

東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
東京都消防庁の発表によると、歩きスマホなどの行為によって過去5年間で143人が救急搬送されています。事故の内訳をみると「ころぶ」が62人と最も多く、全体の約4割を占め、次いで「ぶつかる」が45人、「落ちる」が29人と続いています。
けがの程度は軽症が8割以上を占めますが、中等症以上、つまり入院が必要な人も24人にのぼり、軽い事故と思われがちな歩きスマホでも重大な結果につながる可能性があることが分かります。
実際に、駅のホームや踏切でスマホに気を取られた歩行者が列車にはねられ死亡する事例も報道されており、最悪の場合は命を落とすリスクすらあります。事故の多くは道路や駅周辺など公共空間で発生しており、転倒や衝突、踏み外しといった典型的なケースが目立ちます。
これらの数字や事例から分かるのは、歩きスマホは単なるマナー違反ではなく、誰にでも起こり得る現実的な危険だということです。そのため、社会全体で注意を呼びかけ、事故を防ぐ意識を高める必要があります。
歩きスマホが危険とされるのは、注意力が分散するからです。人は複数の作業を同時に行うと反応が遅れやすく、とくに視覚や聴覚を奪う行為は事故に直結しやすいとされています。
スマートフォンの画面に集中すると周囲の状況を把握できず、信号や障害物、接近する車両や歩行者に気づくのが遅れます。その結果、段差や縁石を見落として転倒したり、柱や看板に衝突したり、階段を踏み外して大けがを負う事例が報告されています。
さらに歩きスマホは自分だけでなく周囲の人を危険に巻き込む可能性もあります。前方不注意のまま他の歩行者にぶつかれば、相手を転倒させ骨折などの重傷を与えることもあります。駅のホームや踏切では、スマホに気を取られた歩行者が列車にはねられて死亡する痛ましい事故も実際に発生しています。
歩きスマホによって相手を転倒させたり、自転車や車との衝突を招いたりした場合、加害者として責任を負うことになります。責任の種類は大きく分けて「民事責任」と「刑事責任」の2つです。
歩きスマホでけがを負わせた場合、被害者に対して損害を補償しなければなりません。補償の対象には、治療費や通院にかかる交通費のほか、仕事を休んだことで生じる収入の減少(休業損害)、後遺障害が残った場合の将来の収入減少分(逸失利益)、そして精神的苦痛に対する慰謝料などが含まれます。
たとえば、前方不注意で歩行者に衝突し、相手が転倒して骨折したケースでは、治療費だけでなく長期入院や仕事を休んだことによる損害まで賠償の対象になります。状況によっては数十万円から数百万円に及ぶこともあり、歩きスマホが経済的に大きな負担を招く可能性があることがわかります。
事故によってけがを負わせた場合には、刑事責任が問われることもあります。軽いけがで済んだ場合でも過失傷害として扱われ、30万円以下の罰金や科料といった処分を受ける可能性があります。さらに、被害が重く死亡事故につながった場合には過失致死にあたり、50万円以下の罰金刑が科されることもあります。
事故の態様によっては、加害者として刑事事件の被告人となる可能性もあります。たとえ罰金刑であっても前科がつけば、就職や転職に不利になるなど生活への影響は小さくありません。さらに捜査段階では警察や検察の取り調べを受けることになり、精神的にも大きな負担を抱えることになります。
このように、歩きスマホによる加害は金銭面だけでなく、人生設計そのものに影響を及ぼすリスクを伴います。
事故が発生した場合、当事者の責任の重さは「過失割合」という形で判断されます。過失割合とは、事故原因にどの程度寄与したかを数値で示すもので、示談交渉や損害賠償額を決める際の基準になります。
歩きスマホは注意義務を怠った行為と評価されるため、被害者であっても過失が認められやすい特徴があります。たとえば、歩行者同士の接触であれば通常は「お互い不注意」として双方に過失が認められるケースが多いですが、その中で一方が歩きスマホをしていた場合は、不注意の度合いが大きいとされて過失割合が高くなる可能性があります。
自転車との事故でも同様です。歩行者に優先権がある場合でも、歩きスマホをしていたと分かれば「適切に周囲を確認していれば事故を防げた」と判断され、歩行者側の過失が10%程度上乗せされるケースがあります。
このように、歩きスマホは「加害者」になったときはもちろん、「被害者」になった場合でも不利に扱われやすい行為です。過失割合が大きくなると受け取れる慰謝料や賠償金が減額されるため、事故後の金銭的な補償に大きな影響を及ぼします。
歩きスマホで発生した事故では、治療費や休業損害に加え、精神的苦痛に対する「慰謝料」が請求の対象になります。慰謝料の金額は事故の内容やけがの程度によって大きく異なり、相場として一律に決まっているわけではありません。
一般的には、軽い打撲や擦り傷など通院が数日から数週間程度の場合、慰謝料は数万円から十数万円の範囲に収まります。骨折や手術を伴うけがで長期入院が必要になった場合には100万円を超えることもあり、後遺障害が残った場合には、示談金全体で数百万円から1,000万円以上に達するケースもあります。
慰謝料の金額は、どの算定基準を用いるかによっても大きく変わります。保険会社が提示する基準では低めに算出されることが多いのに対し、弁護士基準で計算すると数倍に増えることもあります。加えて、被害者自身が歩きスマホをしていた場合には過失が認められ、慰謝料が減額される可能性があります。
このように、事故の状況や交渉の有無によって最終的な金額は大きく左右されるため、相場を理解したうえで慎重に対応することが重要です。
歩きスマホによる事故に巻き込まれた場合、通常の交通事故とは異なる注意点があります。
保険会社との示談交渉や裁判では、当事者がどのような行動をとっていたかが重要な判断材料になります。歩きスマホは注意義務を怠った行為とみなされるため、被害者側であっても「スマホを操作していたかどうか」が相手方や保険会社から必ず指摘されます。
実際に操作していなかった場合でも、スマホを手に持っていたことや画面を見ていた様子を目撃されれば、不利な主張をされる可能性があります。したがって、事故の状況を正確に説明し、自分がどのように行動していたかを明確にすることが大切です。
歩きスマホをしていた事実があると、過失割合が高めに設定されやすく、結果として慰謝料や損害賠償の金額が減額されることがあります。
たとえば、自転車と歩行者の事故では、通常は自転車側の過失が大きいとされますが、歩行者がスマホを操作していた場合には1~2割程度の過失が認められることもあります。その結果、相手から提示される賠償金額が本来よりも低くなる可能性があります。
示談交渉の場では、この点を突かれて不利な条件で話が進むことが多いため、冷静に判断することが必要です。
歩きスマホ事故では、自分がどの程度注意を払っていたかが争点になりやすいため、事故時の記録が重要な役割を果たします。現場の写真や監視カメラ映像、目撃者の証言などが残っていれば、自分の過失を軽減する材料になります。
また、警察への届け出を怠ると事故証明が取れず、保険会社や相手方に不利な主張を許してしまうおそれがあります。事故後は可能な限り証拠を確保し、記録を整理しておくことが、将来的に大きな助けになります。
歩きスマホが関係する事故では、加害者・被害者のいずれの立場でも責任の範囲が争点となり、示談や賠償の交渉が難航することがあります。とくに「歩きスマホをしていた」という事実は過失割合に大きく影響し、慰謝料や賠償額の減額につながるケースが少なくありません。こうした場面で弁護士に相談することで、適切な主張や交渉が可能となり、不利な条件で合意してしまうリスクを減らせます。
歩きスマホ事故では、被害者であっても「不注意」とみなされ過失が大きく評価されがちです。しかし、事故の現場状況や双方の行動を細かく検討すれば、過失割合が必ずしも相手方の主張どおりになるとは限りません。
弁護士に依頼すれば、証拠や状況をもとに「どの程度の過失が妥当か」を専門的に判断し、適切な割合を主張してくれます。その結果、相手に一方的に不利な条件を押し付けられるのを防ぐことができます。
事故後の対応で大きな負担となるのが、保険会社とのやり取りです。保険会社は迅速に示談を進めたい立場から、被害者に不利な条件で解決を提案することもあります。法律知識がないまま交渉に臨むと、提示された金額が妥当なのか判断できず、そのまま応じてしまう人も少なくありません。
弁護士に交渉を任せれば、専門知識に基づいて適正な条件を引き出すことができ、本人は治療や生活再建に集中できます。
弁護士が介入することで、示談交渉がスムーズに進むケースも多くあります。専門的な視点から争点を整理し、相手との交渉を主導するため、話が長引かず早期解決につながるのです。
さらに、慰謝料についても弁護士基準で請求することが可能になり、保険会社の提示額よりも高額になるケースが期待できます。実際に、通院数カ月の事例でも弁護士が入ることで数十万円単位の増額につながった例は少なくありません。
「歩きスマホそのもの」を直接禁止する全国一律の罰則はありません。ただし、道路交通法や各自治体の条例に基づき、危険な行為として取り締まりの対象となる場合があります。
たとえば、東京都や神奈川県の一部では歩きスマホを禁止する条例が定められ、違反すると過料が科されることもあります。金額は数千円から数万円程度が一般的ですが、事故に発展した場合は罰金だけでなく、民事上の損害賠償や刑事責任まで負う可能性があります。
加入している保険の種類によって対応は異なります。一般的に「個人賠償責任特約」や「日常生活賠償特約」などに加入していれば、歩きスマホで他人にけがを負わせた場合の損害賠償を補償できる可能性があります。自転車保険や火災保険、自動車保険の特約として付帯しているケースも多いため、契約内容を確認しておくことが重要です。
相手が歩きスマホをしていた場合でも「自分は完全に責任がない」とは限りません。事故は双方の行動を基に過失割合で判断されるため、相手に不注意があったとしても、自分にも安全確認を怠った点があれば責任を負う可能性があります。
そのため、事故後は冷静に警察へ届け出て、事故証明を取得することが大切です。そのうえで現場の写真や目撃者の証言など証拠を残し、過失割合の判断に備える必要があります。示談交渉で不利にならないためにも、早めに専門家へ相談するのが安心です。
歩きスマホは視界や注意を奪い、転倒や衝突といった事故を引き起こす危険な行為です。実際に救急搬送や死亡事故も報告されており、「少しの不注意」で済まされる問題ではありません。事故が起きれば、加害者は損害賠償や刑事責任を負い、被害者であっても過失が認められ慰謝料が減額されることがあります。
こうしたトラブルを避けるには、事故直後の証拠確保とともに、専門的な知識を持つ弁護士へ早めに相談することが大切です。適切な過失割合の主張や慰謝料の増額交渉を任せることで、不利な示談を避け、安心して生活再建に取り組むことができます。
相談先に迷ったら、交通事故で豊富な実績を持つ「VSG弁護士法人」までぜひお気軽にご相談ください。

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