最終更新日:2026/6/23
取締役会とは?株主総会との違い・設置義務・決議事項をわかりやすく解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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- 取締役会とは何か
- 取締役会の役割
- 取締役会のルール
会社を設立したり組織体制を整えたりする際に「取締役会を設置すべきか」で悩む人もいることでしょう。
取締役会は会社の重要な事柄を決めるものですが、すべての会社で設置しなければならないものではありません。
この記事では、取締役会の基礎知識、取締役会を設置する義務がある会社の種類、取締役会の開催方法や必要性について解説します。
制度の背景や法律上の義務も整理しながら、実際に取締役会を設置すべきか判断するための知識を身につけましょう。


目次
取締役会とは?
取締役会では、会社の業務運営に関する重要な意思決定を行います。
中小企業の場合、取締役会の設置義務はありませんが、組織の成長や事業の多様化に伴って取締役会を設置することはあります。また、法律で取締役会の設置が義務づけられている会社もあります。
業務に関する意思決定を行う
取締役会は、会社の業務運営に関わる重要事項を協議・決定する場として機能します。
たとえば、取引金額が大きな契約の承認や、新しい事業を始めるかどうか、社内の人事体制をどうするかなど、取締役会では会社の将来に関わる議題が多く扱われます。
取締役会の内容は「議事録」として残し、あとで見返したり対外的な説明をしたりするときにも活用できます。
会社法上の役割
取締役会の役割は、会社法で定められています。
取締役会の代表的な役割は、業務執行の決定、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選定・解職の3つです。
取締役会は、単に会議を開いて取締役同士が意見交換をする場ではなく、会社法上も重要な意思決定機関として位置づけられています。
業務執行の決定
取締役会は、会社の業務執行に関する重要事項を決めるための意思決定機関です。
たとえば、多額の借入れを行うかどうか、重要な財産を処分するかどうか、新たな支店や事業所を設置するかどうかなど、経営に大きな影響を与える事項について意思決定をします。
このような重要事項について、一部の取締役や代表取締役の判断に任せるのではなく、取締役会で協議することで、判断の客観性や妥当性を確保することができます。
取締役の職務執行の監督
取締役会には、取締役が適切に職務を行っているかを監督する役割もあります。
取締役会が監督機能を果たすことで、特定の取締役に権限が集中したり、取締役による不正が行われたりするリスクを減らすことができます。
代表取締役の選定・解職
取締役会設置会社では、代表取締役の選定や解職も取締役会の権限となります。
代表取締役は、会社の代表権をもつ取締役であるため、その選任は会社経営において非常に重要です。
経営体制を適切に維持するためにも、取締役会は重要な役割を担っています。
あなたの会社は取締役会を置くべき?判断基準をチェック
取締役会は、設置義務がある場合とない場合があるため「自社に取締役会を置くか」は会社経営の1つのポイントです。
また、設置する義務がない場合でも取締役会を置くほうがよいケースもあります。ここでは、取締役会を置くべきかの判断基準を解説します。
取締役会を置いたほうがよい会社
取締役会の設置義務がなくても取締役会を置いたほうがよいケースがあります。具体的には、以下のようなケースです。
- 経営判断に複数人が関わる
- 取締役が複数いる
- 事業が複数に分かれている
- 外部から出資を受ける予定がある
- 将来的に上場を目指している
- M&Aを見据えて組織体制を整えたい
上記のようなケースでは、設置義務がなくても、取締役会の設置を検討する価値があります。
取締役会を置くことで意思決定の流れが明確になり、議事録も残るため、対外的な説明もしやすくなります。
取締役会設置会社と取締役会非設置会社の違い
取締役会設置会社と取締役会非設置会社の違いについて比較表にまとめました。自社に取締役会を置くか迷ったときには、両者の違いを理解して適切に判断しましょう。
| 比較項目 | 取締役会設置会社 | 取締役会非設置会社 |
|---|---|---|
| 意思決定 | 取締役会が重要事項を決定 | 株主総会や取締役が決定 |
| 取締役の人数 | 3人以上必要 | 1人でも設立可能 |
| 監督機能 | 取締役会による監督 | 相対的に監督機能は弱くなりやすい |
| 議事録の整備 | 取締役会議事録の作成が必要 | 取締役会議事録は不要(別途、株主総会議事録や取締役の決定書などを作成) |
| 向いている会社 | 組織的な経営を行う会社 | 小規模で迅速な運営を重視する会社 |
小規模会社は取締役会を置くべきか
取締役会の設置義務がない小規模会社では、必ずしも設立時から取締役会を置く必要はありません。
小規模事業者が会社設立の段階で取締役会を置くメリットはそれほど大きくないです。

代表税理士
森 健太郎
上場を目指す企業でもない限り、設立時に取締役会を置くメリットは少ないといえます。取締役会の設置にはデメリットもあるため、多くの小規模会社は設置していないのが現状です。ただ、M&Aなどの前に設置するケースはあります。
取締役会と株主総会の違い
取締役会と株主総会はどちらも株式会社において重要な意思決定機関ですが、両者は別物です。ここでは、取締役会と株主総会の違いを確認します。
| 比較項目 | 取締役会 | 株主総会 |
|---|---|---|
| 構成メンバー | 取締役3名以上、監査役1名以上 | すべての株主 |
| 主な役割 | 業務執行に関する重要事項の決定、取締役の監督、代表取締役の選定・解職 | 会社の基本事項の決定、取締役の選任・解任など |
| 決議事項の例 | 多額の借入れ、重要財産の処分、支店の設置など | 定款変更、役員選任、計算書類の承認など |
| 位置づけ | 経営の意思決定機関 | 会社の最高意思決定機関 |
| 参加する人 | 取締役、監査役 | 株主 |
取締役会と株主総会は別の組織
取締役会と株主総会はどちらも会社にとって重要な機関ですが、その役割も構成メンバーも異なります。
株主総会は、会社に出資している株主が集まって、定款変更や役員選任など、会社の基本事項について決議するものです。取締役も株主総会で選任されます。
これに対して、取締役会は、経営を担う取締役が集まり、会社運営に関する重要事項を決定する場です。事業方針や重要な契約、代表取締役の選定などに関する意思決定は、取締役会が担います。
両者は似ているようで役割が異なるため、混同しないようにしましょう。
取締役は株主総会で選任される
取締役は、株主総会で選任されます。会社の所有者である株主が経営を誰に任せるかを、株主総会で決定するのです。
そして、株主総会で選ばれた取締役が取締役会を構成し、会社の重要な経営判断を行います。
取締役が自社の株を保有しているというケースもありますが、取締役会と株主総会は別の組織です。
どんな会社に取締役会の設置義務がある?
会社法で取締役会の設置が義務づけられている会社について解説します。取締役会はすべての会社に必要なわけではないため、自社に設置義務があるかを確認しましょう。
取締役会を必ず設置しなければならない会社
取締役会の設置が義務づけられている会社は、次の4種類です。
公開会社
公開会社とは「譲渡制限のない株式がある会社」です。公開会社に対しては、会社法で必ず取締役会の設置が義務づけられています。
公開会社では株主の数が増える傾向があり、株主総会の権限と経営を分離させて業務をスムーズにする必要があります。また、取締役会を置くことで社内でのチェック体制を強化し、経営の透明性を保つことも重要です。
監査役会設置会社
監査役会設置会社とは、複数の監査役で構成される「監査役会」を置いている株式会社のことです。監査役会を置く場合は3名以上の監査役が必要です。
監査役会は、取締役の職務執行をチェックする機関であり、取締役会の存在が前提となります。
監査等委員会設置会社
監査等委員会設置会社とは、選任された一部の取締役で構成される「監査等委員会」が監査機能を担っている株式会社のことです。
監査等委員会は取締役で構成され、取締役会でのやり取りや決定内容を直接監査します。つまり、監査等委員会設置会社でも取締役会の存在が前提となります。
指名委員会等設置会社
指名委員会等設置会社は、以下の委員会を設置している会社です。
- 指名委員会
- 監査委員会
- 報酬委員会
これらの委員会の設置も、取締役会の存在が前提となります。
設置義務がない会社でも取締役会を置いてよい
会社法で取締役会の設置が義務づけられていない非公開会社が、取締役会を設置して会社運営をすることに問題はありません。
取締役会は何を決める?
取締役会では、会社経営に大きな影響を与える重要事項を決定します。日常的な業務の細かな判断ではなく、会社全体の運営方針や組織体制に関わる事項を扱う点が特徴です。
ここでは、取締役会の主な決議事項を解説します。
代表取締役の選定・解職
取締役会では、代表取締役の選定・解職についての決議を行います。
代表取締役は、会社を代表して契約を締結したり、取引先や金融機関への対応を行なったりする立場にあるため、その選任は会社経営において非常に重要です。
また、代表取締役を選ぶだけでなく、必要であれば解職することもできます。
重要な財産の処分・多額の借財
会社にとって重要な財産を売却したり取得したりする場合や、通常の範囲を超える多額の借入れを行う場合も取締役会で決定します。
たとえば、本社ビルや事業用の土地の売却、大型設備の購入、金融機関からの高額な融資などの際に取締役会が開催されます。日常の軽微な支出ではなく、大規模な経営判断について取締役会が決定するわけです。
支店など重要組織の設置・変更・廃止
会社の支店、営業所、事業部など、会社にとって重要な組織の設置・変更・廃止も取締役会の決議事項です。
たとえば、新たに地方支店を設置して営業エリアを広げる場合や、不採算部門を見直して組織を再編する場合がこれに該当します。
取締役会の開催頻度とメンバー
取締役会の開催頻度と参加メンバーについて解説します。取締役会は設置するだけでなく、定期的に招集して開催する必要があります。
取締役会の開催頻度は3カ月に1回
会社法では、取締役会を3カ月に1回以上開催することが義務とされています。つまり、年4回以上の開催が必要です。
会社の状況や議題の多さによっては、月1回など、より頻繁に開催されることもあります。
取締役会のメンバー
取締役会に出席するメンバーは、株主総会で取締役に選任された人です。会社によっては、監査役が同席することもありますが、決議権を持っているのは取締役のみです。
そして、取締役会を設置するためには3人以上の取締役が必要とされます。つまり、取締役会の出席者は必ず3人以上ということです。
もちろん、取締役会に法務担当や現場責任者が参加するケースもあります。ただ、あくまで「補助役」であるため、決議には参加しません。
取締役会には最低3人の取締役が必要
会社法では、取締役会設置会社における取締役の人数は3名以上とされています。上限の定めはなく、社外取締役を含めることも可能です。
取締役会を開催する場所
取締役会の開催場所については法律上の定めはありません。会議室、役員フロア、支店会議室など、状況に合った場所で開催します。
最近では、本社以外のサテライトオフィスやレンタル会議室を利用することも増えており、後述するオンラインの開催でも問題ありません。
取締役会の招集通知について
取締役会を開くときには「招集通知」を出す必要があります。これは、取締役会の開催日時や場所、議題を取締役と監査役に事前に知らせるものです。
取締役会の招集通知については、会社法で1週間前までに通知すると定められています。ただし、会社の定款で別途定めることもできます。たとえば「3日前までに書面または電子メールで通知する」といった運用も可能です。
オンライン開催もできる
取締役会はオンラインでも開催できます。
取締役が適切に審議・決議できる環境であれば問題ないため、オンライン会議であっても正式な取締役会として認められます。
オンラインでも、出席者や審議内容を議事録にまとめて保存することが必要です。
取締役会議事録の作成・保存ルール
取締役会を開催した場合、取締役会議事録を作成し、一定期間保存しなければなりません。
議事録は、どのような議題を扱い、どのような結論に至ったのかを示す法的に重要な記録です。
議事録の記載項目
取締役会議事録については、法律で保存期間や内容が規定されています。
保存期間は10年で、開催日時・場所、出席者、議事の経過、決議結果などを記録し、出席した取締役および監査役はこれに署名または記名押印する必要があります。
参考:会社法 第三百六十九条 第3項|e-Gov 法令検索
参考:会社法施行規則 第百一条|e-Gov 法令検索
取締役会に関するよくある質問
取締役会は設置義務がない会社でも置くことができる
取締役会は、会社の重要な意思決定を行い、取締役の職務執行を監督する機関です。ただし、すべての会社に設置が必要なわけではなく、会社の規模や事業内容、将来展望によって最適な機関設計は異なります。
特に小規模会社では、設立時から取締役会を置かなくても問題ないケースが多いです。一方、事業拡大や外部出資、M&A、上場などを見据える場合には、取締役会を設置したほうがよいこともあります。
取締役会を設置するかどうかは、現在の会社の状況や今後の経営方針も踏まえて判断することが大切です。



















