款を作成するときには、電子定款と紙定款のどちらかを任意で選択できます。
最近では、電子定款を選択するケースが多く、その背景には、印紙代が節約できることやオンラインで認証手続きができるといったメリットがあります。
電子定款は自分で作成することもできますが、法律の知識や、ファイルの保管・変換、電子署名などができる環境が必要となります。
自分での作成が難しいと感じた場合は、無理せずに専門家に依頼する方が安心です。












