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最終更新日:2022/6/6

脱税って何?ばれるタイミングやルート・ペナルティについて詳しく解説

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • 脱税とはどういうことかについて理解できる
  • 節税や租税回避などとの違いがわかる
  • 自分で脱税をしないように正しい判断ができる

税金とは、みなさん耳にしたことのある、身近なものであるかと思います。

みなさんご存知の通り、納税は憲法にも定められており、納税は国民の義務です。

また、税金には様々なものがあります。

どのような税金に関しても、納税額をなるべく少なくさせたいと考える方は多いでしょう。

この納税額をなるべく少なくさせる行為は、ルールに従って許容範囲の中で行う分には、何の問題もありません。

これが、限度を超えてしまい、虚偽の申告をしたり、隠したりしてしまっては取り返しのつかないことになります。

今回は、どのような行為があり、どこまでの行為が処罰の対象となるのかなどについて、詳しく解説していきます。

脱税とは?節税や租税回避と何が違う?

生活する上で所得を得ることは必要不可欠です。

所得を得れば、その額に応じての税金が発生します。

多くの方は、この税金を少しでも少なくしたいと考えますね。

特にご自身で事業を行っている方はいかにして納税額を少なくできるのか、そのようにお考えの方が多いかと思います。

こう考えることは悪いことではありません。

正しい方法で、節税を行い、納税額を減らすことで、その分事業に有効活用し、事業にプラスに働かせることができます。

一方、税金を少なくする手段には限度があります。

行き過ぎた手段を取ってしまうと「所得隠し」や「脱税」などと判断され、処罰の対象となることがあります。

この「脱税」などについて、その定義とは何か詳しく見てみましょう。

ここでは、よく耳にされるであろう脱税の定義から解説します。

脱税の定義

脱税とは、実際には発生していない経費を計上する、というような方法で所得を少なく計上し、そこから算出される税金を少なくさせる行為のことをいいます。

この行為の中でも特に、悪質性が高く、金額も大きいために、検察庁に告発されてしまい、刑事罰の対象になるものが脱税となります。

脱税以外にも、税金を逃れるためのその他の行為が存在します。

税金を少なくさせるためのその他の行為

脱税の他には、「節税」「租税回避」「課税逃れ」「申告漏れ」「所得隠し」といったものも存在します。

簡単に一つずつ見ていきます。

節税

可能な限り所得を抑えることで、納税額を低く抑えることにつながります。

そのために、ルールに則って、経費で落とせるようなものはしっかり計上し、申告をするという対策をとります。

所得税に関しては、累進課税制といって、所得が高ければ高いほど税率がアップする制度になっています。

このようなルールに則り、正しい方法で漏れのないように経費として計上し、所得を実質に即した形で軽減させ、税金の軽減につなげることを節税といいます。

もちろんこれは合法です。

租税回避

課税対象となる資産を税率の低い地域に移すことで、税を軽減させるというようなものです。

道徳的な話はおいておくとして、これは節税の一つとしてみられています。

したがって、この租税回避は合法となります。

課税逃れ

課税逃れとは、租税回避とほぼ同義です。

国境を越えて、税金を低くしている国、ゼロの国に子会社を作ることで、そこに利益を移し、多国籍企業が税金の支払いを逃れることです。

この税金を低くしている国やゼロの国を「タックスヘイブン」と呼んだりします。

特に、外国であるから課税逃れ、国内であるから租税回避、と決まっているわけではなく、この2つは特に大きな違いはありません。

申告漏れ

申告漏れとはケアレスミスによって、納税額を少なく申告してしまった場合をいいます。

ケアレスミスの例としては、意図せずした計算ミス、本来であれば計上すべきでないものを計上してしまったというような経費計上のミスなどです。

ここでポイントとなるのは、意図せず間違って、計上が漏れてしまい、申告をしなかったという点です。

所得隠し

申告漏れとは違い、意図的に隠した場合に所得隠しとなります。

たとえば、発生した売上を隠した、反対に、発生していない経費を計上したのように意図的に所得を少なくさせるような行為です。

これに伴い、関係書類の改ざんを行った場合も所得隠しとされてしまいます。

意図的に行うという点で、申告漏れよりもペナルティが重くなります。

脱税に当てはまる行為3つ


先に述べたような行為のように、税金を減らすためには、所得を減らすことになります。

この所得を減らすという行為は、限度を超えると「脱税」となります。

主に「脱税」に当てはまるとされる3つの行為は次の通りです。

売上の過少申告

店舗を構えている場合は、お客様との取引に現金が使われることが多いでしょう。

そのような場合に、現金は足がつかないことをいいことに、その分の売上を計上せず、売上を少なく見せる方法が考えられます。

売上を少なく見せることができれば、所得は「売上-経費など」で算出されるので、所得が少なくなり、減税となるわけです。

こうして、現金だけは手元にあるのにも関わらず、納税額が少なくなるという悪質性が高いものになります。

経費の水増し

会食などで生じた領収書の金額を多く書き換えたり、本来であれば発生していない経費を計上してしまうという方法が考えられます。

偽造、虚偽の計上となり、かなり悪質な方法です。

期末在庫の調整

売上から、仕入れ分を売上原価として差し引くことで所得を算出します。

しかし、期末在庫として残っている分に関しては、この売上原価に含めて差し引くことができないことになっています。

期末の在庫が多いということは、所得が増えることになります。

所得を減らしたいがために、期末の在庫を実態とは異なり、少なく計上する方法が考えられます。

脱税はばれる?

脱税は、悪質性が高まれば高まるほど、金額が増えれば増えるほど、税務署や国税庁に発覚しやすくなると考えた方がいいでしょう。

かといって、軽微であれば見つかることはないかといえば、そうともいえません。

脱税がどのように発覚してしまうのか、見ていきましょう。

税務調査

税務調査には、各地の税務署による任意調査(税務調査)と、国税局査察部いわゆるマルサの強制捜査(査察調査)とがあります。

中小企業や個人事業主の場合は、金額がさほど大きくないことが大半なので、税務調査で調査をされることが多いです。

このような税務調査が入ると、ほぼ確実といっていいほど脱税が発覚します。

税務署は長年の経験により、私たちが考えているよりも脱税の手口や判別方法について熟知しています。

全ての会社に調査が入るわけではありませんが、それに甘んじていると調査の対象となり、脱税や所得隠しとなり、発覚してしまいます。

脱税のような悪質なものはもちろんですが、計上の仕方がわからない場合に曖昧に対処しないようにしましょう。

税理士に相談するなどして、曖昧な部分は明らかにして、正しく計上し、税金を納めるようにしましょう。

資産状況

資産を取得したのにも関わらず、税金を支払っていない場合など、税務署に入る情報に明らかに不審な点が見られると、そこから調査の対象となる場合があります。

告発

国税庁は、情報提供の窓口を設けています。

ウェブサイトからの情報提供や、電話や郵送などでの告発も可能です。

そこから情報が入ると、調査の対象となる場合があります。

脱税がばれたときのペナルティとは


何度も述べているとおり、納税は国民の義務として定められており、金額は違えど、国民全員に等しく課せられた義務です。

この義務を怠った場合、追徴税を納めることになります。

追徴税とは、本来納めるべき税金と実際に納めた税金の差額です。

これだけではすみません。

悪質性や脱税が発覚した時期、自主的に申し出たのか、第三者による指摘により発覚したのか等脱税の実態に応じて、附帯税が課せられます。

この付帯税には4種類の加算税と延滞税、利子税の計6種類があります。

ここでは、この附帯税について解説します。

加算税

加算税には4種類あり、それぞれ、脱税の発覚時期、悪質の程度などにより、税率が異なっています。

この加算税は、申告納税制度の定着と発展を図るために設けられているものです。

申告納税制度は、国民による申告義務が正しく履行されて成り立つものとなっており、その義務を履行しなかった場合の行政制裁的な意味を持ちます。

過少申告加算税

申告期限内に申告していたものの、申告額が本来支払うべき税よりも少なかったなど、修正申告や更正があった場合に課税されます。

課税割合は、10〜15%です。

しっかりと申告をしたとしても、誤りがあると加算税が課される可能性もあるため、それを避けるためにも、期限までに申告内容を見直したり、不明点は税理士に相談をするなどして確実にしておくことが大切です。

一方、この修正申告・更正となった場合に、正当な理由がある場合などは本加算税が不適用となることもあります。

無申告加算税

定められた申告期限までに申告をしなかった場合や期限後の申告についての修正申告や更正があった場合に課税されます。

課税割合は、15〜20%です。

本加算税は、過少申告加算税よりも制裁の程度が強いことから、課税割合が増します。

こちらに関しても、正当な理由や遅れの程度などによって、不適用となることもあります。

不納付加算税

源泉徴収等による国税を、納付期限までに納めなかった場合に課税されます。

課税割合は10%です。

本加算税に関しても、正当な理由がある場合や遅れの程度によって、不適用となることもあります。

重加算税

納税額を意図的に偽装・隠蔽があった場合に課税されます。

過少申告、源泉徴収税の期限までの不納付の場合は35%、無申告、期限後の申告の場合は40%です。

この重加算税は、悪質な脱税と判断された時に課されるものです。

他の加算税と比べて、高い税率で課されるペナルティとなります。

課税の割合が一段と高いことからもわかるように、意図的な偽装・隠蔽による脱税は悪質性の高さにより重たい制裁となります。

このことを十分に意識し、納税義務の重要さを再確認しましょう。

延滞税

納付すべき税金を納付期限までに納めていない場合に課税されるものです。

上記4つの加算税が課せられている場合には、それに追加して支払うことになります。

申告のみならず、しっかり納付することも気をつけましょう。

利子税

納付期限に一括で納税できずに、一括納付できなかった分を延納する場合に課税されるものです。

その他気を付けるべき事項

以上のように、過少申告、無申告、隠蔽などには制裁があります。

ここで解説した付帯税は、国税通則法に基づいて課される行政処分となります。

脱税の行為が悪質であると判断される場合には、この行政処分に加えて、刑事罰も規定されています。

この刑事罰は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金という重たいものです。

両方が科せられる場合もあるという深刻なものです。

まとめ


脱税に関して解説をさせていただきましたが、いかがでしたか?

なるべく税金を低く抑えたい、と思うのは悪いことではありません。

低く抑えるために、費用として計上できるものを上手く計上することは、事業に使うことのできる資金が確保できるので、事業の存続のためには大切なことです。

一方、国民としての義務である納税義務に違反をし、限度を越えて所得を少なく見せることで、納税額を減らすことは許されることではありません。

この脱税の深刻さを理解するのによい材料としては、芸能人の脱税、所得隠しのニュースがわかりやすいでしょう。

少しだけと思って、初めは軽い気持ちで少額だったつもりが、気付けば嘘が膨らんでいるということも考えられます。

こうなってしまっては、後の祭りです。

あとは発覚を恐れての生活、事業運営となってしまいます。

意図的でないものに関しても、不透明な部分があるものは、専門家に確認するなどして、正しく申告、納税を行うようにしましょう。

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