

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

目次
Nシステムは、道路上を走行する車両のナンバープレートを自動で読み取るための装置です。オービスと見た目が似ているため、どちらもスピード違反を取り締まる装置だと思われることがありますが、両者には役割や仕組みに違いがあります。
まずは、Nシステムの特徴や目的について解説します。
Nシステムは、自動車のナンバープレートを自動で読み取り、通過した車両の情報を記録する装置です。正式には「自動車ナンバー自動読取装置」といい、「N」は「Number」の頭文字に由来します。
道路上に設置されたカメラで通過する車両のナンバープレートを撮影し、その番号を自動的に読み取ります。読み取った情報は、事件や犯罪に関係する車両の発見・追跡など、犯罪捜査に活用されています。
Nシステムは、車両の速度を測定してスピード違反を直接取り締まることを目的とした装置ではありません。速度超過した車両を自動的に検知して取り締まるオービスとは役割が異なります。
なお、Nシステムには、その設置や運用を直接定めた法律の条文はなく、警察の責務を定めた警察法2条1項に基づく活動として運用されています。これがプライバシーの侵害にあたるとして争われた裁判では、Nシステムが撮影した画像は瞬時にナンバープレートの文字データとして処理され、運転者の容ぼうが写った画像そのものは記録・保存されていないことなどから、違法な権利侵害にはあたらないと判断されています(東京地裁平成13年2月6日判決 )。
Nシステムとオービスは、どちらも道路上に設置されたカメラなどを使って車両を撮影しますが、目的や仕組みは大きく異なります。
また、Nシステムには警察が運用するものだけでなく、国土交通省が車検切れ車両などの把握に利用するものもあります。
それぞれの違いを表でまとめました。
| 自動車ナンバー自動読取装置(Nシステム) | 自動速度違反取締装置(オービス) | ナンバー自動読取装置 | |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 犯罪捜査など | スピード違反の取締り | 車検切れ車両などの把握 |
| 主な運用主体 | 警察 | 警察 | 国土交通省 |
| 設置形態 | 道路上に常設 | 道路上に設置 | 街頭検査時に設置する可搬式 |
| ナンバーの読み取り | ○ | ○ | ○ |
| 速度の測定 | × | ○ | × |
| 撮影対象 | 通過するすべての車両 | スピード違反をした車両のみ | 通過するすべての車両 |
| 撮影内容 | ナンバープレートの情報 | ナンバープレートに加え、運転者などの容ぼう | ナンバープレートの情報 |
| 事前告知 | なし | 手間に予告看板が設置されているケースが多い | なし |
| 撮影時の光 | 赤外線を使用するため、通常は肉眼で光を認識できない | 機種によるが、肉眼で認識できる強い光(赤・白など)を発するタイプがある | 赤外線を使用するため、通常は肉眼で光を認識できない |
※ただし、光り方は機種や周囲の明るさによって異なります。光の有無だけで装置を特定することはできません(詳しくは「2. Nシステムは撮影時に光る?」で解説します )。
ナンバープレートを自動で読み取る技術そのものは、行政機関だけでなく、物流倉庫や駐車場の入退場管理など民間の分野でも利用されています。運送業における車両管理の効率化など、活用の範囲は広がっています。
ただし、道路上のカメラや装置を見て「オービスかもしれない」と考え、急ブレーキをかけるのは危険です。後続車との追突事故につながるおそれがあるため、装置を見つけても急な操作はせず、日頃から法定速度を守って安全に運転することが大切です。
ここでは、Nシステムとオービスの撮影時の光り方について、それぞれ詳しく解説します。
Nシステムは、通過するすべての車両のナンバープレートを常時撮影していますが、スピード違反を取り締まる装置ではないため、撮影時にドライバーが肉眼で認識できるような強いフラッシュを発光させることはありません。
これは、夜間や悪天候時でも正確にナンバーを読み取れるよう、人間の目に見えない「赤外線」を利用したカメラや補助照明が使用されているためです。
そのため、走行中に目で確認できるほどの強い光が発せられた場合は、Nシステムではなく別の可能性を考える必要があります。
これに対して、速度超過を取り締まるために設置されているオービスには、法定速度を大きく超えた車両を検知した瞬間に、ドライバーの顔やナンバープレートを鮮明に記録するため強いフラッシュを放つタイプがあります。
光の色は設置されている機種やタイプによって異なり、赤色、白色、黄色などの強い光として視認されることがあります。このタイプであれば、ドライバーの側も「目の前が強く光った」と自覚できることが多く、特に夜間は強い光が目に入りやすいため、「フラッシュが光った」と気付くケースが多いです。
ただし、道路上で光を見たからといって、必ずしもそれが自分の速度違反による撮影であるとは限りません。対向車のハイビームの映り込みや道路上の反射などを勘違いしているケースもあります。
万が一、実際にオービスに撮影されていた場合は、後日警察から出頭を促す通知が届くため、通知が届いた際は放置せず、警察の指示に従って冷静に対応することが重要です。
なお、従来の固定式オービスだけでなく、近年では道路脇にコンパクトに設置される「可搬式(移動式)」のオービスなども普及しており、装置の設置場所や見た目だけで、Nシステムとオービスを瞬時に見分けることは難しくなっています。
なお、オービスは速度違反を立証するための装置なので、ナンバープレートだけでなく運転者の容ぼうも撮影しています。 この点について最高裁は、現に速度違反が行われており証拠を保全する必要と緊急性があること、撮影方法が相当なものであることから、運転者の容ぼうを撮影することは憲法に違反しないと判断しています(最高裁昭和61年2月14日判決)。同乗者が一緒に写ることについても、違反者の近くにいて除外できない以上やむを得ないとしています。
オービスによって速度超過が撮影された場合、主に「刑事処分」と「行政処分」の2つの手続きが進みます。罰金などの刑事処分と、免許停止などの行政処分は別の手続きとして行われるため、それぞれの流れを分けて確認することが大切です。
刑事手続きでは、警察の取調べ、検察庁での手続き、簡易裁判所での手続きなどが行われます。警察では、撮影された車両の運転者が誰なのか、どの程度の速度で走行していたのかなどについて確認を受けます。その後、事件が検察庁に送られ、検察官が処分を判断します。速度違反の内容によっては、簡易裁判所で略式手続が行われ、罰金が科されることもあります。
行政処分では、違反点数に応じて免許停止などの処分が行われます。免許停止の対象となった場合は、公安委員会から手続きに関する通知を受け、免許停止処分を受けることになります。一定の条件を満たす場合には、免許停止期間を短縮するための停止処分者講習を受講することもできます。
ただし、すべてのケースで同じ手続きになるわけではありません。速度超過の程度や過去の違反歴、事故の有無などによって、違反点数や刑事処分、行政処分の内容は異なります。また、比較的軽微な速度違反であれば、刑事手続きではなく交通反則通告制度の対象となる場合もあります(交通反則通告制度については「4-1 行政責任|違反点数の加算・反則金の納付」で詳しく解説しています)。
なお、オービスが光ったあとの流れについては、関連記事『オービスの光り方とは?何キロで光る?罰金や違反後の流れを解説』で詳しく解説しています。
スピード違反をすると、違反の内容や速度超過の程度に応じて、違反点数の加算や反則金の納付、免許停止などの行政処分を受けることがあります。また、一定の速度超過については刑事手続きの対象となり、罰金などの刑事処分を受けることもあります。
ここでは、スピード違反をした場合の行政責任・刑事責任・民事責任の3つについて詳しく解説します。
スピード違反をすると、速度超過の程度に応じて違反点数が加算されます。累積した違反点数が一定の基準に達すると、免許停止や免許取消しなどの行政処分を受けることがあります。
また、比較的軽微な速度超過であれば、反則金を納付することで刑事手続きを受けずに済む「交通反則通告制度」の対象となる場合があります。
違反点数は、交通違反や交通事故ごとに付けられる点数を累積して計算します。スピード違反などの交通違反に付される基礎点数に加え、交通事故を起こした場合には事故の内容に応じた付加点数なども加算されます。
速度超過の違反点数は、以下のとおりです。
| 速度超過 | 違反点数 |
|---|---|
| 50km/h以上 | 12点 |
| 30km/h以上50km/h未満(高速道路は40km/h以上50km/h未満) | 6点 |
| 25km/h以上30km/h未満(高速道路は25km/h以上40km/h未満) | 3点 |
| 20km/h以上25km/h未満 | 2点 |
| 20km/h未満 | 1点 |
累積した点数が一定の基準に達すると、運転免許の停止や取消しなどの行政処分の対象となります。前歴がない場合、累積6点で30日間の免許停止、15点以上で免許取消しの対象となるのが基本です。
ただし、過去の違反や行政処分から一定期間、無事故・無違反などで経過している場合には、過去の点数が累積されない制度があります。
参照:点数計算の優遇|警視庁
なお、累積の対象から外れても、違反をした記録そのものが消えるわけではありません。
交通反則通告制度とは、比較的軽微な交通違反について、反則金を納付することで刑事手続きを行わない制度です。
反則金を納付しても違反点数は加算されますが、定められた期限内に反則金を納付すれば、原則としてその違反について起訴されず、罰金などの刑事罰を受けることもありません。反則金を納付しなかった場合は、交通反則通告制度による処理が終了し、刑事手続きに移行することがあります。
スピード違反の反則金は、速度超過の程度によって異なります。普通車の場合、反則金の額は以下のとおりです。
| 速度超過 | 反則金(普通車) |
|---|---|
| 高速道路35km/h以上40km/h未満 | 35,000円 |
| 高速道路30km/h以上35km/h未満 | 25,000円 |
| 25km/h以上30km/h未満 | 18,000円 |
| 20km/h以上25km/h未満 | 15,000円 |
| 15km/h以上20km/h未満 | 12,000円 |
| 15km/h未満 | 9,000円 |
参照:反則行為の種別及び反則金一覧表|警視庁
※上位2区分は高速道路のみの区分です。30km/h未満の各区分は、一般道路・高速道路のどちらにも適用されます。
表にあるとおり、一般道路で30km/h未満、高速道路で40km/h未満の速度超過が、原則として交通反則通告制度の対象です。つまり、一般道路で30km/h以上、高速道路で40km/h以上の速度超過は反則金制度の対象外となり、刑事手続きの対象となります。
また、速度超過の程度にかかわらず、その違反によって交通事故を起こした場合は、交通反則通告制度の対象となりません(道路交通法125条2項3号)。この場合も反則金を納付して手続きを終えることはできず、刑事手続きの対象となります。無免許運転や酒気帯び運転など、もともと交通反則通告制度の対象外となる違反を伴っている場合も同様です。
一定以上の速度超過は、反則金を納付して終わる交通反則通告制度の対象とはならず、道路交通法違反として刑事責任を問われることがあります。特に大幅な速度超過や事故を伴うケースでは、刑事手続きの内容や処分が重くなることがあります。
道路交通法22条1項では、道路標識などで指定された最高速度や法定速度を超えて車両を運転することを禁止しています。この規定に故意に違反した場合、6カ月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金が科される可能性があります(道路交通法118条1項1号)。
また、制限速度を確認し忘れ、うっかり速度を超えてしまった場合のように、速度超過が過失によるものであった場合には、3カ月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金と定められています(道路交通法118条3項)。
もっとも、速度超過をした場合に必ず拘禁刑が科されるわけではありません。初犯で、速度超過の程度や運転態様などに特段の悪質性がないケースでは、略式手続によって罰金が科されることで事件が終わることもあります。
一方で、大幅な速度超過があった場合や、危険な運転態様であった場合、交通事故を起こした場合、過去に同種の前科・前歴がある場合などは、より慎重に処分が判断されることがあります。事故によって相手にけがをさせた場合には、速度超過の罪だけでなく、事故の内容に応じて過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)などが成立することもあります。
オービスによる撮影をきっかけに警察から呼び出しを受けた場合、警察で取調べを受けることになります。取調べでは、当時の運転状況や速度超過に至った経緯などについて説明を求められます。事故を起こしている場合には、被害者への対応や示談の進捗などがその後の処分を判断する際に考慮されることもあるため、慎重に対応する必要があるでしょう。
なお、速度違反で捕まった場合の刑事責任については、関連記事『速度違反は何キロから捕まる?点数や罰則・罰金について徹底解説』で詳しく解説しています。
スピード違反をしただけで、直ちに相手への損害賠償責任が発生するわけではありません。一方で、速度超過が原因となって交通事故を起こし、相手にけがを負わせたり、車両や建物などを損壊したりした場合には被害者に対して、不法行為に基づく損害賠償を支払う必要があります(民法709条)。
賠償の対象には、治療費や休業損害、慰謝料、逸失利益、車両の修理費など、事故によって生じたさまざまな損害が含まれます。特に、死亡事故や被害者に後遺症が残るような事故では、賠償額が高額になることもあります。
なお、死亡事故による高額な賠償事例については、関連記事『死亡事故の賠償金は1億円?遺族が泣き寝入りしないためにすべきこと』で詳しく解説しています。
実際の示談交渉や裁判では、「スピード違反が事故の発生や被害の拡大につながったかどうか」が重要な判断要素となります。
たとえば、本来であれば速度を落として事故を回避できたケースや、法定速度を守って走行していれば被害を軽減できたと認められるケースでは、速度超過が事故についての不利な事情として評価されることがあります。その結果、過失割合や損害賠償額に影響する場合があります。
また、交通事故を起こした直後の対応や、保険会社とのやり取り、相手方との示談交渉での発言などが、その後の解決に影響することもあります。特に、事故の原因や過失について自分だけで判断して相手方に説明すると、後になって主張を修正することが難しくなる場合もあります。
事故の原因や過失割合について相手方や保険会社と意見が食い違っている場合、自分だけで対応すると適切な賠償を受けられないおそれがあります。相手の速度超過が事故の発生や被害の拡大につながったと考えられる場合は、事故直後から弁護士に相談することをおすすめします。
オービスが光った場合、速度超過の程度や事故の有無、現在どの段階まで手続きが進んでいるかによって、その後の対応は異なります。弁護士に相談すると、自分のケースでどのような刑事手続きや行政処分が想定されるのか、どのような点に注意して対応すべきなのかを確認できます。
大幅な速度超過で刑事手続きの対象となる場合は、早い段階で弁護士に相談することで、今後の手続きや取調べへの対応、刑事処分を軽減するために検討できる対応についてアドバイスを受けられます。
大幅な速度超過(一般道路で30km/h以上、高速道路で40km/h以上)があった場合は、交通反則通告制度による反則金の納付ではなく、刑事手続きの対象となることがあります。
刑事手続きの対象となった場合、罰金刑が確定すると前科がつくことになります。正式な裁判を経ない略式手続による罰金であっても、前科として扱われる点は同じです。 そのため、オービスが光ったことに気付いた段階から、その後の手続きや対応について把握しておくことが重要です。
弁護士に相談すると、実際の速度超過の状況や過去の違反歴、現在の手続きの段階などを踏まえて、今後どのような刑事手続きが想定されるのかを確認できます。警察から出頭を求められている場合には、取調べでどのような事項を確認されるのか、どのような点に注意して対応すべきかについても相談できます。
また、検察官が処分を判断する際には、速度超過に至った事情だけでなく、反省の状況や再発防止策などが考慮されることがあります。こうした事情をどのように整理して伝えるか、検察官に意見書を提出する必要があるかなど、刑事処分を軽減するために検討できる対応についてアドバイスをもらえるのは、弁護士に相談するメリットといえるでしょう。
スピード違反によって交通事故を起こした場合は、速度超過だけでなく、事故によって生じた損害についても責任を問われることがあります。相手にけがをさせた場合には、治療費や休業損害、慰謝料、逸失利益など多岐にわたる賠償金を請求されます 。
弁護士に相談すると、ドライブレコーダーの映像や車両の損傷状況、道路の形状などを確認し、速度超過が事故の発生や被害の拡大にどの程度影響したのかを検討できます。速度超過がなければ事故を回避できたのか、速度が遅ければ被害を軽減できたのかといった点を整理できるのは、弁護士に相談するメリットの一つといえるでしょう。
特に、相手が重傷を負った場合や死亡事故になった場合、事故の原因や過失割合について相手方と主張が食い違っている場合には、刑事処分とは別に損害賠償の問題が大きくなるため、早めに弁護士へ相談することを検討しましょう。
Nシステムは、スピード違反を取り締まることを目的とした装置ではありません。スピード違反の自動取締りを目的として設置されているのは、オービスです。
Nシステムは、通過する車両のナンバープレートを読み取り、その情報を記録する装置です。Nシステムが撮影した画像は、瞬時にナンバープレートの文字データとして抽出される仕組みになっており、走行中の車両の速度を記録するものではありません(東京地裁平成13年2月6日判決 )。
ただし、Nシステムで取得された車両の情報が、事件や事故などの捜査に活用されることはあります。
Nシステムとオービスは、手前にある「事前予告看板」の有無や、撮影時に肉眼で見える強い光を発するかどうかである程度の見分けはつきます。ただし、これらだけで装置の種類を確実に判別することはできません。
オービスの予告看板の設置は法的な義務ではありません。そのため、看板がなかったからといって、オービスではないとは判断できません。
撮影時の光も判断材料の一つですが、昼間や周囲が明るい場所では光に気付きにくいことがあります。可搬式のオービスや一部の新型オービスには、肉眼では捉えにくい光を使用するものもあるため、「光らなかったからNシステム」とも限りません。
Nシステムとオービスは、どちらも道路上の車両を撮影する装置ですが、目的や仕組みは異なります。Nシステムはスピード違反を取り締まるために車両の速度を測定する装置ではなく、主にナンバープレートの情報を読み取るために利用されています。
また、道路を走行中にカメラのような装置が光ったとしても、光り方だけでNシステムとオービスを特定することはできません。オービスには撮影時に強い光を発するタイプがありますが、機種や周囲の明るさなどによって光に気付きにくい場合もあります。
一方、スピード違反によって交通事故を起こした場合には、速度違反に対する行政・刑事責任だけでなく、被害者への損害賠償責任も問題となります。事故が発生すると、単なる速度違反とは異なる手続きや対応が必要になるため、事故の状況に応じて適切に対応することが重要です。

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