会社設立登記の必要書類の作成方法|申請に必要な書類それぞれの書き方
ベンチャーサポート司法書士法人代表司法書士。
東京司法書士会所属(登録番号:第7627号)
1987年生まれ、香川県出身。
青山学院大学卒業後、都内の司法書士法人に補助者として勤務しながら、2014年司法書士試験に合格。合格後から今日に至るまで、相続分野を専門とし、多岐にわたる知識、経験を培う。
2018年ベンチャーサポート司法書士法人の代表社員に就任。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tana
会社設立に必要な申請書類作成の仕方
資本金払込証明書の作成
会社設立に関わる出資者は、手続きの際、資本金の払込をするのが原則です。
このような場合、会社設立登記申請をする際、その履行が完了していることを証明しなければなりません。
そのため資本金払込証明書を作成してそれを証明するのです。
株式会社を例にあげて説明すると、この証明書を作成する前、出資者である各発起人は、資本金の払込をする必要をしなければなりません。
払込は、原則銀行などの金融機関の口座へ振り込む方法により行います。
ただ、金融機関の口座名義人は誰でもよいというわけではありません。
設立手続きに関わる代表発起人の名義の口座へ原則振込をします。
資本金の払込時期は、原則定款認証後ですが、定款の作成または発起人全員の同意後でもかまいません。
発起人が引き受ける設立時に発行される株式は、定款または発起人全員の同意で定まるのがその理由です。
資本金の振込は、各発起人の氏名と振り込んだ金額が明確になるように振り込む必要があります。
また各発起人の振込総額は、定款で定められている出資財産の最低額以上でなければならないので注意しましょう。
これらの手続きが済んだら、振込をした金融機関の預金通帳をコピーします。
具体的には通帳の表紙、裏表紙、振込が確認できるページの3カ所です。
発起人の振込記録にはマーカーなどで印をつけておき、明確にしておくとよいでしょう。
またそれと同時に払込証明書を作成します。
書類上で、払込金総額、払込があった株数、1株の払込金額を明確にするのが一般的です。
また日付、本店所在地、社名、代表者名を記載し、会社の実印で押印します。
日付は、発起人全員の出資金の払込が済んだ日以降の日を記載しましょう。
最後に払込証明書と振込をした金融機関の預金通帳のコピー3部を綴じ、会社の実印で割印して完成です。
発起人の決定書の作成
会社設立手続きの際、定款で本店所在地を定めなければなりませんが、基本的に最小行政区画である市区町村まで定めることになります。
具体的な本店所在地は、発起人など出資者の決定によって定めることになるのです。
また会社の公告方法を電子公告にする場合、広告するためのURLを定めなければなりません。
電子公告を行うためのURLの決定も発起人などが行うことになります。
そのため会社設立登記申請の必要書類として、具体的な本店所在地や電子公告を行うためのURLの決定した旨の書類を作成するのです。
発起人の決定書とは、株式会社の設立手続きの際、これらの事項を決定した旨の書類で、株式会社設立登記申請の際に原則提出することになります。
発起人の決定書には、まず発起人が、決議した場所である本店所在地と日付を記載します。
この時に記載する日付は、定款を作成した日が望ましいでしょう。
次に発起人の決定事項として、本店の具体的所在場所を記載します。
また会社の広告方法を電子公告とする場合、URLも記載することになります。
これらは登記事項となるので、間違いがないように、正確に記載しなければなりません。
もし間違いがあると登記申請後、訂正の対象となるので、注意しましょう。
発起人の決定事項の下には、書類作成日を記載します。
この日付は、払込証明書に合わせるのが望ましいです。さらに発起人の住所氏名を記載し、その右側に個人の実印で押印します。
登記手続き上の訂正をスムーズにするため、捨印を押印しておくとよいでしょう。
本店所在地の具体的所在場所の決定は、発起人の過半数の一致が必要で、電子公告のURLは、代表発起人単独で決定することができます。
そのため発起人の決定書には、最低でも過半数の発起人の署名押印がなければなりません。
就任承諾書の作成
会社では、日々の業務を決定したり、行ったりする役員が必要です。
そのため会社設立の手続きにおいて、設立時取締役や業務執行社員などの役員を選任します。
しかし会社と役員は、民法の規定にある委任の関係にあります。
役員に選任された者が、就任することを承諾して、始めてその地位に就くのです。
そのため役員に選任された者が、就任承諾したことを証明する必要があるので、会社設立登記の必要書類として、就任承諾書が要求されています。
株式会社の設立手続きの場合、役員は定款で選任されるのが一般的です。
就任承諾書の作成は、まず選任された旨と承諾をした旨を記載し、日付は定款作成日を入れます。
また設立時取締役、設立時代表取締役、設立時監査役など、どの役職に就いたのか明確にするために、役職名の記載も必須です。
その下には、就任承諾した者の住所と氏名を記載し、右側に個人の実印を押印することになるのです。
最後に設立する会社名を、御中宛で記載します。
就任承諾書作成の注意点ですが、設立時代表取締役の場合、選任ではなく選定の文言を使用しなければなりません。
それから就任承諾した者が個人の実印で押印する場合、印影が鮮明になるようにしましょう。
また会社設立登記申請の際、役員の印鑑証明書または住民票など本人確認資料を提出しなければなりません。
そのため住所と氏名の記載は、就任承諾書と印鑑証明書や住民票が一致していなければならないのです。
したがって就任承諾書に記載する住所と氏名は、印鑑証明書や住民票のとおり、正確に記載しましょう。
株式会社設立登記申請書の作成
会社設立を含む商業法人登記申請書の記載事項は、商業登記法によって定められています。
具体的には登記の事由、登記すべき事項、添付書類、課税標準や登録免許税額です。
その他、登記申請する会社の社名、本店所在地、代表者の氏名と住所、申請年月日、申請先の法務局名も記載します。
株式会社設立登記申請書を作成する場合、表題には、株式会社設立登記申請書と少し目立つような形で、大きく記載するのが一般的です。
登記の事由は、どのような登記を申請するのかを記載しなければなりません。
株式会社設立登記の場合、年月日発起設立(募集設立)の手続き終了となり、年月日は、資本金払込証明書の作成年月日を入れます。
登記すべき事項は登記する内容の明らかにする部分ですが、こちらは直接登記申請書に記載しません。
課税標準は資本金の額で、株式会社の登録免許税は、資本金に1000分の7を乗じた額です。
ただその額が15万円未満の場合は、15万円となります。
添付書類には、株式会社設立登記申請書と一緒に提出する書類を記載し、あわせて通数を明らかにしなければなりません。
申請年月日は登記申請を行う日付を入れる必要があります。
株式会社設立登記申請の場合、会社の設立日がそれに該当します。
申請年月日の下には、登記申請する会社名と代表者の他、連絡先の電話番号を記載しなければなりません。
これは登記申請後、不備があって訂正が必要になった場合、その旨を申請人へ連絡できるようにするためです。
連絡を取れればよいので、必ずしも固定電話番号ではなく、携帯電話番号でもかまいません。
また登記申請する場合、申請人は、登記申請書へ印鑑を押印する必要があります。
したがって、会社名と代表者名の右側に会社の実印で押印します。
その際、スムーズに登記申請の訂正が行えるよう、捨印を押印しておいたほうがよいでしょう。
磁気ディスク作成と製本時の注意点
会社設立登記申請書の記載事項の中で、登記すべき事項だけは、別に提供することになります。
具体的には、CD-RまたはCD-ROMなどの磁気ディスクを使用して作成するのが一般的です。
法務局側も申請された登記の事務処理を迅速かつ正確に行えるので、このような方法で手続きすることが多くなっています。
磁気ディスクは、まず登記すべき事項の記載事項である登記する内容を、テキストファイルを使用して作成していきます。
その際、使用する文字はすべて全角文字でなければなりません。
登記すべき事項の作成が完了したら、磁気ディスクへ保存します。その媒体に会社名を記載したシールを貼れば完了です。
これによって、提出された磁気ディスクが、どの会社の登記申請に関するものなのか、法務局側も確認できます。
また登記申請書と必要書類がすべて整ったら、製本をしなければなりません。
製本は登記申請書や必要書類を綴じる方法で行います。
綴じる順序は、法律で決められているわけではありませんが、登記申請の慣例によってある程度決められています。
株式会社設立の登記申請書類を例に出して説明すると、まず登記申請書を一番上にして、その下に登録免許税を貼付する台紙を持ってきます。
台紙の下に必要書類を並べますが、定款、発起人の決定書、就任承諾書、印鑑証明書の順に並べ、最後を資本金払込証明書にして綴じるとよいでしょう。
登記書類は、2カ所をホチキスで止めることによって行います。また登記申請書と台紙を会社の実印で割印することも忘れないようにしましょう。
印鑑届書の作成
会社設立登記申請をする場合、代表者は会社の印鑑登録をしてもらうため、法務局へ届出しなければなりません。
これにより、登録した印鑑を会社の実印として利用でき、印鑑証明書を発行してもらうことも可能になります。
この手続きは、印鑑届書を作成し、法務局へ提出することによって行います。
印鑑届書の作成は、原則上側の太枠部分に必要事項を記載して作成しなければなりません。
右上の部分には社名、本店所在地、印鑑提出者の資格、氏名、生年月日などを記載します。
ただ会社設立の場合、会社法人等番号はまだないので、この部分は白紙でかまいません。
左上の四角で囲まれた部分には、実印登録する会社の印鑑を押印します。
登録後、発行可能になる印鑑証明書には、この印影が載るので、鮮明になるように押印したほうがよいでしょう。
印鑑届書の太枠部分の下側に、届出人の住所と氏名の記載欄がありますが、この部分は原則印鑑提出者本人のものを記載します。
また横にある四角の部分には、印鑑提出者個人の実印の押印が必要です。
まとめ
会社設立登記申請書類は、作成しなければならない書類も多いです。
またそれぞれの書類を作成する場合、記載する日付の時期や記載事項など、注意しなければならない点も少なくありません。
作成した書類に不備があると、法務局側から訂正や取下げを命じられてしまいます。
したがって、法に反していないか否かを確認しながら、ゆっくりと確実に作成していくことが大切だといえるでしょう。
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