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最終更新日:2022/9/8

【2022年版】サラリーマンにおすすめの節税の裏ワザ8つ!注意点も紹介

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

【2022年版】サラリーマンにおすすめの節税の裏ワザ8つ!注意点も紹介

この記事でわかること

  • サラリーマンでもすぐにできる節税の裏ワザがわかる
  • サラリーマンが節税することのメリットとデメリットがわかる
  • 節税をしすぎるとかえって損をしてしまう場合があることがわかる

節税と言えば、会社や確定申告を行う事業者だけのものであり、サラリーマンには無縁だと考えていませんか?

実は、毎年行っている年末調整の際に適用される節税方法もありますし、サラリーマンが確定申告することも可能です。

この記事ではサラリーマンがすぐに実践できる節税の裏ワザと、節税方法のメリット・デメリットや注意点について解説していきます。

サラリーマンでもできる節税の裏ワザ8個

サラリーマンにおすすめする節税の裏ワザは、以下の8個です。

iDeCo

iDeCoとは、正式名称を「個人型確定拠出年金」といいます。

厚生年金だけでは老後に不安を抱えるため、公的年金とは別の老後の備えとして利用する人が増えています。

掛金の設定や運用商品の選定、受け取り方など、すべて自らの責任で行うこととされています。

iDeCoのメリット

iDeCoを利用するメリットとしては、節税としての効果が大きいことです。

掛金の上限は他の年金制度の利用状況や人によって異なりますが、その上限額まで掛金を支出しても、1年間に掛金として拠出した金額がそのまま所得控除の対象となります。

iDeCoのデメリット

iDeCoを利用するデメリットは、商品の運用を行うためマイナスになるなどのリスクがあることです。

また、原則60歳になるまでは掛金を払い出すことができません。

NISA

NISAとは、正式には「少額投資非課税制度」と呼ばれる、株式や投資信託を用いた運用益が非課税となる制度です。

NISAという場合、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3つの制度を総称したものとなっています。

このうち、サラリーマンが節税に利用できるのは、一般NISAとジュニアNISAの2つとなります。

NISAは年間120万円まで最長5年間、株式や投資信託に投資ができる制度です。

本来であれば株式の売却時には約20%の税金が発生しますが、NISAを利用して購入した株式の売却益や配当金には税金がかかりません。

つみたてNISAは、年間40万円まで投資を行うことができます。

非課税期間は最長20年と長いため、運用できる資金はNISAより多くなります

また、投資対象となる金融商品は、国が定める基準を満たした投資信託に限定されており、大きな損失を避けたい方にはピッタリといえます。

NISAのメリット

運用益が非課税となるため、まるまる利益を手にすることができます

また、NISAの場合は商品を自由に選べる点、つみたてNISAは国の基準を満たした商品から選べる点もそれぞれのメリットです。

NISAのデメリット

実は、NISAの制度にこれといったデメリットはありません。

ただし、NISA以外の口座で株式の売買をしている方は要注意です。

通常の売買で発生した損失があっても、NISAで売却して発生した利益と相殺することはできないのです

逆に、通常の売買で利益が発生し、NISA口座で損失が発生しても相殺できません。

この場合は、通常の売買で発生した利益に対して税金が発生することとなってしまうのです。

医療費控除・セルフメディケーション税制

医療費控除は、年間10万円(総所得金額200万円未満の人はその5%)以上の医療費を支払った場合に所得税が軽減される制度です。

対象となる医療費には、診察や治療にかかった費用だけでなく、通院のための交通費、分娩費用、介護保険制度で受けた介護サービスの自己負担分なども含まれます。

本人だけでなく生計を一にする家族などの医療費も対象です。

また、医療費控除の特例として2017年よりセルフメディケーション税制が導入されました。

セルフメディケーション税制では、スイッチOTC医薬品を1年間に12,000円以上購入した場合、その12,000円を超えた金額が所得控除されます。

医療機関にかかることなく、自ら医薬品を購入して病気やけがを治した場合に適用できるものです。

スイッチOTC医薬品という名称は聞き慣れないかもしれませんが、対象となる医薬品には共通のマークが表示されています。

セルフメディケーション税制のメリット

セルフメディケーション税制のメリットは、医療費控除より少ない金額で適用を受けられることです。

また、対象となる商品が多くあり、家族全員で利用した分を1年間集計すれば利用しやすい制度と言えます。

セルフメディケーション税制のデメリット

一方、デメリットと言えるのは確定申告が必要なことです。

決して難しい内容の申告ではありませんが、確定申告に慣れていない場合には、書類の作成に苦労するかもしれません。

生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険料控除では、生命保険料や介護保険料・個人年金保険料を支払った場合に、一定の所得控除を受けられます

地震保険料控除では、支払った地震保険料のうち一定の金額について、所得控除を受けられます。

すでに多くの方が利用している制度であり、最もなじみのある節税方法かもしれません。

保険料控除や地震保険料控除のメリット

生命保険料控除や地震保険料控除のメリットは、特別な制度を利用する必要がない点です。

日常生活を送るうえで、あるいはこれからのライフプランを考えるうえで必要な保険契約を利用すれば、節税につながるのです。

保険料が少額であっても所得控除を受けられるため、支払った保険料が無駄になることもありません。

保険料控除や地震保険料控除のデメリット

一方、デメリットとなるのは控除額の上限が決められている点です。

生命保険料控除の場合は、最大でも12万円、地震保険料控除については最大5万円までしか控除できません。

支払った保険料に対して節税の効果が薄いため、節税のために利用するという点ではおすすめしにくいとも言えるでしょう。

住宅ローン控除

マイホームを購入した際に住宅ローンを利用した場合、その住宅ローン残高にもとづいて一定額を税額控除できる制度です。

税額控除は所得控除とは違い、算出された所得税額からその税額を直接控除するため、大きな節税効果があります。

マイホームを購入するほとんどの人は住宅ローンを利用するため、節税方法として利用している人も多くいます。

住宅ローン控除のメリット

住宅ローン控除のメリットは、所得税から控除できる税額控除である点です。

所得税から控除しきれない場合には、住民税から控除することもできるため、節税効果は他の方法よりはるかに大きくなります。

住宅ローン控除のデメリット

住宅ローン控除のデメリットは、住宅ローン控除の制度の適用にあたって様々な要件をクリアしなければならないことです。

特に、居住を開始する時期や住宅の床面積などの要件が厳格に定められているため、注意が必要です。

また、適用初年度に確定申告が必要で、添付しなければならない書類も多く、確定申告書を作るのも簡単ではありません。

そして、制度の内容や控除額の計算方法が頻繁に見直されるため、最新の情報を確認するようにしましょう。

ふるさと納税

ふるさと納税は、居住地以外の自治体に寄付を行うと、その自治体から返礼品を受け取ることができる制度です。

翌年の住民税から寄付した金額の大半を控除することができるため、税負担もほとんど増えません。

寄付した金額のうち2,000円を除く金額については、翌年の住民税から控除することができます。

ふるさと納税のメリット

ふるさと納税のメリットは、実質2,000円の負担で返礼品として全国各地の特産品などを手にすることができる点です。

食料品だけでなく生活必需品もあるため、家計の支出を減らすことも可能です。

ふるさと納税のデメリット

ふるさと納税のデメリットは、自己負担が2,000円となるためには上限額がある点です。

この上限額を求めるのは簡単ではないため、寄付しすぎないように注意しながら利用する必要があります。

扶養控除

扶養控除とは、子供や親などを扶養している際に認められる所得控除の金額です。

子供が高校生の年齢になり扶養家族となっていれば、通常38万円の控除を受けられます。

扶養控除で忘れがちなのが、親を扶養親族とすることができることです。

同居している親が70歳以上の場合、58万円の控除が受けられます。

また、同居でなくても要件を満たせば、70歳以上の場合は48万円の控除が受けられるのです。

扶養控除のメリット

扶養控除のメリットは、日常生活を送りながら所得控除を受けられる点です。

また、同居していなくても適用でき、その金額も大きくなる場合があります。

扶養控除のデメリット

一方、デメリットとなるのは、同居していない場合にどのように生計を一にしていることを証明するかです。

仕送りした銀行の振込明細を保管しておくなど、証拠書類が必要となり、書類がなければ適用を受けられません。

特定支出控除

特定支出控除とは、サラリーマンが仕事のために支払った必要経費を、給与所得の金額から控除することができる制度です。

サラリーマンの場合、業務で発生した必要経費の多くを会社が負担していますが、中には自腹となる支出もあります。

そこで、その負担を個人の経費として所得から控除することができる制度が設けられています。

特定支出控除のメリット

特定支出控除のメリットは、サラリーマンの税負担を直接減額してくれることです。

もともとサラリーマンの場合は、支出の有無にかかわらず給与所得控除の計算を行うこととされ、受け取った給与収入の金額に応じた経費の額が認められています。

これに加えて特定支出控除の適用を受けることができれば、所得金額を大幅に減額することができ、結果的に節税することができるのです。

特定支出控除のデメリット

特定支出控除のデメリットは、その制度の使いにくさにあります。

特定支出控除の対象となる支出があれば必ず適用できるものではなく、給与所得控除額の2分の1を超える特定支出がなければ、適用を受けられません

例えば年収600万円のサラリーマンの場合、給与所得控除額は164万円となるため、特定支出の金額が82万円を超えなければ特定支出控除は適用できないのです。

また、特定支出に該当するものは国税庁により7つの項目に限定されており、仕事に関して支払ったものでも、対象にならない支出があります。

そのため、特定支出控除を利用できないケースが多く、また実際に適用を受けている人も少ない状況にあります。

節税のしすぎには注意しよう

節税方法の裏ワザとしてご紹介したものについては、支払額を多くするほど税金の額が少なくなります。

しかし、税金の支払額と控除額の関係を理解していないと、かえって損になるかもしれません。

ここでは、節税の効果を最大にするための注意点をまとめておきます。

控除額には上限がある

生命保険料控除・地震保険料控除やセルフメディケーション税制などは、控除額に上限が設けられています。

また、ふるさと納税についても、一定額以上の寄付を行うと自己負担分の金額が大幅に増えてしまいます。

これらを利用する際には、控除額の上限を知らずに支出を増やしても、限度額を超えている場合には節税効果を得られません

そのため、それぞれの節税方法を利用する際に、どれだけ控除が受けられるのかを前もって把握しておくことが重要です。

支払を増やせば手元の現金は減る

iDeCoや生命保険料控除などは、支出額を増やすほど控除額が大きくなります。

また、住宅ローン控除も、住宅ローンの金額を大きくするほど、税額控除の金額が大きくなります。

しかし、支出額を大きくして控除が大きくなったとしても、それが最善の選択肢とは限りません

たとえばiDeCoに拠出した掛金は、その後60歳になるまで受け取ることができません。

それまでに子供の教育費などの支出がある場合、まずはiDeCoよりそちらを優先すべきというケースもあるでしょう。

所得控除の場合、節税額は支払った金額に対して2割から3割程度という人がほとんどです。

節税するために、今の生活を犠牲にすることのないようにしましょう。

まとめ

サラリーマンの方でも簡単に節税できる裏ワザがあります。

また、その中には確定申告を必要とせず、年末調整だけで手続きが完結するものも多くあるのです。

しかし、節税のために支払が多くなると、何のために節税しているのかわからなくなってしまいます。

どれくらい支払うとどれくらい節税効果があるのかを把握して、利用するようにしましょう。

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