東京弁護士会所属。
破産をお考えの方にとって、弁護士は、適切な手続きをするための強い味方になります。
特に、周りに相談できず悩まれていたり、負債がかさんでしまいそうで破産を考えていたりする方は、ぜひ検討してみてください。
資金繰りの悪化などにより事業を継続できる見通しが立たない場合、会社を倒産させた方がよいケースがあります。
会社の倒産では、裁判所の手続きにより法人破産をするケースがほとんどです。
法人破産をすると、借入の返済義務などは免除される一方で、従業員は全員解雇され、資産はすべて処分されます。
会社が倒産に至る原因は様々ですが、経営戦略のミスや企業規模にあわない過剰な借り入れなどが挙げられるでしょう。
ここでは、会社が倒産する要件やその原因などを解説します。
会社の「倒産」は、法律用語ではないため明確な定義がありません。
一般的に、経営状況が悪化して資金繰りがうまくいかず、事業が継続できなくなった状態を倒産といいます。
資金繰りがうまくいかなくなると、手形や小切手が不渡りとなって銀行取引が停止されます。
銀行取引が停止されると、給与の振込や商品の仕入れができず、事業の継続が不可能となり倒産に至るでしょう。
会社が破産する条件は、主に以下の2つです。
会社の資金繰りが悪化して債務超過や支払不能に陥った場合、法人破産に至る可能性が高くなります。
法人破産をすると債務の返済などは免除されますが、財産はすべて債権者に分配され、従業員は全員解雇されて会社は倒産します。
次章から、債務超過と支払不能の具体的な内容を確認していきましょう。
破産法第16条1項によると債務超過とは、「債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態」です。
債務超過は法人の貸借対照表等を見て、判断します。
特別な事情で一時的に法人の債務が膨らんでも、時間が経てば債務の額が減る場合は債務超過とは言えません。
破産法の第2条第11項によると支払不能とは、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」です。
また、破産法第15条第2項には「債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する」と定められています。
一時的ではなく、長期にわたって支払ができない場合に支払不能と評価されます。
さらに不渡りを出して銀行取引停止の処分を受けた場合は、支払停止したと評価できるでしょう。
定義はありますが、一律に数値が決まっているわけではなく、法人の財務状況毎に個別具体的に判断をしていきます。
たとえ、数値の上では大きな負債があったとしても、長期的な観点で支払が可能であれば支払不能とは言えません。
会社の主な倒産理由は、以下の通りです。
それぞれの理由について見ていきましょう。
経営戦略とは、会社が経営目標を達成するための指針や計画などです。
会社は、常に変化する競争市場の中で勝ち残るために適切な経営戦略を策定しなければなりません。
経営戦略に失敗すると、たとえば以下のような影響があります。
経営戦略のミスは中長期的に資金繰りが悪化する原因になり、改善できなければ倒産に至るリスクが高くなるでしょう。
設備投資やM&Aなど、多額のコストがかかる投資を行うために金融機関からの借入が必要となるケースがあります。
大きな利益を見込める一方で、投資後の回収がうまくいかないと返済にかかる利息が経営を圧迫する可能性があるかもしれません。
企業規模と比べて過剰な借入額になっている場合、返済不能に陥る可能性が高いため、借入額は次の基準以下に抑えるのが望ましいでしょう。
資金繰りとは、事業継続に必要な資金を確保し、運用管理をする取り組みです。
資金繰りがうまくいかないと、売上は好調でも必要資金が不足して事業継続できなくなる、いわゆる「黒字倒産」のリスクもあります。
たとえば売掛金の回収が遅れている場合、入金までに時間がかかってしまい、その間の必要資金が不足するケースがあります。
在庫が過剰になっている場合や仕入れコストが高騰している場合も、会社の資金繰りが悪化する原因となるでしょう。
法人破産の申立てにより会社が倒産するまでの流れは次の通りです。
従業員を解雇するタイミングは、破産申立ての直前に行うのが一般的です。
倒産の予定が不適切なタイミングで従業員へ伝わってしまうと、憶測や混乱を招きかねません。
手続きにかかる期間は、財産や債権者などの利害関係人が多いなど大規模なケースほど長くなります。
一般的には、破産申立てから完了まで約6カ月〜1年半程度かかるケースが多いでしょう。
会社が倒産した場合でも、経営者が再起できなくなるわけではありません。
法人破産は、資金繰りに行き詰った会社を倒産させる制度であると共に、経営者にとっては新たなスタートを切るための手段です。
事業を継続できる見込みがなく、会社の倒産を決意したときはできるだけ早く弁護士へ相談しましょう。
法人破産には専門的な知見が必要であり、破産手続きに精通した弁護士への依頼が不可欠です。
破産手続きを適切に行い、新しいスタートを切れるよう手続きを進めていきましょう。