最終更新日:2026/6/24
取締役会設置会社とは?非設置会社との違い・設置義務・メリットデメリットを解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
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- 取締役会設置会社とは
- 取締役会を設置する義務がある会社
- 取締役会を設置するメリットとデメリット
株式会社の機関設計を考える際、取締役会を置くかどうかは重要な判断ポイントです。
取締役会を設置する会社の場合、意思決定プロセスが明確になり、ガバナンスの面でも一定の効果が期待できます。
一方、役員構成や会議運営の負担は重くなります。特に、共同創業、外部からの株主の受け入れ、融資やIPO準備を見据える会社では、取締役会設置の要否を早い段階で整理しておくことが大切です。
この記事では、取締役会設置会社の基本、非設置会社との違い、設置義務がある会社などについて解説します。


目次
取締役会設置会社とは
取締役会設置会社とは、取締役で構成される「取締役会」を意思決定機関として設置して運営している会社のことです。
ここでは、取締役会設置会社の基礎知識を解説します。
取締役会設置会社の定義
取締役会設置会社とは、会社法で取締役会の設置が義務づけられている会社、もしくは会社の定款において取締役会を設置する旨が明記されている株式会社のことです。
取締役会とは、会社の経営方針や重要事項を決定する機関で、複数の取締役で構成されています。
株式会社には必ず取締役が必要ですが、取締役会についてはすべての会社に設置義務があるわけではありません。
設置義務がある会社
取締役会の設置義務がある会社は、以下の4種類です。
- 公開会社
- 監査役会設置会社
- 監査等委員会設置会社
- 指名委員会等設置会社
まず、公開会社とは「譲渡制限のない株式がある会社」のことです。会社法は、公開会社に対しては、必ず取締役会を設置するよう義務づけています。
このような規定があるのは、公開会社では株主の数が増える傾向があり、株主総会の権限と経営を分離させて業務をスムーズにする必要があるからです。また、社内でのチェック体制を強化し、経営の透明性を保つという目的もあります。
次に、監査役会設置会社とは、複数の監査役で構成される「監査役会」を置いている株式会社です。監査役会には取締役の職務執行をチェックする業務監査の役目があり、取締役会の存在が前提です。
続いて、監査等委員会設置会社とは、選任された一部の取締役で構成される「監査等委員会」が監査機能を担う株式会社のことです。
最後に、指名委員会等設置会社とは、指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3つの委員会を設置している株式会社のことです。
任意で設置できる会社
上記の会社以外では、取締役会の設置は義務ではありません。しかし非公開会社であっても取締役会を置くことはできます。
任意で取締役会を設置した場合も、取締役会設置会社です。
取締役会設置会社のメリット・デメリット
会社に取締役会を設置して、取締役会設置会社として運用する場合にはメリットとデメリットがあります。
ここでは、取締役会を置くメリットとデメリットを解説します。
メリット1:意思決定を組織化できる
取締役会を設置すると、会社の重要事項を複数の取締役で審議・決定することになります。
こうすることで、経営判断が特定の1人に集中しにくくなり、複数の視点をもとに妥当性のある判断ができます。
重要な意思決定のプロセスを明確化すると、将来、説明責任を果たしやすくなります。
メリット2:ガバナンスと信用力を高めやすい
取締役会には、会社の重要な意思決定だけでなく、取締役の職務執行を監督する役割があります。取締役会を置くことで、社内統制やガバナンスを整えている会社として信用度が高くなることがあります。
金融機関、取引先、外部投資家からの評価において、意思決定の体制が整っていることはプラスに働くことがあります。
メリット3:外部の株主・IPO準備と相性がよい
外部の株主が入る会社の場合、取締役会を置くことで経営の進め方を明確にし、監督機能を整えることができます。
ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達や将来的な株式上場(IPO)を見据えているなら、取締役会設置会社は極めて相性の良い選択です。適正な決議体制や議事録の整備が自然と促されるため、投資家や審査機関に対して「組織的な管理能力」を証明する強力な材料となります。
重要な契約、資本政策、役員人事などについて、社内での承認プロセスを明確にできるという点も1つの利点です。
デメリット1:役員確保と報酬負担が増える
取締役会設置会社の場合、取締役が3名以上、監査役が1名以上必要です。
そのため、役員候補を確保する負担が増えやすく、役員報酬などのコストも大きくなります。こうした費用面や手続き面の負担はデメリットとなります。
デメリット2:招集・議事録などの事務負担が増える
取締役会を運営するには、招集通知、会議の開催、決議、議事録の作成などの事務作業が必要です。つまり、取締役会を設置して会社の運営を行うには、一定の管理体制が求められます。
そのため、人数や売上規模が小さい会社では、取締役会の維持そのものが負担になることがあります。
デメリット3:意思決定がスムーズにできなくなる
一人会社や家族経営の会社の場合、意思決定が速いことがメリットになります。
しかし、こうした会社で取締役会を設置すると、承認手続きのプロセスが増えて意思決定のスピードが落ちることがあります。
つまり、会社の規模や実情に合わないまま取締役会を設置すると、利点が失われてしまうことがあるのです。
取締役会設置会社と非設置会社の違い
取締役会設置会社と非設置会社には、役員数、意思決定のしくみ、株主総会の権限などに違いがあります。ここでは、両者の重要な違いを解説します。
| 比較項目 | 取締役会設置会社 | 取締役会非設置会社 |
|---|---|---|
| 意思決定 | 取締役会 | 株主総会・取締役 |
| 取締役の人数 | 3名以上必要 | 1名でも可 |
| 監査機関 | 原則として必要 | 必須ではない |
| 株主総会の権限 | 法令または定款で定めた事項 | 広い |
| 運営負担 | 大きい | 比較的小さい |
| 向いている会社 | 複数株主、成長企業、IPO準備会社 | 一人会社、小規模会社、家族経営の会社 |
取締役の人数
取締役会設置会社では、会社法上、取締役は3名以上必要です。これに対して、非設置会社では取締役1名でも株式会社を運営できます。
取締役の人数の違いは大きく、設立初期の会社では、そもそも必要な人数を確保できるかどうかが問題になるケースもあります。
株主総会の権限
取締役会非設置会社では、取締役会が存在しないため株主総会の権限が広くなります。
一方、取締役会設置会社では、業務執行に関する重要な判断を取締役会が担っています。株主総会は、法令または定款で定められた事項を決議する機関として位置づけられます。
取締役会設置会社は、所有と経営を分けて運営しやすい点が大きな特徴といえます。
取締役会設置会社に必要な役員構成
取締役会を設置するためには、会社法で定められた役員の人数と構成が必要です。
取締役は3名以上必要
取締役会は複数の取締役による合議が前提となるため、3名以上の取締役が必要です。これは会社法で規定されています。
つまり、取締役会設置会社には必ず3名以上の取締役が置かれているということです。
監査役は原則必要
会社法では、取締役会設置会社には監査役を1名以上置かなければならないとも定められています。
これは、取締役会による業務執行の適切性を第三者的な立場で監視するために監査役が欠かせないと考えられているためです。
ただし、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社では、監査役を置きません。
どんな会社が取締役会設置会社を検討すべきか
取締役会設置会社は、すべての株式会社に向いているというわけではありません。
会社の規模、株主の構成、資金調達の方針によって置いたほうがいいケースとそうでないケースがあります。
一人会社・家族経営なら不要なことが多い
一人会社や家族経営の会社では、株主と経営者が一致していることが多いため、取締役会を設置しなくても経営上の大きな支障は生じにくいといえます。
このような会社で取締役会を設置すると取締役を3名以上そろえる必要があり、それに伴い会議の開催や議事録の作成といった事務負担も増えます。小規模な会社では、これらの負担に比べて得られる効果が見合わないケースが少なくありません。
そのため、経営が少人数で行われている場合は、取締役会を置かないほうが合理的ということも多いです。
共同創業・複数株主なら検討してもよい
共同創業の場合や複数の株主がいる会社では、誰がどの範囲の判断を担うのかを明確にしておくことが大切です。
こうした会社では取締役会を設置することで、意思決定の過程を明確にできます。
特に、創業者が複数いる場合は、事業の方向性や資金の使い方をめぐって意見が分かれることもあります。そのようなときに、意思決定の機関と過程を明確にすることはトラブル回避にも役立ちます。
また、複数の株主がいる会社では、経営の透明性を高めて株主への説明責任を果たしやすくもなります。
銀行からの融資・取引先からの信用を重視する会社
銀行融資を受けて事業展開をしたい会社や、大口の取引先との契約を重視する会社は、経営体制の整備状況を外部から評価されることになります。
この場合に取締役会を設置していると、組織的で明確な意思決定の体制がある会社として信頼性が高くなりやすいといえます。
もちろん、取締役会の設置だけで信用が決まるわけではありません。当然ですが、実績、財務内容、事業の安定性などもあわせて評価されます。それでも、取締役会を置いて会社の内部統制や承認体制を明確にできるという点では、取締役会の設置は有利です。
VCからの資金調達・IPOの準備をしたい会社
出資を受ける会社や、将来的にIPOを目指す会社では、取締役会設置会社を早めに検討することが多くなります。外部の株主が入ると、経営判断の進め方や承認手続きを明確にする必要があるからです。
取締役会を設置することで、資本政策、重要な契約、役員人事などについて、社内の意思決定プロセスの透明性が高まります。議事録も残るため、意思決定の経緯を確認しやすくなります。
投資を受けながら事業を拡大したい会社や、上場準備を見据えている会社は、取締役会設置会社にするメリットが大きいといえます。
取締役会設置会社へ移行する手続き
取締役会設置会社への変更は、会社設立後でも可能です。
この場合、定款変更だけで終わるわけではなく、必要な役員構成の整備や登記手続きまで進める必要があります。ここでは、一般的な移行の流れを確認します。
移行手続きの流れをチェック
取締役会設置会社へ移行する際は、主に次の流れで進めます。
取締役会設置会社へ移行するときの流れ
- STEP1定款変更の内容を決める:取締役会を設置するには、定款で定める必要がある
- STEP2必要な役員をそろえる:取締役会設置会社にするには、取締役3名以上が必要。会社の機関設計によっては、監査役なども必要になる
- STEP3株主総会で決議する:定款変更や役員選任は、株主総会で決議する。定款変更は、原則として特別決議で行う
- STEP4変更登記を申請する:株主総会の決議内容に基づき、取締役会設置会社への変更登記を行う。役員の追加や変更がある場合は、その内容もあわせて登記する
- STEP5運営体制を整える:移行後は、取締役会の招集方法や議事録の作成なども必要
取締役会設置会社へ移行する場合は、取締役会を置く手続きが必要になります。この場合、定款変更、役員の選任、登記の3点が特に重要なポイントです。
【FAQ】取締役会設置会社に関するよくある質問
取締役会設置会社は取締役会を置いている株式会社
取締役会設置会社とは、取締役会を設置している株式会社の総称です。公開会社や監査役会設置会社など、会社法で設置が義務づけられている会社もありますが、一定の条件を満たせば取締役会の設置は任意でもできます。
取締役会を置くと、重要な経営判断を組織的に進めやすくなり、意思決定の透明性が高まることで対外的な信用力の向上も期待できます。一方、取締役3名以上が必要になることや、会議運営、議事録作成などの事務負担が増える点には注意が必要です。
取締役会設置会社が向いているかどうかは、会社の規模、株主の構成、資金調達の予定などによって変わります。自社に合った機関設計を選ぶためにも、必要に応じて専門家に相談しながら進めることが大切です。



















