東京弁護士会所属。
破産をお考えの方にとって、弁護士は、適切な手続きをするための強い味方になります。
特に、周りに相談できず悩まれていたり、負債がかさんでしまいそうで破産を考えていたりする方は、ぜひ検討してみてください。
借金返済の負担を軽減する方法として、任意整理が注目されています。
任意整理の大きなメリットの一つが、将来利息のカットです。
しかし、「将来利息って具体的に何を指すの?」「本当にカットできるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、任意整理でカットされる利息について、また任意整理では利息をカットすることができないケース、利息がカットできた場合のシミュレーションなどを詳しく解説します。
任意整理を検討している方、借金返済の負担を軽減したい方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
毎月きちんと返済しているのに、利息の返済が多いため元本がなかなか減らないという方も多いのではないでしょうか。
一般的に利息は、元本に対してだけでなく、過去に発生した利息に対してもつくため、毎月の返済額によっては、時間が経つにつれて元利合計が大きく膨らんでしまいます。
借金の返済に苦しむ原因の多くは、利息の負担と言えるでしょう。
ここでは、利息をカットできる「任意整理」とはどのような手続きで、利息にはどのような種類があるのかについて説明します。
任意整理とは、裁判所を通さずに、弁護士や司法書士が債権者と直接交渉を行い、借金の減額や返済条件の変更を行う手続きです。
具体的には、将来利息のカットや、返済期間の延長、毎月の返済額の減額などを交渉します。
これにより返済総額を減らし、毎月の返済負担を軽減することができます。
しかし、自己破産や個人再生の手続きとは違い、借金の元本そのものは減額されることはありません。
任意整理は、以下のような方におすすめです。
ただし、任意整理は、債権者が交渉に応じる必要があるため、必ずしもすべてのケースで成功するとは限りません。
借金は、元本に加えて利息を支払う必要があります。
借金の金利は、利息制限法により上限が定められており、借入金額に応じて年利15~20%までとなっています。
利息には、次の種類があります。
任意整理を行うことで、将来利息をカットでき、返済総額を減額することができます。
一方で、任意整理を始めるまでの経過利息についてはカットできないケースもあります。
借金の返済が厳しくなったと感じる時は、任意整理を検討するタイミングです。
一般的には、借金の総額が50万円以上になった段階で任意整理を考えるのが目安とされています。
しかし、これはあくまでも目安にすぎません。
生活状況や収入に応じて、返済の見込みが立たないと感じた時は、経過利息が大きくなってしまう前に債務整理を検討することをおすすめします。
任意整理を進める際、すべての借金について利息が必ずカットされるというわけではないことも理解しておく必要があります。
また、債務者の返済能力や借金の状況によっては、任意整理では十分な減額が得られないケースもあります。
任意整理の性質上、債権者の同意が必要になるため、交渉の過程で譲歩を求められることもあるでしょう。
その結果として利息がカットされない、もしくは期待していたほどの減額が得られないという場合もあり得ます。
したがって、任意整理を行う際は、予めその可能性を理解し、弁護士や司法書士とともに慎重に交渉を進めることが重要です。
任意整理は、将来利息のカットによって返済総額を減らすことができますが、すべてのケースで必ず利息がカットされるわけではありません。
ここでは、任意整理で利息がカットされにくい代表的な3つのケースをご紹介します。
任意整理は、債権者との合意に基づいて成立する手続きです。
そのため、債権者が交渉に応じない場合、任意整理による利息カットはできません。
具体的には、以下のようなケースでは債権者が交渉に応じないことが多いです。
債権回収会社は、金融機関などから債権を譲り受ける、委託を受けるなどして債務者からの回収を専門に行う会社です。
債権回収会社は、回収により利益を追求する性質上、任意整理における利息カットに応じない傾向が強いです。
また、債権回収会社は、裁判所を通じて訴訟等による回収を優先することが多く、任意整理による利息カットは非常に困難であると言えます。
住宅ローンや自動車ローンなどの担保付きの借金は、任意整理の対象外となることが多いです。
これらの借金は、債権者が担保を処分することで債権を回収できます。
このため、債権者は任意整理に応じる必要がないと考えるでしょう。
任意整理は、借金の返済に困っている人にとって、負担を軽減し、生活を立て直すための有効な手段となります。
任意整理を行うことで得られる主なメリットについて、詳しく見ていきましょう。
任意整理は、債権者との交渉によって、借金の返済条件を柔軟に変更できる債務整理手続きです。
中でも、毎月の返済負担を軽減できるというメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
債権者との交渉により、返済期間を延長することができます。
これにより、毎月の返済額を減らし、無理のない返済計画を立てることができるでしょう。
また、任意整理は、裁判所を通さない手続きのため、個別の事情に合わせて柔軟な対応が可能です。
たとえば収入が減少した場合などには、状況に合わせて返済計画を変更することができます。
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉を行うため、自己破産や個人再生に比べて手続きが比較的簡便です。
裁判所への申立てや複雑な書類作成の必要がないため、手続きにかかる時間や手間、費用を抑えることができます。
また、自己破産や個人再生は官報に氏名や住所が掲載されますが、任意整理は官報に掲載されることはありません。
そのため、周囲に知られるリスクを抑えることができます。
任意整理の手続きを開始すると、債権者からの取り立てが停止されます。
これは、債務者の生活再建を支援し、精神的な負担を軽減するための重要な措置です。
弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、弁護士・司法書士は各債権者に対して「受任通知」を送付します。
この受任通知には、債務者の代理人として債務整理を行う旨が記載されています。
債権者はこの通知を受け取った時点で、債務者への直接的な取り立て行為を停止しなければなりません。
これにより、電話や郵便での厳しい催促から解放され、精神的なストレスが大きく軽減されるでしょう。
取り立てが停止することで、返済に向けての計画を冷静に立てやすくなるため、生活再建の助けになります。
自己破産の場合には自宅や車などの一定の財産を処分しなければいけませんが、任意整理では、基本的に財産を処分する必要はありません。
また、個人再生のように住宅ローン特則を利用するための要件もないため、住宅を手放したくない方にとって、任意整理は有効な選択肢となります。
任意整理は、自己破産や個人再生といった裁判所の手続きとは異なり、すべての借金をまとめて整理する方法ではありません。
任意整理は、特定の債務に対してのみ行うこともできるため、住宅ローンや車のローンなど、生活に必要なローンをそのまま維持することができる場合があります。
任意整理は借金問題を解決するための有効な手段ですが、すべての人にとって完璧な解決方法ではありません。
任意整理を選ぶ際には、そのデメリットについても十分に理解しておくことが重要です。
ここでは、任意整理の主なデメリットについて説明します。
任意整理を行うと、その情報が信用情報機関に登録され、一定期間(通常5年程度)信用情報に記録が残ります。
信用情報とは、個人の借入履歴や返済状況を記録した情報で、金融機関などが貸付やクレジットカードの審査時に参照します。
これに基づいて、借入の可否や金利条件が決まります。
このため、任意整理がクレジットカードやローンの審査に影響を与え、今後の借り入れが難しくなる可能性があります。
特に、住宅ローンや車のローンを新たに組むことが難しくなることがあるため、生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
任意整理では、すべての債務が整理の対象となるわけではありません。
たとえば、税金や社会保険料などの公的債務や一部の保証債務などは任意整理の対象外です。
そのため、これらの債務は引き続き支払いをしなければならず、整理した借金の減額だけでは問題が完全には解決しないこともあります。
税金や社会保険料などの国や地方自治体への支払いは、任意整理の対象にはなりません。
なぜなら、これらは法律によって優先的に徴収されることが定められており、個別の債権者との交渉によって減額や免除が認められる性質のものではないためです。
したがって、税金や社会保険料を滞納している場合は、任意整理とは別に、税務署や自治体との間で納付計画を立てる必要があります。
また、保証債務も任意整理の対象にはなりません。
保証債務とは、他人の借金を保証している場合に、その人が返済できなくなったときに代わりに返済する義務のことです。
任意整理は、あくまで債務者本人と債権者との間の交渉であるため、保証債務は対象になりません。
任意整理は、対象となる債務とそうでない債務をしっかりと区別して考える必要があります。
税金や社会保険料などの滞納額が大きい場合や保証債務がある場合については、別の方法で解決策を探る必要があるでしょう。
任意整理では、交渉によって返済期間を3~5年と長く設定することが可能です。
これにより、毎月の返済額を抑え、家計への負担を軽減できる場合があります。
しかし、年齢やライフステージによっては、返済期間が長期化することがデメリットとなる側面も持ち合わせています。
高齢の方が任意整理を行う場合、返済期間が長期化すると、完済時の年齢が高くなりすぎることが懸念されます。
年金収入のみで生活している場合、長期間にわたる返済は経済的な負担が大きくなる可能性があります。また、健康状態によっては、安定した収入を維持することが難しくなる場合も考えられます。
若年層であっても、長期の返済計画は将来設計に影響を与える可能性があります。
たとえば、結婚や出産、住宅購入などのライフイベントを計画している場合、長期の返済がこれらの計画の足かせとなることも考えられます。
ライフステージの変化も考慮する必要があります。
たとえば、子どもの進学や介護など、予期せぬ出費が発生すると返済ができなくなる可能性があります。
このように、任意整理で返済期間を長くすることは、一概にメリットとは言えません。
ご自身の年齢やライフステージ、将来設計などを総合的に考慮し、慎重に判断する必要があります。
任意整理は、利息をカットすることを主な目的としており、借金の元本自体を減額することはできません。
そのため、借金の総額が大きい場合には、任意整理では解決が難しいことがあります。
任意整理で借金問題の解決ができない場合には、返済額を大幅に縮減できる個人再生や、返済が免責される自己破産を検討する必要があります。
弁護士や司法書士と相談しながら、ご自身にあった手続きを選びましょう。
任意整理は債権者との交渉によって行われるため、すべての債権者が減額交渉に応じるとは限りません。
そのため、債権者の一部が交渉に応じない場合には、任意整理によって借金問題を解決することができず、債務整理の方法を変更せざるを得ない場合もあります。
ここでは、任意整理で利息がカットされた場合に、どのぐらい支払総額が減額されるのかを簡単なシミュレーションで計算してみましょう。
以下の条件で100万円を借り入れた場合を考えます。
任意整理をしないで契約通りに返済した場合を考えてみましょう。
つまり、完済までにかかる期間は、約133.33カ月(約11年1カ月)、総返済額は約266万6667円となります。
ここでは、便宜上契約通りの返済をしていない状態で任意整理をした場合を計算してみましょう。
任意整理を行うことで、将来利息はカットされますが、この場合、元本100万円はそのまま残ります。
任意整理後の返済期間を3年とすると、毎月の返済額は約2万8,000円になります。
任意整理をしない場合と比べて、毎月の返済額は約8,000円増えますが、返済総額は約166万円減ります。
任意整理をしない場合と、任意整理をした場合を比較すると次のとおりになります。
項目 | 任意整理なし | 任意整理あり |
---|---|---|
借入金額 | 100万円 | 100万円 |
金利 | 年利15% | 0% |
返済期間 | 約11年1カ月 | 3年 |
毎月の返済額 | 2万円 | 約2万8,000円 |
返済総額 | 約266万円 | 100万円 |
※計算を簡略化するため、遅延損害金などは考慮していません。
なお、上記のシミュレーションはあくまでも一例であり、任意整理で実際にカットされる利息は、債権者や借入状況によって異なります。
任意整理を検討する際は、弁護士や司法書士に相談し、ご自身の状況に合った返済計画を立てることが重要です。
借金問題で悩んでいる方にとって、任意整理は有効な解決策の一つです。
任意整理のメリットだけではなく、デメリットもよく理解した上で手続きを行いましょう。
任意整理を検討する際は、弁護士や司法書士に相談し、ご自身の状況に合った解決策を見つけることが重要です。
専門家のアドバイスを受けることで、最適な選択をすることができます。
借金問題でお困りの方は、一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。