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会社倒産(破産)時に経営者は銀行からの借金を負うの?借金が返せないときの対処法を解説

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

この記事でわかること

  • 会社倒産時に銀行の借金の返済義務を経営者が負うケースもあることがわかる
  • 会社倒産時に銀行の借金を返済できない場合の対処法が理解できる
  • 会社倒産時に偏波弁済をしてはいけないことがわかる

業績不振や経営悪化などの事情で会社が倒産する時に、銀行の借金が残ってしまうことも多いです。

このような場合、経営者が会社の代わりに銀行の借金の返済義務を負わなければならないのでしょうか。

もし、経営者が会社の代わりに返済義務を負うことになった場合、銀行の借金を返せないときはどうすればいいのかも気になるところです。

この記事では、会社が倒産した時に残った銀行の借金の返済義務を経営者が負うのか否かについて、詳しく解説していきます。

また、会社倒産時に残った銀行の借金を返済できない場合の対処法についても触れていきます。

会社倒産時に残った銀行の借金の返済義務やその対処法について具体的に知りたい方は、参考にしてみてください。

会社倒産時に銀行からの借金の返済義務はなくなる

会社が倒産する時に銀行からの借金が残ってしまった場合でも、原則として経営者が会社の代わりに返済する必要はありません

法律上、会社とその経営者は別の権利義務の主体として扱われるからです。

法律上、権利義務の主体となりうるのは、「個人(自然人)」と「法人」です。

民法3条1項において、「私権の享有は、出生に始まる」旨が定められています。

また、「法人は、法令の規定に従い、定款その他基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」旨が民法34条で規定されています。

法律上発生した権利義務は、その主体となったものに対して効力が生じます。

たとえば、会社が主体となって発生した権利や義務の効力が生じるのは、あくまで会社に対してだけです。

倒産時に残った銀行からの借金は、会社が主体となって発生した義務(債務)になります。

法律上別主体と扱われる経営者は基本的に無関係です。

会社の債務について、法律上別主体である経営者がその責任を負うことは基本的にありません。

そのようなことから、原則として経営者が倒産時に残った銀行からの借金の返済義務を負わなくていいのです。

会社倒産時に経営者が銀行の借金を返済する必要があるケース

倒産時に残っていた銀行の借金は、原則として経営者が会社の代わりに返済する必要はありません。

しかし状況によっては、会社倒産時に経営者が銀行の借金を返済しなければならないケースもあります。

どのような場合に、経営者は会社倒産時に銀行の借金を返済しなければならないのか、具体的に見ていきましょう。

経営者が連帯保証人になっている場合

銀行が会社に事業資金を融資する際、経営者に連帯保証人になることを求めてきます。

もし、経営者が銀行の借金の連帯保証人になっている場合、会社倒産時に銀行の借金を返済しなければなりません

なぜなら、連帯保証人としての法的義務を果たさなければならないからです。

債務者が借金を支払えない場合、代わりに返済する旨の契約を債権者と締結した者が保証人になります。

そして、連帯保証人は、上記の保証人よりも重い法的責任が課せられます。

保証人の場合、債権者が保証人へ借金の支払いを請求してきた場合、先に債務者へ請求するように主張することが可能です。

また、保証人が債権者から借金の支払いを請求された場合、債務者に保有財産があることを証明して、その支払いを拒否できます。

しかし、保証人とは異なり、連帯保証人は上記の二つの権利を主張できません

もし、債権者から借金の支払いを請求された場合、連帯保証人は債務者と同じ立場でその義務に応じる必要があります。

銀行の借金に対して経営者が連帯保証人になった場合、会社と同じ立場でその支払い義務を負います。

そのため、会社倒産時に銀行の借金が残っている場合、連帯保証人である経営者が返済しなければならないのです。

合名会社または合資会社の経営者である場合

会社法では、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の四つの会社類型を規定しています。

そして、経営している会社の種類が「合名会社」または「合資会社」である場合、経営者は会社倒産時に銀行の借金の支払い義務を負います。

合名会社の経営者は社員であるため支払い義務を負う

「持分会社(合名会社など)の財産で借金を完済できないときは、社員が連帯してその借金の返済義務を負う」旨が会社法580条1項1号で定められています。

合名会社の経営者は社員であるため、上記の義務を負わなければなりません。

そのため、会社倒産時に銀行の借金が残っている場合、合名会社の経営者が返済しなければならないのです。

合資会社の経営者は社員の種類によって返済義務の範囲が異なる

合資会社の場合、経営者が無限責任社員であるときは、会社倒産時に残っている銀行の借金全額の返済義務を負います。

これに対して、合資会社の経営者が有限責任社員である場合は、出資の価額を限度として銀行の借金を返済しなければなりません。

ただ、有限責任社員である経営者が会社へ既に出資している部分の金額については、返済責任を負いません。

たとえば、経営者が合資会社の有限責任社員になった際、出資の価額を100万円にしたとします。

出資の価額の100万円のうち50万円は既に出資済みだったとしましょう。

この場合、経営者は未出資分の金額である50万円の範囲内で、会社倒産時に残った銀行の借金の返済義務を負うことになります。

株式会社および合同会社の経営者は返済義務を負わない

株式会社で経営者が株主でもある場合、会社倒産時には出資した範囲内でのみ責任を負います。

会社倒産時に銀行の借金が残っている場合でも、株主である経営者は原則として、その返済義務を負いません。

また、合同会社の経営者である場合も同様です。

合同会社の社員は全員有限責任社員で、経営者もその地位に就いています。

合同会社では有限責任社員に就く際、全額を出資しなければなりません。

そのようなことから、合同会社の経営者は、全額出資済みの状態にあります。

したがって、合資会社の有限責任社員である経営者と異なり、未出資分がないため、銀行の借金の返済義務を負わないのです。

会社倒産時に銀行からの借金が返せないときの対処法

会社を消滅させる場合、解散および清算の手続きをした上で処理するのが通常です。

解散および清算によって会社の消滅手続きを行なうためには、会社の権利義務関係をゼロにしなければならないのが原則です。

会社倒産時に銀行からの借金が返済できない場合、会社の権利義務関係がゼロにならないため、解散および清算の手続きによって処理できません。

このような場合、どのように対処していけばいいのか、その方法を解説していきましょう。

会社が支払不能または債務超過の状態にあれは破産手続きをする

銀行からの借金が返せない場合、破産手続きによって会社倒産処理を行ないます。

破産とは、借金の支払いが不能となった債務者の財産を処分換価した後、各債権者へ平等に配当する形で進めていく倒産手続きのことです。

会社が倒産する時、「支払不能」または「債務超過」の状態にあれば、破産手続きによって倒産処理ができます。

支払不能とは、債務者が契約で定められた期限どおりに返済できない状態のことです。

一方、債務超過とは、債務者の保有財産だけでは借金を完済できない状態を言います。

会社倒産時に銀行からの借金が返済できない状態は、支払不能および債務超過に当たりますから、破産手続きによって会社倒産処理を行なっていくことになります。

法人の破産手続きの申立は、債務者または債権者が行なうことができます。

裁判所に破産手続きの申立をして、裁判所から開始決定が出された後、財産の調査、処分換価、配当の手続きを経て、破産手続き終結決定がなされます。

破産手続き終結決定後、法人格も失われて会社が消滅することになるのです。

経営者が連帯保証人になっている場合は個人の債務整理も必要

経営者が連帯保証人になっている場合、会社倒産時に残っている銀行からの借金を返済しなければなりません。

経営者個人の資力で銀行からの借金を返済できれば特に問題はありません。

しかし、会社が銀行から借入する場合、その金額が数千万円から数億円単位に上るケースもあるため、経営者の資力で返済できないこともあります。

そのような場合は、連帯保証人になっている経営者個人の債務整理手続きも併せて行なわなければなりません。

個人の債務整理手続きには、任意整理、個人再生、自己破産など複数の方法があります。

各債権者との交渉により、3~5年間で分割返済可能な状況であれば、任意整理を選択して債務整理をするといいでしょう。

借金総額が5000万円以下で今後継続収入が見込めるなどの一定条件を満たす場合、個人再生の方法も選択肢に入ってきます。

経営者の資力では返済が難しい場合は、自己破産の方法で債務整理をしなければなりません。

経営者の資力と負っている連帯保証債務額から、適切な方法を選択して債務整理の手続きを行なっていくことになります。

それぞれメリット・デメリットがありますので、利用を考えている方は弁護士にご相談されることをお勧めします。

会社倒産時に銀行からの借金返済を後回しにするのは許されない

会社倒産時、銀行の借金が残っていても、親戚や取引先などに対して優先的に返済したいと考える経営者もいるかもしれません。

しかし、破産手続きによって会社倒産処理を行なう場合、特定の借入先を優先して返済することは許されないため、上記の行為をしないほうがいいでしょう。

破産手続きの際、特定の借入先に対して優先的に支払う偏波弁済は、破産法上で禁止されています。

もし、破産手続きの際に偏波弁済をした場合、破産管財人にその行為を否認される可能性があります。

偏波弁済の否認権の主張が認められた場合、親戚や取引先は支払いを受けた金銭を破産管財人に返還しなければなりません。

それにより、優先的に借金を返済した結果、親戚や取引先にかえって迷惑をかけてしまうのです。

このように、」会社倒産時に銀行の借金が残っている場合、その返済を後回しにするのは許されないためやめましょう。

まとめ

会社倒産時に銀行の借金が残っている場合、経営者はその返済義務を負わないのが原則です。

しかし、現実的には会社倒産時に経営者が残っている銀行の借金の返済義務を負うことになります。

なぜなら、会社が銀行から借入する際、経営者がその連帯保証人になっているのが通常だからです。

倒産時に残っている銀行の借金を返済できない場合、破産手続きによって会社の消滅手続きを行ないます。

また、連帯保証人になっている経営者も自身の資力で銀行の借金を返済できない場合、債務整理の手続きをしなければなりません。

会社倒産時に銀行の借金が残っている場合、その返済義務の有無や対処法を把握した上で処理していくことが大切です。

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