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最終更新日:2022/6/6

2020年11月更新 新設法人動向から見る「東京・横浜・大阪・仙台・名古屋・福岡 業種別設立ランキングと考察」

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

これから法人を設立して事業を開始しようとする人にとって、他にどのくらいの法人が設立されているのか、そしてその業種はどのようなものがあるのか、非常に気になることと思います。

地域ごとの特色や傾向があれば、あらかじめ知っておきたいと考えるかもしれません。

また、2020年は世界的な新型コロナ感染拡大の状況を考えると、新設法人数が減少する可能性が高いと考察できます。

そこで、当社のデータから地域ごとの新設法人動向を分析してみました。

すでに法人を経営している人も、これから法人を設立しようとしている人も、ある時はライバルとなり、またある時はビジネスパートナーとなる可能性もある新設法人について知る機会となるはずです。

東京商工リサーチ 業種別 全国新設法人動向 2020年調査

地域ごとの動向を知る前に、東京商工リサーチの「2020年1-8月「全国新設法人動向」(速報値)」から、全国で新設された法人の動向を確認しておきましょう。

「2020年1-8月「全国新設法人動向」(速報値)」かは、東京商工リサーチの企業データベース(390万社)から、2020年1-8月に新しく設立された法人について分析したものです。

この調査によれば、全国で2020年1月から8月に設立された法人の数は8万4,718社(前年比3.0%減)で、前年を下回る可能性が出てきました。

2020年はやはり、新型コロナの影響が出ているといってよいでしょう。

東京商工リサーチ「2020速報 新設法人年次推移」

東京商工リサーチ「新設法人年次推移」

新設法人数の増加率を産業別でみると、トップはサービス業他の34684社(6.78%減)であり、ついで建設業の9931社(0.43%減)、不動産業の9105社(0.8%増となっています。

東京商工リサーチ「2020速報 新設法人 産業別」

東京商工リサーチ「新設法人年次推移」

一方、新設法人数の減少率1位はプラスチック製品製造業で、前年の120社から71社にとどまり下落率は40.83%、2位は宿泊業で、前年の780社から515社にとどまり下落率は33.97%、3位は鉄鋼業で、前年の43社から29社にとどまり、下落率は32.55%となっています。

当社「業種別 東京 新設法人動向」2020年1月から11月調査

ここからは、当社のデータから地域別の新設法人動向を分析していきます。

まずは、当社が関わって設立した法人の件数が一番多い東京です。

東京新設法人データ

当社の最新の2020年1月から11月の集計によれば、設立件数の多いものは、

業種別に設立件数の多いものから見ていくと、

  1. 商品販売
  2. コンサル系
  3. 建設業/工事系
  4. システム/ソフト開発

となっています。

このうち商品販売は、1月から毎月堅調に推移していましたが、6月になって一気に新設件数が前月までの3分の1程度に落ち込みましたが、8月になって1月水準まで戻り11月も好調です。

また建設業/工事系も、2月頃までは順調に新設件数を増やしていましたが、特に4月以降では大きくその件数が減っていますが、また6月から11月は順調に件数を増やしています。

これらの減少は、新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う緊急事態宣言、そして東京オリンピックの開催延期の決定などが背景にあると思われます。

ただ、一方で上位にランクインしている「システム/ソフト開発」「ウェブ系」などは、新型コロナウイルスの感染予防のために企業が実施した出勤規制やリモートワークの拡大により、その数が増加しているようにも思われますが、実際には5月以降の新設件数は増加の月と、それほど増加していない月があり、ばらつきを感じます。

この点は、新型コロナウイルスの感染拡大により、既存の企業の営業活動が停滞してしまっているという見方もできるでしょう。

当社「業種別 横浜 新設法人動向」2020年1月から11月調査

2020年1月から11月の11か月間に、横浜で当社が設立に関わった法人です。

横浜新設法人データ

業種別に設立件数の多いものから見ていくと、

  1. 商品販売
  2. 建設業/工事系
  3. 介護/障害者支援
  4. システム/ソフト開発
  5. コンサル系

となっています。

2位となった「建設業/工事系」については、東京と同じく1月・2月の件数に対して3月の件数はそれほど伸びておりませんでしたが、、7月から11月は平均的に1月水準まで戻ってきました。

また、5位となった「コンサル系」についても、新設件数は平均して安定しています。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大で注目された飲食店については、4月以降の新設件数がゼロとなっておりましたが、7月から新設件数が徐々に1月水準に戻ってきており、今後に期待ができる状況が見えてきました。

当社「業種別 大阪 新設法人動向」2020年1月から11月調査

2020年1月から11月の間に設立された法人のうち、当社が大阪で関わった法人の業種は下記です。

大阪新設法人データ

業種別に設立件数の多いものから見ていくと、

  1. 商品販売
  2. 建設業/工事系
  3. コンサル系
  4. 美容系

となっています。

大阪は東京と同じく、あるいはそれ以上に海外からの旅行客によるインバウンド効果を大きく受けている地域でした。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により海外からの旅行客は4月以降ほぼゼロとなり、その影響は商品販売や飲食店をはじめ、あらゆる業種に波及した結果となっています。

また、「ウェブ系」「営業代行」が8位 9位にランクインしていますが、これは対面営業が難しくなった状況の中で、おもに対面以外のマーケティングを行う法人が設立されているものと推察されます。

当社「業種別 仙台 新設法人動向」2020年1月から11月調査

2020年1月から11月の間に設立された法人のうち、当社が仙台で関わった法人の業種は次の通りです。

仙台新設法人データ

業種別に設立件数の多いものから見ていくと、

  1. 建設業/工事系
  2. 商品販売
  3. コンサル系
  4. 不動産

となっています。

仙台でこの期間内に当社が設立に関与した法人のうち、35%程度が「建設業/工事系」の法人です。

仙台は、都会としての一面と地方としての一面の両面を持つ地域といえますが、地域経済において建設業が占めるウエイトは、都会におけるものと比較しても非常に大きなものであることが、この法人の新設件数を見てもわかります。

この「建設業/工事系」の新設件数についても、3月以降は1月・2月の件数と比較すると鈍化していることから、現在だけでなく今後数年にわたって、地域経済にどのような影響があるのか注目されるところです。

当社「業種別 名古屋 新設法人動向」2020年1月から11月調査

2020年1月から11月の間に設立された法人のうち、当社が名古屋で関わった法人の業種を見てみます。

名古屋新設法人データ

業種別に設立件数の多いものから見ていくと、

  1. 商品販売
  2. 建設業/工事系
  3. 不動産
  4. コンサル系
  5. 貿易

となっています。

1位となった「商品販売」は、他の地域と同様、新型コロナウイルスの感染拡大が全国的となった4月以降大きくその数を減らしました。

ただし、6月以降にはその数が1月・2月時点水準まで持ち直しています。

「建設業/工事系」やコンサル系も、3月までの新設件数に対して4月以降の新設件数は減っていますが、6月以降の件数は若干持ち直している傾向がありましたが、8月ころからまた低い水準となっています。

当社「業種別 福岡 新設法人動向」2020年1月から11月調査

2020年1月から11月の間に設立された法人のうち、当社が福岡で関わった法人の業種は下記です。

福岡新設法人データ

業種別に設立件数の多いものから見ていくと、

  1. 建設業/工事系
  2. 商品販売
  3. 運送系
  4. 介護/障害者支援
  5. システム/ソフト開発

となっています。

「商品販売」「建設業/工事系」が上位になっているのは、他の地域と大きな違いはありません。

ただ、1か月あたりの新設件数を見ると6月が最高となっている点で、他の地域とは大きな違いがあります。

九州地区の中心都市として、新型コロナウイルスの影響からいち早く脱しつつある傾向とみることもできそうです。

一方で、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた飲食店は、4月以降しばらく法人の設立がない状態が続いていましたが、6月以降回復しています。

地元の飲食店の経営状況が福岡の経済に与える影響も大きいため、新型コロナウイルスによる経済の停滞から回復できるかどうかのカギを握っていると考えられます。

まとめ

2020年の3月頃から、全国的に新型コロナウイルスの感染拡大、そして緊急事態宣言と休業要請が行われ、既存の法人も大きな影響を受けました。

このような状況の中で、特に建設業/工事系、飲食店などの業種が大きな影響を受けています

また、今のところ大きく売り上げを減らしていない業種でも、今後の個人消費の落ち込みや海外からの旅行客の減少を見込んで設備投資や広告を控える動きがあり、そのような影響が様々な業種に波及しています。

しかし、2021年年明けからはワクチン接種が始まるといったニュースや、オリンピックも控えていることから、良い景気傾向進んでいくことも期待できるでしょう。

新型コロナウイルスの影響は全体的にマイナスに影響しているように思われますがこの状況を逆にチャンスとして、在宅勤務やステイホームなど新しい生活様式のニーズを狙った法人を設立する動きもみられました。

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