最終更新日:2026/5/19
執行役員って何をする人?執行役員の仕事や報酬は?取締役や役員との違いを解説します

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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- 執行役員の役割と位置づけ
- 法定役員との違い
- 執行役員のメリットとデメリット
「執行役員」という肩書きを聞いたことがあっても、実際に何をする人なのか、取締役や部長と何が違うのかを正確に説明できない人は多いのではないでしょうか。
何となく「会社の偉い人」というイメージはできますが、実は、執行役員は「役員」と呼ばれているものの会社法上の役員ではなく、社内で任命される独自のポジションです。
会社の規模が大きくなるにつれて、経営と現場をつなぐ役割はとても重要になります。その中間的な立場として活用されている役職が執行役員です。
この記事では、執行役員の意味や役割、取締役や管理職との違い、報酬や保険の扱いなどをわかりやすく解説します。


目次
執行役員とは?意味・位置づけ・役割をわかりやすく解説
執行役員は、会社の経営判断をする取締役と従業員の間の橋渡しをするポジションです。取締役や監査役などの法律上の役員とは異なり、会社独自の制度として設けられます。
執行役員とは業務執行を担う役職
執行役員は、会社の業務執行のために取締役と現場のリーダーである部長などの管理職の中間に位置しています。
取締役は、会社全体の方針や戦略、重要な意思決定を行う会社の幹部です。一方、執行役員は、その意思決定を受けて、どの部署が何をいつまでに行うかを具体化して実行に移す役割を担います。つまり取締役と現場の橋渡しをするポジションということです。
現場の実務と経営判断の間をつなぐ存在であるため、会社全体を俯瞰できることが求められます。
執行役員は会社法上の役員ではない
執行役員は、会社法で定められている取締役や監査役などの法定役員ではありません。そのため、選任や解任、責任の範囲について、会社法の厳格なルールは適用されません。
会社法上の役員である取締役には、会社法でその責任が明確に定められており、善管注意義務や忠実義務といった重い義務を負っています。経営判断が職務となりますが、第三者への損害賠償責任を問われることもあります。
一方、執行役員は、法律上はあくまで社内の役職にすぎません。責任の範囲は、契約内容や社内規程によって定められるのが一般的であり、従業員の中の上層部という位置づけになります。
執行「役員」であるため、法的にも取締役と同じだと誤解されやすいのですが、会社法上の役員ではないため注意しましょう。
執行役員は会社内で任命される
執行役員は、登記が必要な取締役とは異なり、会社の内部で任命される役職です。執行役員の地位や責任を定めた法律はありません。社内で自由に執行役員を任命できるのです。
執行役員の雇用形態は「雇用型」と「委任型」の2種類です。
雇用型の場合は、執行役員であっても従業員という立場です。この場合、会社と雇用契約を結び、雇用保険や社会保険にも加入できます。また、給与として報酬を受けるため、労働基準法の対象になります。
委任型の場合は、会社と業務委託契約や委任契約を結んで業務にあたります。この場合、労働者ではないため、雇用保険には加入できません。委任型の場合は、報酬も「給与」ではなく「報酬」として支払われます。
執行役員と執行役の違い
執行役とは、指名委員会等設置会社という形態の会社で置かれる会社法上の役員です。執行役の選任や解任には会社法のルールが適用されます。
これに対して、執行役員は会社の形態に関係なく社内の内部の決定によって自由に設置できる役職であり、会社法上の役員ではありません。
執行役については登記が必要ですが、執行役員の場合は登記も不要です。
執行役と執行役員は非常に名前が似ていますが、「執行役」は法律上の役員、「執行役員」は法律の規定のない社内の地位であるという点は押さえておきましょう。
執行役員と取締役の違い
執行役員と取締役は同じように「役員」と呼ばれていますが、明確な違いがあります。ここでは、執行役員と取締役の違いを解説します。
取締役は経営判断をする
取締役の役割は、会社の経営方針などについての意思決定です。取締役は、事業戦略、資金計画、人事方針、投資判断などの会社の方向性に関わる経営判断を行います。
取締役は、株主から経営を任されている立場であるため、取締役は「経営の責任者」としての役割を担っているのです。
執行役員は、取締役が決めた方針を受けて、それを現場に落とし込むのがその役割です。取締役は「決める人」、執行役員は「動かす人」という関係で整理すると理解しやすくなります。
責任やリスクの違い
取締役は会社法上の役員であるため、善管注意義務や忠実義務といった法律上の義務と責任を負っています。経営判断を誤った場合、株主から責任を追及されることもあります。
執行役員は、法律上の役員ではないため取締役のような責任を負う立場ではありません。
執行役員の責任の範囲は、雇用契約や委任契約、社内規程に基づいて決まります。
執行役員は登記しない
取締役は、就任や退任、重任などがあるたびに登記をしなければなりません。一方、執行役員は登記が不要で、社内の決定だけで任命や解任ができます。
執行役員であれば、選任や登記の手間がないため実力のある社員を迅速に登用できます。
執行役員と管理職の違い
執行役員と部長などの管理職は、どちらも法定役員ではありません。しかし、会社内での位置づけや役割には違いがあります。
執行役員と部長の違い
執行役員も部長も、法定役員ではない社内の役職であるという点は同じです。
ただし執行役員は、会社全体の業務の執行を統括する立場なので、各部署のリーダーである部長よりも上位の役職とされます。
執行役員が雇用型の場合、どちらも同じ会社の従業員ですが、執行役員は部長の上司と考えていいでしょう。
もちろん、執行役員と部長を同じ人が兼任しても法律上は特に問題ありません。
従業員のままで執行役員になれる
会社は、雇用契約のまま優秀な社員を執行役員に昇進させることができます。
この場合、雇用契約を維持したまま執行役員に任命されるため、役職が変わっても従業員として給与を受け取ることができます。前述の「雇用型」の執行役員です。
もちろん、執行役員という役職に就いていても雇用保険や社会保険に加入でき、労働基準法に守られているためその枠の中で労働します。
執行役員のメリット
法定役員ではないものの「役員」と呼ばれる執行役員のポジションは、少しあいまいにも感じられます。しかし、執行役員は、会社法の枠に縛られない柔軟な対応ができるため、実は会社と本人の双方にメリットがある役職です。
会社側のメリット
まずは、執行役員の制度を導入することで会社側が得られるメリットを解説します。
登記が不要で機動的に任命できる
執行役員の任命は社内で決定するだけでよいため登記は不要です。また、選任も株主総会を開く必要がなく、社内の人事決定のみとなります。
登記という手続き上のハードルがないため任命の自由度が高く、役職を与える会社側にとって利便性があります。
優秀な人材に与えられる肩書きとして利用できる
執行役員の制度は、社内の人事決定のみで役職を与えられるため以下のようなケースで利用しやすいです。
- 非常に優秀だが、取締役に選任するにはまだ早い社員がいる
- 家族経営の会社で他人を取締役にするのに抵抗がある
このようなケースでは、執行役員というポジションは使い勝手がよいといえます。
本人側のメリット
続いて、執行役員に任命される本人のメリットを解説します。
モチベーションや社内の地位
執行役員に任命されることは、会社から能力を高く評価されていることを意味します。執行役員への昇進は、本人のキャリアアップにもなり、評価されていることをはっきり実感できる機会です。
また執行役員は、取締役に次ぐ会社の幹部として、優秀な人材にふさわしい役職でもあります。執行役員になることで、その先の取締役などの地位が具体的に見えてくるのです。
社外的にも、執行役員という役職には社会的なステータスがあります。ビジネスの交渉場面では、執行役員という肩書きの有無で信頼度も変わってきます。
会社・本人双方のメリット
最後に、執行役員という役職を利用することで会社と本人の双方が得られるメリットを解説します。
法令上のメリット
取締役の報酬は、定期同額給与や事前確定届出給与といったルールを遵守すれば、全額損金として扱うことができます。
一方、雇用型の執行役員は従業員としての性質を持つため、取締役の役員報酬のような厳しい制限を受けずに給与を損金処理できる柔軟性があります。
登用された本人としては、社会保険や雇用保険に加入でき、労働基準法の適用を受けることができます。
安定
会社は、優秀な社員を執行役員という重要なポジションに置くことで人材の流出を防ぎ、その人物の能力を社内で活かすことができます。
もちろん、執行役員に任命したからといって必ず流出を止められるわけではありませんが、重要ポストに置くことで能力を認めているという意思を示すことができます。
執行役員にとっては、取締役に次ぐ社内の重要ポジションに就いたうえで安定した給与を受け取れるメリットがあります。
デメリット
執行役員の制度を導入する場合のデメリットも解説します。
指揮系統がわかりづらくなる
執行役員という役職が社内に存在することで、指揮系統が混乱する可能性があります。会社には、執行役員以外にも取締役や社長、部長といったさまざまな肩書きがあります。
社内で使用される肩書きの種類が増えると、誰が責任者なのかがわかりづらくなるケースもあります。
プレッシャー
執行役員という肩書きを得た場合、本人が大きなプレッシャーを抱えて精神的に追い込まれるというケースもあります。
もちろんこれは人によりますが、プレッシャーに弱いタイプの場合は、フォローやケアが必要になることもあるでしょう。
特に、結果や実力を重要視する社風の場合はこのプレッシャーが大きくなることが予想されます。
執行役員の報酬や保険について
執行役員の報酬や社会保険の扱いは、「雇用型」か「委任型」かという契約形態によって大きく異なります。
ここでは執行役員の報酬や保険について解説します。
従業員と同じ給与として支払われる
執行役員が雇用型である場合、会社とは雇用契約を結んでいるため、報酬は「給与」として支払われます。役員と呼ばれていても契約上は従業員です。
- 源泉徴収される
- 社会保険料や雇用保険料が給与から控除される
- 年末調整の対象
上記のとおり、経理上の取り扱いは一般の従業員と同じです。取締役の「役員報酬」とは異なり、税務上も「給与」として処理される点が大きな特徴です。
一方、執行役員が委任型である場合は、業務委託契約や委任契約に基づく形で報酬が支払われます。 この場合、支払われるのは報酬であり、給与ではありません。
雇用型の場合は雇用保険に加入できる
雇用型の執行役員は従業員であるため、他の社員と同じように雇用保険に加入できます。
この場合、仮に退職した場合は、条件を満たせば失業給付の対象になります。
委任型の場合は、雇用保険には加入できません。
執行役員は社内で自由に任命できる役職!
執行役員は、取締役と現場の管理職をつなぐ社内のポジションであり、取締役や監査役のような会社法上の役員ではありません。
登記が不要で、社内の決定のみで任命できるといった自由さがあり、機動的な人材配置が可能です。
雇用型であれば「給与」が支払われ、雇用保険や社会保険にも加入できます。一方、委任型の場合は「報酬」が支払われ、保険の扱いも異なります。
制度の自由度が高い反面、役割や指揮系統を明確にしないと混乱を招くおそれがあります。執行役員を導入する際は、会社の規模や経営方針に合わせて慎重に設計することが大切です。



















