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最終更新日:2026/6/18

法人口座開設を断られる理由と対処法:事業実績がなくても審査を通る方法とは

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

法人口座開設を断られる理由と対処法:事業実績がなくても審査を通る方法とは

法人口座の開設を断られた、あるいは審査に通るか不安を感じている方は少なくありません。
特に設立直後の法人は事業実績がないため、「口座がなければ取引を始められないのに、実績がないと口座を作れない」という状況に戸惑う方が多くいらっしゃいます。

しかし、銀行が審査で確認しているのは、単に売上実績があるかどうかだけではありません。
口座が不正に利用されるリスクがないかを確認することが審査の主な目的であり、「事業を行う意思と準備の裏付け」を示すことができれば、創業直後であっても問題なく審査を通過できます。

この記事では、法人口座開設を断られる際によくある7つの要因や、事業実績がない段階で何をどう準備すべきか、断られた後にどう再チャレンジすべきかについて具体的にお伝えします。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

目次

法人口座開設を断られるとどうなるか

法人口座の開設は法律上の義務ではなく、個人口座のまま法人の取引を行うこと自体は違法ではありません。
ただし、個人口座での運用にはさまざまなリスクと実務上の負担が伴います。

ここでは、法人口座がない状態で事業を行う場合に何が起こるのかを整理したうえで、法人口座が開設できるまでの期間をどう乗り越えるかについて解説します。

個人口座のまま法人取引を行うリスク

法人口座の開設を断られた場合、当面は代表者個人の口座を使って事業の入出金を行うことになります。
個人口座で法人取引を行うこと自体は法律上禁止されていませんが、実務上はいくつかのリスクが生じます。

取引先からの信用低下

個人口座を利用していると、請求書の発行名義は法人名であるにもかかわらず、振込先の口座名義が個人名になります。
取引先から見れば「名義が違うが、この振込先で間違いなのか、法人口座が作れない理由があるのか」という疑念が生じ、支払い手続きの段階で確認の手間や心理的な不安を与えることになります。

取引の入口で信用を損ねてしまうと、受注機会そのものを逃す可能性があります。
特に法人間の取引では、法人との取引を条件にしている企業も少なくありません。
そうした企業と取引を行う際に、口座名義が個人名義だと、確認に時間を要し入金が遅れるといった悪影響が想定されます。

会計処理の煩雑化とミスのリスク

個人口座で法人の取引を行うと、同じ口座の中に事業の入出金と個人の生活費が混在します。
この状態で会計処理を行う際には、ひとつひとつの取引について「法人の経費か、個人の支出か」を区分しなければなりません。

取引の数が増えるほど仕訳の手間は膨らみ、区分を誤れば経費の過大計上や売上の計上漏れにつながります。

税務調査時の不利益

法人の税務調査では、法人の帳簿書類や通帳だけでなく、法人取引との関連が疑われる代表者個人の口座についても確認を求められる可能性があります。

特に、法人の売上が代表者個人の口座に入金されている場合、入金毎に売上か私用の入金かの確認が必要となり、時間がかかる傾向があります。

さらに売上の計上が漏れていた場合は、「意図的に売上を除外していた」と税務調査官に判断され、隠蔽・仮装として重加算税の対象となるリスクもあります。

法人口座がない期間の実務対応と注意点

法人口座の審査に時間がかかっている場合や、一度断られて再申請までの準備期間が必要な場合でも、事業自体を止める必要はありません。

法人口座が開設できるまでの間、代表者個人の口座で法人の取引を行うケースは珍しくなく、それ自体が法律で禁じられているわけではありません。

ただし、すべての入出金について「取引先名」「取引内容」「法人の経費か個人の支出か」を都度記録しておきましょう。

代表者と法人の間の資金移動は「役員借入金」「役員貸付金」として処理する

個人口座から法人の経費を支払った場合、その支出は会計上「役員借入金」(法人が代表者から借りた形)として処理します。
反対に、法人名義の口座から代表者が私的(生活費のためなど)に引き出した場合は「役員貸付金」(法人が代表者に貸した形)として処理する必要があります。

これらの処理を怠ると、法人と個人の資金の境界があいまいになり、税務調査で指摘を受けるリスクが高まります。

法人口座開設を断られるよくある要因

法人口座の審査で銀行が確認しているのは、「この法人が事業を行う意思と準備を持っており、口座を不正に利用する可能性が低いかどうか」です。

銀行は犯罪収益移転防止法に基づき、口座開設時に法人の本人特定事項や事業内容、取引の目的、実質的支配者を確認する義務を負っています。
この確認は「取引時確認」と呼ばれ、マネー・ローンダリングやテロ資金供与に口座が悪用されるリスクを排除することが目的です。

参考:犯罪収益移転防止法に関するよくある質問・回答|一般社団法人 全国銀行協会
参考:金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について|金融庁

この前提を踏まえると、断られる要因とその対策が理解しやすくなります。
ここからは、法人口座開設を断られる6つのよくある要因について解説します。

その1:事業内容が不明瞭で、何をしている会社か判断できない

銀行の審査担当者は、提出された書類と面談の内容から「この法人が何をしている会社なのか」を判断します。

事業内容が明確に伝わらない場合、銀行はその口座が正当な事業に使われるかどうかを確認できません。

たとえば事業の説明が「コンサルティング業」「IT関連事業」といった短い説明だけの場合、銀行の審査担当者は事業のくわしい中身を理解できません。
コンサルティングとひと言でいっても、それが経営コンサルティングなのか、ITシステムの導入支援なのか、個人向けのキャリア相談なのかによって、事業の性質はまったく異なります。

書類作成や面談の際には「誰に」「何を」「どのように」提供するのかが伝わる説明を心がけましょう。

その2:定款の事業目的が広すぎる・実態と一致しない

定款の事業目的は登記事項証明書にも記載されるため、審査担当者が「この会社は何をしている会社か」を判断する最初の手がかりになります。

ここで問題になりやすいのは、事業目的の数が多すぎるケースです。
会社設立時に「将来やるかもしれない事業も入れておこう」と考え、関連性の薄い事業目的を10個以上並べる人も少なくありません。

しかし銀行の審査では、事業目的が多岐にわたるほど「本当はどの事業を行うのか分からない」「実体のないペーパーカンパニーではないか」という疑念につながります。
特に、実際に行う予定のない事業目的が多数含まれていると、定款の内容と実態の乖離が大きくなり、審査担当者の不信感を招きやすくなります。

もう1つ注意が必要なのは、定款の事業目的と実際の事業内容が一致していないケースです。
たとえば、定款上は「飲食店の経営」が主たる事業目的であるにもかかわらず、実際にはWebマーケティング事業を行おうとしている場合、審査担当者は「この法人の事業実態がつかめない」と判断します。

定款を作成する際には、事業の実態に即した事業目的を記入するようにしましょう。

その3:代表者個人の信用情報に問題がある

法人と代表者は法律上別の人格ですが、法人口座の審査では代表者個人の信用情報が確認される場合があります。

銀行口座の開設は融資ではないため、CIC・JICC・KSCといった信用情報機関への照会が必ず行われるわけではありません。
しかし、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認の一環として、代表者の本人確認や経歴の確認は行われます。

その過程で、過去の金融トラブルが判明した場合、銀行は「この法人の口座管理を信頼してよいか」という判断に慎重になる可能性があります。

審査に影響を与えうる信用情報の具体的な内容は以下のとおりです。

信用情報の種類 具体的な内容
長期延滞 クレジットカードやローンの支払いを61日以上または3か月以上延滞した記録
債務整理 任意整理・個人再生・自己破産などの手続きを行った記録
代位弁済 保証会社が本人に代わって返済を行った記録
強制解約 カード会社やローン会社から契約を強制的に解約された記録

これらの情報は、信用情報機関や事故の種類により異なりますが、おおよそ5年から7年間は保存されます。

もっとも、事故情報が登録されている場合でも、法人口座の開設が一律に不可能になるわけではありません。
事業計画書や取引実績など、法人としての信頼性を示す材料を充実させることで、代表者個人の信用情報のマイナスを補える場合があります。
また、信用金庫やネット銀行など、創業期の法人に対して柔軟な審査を行う金融機関を選ぶことも選択肢の1つです。

その4:資本金が極端に少ない・実質的支配者を説明できない

以前は会社を設立するためには、一定以上の資本金が求められました。
しかし会社法の改正により、現在は資本金1円でも会社の設立が可能になっています。

とはいえ、法人口座の審査において、資本金の額は法人の財務的な基盤を示す指標の1つとして確認されます。
資本金が数万円程度など極端に少ない場合、銀行は「この法人は事業を行うための資金的裏付けがない」と判断する可能性が高く、口座開設に慎重になりがちです。

また、代表者以外の第三者から多くの出資を受けている場合(実質的支配者と代表者が異なる場合)や、資本金の額に対して代表者の経歴・収入との整合性が取れない場合は、説明を求められることがあります。

資本金の額について一般的な目安としては、業種や事業内容にもよりますが、およそ100万円程度を確保しておくと、審査において「事業を行う意思と準備がある」と判断されやすくなります。

その5:登記住所で事業が行われていることを確認できない

銀行は口座開設の審査にあたり、法人が登記上の住所で実際に事業活動を行っているかどうかを確認します。

これは、架空の住所で法人を登記し、口座を不正に利用するケースを防ぐための確認です。

近年は本店所在地としてバーチャルオフィスを利用する人も多いですが、バーチャルオフィスの住所は複数の法人で共有されているため、銀行から見ると「その住所にその法人が実在するのか」を個別に確認しにくい状態です。
また、過去にバーチャルオフィスは詐欺などの犯罪目的で利用された事例もあるため、金融機関は口座開設に対して慎重な態度を取りがちです。

しかし、バーチャルオフィスを登記住所として利用すること自体は違法ではなく、それだけを理由に口座開設を断られるわけではありません。
郵便物の転送、法人名での電話応対など、事業実態を補完できるサービスを備え、法人口座を開設した実績も公開されているバーチャルオフィスであれば、口座開設できる金融機関も数多くあります。

また、バーチャルオフィスによっては運営会社が金融機関と連携し、口座開設の紹介制度を設けているケースもあります。
バーチャルオフィスを検討する際には、こうしたサービスについても確認しておきましょう。

その6:提出書類に不備や矛盾がある

事業実態に問題がなくても、提出書類の不備や矛盾が原因で審査を通過できないケースがあります。
法人口座の開設に必要な書類は金融機関ごとに異なりますが、一般的には以下の書類の提出を求められるケースが多いです。

  • 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
  • 定款
  • 法人の印鑑証明書
  • 代表者・来店者の本人確認書類
  • 実質的支配者の申告に関する書類
  • 事業内容や事業実態が分かる資料

「登記事項証明書に記載された本店所在地と、申込書に記入した住所が異なっている。」
「定款の事業目的と、事業計画書に記載した事業内容がかみ合っていない。」
「代表者の本人確認書類の住所と、申込書の代表者住所が一致しない。」

こうした情報の不一致は、単純な記入ミスであっても、審査担当者にとっては「申告内容に信頼性がない」と判断する要因になります。

また、多くの金融機関では、登記事項証明書について「発行日から3カ月(金融機関によっては6カ月)以内のもの」を求めています。
設立登記の完了後に時間が経ってから口座開設を申し込む場合は、改めて取得し直す必要があります。

審査が比較的柔軟な金融機関の選び方

法人口座の審査基準は、金融機関ごとに異なります。
ある銀行で断られたとしても、別の銀行では問題なく開設できたというケースは珍しくありません。

ここでは、「断られるリスクを下げるための金融機関選び」に絞って解説します。

金融機関のタイプによって審査の厳しさは異なる

法人口座を開設できる金融機関は、大きく分けて都市銀行(メガバンク)、地方銀行・信用金庫、ゆうちょ銀行、ネット銀行の4タイプがあります。
それぞれの審査傾向を簡潔に整理すると、以下のようになります。

金融機関のタイプ 審査の傾向
都市銀行(メガバンク) 審査基準が厳格
地方銀行・信用金庫 地域の中小企業を主な取引先としており、都市銀行より柔軟な傾向
ゆうちょ銀行 全国に店舗があり、口座開設の窓口が身近。審査が比較的ゆるやかな傾向
ネット銀行 オンライン完結型で、必要書類が少なく審査スピードが速い傾向

この表はあくまで一般的な傾向であり、同じタイプの金融機関であっても個別の銀行によって審査基準は異なります。

ただし、まずはネット銀行や地方銀行・信用金庫など、創業期の法人に対する審査が比較的柔軟な金融機関から申し込むほうが、口座を確保できる可能性は高まります。

ネット銀行の審査が柔軟とされる理由

創業直後の法人にとって、ネット銀行は都市銀行や地方銀行・信用金庫と比べて審査を通過しやすい傾向があります。
これは審査そのものが甘いわけではなく、店舗型の金融機関で求められる確認項目の一部が、ネット銀行では不要になるためです。

たとえば、都市銀行や地方銀行・信用金庫では、支店での対面面談、固定電話番号の保有、物理的な事務所の実態確認などが審査プロセスに含まれることがあります。
ネット銀行では、これらの項目が確認対象になっていない場合が多いため、そのぶん審査で引っかかるポイントが少なくなります。

もちろん、事業内容の説明やホームページの整備といった基本的な準備は必要です。
ただし、店舗型の金融機関で断られた方が、同じ書類と準備でネット銀行に申し込んだところ審査を通過できたというケースは珍しくありません。

ネット銀行だけで十分かどうかは、事業の状況による

ネット銀行は口座開設のハードルが低く、振込手数料も安いため、創業直後の法人が最初に開設する口座として合理的な選択肢です。
ただし、ネット銀行だけで事業を運営し続けることが最適かどうかは、事業の発展段階によって変わります。

たとえば、将来的に融資を受けることを視野に入れている場合、地方銀行や信用金庫に口座を持ち、日常の取引実績を積んでおくことが、融資審査で有利に働く場合があります。
また、取引先によっては、振込先がネット銀行のみであることに対して信用面で懸念を示すケースもゼロではありません。

「事業実績がない」段階で事業実態をどう示すか

法人口座の審査では「事業実態の確認」が求められます。
しかし、設立直後の法人にとっては「口座がなければ取引を始められないのに、取引実績がないと口座を開設できない」という矛盾に直面することになります。
この構造が、多くの創業者がつまずくポイントです。

「事業実態を示してください」と言われると、売上や契約書などの「実績」を求められているように感じるかもしれません。
しかし、銀行が本当に確認したいのは、その口座が正当な事業活動に使われるかどうかです。

法人成りの場合:個人事業時代の実績を活用する

個人事業主から法人成りした場合は、個人事業時代の取引実績が審査における強力な材料になります。
法人としては設立直後であっても、「すでに事業を営んできた実績がある人物が、その事業を法人化した」という文脈を銀行に伝えることができれば、事業実態の証明は比較的スムーズに進みやすいです。

具体的な書類としては、以下のようなものがあげられます。

法人成りの際に用意しておきたい書類

  • 個人事業時代の確定申告書
  • 取引先との契約書・発注書・請求書
  • 個人事業の開業届出書の控え
  • ホームページやポートフォリオ

新規創業の場合:取引実績ゼロでも用意できる書類と準備とは

新規創業の場合、まだ売上や取引実績がないことは珍しくありません。
そうした状態では、「どのような事業を行う会社なのか」「実際に事業を開始する準備が進んでいるのか」「口座をどのような目的で利用するのか」が重要になります。

具体的には、以下のような資料があると事業実態を示しやすくなります。

確認されやすい内容 用意できる資料の例
会社が実在すること 登記事項証明書、法人番号、法人設立届出書、所在地が分かる資料
事業内容・売上見込み・資金の流れを説明できること 創業計画書、会社概要資料
商品・サービスが具体的であること ホームページ、サービス資料、料金表、提案書、パンフレット
事業開始の準備が進んでいること 仕入れ予定、外注先とのやり取り、見積書、契約予定先とのメール、設備やツールの契約資料
入出金の予定を補足できること 想定取引先、売上見込み、仕入・外注費の予定、入金・支払いサイクル

これらの資料の中でも、金融機関側が資料として重要視する傾向が強いのが、創業計画書です。

創業計画書には、事業を始める理由、提供する商品・サービス、想定する顧客、販売方法、仕入先・外注先、必要資金、売上や経費の見込みなどを記載します。
取引実績がない段階でも作成でき、事業内容や資金の流れを整理して説明しやすくなります。

創業計画書はどこまで作り込むべきか

創業計画書は、本来は融資を申し込む際などに作成する資料です。
法人口座の審査の場合、融資審査ほど精緻な財務計画は求められにくいですが、かといって提供する商品・サービスの具体的な内容などの情報量が十分でないものは、資料として認められないこともあります。

創業計画書を作成する際には、日本政策金融公庫が公開しているテンプレートの使用をおすすめします。
融資用の書式ですが、事業内容を体系的に整理できる構成になっているため、法人口座の審査用資料としても活用できます。

参考:創業計画書|日本政策金融公庫(PDF)

作り込むべきポイントと、そこまで求められないポイントを整理すると、以下のようになります。

項目 法人口座の審査で求められる水準
1:創業の動機 簡潔で構わない。なぜこの事業を始めるのかを伝える
2:経営者の略歴等 その事業を行う能力・知見があることを裏付ける職歴や実績を記載する
3:取扱商品・サービス 最も重視される項目。「誰に」「何を」「どのように」「いくらで」提供するのかを、第三者が読んで理解できる具体性で記載する
4:従業員 現時点の状況(代表者のみ、または雇用予定の有無)を正確に記載する
5:取引先・取引関係等 想定する顧客層や取引先の業種・規模を記載する。確定した取引先がある場合は明記する
6:関連企業 該当がなければ「なし」で問題ない。グループ会社や関連法人がある場合は正確に記載する
7:お借入の状況 代表者個人の借入がある場合は正確に記載する。虚偽の記載は信頼性を損なうため、事実をそのまま書く
8:必要な資金と調達方法 おおまかな金額感があれば十分。融資審査のような精緻な積算は不要だが、資本金の額や使途と整合していること
9:事業の見通し(月平均) 大まかな売上・経費の見通しを記載する。根拠のない楽観的な数字は避け、現実的な範囲にとどめる
10:自由記述欄 許認可の取得状況、事業準備の進捗、取引先との商談状況などを補足する欄として活用する

提出書類間の整合性は審査全体を通じて確認されるため、創業計画書に記載する事業内容は、ほかの書類と一致させてください。

面談で事業内容を説明する際のポイント

法人口座の開設を申し込む場合、支店での対面面談が審査プロセスに含まれることがあります。

面談の際、審査担当者は主に以下のような点を確認しようとしています。

面談で審査担当者が確認するポイント

  • この法人がどのような事業を行うのか
  • 代表者が事業内容を具体的に理解し、説明できるか
  • 口座の利用目的(主な入出金の内容、取引先、取引の頻度)
  • 提出書類の内容と、口頭での説明に矛盾がないか

たとえば、審査担当者の「どのようなお仕事をされていますか」という質問に対して、「ITコンサルティングです」とだけ答えても、担当者はそれ以上の判断材料を持てません。

「中小企業向けに、業務効率化のためのITシステムの導入支援を行っています。具体的には、◯◯というサービスを月額◯万円で提供しており、現在◯社との商談が進んでいます」というように、聞かれる前に具体的な情報を伝えるようにしましょう。

法人口座の使い道についても「主な取引先は◯◯社で、月に◯件程度の入金を見込んでいます」「仕入先への支払いが月に◯万円程度発生する予定です」など、入出金の具体的なイメージを伝えられると、審査担当者は口座の利用目的を理解しやすくなります。

法人口座開設を断られたときの対策

法人口座の開設を断られても、それで口座開設の道が閉ざされるわけではありません。
原因を特定し、改善したうえで再申請すれば、審査を通過できる可能性は十分にあります。

また、同じ銀行にこだわらず、別の金融機関に申し込むという選択肢もあります。

口座開設を断られた原因の分析

法人口座の審査に落ちた場合、原則として銀行は具体的な理由を開示しません。
そのため、原因の特定は自分自身で行う必要があります。

以下の表を順に確認し、該当する項目がないかを洗い出しましょう。

チェック項目 確認内容
事業内容の説明 提出書類や面談で、「誰に」「何を」「どのように」提供するかが第三者に伝わる水準で説明できていたか
定款の事業目的 事業目的の数が多すぎないか。実際の事業内容と定款の記載にずれがないか
代表者の信用情報 クレジットカードやローンの延滞、債務整理などの事故情報がなかったか
資本金 資本金の額が極端に少なくないか。資本金の説明できる資料があるか
登記住所 登記住所で事業が行われていることを銀行が確認できる状態になっているか
ホームページ・連絡先 事業内容を確認できるホームページがあるか。法人としての連絡先が整備されているか
提出書類の整合性 登記事項証明書、定款、申込書、ホームページの記載内容などがすべて一致しているか

同じ銀行への再申請は可能か:期間と改善ポイントの目安

法人口座の審査に落ちたとしても、再申請を禁止する法律や共通ルールはありません。
そのため、同じ銀行への再申請は可能です。

ただし、審査に落ちた直後に同じ内容で再申請しても、結果が変わる見込みは低いです。
前回の原因を特定・改善し、可能であれば事業の準備や実績を積んだうえで、3〜6カ月程度の期間を空けるのが現実的な進め方になります。

また、同じ銀行への再申請を待つ間、別の金融機関に申し込むことも有効な対策です。
審査基準は金融機関ごとに異なるため、ある銀行で断られた要因が、別の銀行では問題にならない場合があります。

特に、都市銀行で断られた場合はネット銀行や地方銀行・信用金庫に申し込む、ネット銀行で断られた場合は別のネット銀行に申し込むなど、金融機関のタイプを変えてみることで審査を通過できるケースがあります。
ただし、それぞれの銀行が求める書類や要件は異なるため、申し込み先ごとに書類を確認・準備してください。

この記事のまとめ:法人口座開設に不安があるときは税理士に相談しよう

法人口座の審査が厳しいのは、銀行が犯罪収益移転防止法に基づき、口座の不正利用リスクを排除する義務を負っているためです。

審査で見られているのは「優良な会社かどうか」ではなく、「この口座が正当な事業に使われるか」という点であり、事業実績がない段階であっても、事業を行う意思と準備を客観的に示すことができれば、審査を通過できる可能性は十分にあります。

審査に不安がある方や、一度断られて次にどう動くべきか迷っている方は、申請前の段階で税理士にご相談ください。
提出書類の整え方、定款の事業目的の設計、金融機関の選び方など、審査を通過するための準備を専門家の視点からサポートいたします。

ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立から法人口座の開設、届出手続き、経理体制の構築まで一貫してサポートしています。

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