東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
車の運転には細心の注意を払うべきですが、「うっかりスピードを出し過ぎていた」というケースは少なくありません。
高速道路や幹線道路、郊外のバイパスなどはスピードが出やすいため、オービスによる取り締まりにも注意が必要です。
オービスは無人の取締装置になっており、速度計測とともにドライバーの顔写真なども撮影します。
高速道路などのオービスが光った場合、90日間の免許停止になる可能性があるため、職業ドライバーは仕事に支障をきたすでしょう。
本記事では、オービスが光る条件やスピード違反の罰金・点数、オービスが光った後の流れなどを詳しく解説します。
オービスとは、車のスピードを自動計測し、運転者の顔とナンバープレートも撮影する自動速度違反取締装置です。
主な設置場所は高速道路や幹線道路になっており、一定以上の速度違反を検知すると、オービスが光るしくみです。
現在は通勤・通学の歩行者を交通事故から守るため、幅員(道路の幅)が狭い生活道路にもオービスを設置する場合があります。
オービスが光ってもその場では検挙されず、数日後に運転者の住所へ出頭通知書が届くため、「速度違反に気付いていなかった」というケースもあるでしょう。
従来型のオービスは固定式ですが、後述するように移動式も増えているため、「設置場所を知っているから引っかからない」といった考え方は通用しなくなっています。
ここでは、最近のオービスにはどういった種類があるのかについて説明します。
固定式オービスは支柱の上部に設定されており、レーダー式やHシステムなどのタイプがあります。
設置場所の手前1~3kmには「自動速度取締機設置区間」などの看板があり、ボックス型の装置も運転手が確認できます。
運転者が確認しにくいオービスもあるため、動作のしくみなどは以下を参考にしてください。
レーダー式オービスとは、マイクロ波のレーダー照射で車両の速度を計測し、路肩にあるカメラで運転者の顔などを撮影するタイプです。
固定式オービスではもっとも古いタイプになり、フィルム式のカメラも使われているため、現在は撤去が進んでいます。
ただし、機能は停止しているものの、ダミーでそのまま設置されているケースがあります。
Hシステムはデジタルカメラを採用しており、探知機も反応しにくいレーダー式オービスの進化版です。
オービスを設置する支柱も含めると、「門」のような外観になっているため、運転中に気付くケースも多いでしょう。
ループコイル式オービスとは、路面に特殊コイルを埋め込み、車の速度を測定してフィルムカメラで撮影するしくみです。
目立ちにくい固定式オービスになっており、レーダー探知機も反応しない場合があります。
LHシステムは設置場所が多く、Hシステムとループコイル式の特徴を併せ持つオービスです。
支柱の上部に回転灯とデジタルカメラが設置されており、撮影時にはフラッシュライトが光ります。
小型のCCDカメラを使い、路肩から撮影するLS型のシステムもあります。
レーザー式オービスとは、レーザースキャンで車の速度を計測する装置です。
支柱の上部に設置されている場合もありますが、小型化されたタイプは持ち運びできるため、位置の特定は困難です。
移動式オービスには半固定式や、1人で持ち運びできるタイプなどがあります。
大きさや移動方法は以下のようになっており、オービスだとは気付かないケースがあるため要注意です。
小型の可搬式オービスは三脚に乗せるタイプが多く、電源がない場所ではバッテリーで稼働させているケースもあります。
パイプ椅子などに座った警察官が配置されており、手前に三脚に載せたボックス型の装置があれば、可搬式オービスの可能性が高いでしょう。
中型の半可搬式オービスは重量があり、移動させる場合はトラックなどに積み込みます。
本体の色は「白」が多く、運転者側に向けて設置されるため、小型のオービスよりも気付きやすいでしょう。
半固定式のオービスは本体のみ移動できるようになっており、設置用の土台や支柱は固定されています。
オービス本体は金属製のメッシュなどで囲まれていますが、計測装置やカメラの分部は穴が開けられているため、離れた場所でも確認できるケースがあります。
光電管式移動オービスとは、送受光機と反射機の間を車が通過する際、光線が遮断されたタイミングで速度を計測するタイプです。
設置状況がわかりにくく、レーダー探知機には反応しないため、発見が難しいオービスです。
オービスの光り方はカメラのフラッシュに似ており、固定式は赤色で強めの光です。
白く光るオービスもあり、強い光で運転者へ通知する意味もあるといわれています。
オービスの光に気付いた運転者は速度違反を自覚するため、出頭通知書を受け取った後の手続きもスムーズになるでしょう。
ただし、可搬式のオービスは光が弱いタイプもあります。
オービスが作動する速度は公表されていませんが、一般道では30km以上の速度超過、高速道路の場合は40kmの速度超過で光るといわれています。
制限速度が低く、歩行者の多い道路では、15km程度の速度超過でオービスが光る場合もあるようです。
なお、路面が雨で濡れている場合など、道路状況によってはオービスの作動条件が変わる可能性も考えらえます。
「オービスに気付いたが光らなかった」という方は、以下のような状況かもしれません。
道路には様々な計測器が設置されているため、見間違いの可能性もあるでしょう。
Nシステムは車のナンバーを読み取る装置になっており、Tシステムは渋滞状況などの把握が目的です。
どちらもオービスと似た外観ですが、速度違反を取り締まる機能はありません。
旧式のオービスがダミーとして残されている場合、速度計測や撮影機能は停止しています。
ただし、光り方が弱いオービスもあるため、ダミーだと決めつけないように注意してください。
運転者がスピードメーターを見間違えており、制限速度内で走行していた場合、当然ながらオービスは光りません。
スピードメーターの刻み方は車種やメーカーによって異なるため、車の買い替え直後は見間違えてしまうケースがあるでしょう。
オービスが光った後の流れは以下のようになっており、警察署への出頭などが必要です。
違反点数が大きいため、罰金と免許停止は避けられないでしょう。
速度違反をオービスが検知した場合、概ね1週間後または1カ月後に車の所有者へ出頭通知書が送付されます。
違反者は必ず警察署に出頭しなければならないため、通知書に記載された日時と場所に従ってください。
日時と場所は調整できるため、都合がつかないときは早めに警察署へ連絡しておきましょう。
出頭通知書を受け取った後は警察署に出頭し、オービスが撮影した画像確認や事情聴取を受けます。
警察は違反速度に応じて交通反則告知書(青切符)、または告知票・免許証保管証(赤切符)を交付するため、事実に間違いがなければ署名してください。
警察から告知票・免許証保管証(赤切符)が交付された場合は、数日後に簡易裁判所から出廷通知書が送付されます。
出廷日時も調整できるため、当日の都合がつかないときは早めに裁判所へ連絡してください。
簡易裁判所へ出廷すると、一般的には略式裁判の同意を求められます。
略式裁判は書面のみの審理になっており、結審までの時間が早いため、そのまま裁判所内で待機します。
速度違反に悪質性がなければ、罰金刑を言い渡されるでしょう。
なお、速度違反を認めない場合は略式裁判の拒否となり、刑事裁判へ移行します。
刑事裁判は判決までの期間が長く、手続きも複雑になるため、略式裁判の拒否は慎重に判断しなければなりません。
速度違反の罰金は10万円以下になっており、現金があれば裁判所で納付できます。
現金が不足しているときは、後日の振込みでも構いません。
裁判が結審した後は、警察署から呼出通知書が送付されます。
裁判によって罰金の刑事処分は完了しますが、次は行政処分を受けなければなりません。
呼出通知書の指定日に出頭できないときは、警察に連絡して日程を調整しましょう。
オービスが光った場合は30kmや40km以上の速度超過になるため、30日間の免許停止処分を受けます。
ただし、有料の免許停止処分者講習を受けると、短期・中期・長期の講習に応じて免許停止期間が短くなります。
職業ドライバーや車通勤している方は、免停講習を受けておくとよいでしょう。
免許停止期間が終わったら、運転免許停止処分書に記載された場所で免許証が返還されます。
オービスが光った場合、速度違反の罰金・点数は以下のようになります。
罰金と点数は超過速度に連動しているため、場合によっては反則金の扱いになるでしょう。
オービスが光ったときの罰金は10万円以下になっており、以下の速度違反が目安です。
速度超過が30km未満の場合は反則金になるため、以下の金額を納めます。
【一般道路の場合】
【高速道路の場合】
反則金は軽微な違反に対する行政処分となり、警察から交通反則告知書(青切符)が交付されます。
オービスが光ると、速度超過に応じて以下の違反点数が加算されます。
【一般道路の場合】
【高速道路の場合】
50km以上の速度超過だった場合、累積の違反点数がなくても90日以上の免許停止処分を受けます。
オービスを光らせたくないときは、以下の方法で回避しましょう。
過度にオービスを意識すると前方車両のブレーキに気付かず、追突事故を起こす可能性があるため、探知機などを使うとよいでしょう。
レーダー探知機を車に装備すると、近くにあるオービスに反応してアラームが鳴ります。
価格帯は1万5,000~5万円程度になっており、最新機種は様々な種類のオービスに対応しています。
ただし、並走車両や対向車両などがレーダーを遮ると、オービスに接近しても反応しない場合があります。
オービス以外のレーダーに反応する場合もあるため、探知機を過信しないように注意してください。
道路標識を意識すると「自動速度取締機設置区間」の看板に気付くため、オービスが光らないように回避できます。
都道府県警のホームページやSNSもチェックしておけば、移動式オービスの情報も事前にわかります。
カーナビによっては固定式オービスの位置が登録されており、接近すると音声案内が流れます。
別売りのオービスデータを購入すると、カーナビ本体を買い替えなくてもオービスの位置がわかります。
ただし、工場出荷時のデータになるため、新たに設置されたオービスは登録されていません。
スマートフォンにオービス検知アプリをインストールすると、オービスの最新情報がわかります。
ユーザーの情報提供により、移動式オービスの位置情報もわかるため、速度違反を回避できるでしょう。
なお、アプリによってはオフラインの利用ができないため、電波状況が悪い地域ではオービスを検知しない可能性があります。
オービスはかなりスピードが出ている状況で光るため、刑事処分と行政処分は確実です。
30日間や90日間の免許停止処分になると、仕事だけではなくプライベートにも支障をきたすでしょう。
自営業の職業ドライバーであれば、免許停止は死活問題になりかねません。
しかし、後方車両にあおられた場合や、交通の流れに合わせるため、やむを得ずスピードを出してしまうケースもあります。
速度違反にやむを得ない事情があるときや、身に覚えのない出頭通知書が届いたときは、弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所の無料相談をご利用ください。