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最終更新日:2026/5/27

相続放棄の費用相場はいくら?自分でする場合と弁護士・司法書士の報酬を比較

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

VSG司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profiletakana/

記事の要約

  • 相続放棄の費用は自分でやれば実費のみ、専門家に依頼するなら3万〜10万円が目安
  • 故人の預貯金から費用を支払うと「単純承認」とみなされ相続放棄ができなくなることがある
  • 相続放棄後も実家などの不動産の管理義務が残る可能性があり、費用がかかることも

「相続放棄をしたいけれど、費用はいくらかかるの?」

故人に借金があることが分かったとき、「相続放棄」は有効な選択肢です。

しかし、手続きの費用が分からないと、なかなか一歩を踏み出せないものではないでしょうか。

この記事では、相続放棄にかかる費用の全体像をお伝えします。

「自分でする場合」と「専門家に依頼する場合」の費用比較だけでなく、費用を抑える方法や、見落としがちな「相続放棄した後に発生する費用」や「相続税への影響」までまとめています。

なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けておりますので、相続でご不安なことがございましたら、お気軽にご連絡ください。

目次

相続放棄にかかる費用の全体像

相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)が残した「プラスの財産」も「マイナスの財産」も、一切引き継がない手続きのことです

相続放棄が認められると、その人は「最初から相続人ではなかった」ことになります。

相続放棄にかかる費用は、「誰が手続きを行うか」によって大きく変わります。

相続放棄にかかる費用

全体の費用相場とそれぞれの特徴は、以下の表のとおりです。

手続き方法 費用の目安(総額) 主な作業・サポート内容 向いている人
自分で手続き 約3,000円〜5,000円(実費のみ) ・必要書類(戸籍など)の取得
・相続放棄申述書の作成と提出
・費用を最小限に抑えたい方
・相続関係がシンプルで時間に余裕がある方
司法書士に依頼 約3万円〜5万円(+実費) ・相続放棄申述書の作成
・戸籍謄本などの収集代行
・書類作成や集め方に不安がある方
・費用を抑えつつ、専門家のサポートを受けたい方
・相続放棄の期限が迫っている方
弁護士に依頼 約5万円〜10万円(+実費) ・書類作成から裁判所対応までの代理
・債権者(借金先)への対応
・他の相続人との間でトラブルがある方
・債権者からの督促への対応を任せたい方
・相続放棄の期限が迫っている方

相続放棄は、自分で手続きをすれば、費用を大きく抑えることができます。
しかし、手続きの正確性や手間を考慮すると、専門家に依頼するメリットも大きいです。

費用の内訳について、詳しく見ていきましょう。

自分で相続放棄する場合の費用内訳

相続放棄にかかる費用を最小限に抑えたい場合は、自分で家庭裁判所に申し立てることができます。

この場合にかかる費用は「実費」のみで、合計3,000〜5,000円程度です。

(1)収入印紙代と郵便切手代

相続放棄をするには、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」 に、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所へ「相続放棄の申述書」を提出する必要があります。

申述書を提出する際は、以下の費用がかかります。

収入印紙代:申述人(相続放棄をする人)1人につき 800円
全国一律の金額であるため、どの家庭裁判所でも変わりません。
郵便切手代:数百円〜1,000円程度
裁判所からの通知に使う切手をあらかじめ提出します。
必要な郵便切手の金額や内訳は、管轄の家庭裁判所ごとに異なるため、事前に裁判所のウェブサイトや電話で確認しましょう。

(2)戸籍謄本などの書類取得費用

相続放棄の手続きには、「相続放棄の申述書」のほか、亡くなった方の死亡を確認できる書類や、申述人との関係を証明する書類が必要です。

主な費用
取得する書類 手数料の目安
申述人の戸籍謄本(全部事項証明書) 450円 / 通
被相続人の除籍謄本・改製原戸籍 750円 / 通
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票) 300円程度 / 通(自治体により異なる)

必要な通数は、被相続人との関係によって変わります。

たとえば、亡くなった方の「子ども」が相続放棄する場合は、一般的に戸籍謄本を2〜3通取得すれば足りるため、書類取得費用は1,000〜2,000円程度に収まることが多いです。

しかし、兄弟姉妹や甥・姪が相続放棄をする場合は、先順位の相続人が全員いないことを証明するため、集める戸籍謄本類が増えることから実費も高くなります

自分で手続きするメリットと注意点

自分で手続きをする最大のメリットは、専門家への報酬がかからず、実費のみに抑えられる点です。

一方で、書類の不備や提出先の間違いがあると、手続きがやり直しになるおそれがあります。

また、相続放棄には「3カ月以内」の期限があり、期限を過ぎてしまうと原則として放棄ができなくなります。

自分で手続きをするか、専門家に依頼するかを迷われた場合は、まずは専門家の無料相談を利用して、手続きの難易度を確認してみることをおすすめします。

司法書士・弁護士・行政書士の「費用相場」と「対応範囲」の比較

専門家に依頼する場合、一般的には「司法書士」か「弁護士」を選ぶことになります。

それぞれの費用と対応範囲の違いを確認しましょう。

司法書士・弁護士・行政書士の「費用相場」と「対応範囲」

司法書士に依頼した場合:費用相場 3万〜5万円

司法書士の報酬相場は、1人あたり3万〜5万円程度(+実費)です。

役割と範囲
家庭裁判所に提出する「相続放棄申述書」の作成や、必要となる戸籍謄本等の収集代行を行います。
向いているケース
親族間のトラブルがなく、「書類の作成や収集だけを専門家に任せたい」という場合に向いています。

司法書士は、家庭裁判所の手続きにおける「代理人」にはなれません

そのため、申述書を提出した後に裁判所から届く「照会書(質問状)」への回答は、原則として「相続放棄をする本人」が行う必要があります

ただし、多くの司法書士事務所では回答方法についてのアドバイスもしてくれるため、手続きに不慣れな方でも安心して進められるでしょう。

弁護士に依頼した場合:費用相場5万〜10万円程度

弁護士の報酬相場は、1人あたり5万〜10万円程度(+実費)です。

役割と範囲
法律業務全般の「代理人」として動けるため、書類の作成から裁判所とのやり取り、さらには債権者への対応(督促を止める通知の送付など)まで、すべての手続きを委託できます。
向いているケース
・ほかの相続人との間で、遺産をめぐるトラブルが起きている。
・債権者(お金を貸した側)から督促を受けている。

費用は司法書士に比べて高くなりますが、裁判所対応や債権者対応をすべて一任できるため、精神的な負担を最も軽減できる選択肢といえます。

行政書士には依頼できない?できることの範囲

行政書士は、家庭裁判所に提出する「相続放棄申述書を作成する権限」を持っていません

裁判所に提出する書類の作成代行ができるのは、法律上、弁護士と司法書士のみと定められています。

相続放棄において行政書士ができることは、相続人の確定や相続財産の調査、適切な専門家への橋渡しといった周辺業務です。

二度手間を避けるためにも、相続放棄の手続きは最初から司法書士か弁護士に依頼することをおすすめします。

相続放棄の費用が相場よりも高くなるケース

通常の相続放棄であれば、前述の費用相場の範囲内に収まりますが、以下のようなケースでは費用が加算されることがあります。

(1)「3カ月の期限」を過ぎてしまっているケース

「自己のために相続開始があったことを知ってから3カ月」の期限を過ぎると、原則として相続放棄はできません

ただし、「故人に借金があることをまったく知らず、知らなくてもやむを得ない相当の事情がある場合」などは、相続放棄が例外的に認められる可能性があります

この場合、期限内に申立てできなかった理由を説明する「上申書(事情説明書) 」の作成が必要になるケースがあり、専門家の報酬に1万〜3万円程度が加算されるのが一般的です

「亡くなったことを後から知った」など、状況によっては放棄期限後でも受理される可能性がありますので、まずは専門家へ相談してみましょう。

(2)財産調査が必要なケース

「放棄すべきかどうか」の判断がつかないときは、まず被相続人の財産を調査することがあります。

財産調査を専門家に依頼すると、別途10万〜30万円程度の費用がかかることがあるため、あらかじめ予算に含めておきましょう。

相続放棄の費用を安く抑える方法

「借金を相続したくないから放棄したいが、手続き費用が負担になる」という場合は、以下の方法を検討してみましょう。

(1)兄弟姉妹でまとめて依頼して割引を受ける

同じ被相続人に対して、兄弟姉妹など複数人が相続放棄をする場合は、同じ事務所にまとめて依頼するのが有利です

多くの事務所では、一括依頼の場合に2人目以降の報酬が安くなる割引制度を設けています。

また、共通の戸籍謄本を使い回せるため、書類取得の実費も節約できます。

(2)「戸籍の広域交付制度」を活用する

2024年3月からスタートした「戸籍の広域交付制度」を利用すれば、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍謄本を取得できます。

遠方の本籍地に郵送で請求する手間が省け、定額小為替の手数料(1枚につき200円)なども節約できます

自分で手続きをする方はぜひ活用しましょう。

(3)法テラスの費用立替制度を利用する

経済的に余裕がない場合は、法テラス(日本司法支援センター)の「民事法律扶助制度」を利用できる可能性があります。

この制度では、弁護士や司法書士の報酬を、法テラスが一時的に立て替えてくれます。

立て替えてもらった費用は、月々5,000円程度からの分割で返済できます(利息はかかりません)。

民事法律扶助制度を利用するには、収入や資産が一定額以下であることなどの条件がありますが、生活保護を受給している方は、返済が猶予されたり事件終了後に免除申請が認められたりする場合があります。

相続放棄の費用は誰が負担する?遺産から払ってもいい?

「費用を誰が出すのか」についてのルールと、注意すべき点をお伝えします。

一般的には「相続放棄する本人」が支払う

相続放棄の費用を誰が支払うかについて、法律上の決まりはありません

ただし、一般的には相続放棄をする本人が自分の財産から支払います

兄弟姉妹など複数人でまとめて専門家に依頼する場合は、相続人同士で費用を分担することもできます。
この点は、事前に話し合っておくとスムーズです。

故人の預貯金や遺産から払うのは避けるべき

「手元にお金がないため、故人の預貯金から相続放棄の手続き費用を出したい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、故人の財産を消費してしまうと、法律上「借金も相続することを認めた(単純承認)」とみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります

葬儀費用については、社会通念上相当な範囲であれば遺産からの支払いが認められる傾向にありますが、相続放棄の手続き費用は該当しません。

したがって、故人の相続財産「以外」から支払うようにしましょう。

見落としがちな「相続放棄後」に発生する費用

「放棄すれば、もう何もしなくていい」と思われがちですが、実は手続きの後に費用が発生するケースがあります。

「相続放棄後」に発生する費用

相続放棄後も、「財産の保存義務と費用」が残ることがある

相続放棄が認められれば、原則として故人の借金を引き継ぐ必要はありません。

しかし、手続きの「後」になって予期せぬ費用が発生するケースがあるため、以下のポイントに注意が必要です。

①「保存義務」と相続財産清算人の「予納金」

相続放棄をした場合でも、放棄した時点で「現に占有している」財産(例:故人と同居していた家など)については、次の相続人に引き渡すまで「財産を保存する義務」が残ることがあります

また、相続人全員が放棄して相続人がいなくなった場合、家庭裁判所に「相続財産清算人」を選任してもらう手続きが必要になることがあります。

選任申立ての際、裁判所へ「予納金」として20万〜100万円程度の費用を納めるケースがある点には注意が必要です。

②「祭祀財産」の管理費や「連帯保証債務」

相続手続きの後も、以下のような費用は免除されないケースがあります。

お墓の管理や墓じまいの費用
お墓や仏壇などの「祭祀財産(さいしざいさん)」は相続放棄の対象に含まれません。
そのため、お墓を引き継いだ人(祭祀承継者)が管理費用や墓じまいの費用を負担することになります。
賃貸住宅の連帯保証債務
故人が借りていた賃貸住宅の「連帯保証人」になっていた場合は、相続放棄をしても連帯保証人としての契約上の義務は消えません。
退去時の原状回復費用などを求められる可能性があるため、ご注意ください。

相続放棄と相続税の関係

相続放棄の費用を考えるうえで、見落とされがちなのが「相続税への影響」です。

相続放棄しても基礎控除額は変わらない

相続税には「基礎控除」という非課税のラインがあります。

計算式

基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

この「法定相続人の数」は、相続放棄がなかったものとした場合の人数で計算するルールです。

つまり、誰かが相続放棄をしても、基礎控除額が変わる(減る)ことはありません。

相続放棄した本人にも、相続税の申告が必要になるケース

「相続放棄をしたから、相続税は一切関係ない」とは言い切れないケースがあります。

生命保険金や死亡退職金は、相続放棄をしていても受け取ることができますが、これらは税法上「みなし相続財産」として扱われます。

生命保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠がありますが、相続放棄をした方はこの非課税枠を使えません

そのため、受け取った保険金の全額が課税対象になり、金額によっては放棄した本人にも相続税の申告・納税義務が発生します

ほかの相続人の税負担への影響

相続放棄をすると、放棄した方が受け取らなかった遺産を、ほかの相続人が取得することになります。

相続税は「法定相続分課税方式」で計算するため、相続放棄があっても法定相続人の数は変わらず、原則として相続税の総額は変わりません。

ただし、放棄した方が生命保険金を受け取っていて非課税枠が使えなくなる場合など、課税価格が変わることで総額に影響が出るケースもあります

もっとも、配偶者の税額軽減を使える人が財産を取得しない場合や、相続人以外の人が財産を取得して相続税の2割加算の対象になる場合などは、最終的な税負担に影響することがあります。

相続放棄をする前に、財産の取得者が変わることで税額にどのような影響が出るかを確認しておくことが大切です

相続税の計算は複雑ですので、判断に迷ったら税理士にご相談ください。

相続放棄の費用に関するよくある質問

まとめ:状況に合わせた費用と方法の選択を

相続放棄の費用は、自分で行うか専門家に依頼するかによって変わります。
この記事のまとめは、以下のとおりです。

まとめ

  • 相続放棄の費用は、自分で手続きすれば3,000〜5,000円程度。司法書士なら3万〜5万円、弁護士なら5万〜10万円が目安。
  • 手続き費用を故人の預貯金(遺産)から支払うと「単純承認」とみなされ、放棄できなくなるリスクがある。
  • 放棄後も不動産の管理義務(相続財産清算人の予納金)など、発生しうるコストを事前に確認しておくことが大切。

相続放棄には、厳格な期限があります。

「どの方法を選ぶべきか」「自分のケースではいくらかかるのか」など、少しでも不安がある方は、早めに専門家に相談されることをおすすめします。

VSG相続税理士法人では、相続放棄の費用や相続税への影響について、初回無料でご相談を承っております。

グループ内の司法書士や提携弁護士とも緊密に連携しており、書類作成から法的なトラブル対応まで、ひとつの窓口でサポートが可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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