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会社の廃業理由とは?廃業時の問題点や法人破産などの選択肢を弁護士が解説

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

会社の廃業理由とは?廃業時の問題点や法人破産などの選択肢を弁護士が解説

この記事でわかること

  • 会社が廃業する主な理由
  • 閉業・廃業・倒産の違い
  • 会社の廃業時に注意したい問題点
  • 会社を畳む際の選択肢

会社の廃業理由には、経営者の高齢化や後継者不足、業績悪化などがあり、黒字であっても廃業を選ぶケースは少なくありません。
廃業を決める前には、会社の債務や代表者保証の有無、従業員や取引先への影響をあらかじめ確認しておく必要があります。
確認を怠ったまま手続きを進めると、後になって想定外のトラブルが生じかねません。
適した手続きは会社ごとの状況によって異なるため、通常清算・民事再生・法人破産など、状況に応じた選択肢については弁護士へ相談してください。
本記事では、会社の廃業理由について解説します。

会社が廃業する主な理由は何ですか?

会社が廃業する主な理由は何ですか?

会社が廃業を選ぶ理由には、経営者の高齢化、後継者不足、業績悪化、売上減少、人手不足などが挙げられます。
黒字であっても、高齢化や後継者不足を背景に廃業を決断する経営者は少なくありません。
経営者は自分の生活を守るため、早めに決断しましょう。

経営者の高齢化・体調不良

2025年版中小企業白書によれば、中小企業の経営者は60歳以上が半数以上を占め、高齢化が依然として進んでいます。
休廃業・解散を選んだ企業のうち経営者が70代・80代である割合も増加傾向にあり、休廃業・解散に至った企業の過半数が黒字だったとのデータもあります。
高齢化による廃業は、年齢自体だけが原因ではありません
体力や気力の低下、病気、判断力の低下に加え、後継者や経営を支える人材の不在が重なって起こりやすい傾向にあります。
休廃業・解散件数自体も、2023年以降ふたたび増加に転じている状況が続いています。

後継者不足

後継者不在は、中小企業が廃業を選ぶ要因の一つであり、これまで培われてきた雇用や技術の喪失にもつながります。
2025年版中小企業白書によれば、事業承継には長い準備期間が必要とされ、対応が遅れれば廃業を避けられなくなる可能性があります。
帝国データバンクの2025年調査では、全国の後継者不在率は50.1%と過去最低を記録し、7年連続で改善が続いていている状態です。
しかし依然として企業の半数近くが後継者未定の状態にあり、大きな課題である事実に変わりはありません。

業績悪化・売上減少

売上の減少や業績の悪化が続くと資金繰りが悪化し、廃業を検討する大きな要因になります。
2025年版中小企業白書によれば、2024年の倒産件数は10,006件と増加傾向です。
物価高や人手不足がコストを押し上げ、経営を一段と圧迫しています。
資金繰りを維持するために無理な借入で事業を継続すると、かえって負債が膨らみ、廃業の選択肢すら狭まる恐れがあります。
手元資金が残っているうちに、通常清算・民事再生・法人破産など状況に応じた選択肢を早めに検討してください。

人手不足・事業環境の変化

人手不足が深刻化すると、受注への対応や店舗運営、現場作業の継続が難しくなり、廃業を検討する企業も出てきています。
2025年版中小企業白書によれば、円安・物価高の継続や約30年ぶりの金利上昇が中小企業の利益を圧迫している要因となっています
ほとんどの業種で深刻な人手不足が続く厳しい経営環境が指摘されていると言えるでしょう。
人材の確保や十分な価格転嫁が難しい場合は、資金繰りや事業継続の見通しを早めに確認しておく必要があります。
厳しい状況を放置すれば、経営の立て直しは一段と困難になるでしょう。

閉業・廃業・倒産の違いは何ですか?

「閉業」「廃業」「倒産」は似た言葉ですが、意味は異なります。

  • 閉業は事業をやめる際に使われる一般的な表現
  • 廃業は経営者が自主的に事業をやめる場合の呼び方
  • 倒産は支払不能や債務超過などにより事業の継続が困難になった状態

閉業とは店舗や事業を閉じる一般的な表現

閉業とは、店舗や事業の閉鎖を指す一般的な表現です。
飲食店や小売店、サービス業など、営業を終える場面で日常的に使われやすい言葉といえます。
ただし、法人が閉業する場合、閉業と言っているだけでは、会社は消滅しません。
会社の登記簿を消滅させるには、解散や清算など、会社法に基づく法的な手続きを別途進める必要があります。
手続きを済ませないまま放置すると、法人格が残り続け、地方税の均等割など税金の負担が発生し続けます。

廃業とは経営者の判断で事業をやめること

廃業とは、経営者自身の判断で事業をやめる選択です。
会社をクリーンに廃業させるには、資産が負債を上回る状態で、すべての借金を1円も残さず完済する必要があります。
そのうえで普通清算(会社法475条以下[注1])の手続きを進める必要があります。
具体的には、株主総会で解散を決議し(会社法471条3号)、官報での公告期間として2カ月以上を確保します(同法499条1項)[注1]。
その後、資産の処分と債務の弁済を終え、最後に清算結了の登記(同法507条)を行う流れです[注1]。
1円でも借金が残る場合、普通清算は選べず、別の手続きへ移行する必要があります。

倒産とは支払いが困難になった状態

倒産とは、会社が債務の支払いを続けられず、事業の継続が困難になった状態を指します。
経営者自身の判断で事業をやめる廃業に対し、倒産は資金繰りの悪化などにより支払いができなくなり、事業の継続が難しくなる点が異なります。
手形の不渡りを繰り返せば、金融機関との取引自体が止まり、事態は一気に深刻化します。
会社の資産で債務を返済できない場合は、法人破産や民事再生など、法的な手続きを早めに検討する必要があります。

会社の廃業時に注意したい問題点は何ですか?

会社の廃業時に注意したい問題点は何ですか?

廃業しても、会社の債務や契約上の義務が当然になくなるわけではありません。
債務の整理、代表者保証への対応、従業員や取引先への対応、店舗・事務所の明渡しなど、確認しておく点を順を追って整理していきます。

会社の債務を返済できない可能性がある

廃業しても、借入金や買掛金、未払いの賃金、家賃、税金などの債務は当然にはなくなりません。
会社の資産で債務をすべて返済できる場合は、普通清算によって法人格を消滅させられます。
一方、資産で債務を返済できず債務超過(会社法511条[注1])に陥っている場合、普通清算は選べません。
特別清算や法人破産などの法的な倒産手続きへ移行する必要があります。
廃業を決める前には、会社の資産と負債を正確に整理し、自社にとって適切な手続きはどちらに当たるかを、専門家とともに確認する必要があります。
手続きを誤ると、法的な責任を問われる恐れもあります。

代表者保証により経営者個人へ影響が及ぶ可能性がある

会社の借入に代表者保証がある場合、会社が債務を返済できなくなると、経営者個人にも請求が及ぶ可能性があります。
法人が消滅しても、代表者の連帯保証債務は自動的には消えません
法人破産を検討する際は、会社の整理だけでなく代表者個人の保証債務や債務整理もあわせて確認する必要があります。
当事務所では、価格競争による資金繰り悪化から法人と、連帯保証をしていた代表者が同時に破産した事例があります。
破産管財人と粘り強く交渉して売掛金の円満な回収を実現し、代表者の生活再建に向けた負担を最小限に抑えました。

従業員や取引先への対応が必要になる

廃業を進める際には、従業員の退職手続きや未払い賃金、社会保険の資格喪失手続きに加え、取引先との契約終了や未払い金の精算などの対応が必要になります。
従業員への解雇通知は、原則として30日前までに行う必要があります(労働基準法20条1項[注2])。
期限を下回ると解雇予告手当の支払いが発生するため、会社の手元資金を圧迫しかねません。
一方で、伝えるタイミングが早すぎると、従業員が動揺し、受注残の処理や請求書発行などの残務が滞る恐れがあります。
複数拠点を持つ会社や顧客数が多い会社では、事業停止の時期や関係者への説明方法を誤ると、混乱がさらに広がりかねません。

店舗・事務所の明渡しや備品処分が必要になる

店舗や事務所を借りている会社が廃業する際は、賃貸借契約に基づく明渡しに加え、原状回復や、残置物・備品の処分が必要になります。
厨房機器やパーテーションなど設備の撤去、スケルトン状態への原状回復には数十万円から数百万円の費用がかかる場合があります。
契約内容によっては違約金が発生する場合もあるため注意が必要です。
資金が不足した状態で撤去や原状回復の費用を賄えないと、賃貸人とのトラブルに発展しかねません。
廃業を決めたら、賃貸借契約の内容や明渡し条件を早めに確認し、必要に応じて弁護士へ相談してください。
備品の処分時期によっては、税務上の扱いにも注意が必要です。

会社を畳む際の選択肢は何ですか?

会社を畳む際の選択肢は何ですか?

会社を畳む方法は、通常清算だけでなく、事業譲渡・民事再生・法人破産など複数あります。
会社の資産で債務を返済できるか、事業の価値を残せるか、再建できる見込みがあるかによって、適した選択肢は変わります。

債務を返済できる場合は「通常清算」を検討する

通常清算は、会社の資産で債務を全額返済できる場合に選べる手続きです。
大まかな流れとしては、まず株主総会で解散を決議し、続いて資産の処分や債務の弁済といった財産の整理を進めます。
整理の結果、資産が債務を上回れば、残ったお金は残余財産として株主に分配され、清算結了の登記によって法人格が消滅します。
一方、整理の途中で資産が債務を下回る債務超過が判明した場合、通常清算は継続できず、法人破産などの法的な倒産手続きへの移行が必要です。
事前に資産と負債を正確に見極めておくと、清算を円滑に進めやすくなります。

事業を残せる場合は「事業譲渡」を検討する

事業に価値が残っている場合、廃業を決める前に事業譲渡(会社法467条1項[注1])を検討できる場合があります。
事業譲渡が成立すれば、取引先や顧客との関係、従業員の雇用、長年培ってきたノウハウを他社に引き継げる可能性があります。
単なる清算や破産よりも多くの価値を残せるでしょう。
譲渡によって得た資金で会社の借入を完済できれば、代表者の連帯保証債務(民法446条[注3])も消滅し、代表者個人が自己破産を避けられる場合もあります。
ただし、事業譲渡の可否は債務の状況や譲渡条件によって変わるため、専門家に相談しながら進める必要があります。

資金繰りを立て直せる場合は「民事再生」を検討する

民事再生は、経営陣が会社に残ったまま事業を継続しながら再建を目指す手続きです(民事再生法21条1項、2項[注4])。

本業に一定の収益性があり、支払不能に陥る恐れがある段階でも、再建の見込みがあれば検討できます
破産のように会社を消滅させる手続きではありません。
再生計画案を作成し、多数の債権者の同意を得られれば、買掛金や銀行融資などの債務の大部分をカットできます。
残った債務を数年かけて返済しながら会社を存続させられる制度です。
ただし、再生計画が実現できる見通しがなければ認可されないため、早期に資金繰りや事業の見通しを確認しておく必要があります。

返済が難しい場合は「法人破産」を検討する

債務を返済できず、事業の継続や再建も難しい場合は、法人破産を検討します。
法人破産は、支払不能(破産法15条1項)や債務超過(同法16条1項)に陥った会社について、裁判所を通じて会社財産を換価し、債権者へ公平に配当する清算型の手続きです[注5]。
手続き
が完了して会社が消滅すれば、法人名義の負債は法的に消滅し、経営者が肩代わりして支払う義務は生じません。
ただし、代表者が連帯保証をしている場合は、代表者個人の自己破産(破産法252条等)もあわせて検討する必要があります[注5]。
債権者対応や従業員対応も含め、早めに弁護士へ相談してください。
[注1]会社法/e-Gov
会社法
[注2]労働基準法/e-Gov
労働基準法20条
[注3]民法/e-Gov
民法446条

[注4]民事再生法/e-Gov
民事再生法21条
[注5]破産法/e-Gov
破産法

会社を廃業するかお悩みの方へ|弁護士に相談すべき理由

会社が廃業を選ぶ理由には、経営者の高齢化、後継者不足、業績悪化、人手不足などがあります。
廃業を進める際は会社の資産で債務を返済できるか、代表者保証が残っていないか、従業員や取引先にどのような影響が及ぶかを、あらかじめ確認する必要があります。
会社を畳む方法は、通常清算だけでなく、事業譲渡・民事再生・法人破産など複数あり、どれが適しているかは会社ごとの状況によって異なりますので、判断に迷う場合は、早めに弁護士へ相談してください。
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