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最終更新日:2026/5/20

相続手続きの費用相場は?誰が払う?内訳や遺産額ごとの目安も紹介

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

VSG相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、立川、千葉、埼玉、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡などの全国の主要都市14拠点にオフィス展開し、年間3,500件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】

記事の要約

  • 自力での手続きは戸籍収集などで手間がかかるため、専門家への依頼がスムーズ
  • 費用負担に法的な決まりはなく、遺産から差し引くか、財産の取得者が支払うのが一般的
  • 複数の士業がそろう総合事務所へ依頼すれば、手続きの重複を防ぎトータルコストを抑えられる

親族が亡くなったあと、相続の手続きにはさまざまな費用がかかります。

「全部合わせて、うちの場合はいくらかかるの?」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、相続手続きにかかる費用の全体像を、遺産の規模別にお伝えします。

自分で手続きした場合と専門家に依頼した場合の違い、費用を誰が払うのか、税務上の扱いまで、はじめて相続を経験する方にも分かりやすくまとめました。

なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けておりますので、相続でご不安なことがございましたら、お気軽にご連絡ください。

【早見表】相続手続きの費用は全部でいくらかかる?

相続手続きにかかる費用は、遺産の規模と「自分でやるか、専門家に頼むか」で大きく変わります。

相続手続きの全体像

遺産の規模別に、「トータルでかかる費用の目安」を以下の表にまとめました。

前提

  • 相続人が配偶者と子2人のケースで概算。相続税額は「配偶者の税額軽減」の適用有無で幅がある。
  • 書類取得費・登録免許税は、自分で手続きする場合も専門家に依頼する場合も同額とする。
  • 不動産の固定資産税評価額は、遺産3,000万円・5,000万円のケースでは2,000万円、1億円のケースでは3,000万円、3億円のケースでは1億円とする。
  • 「専門家に依頼する場合」には、司法書士・税理士・行政書士の報酬を含む(相続税申告が不要なケースでは税理士報酬は含まない)。
早見表
遺産の規模 自分で手続きする場合(相続税を含む支払総額) 専門家に依頼する場合(相続税を含む支払総額)
3,000万円(自宅のみ) 約9万〜10万円 約15万〜20万円
5,000万円(自宅+預貯金) 約19万〜30万円 約20万〜105万円
1億円(自宅+預貯金+有価証券) 約328万〜644万円 約394万〜769万円
3億円(不動産複数+金融資産) 約2,901万〜5,762万円 約3,071万〜6,092万円
遺産5,000万円のケースでは、相続税の基礎控除額をわずかに超えるため、相続税申告が必要になる場合があります。
ただし、財産評価や債務・葬式費用などを反映した結果、正味の遺産額が基礎控除以下になる場合は、相続税申告が不要になることもあります。
そのため、専門家に依頼する場合の費用は、税理士報酬を含まないケースで約20万〜35万円、相続税申告を税理士に依頼するケースで約55万〜105万円を目安としています。

厳密には、相続税は手続き費用ではなく「相続財産を取得した場合に発生する税金」ですが、ここでは、戸籍取得費や登録免許税、専門家報酬に加え、相続税が発生する場合の納税額も含めた「相続時に必要となる支払総額」の目安として整理・紹介しています。

遺産額が約3,000万円の手続き費用は9万〜20万円が目安ですが、遺産1億円超のケースでは、相続税が費用の大部分を左右します。

特に、不動産の評価方法や制度適用の有無によって相続税額が大きく変わり、トータルの費用にも大きく影響します

相続手続きの流れと費用が発生するタイミング

相続が発生すると、さまざまな手続きを期限内に進めなければなりません。

「いつ、何にお金がかかるのか」を把握しておくと、資金の準備がしやすくなります。

相続手続きの流れと費用

(1)相続開始〜3カ月以内にかかる費用

相続開始から3カ月以内には、「死後すぐの行政手続き」と「初期の相続手続き(遺言書の確認・相続人の調査など)」が発生します。

この期間にかかる主な実費は、以下のとおりです。

手続き 費用の目安 備考
死亡届・火葬許可の申請 申請自体は無料 死亡診断書の発行に3,000円〜2万円程度(病院による)。
火葬許可証の再発行は200〜300円程度。
遺言書の検認申立て 収入印紙800円+郵便切手 自筆証書遺言の場合のみ。
法務局の遺言書保管制度を利用していた場合は不要。
相続放棄の申立て 収入印紙800円+郵便切手(1人あたり) 専門家に依頼する場合は別途3万〜5万円程度の報酬が発生。

役所への死亡届や火葬許可の申請自体には費用はかかりませんが、添付する死亡診断書の発行には病院での文書料が必要です。

葬儀等の対応が落ち着いたあと、本格的な相続手続きとして遺言書の確認や相続人の調査に進みます。

相続人を確定するための戸籍収集にかかる費用については、次のセクションで詳しくお伝えします。

(2)3カ月〜10カ月以内にかかる費用

相続人が確定したら、相続財産の調査遺産分割協議、各種名義変更を進めていきます。

この期間に発生する主な費用は以下の3つです。

費用 詳細
相続登記(不動産の名義変更) 登録免許税という国に納める税金と、司法書士に依頼する場合はその報酬が発生する。
手続き費用のなかでも大きな割合を占めることが多い。
預貯金や株式の名義変更 銀行や証券会社での名義変更手続き自体には手数料がかからないのが一般的だが、残高証明書の発行には1通あたり数百円〜1,100円程度の手数料がかかる。
相続税の納付 遺産の総額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合、「亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」に申告・納付が必要。
税理士に依頼する場合はその報酬も発生する。

自分で手続きした場合の費用

相続手続きは自分で行うことも可能です。

その場合、費用は書類の取得にかかる実費と登録免許税のみで済みます。

書類の取得にかかる実費

相続手続きで必要な、主な公的書類と1通あたりの費用は以下のとおりです。

書類の種類 費用の目安(1通あたり)
戸籍謄本(全部事項証明書) 450円
除籍謄本・改製原戸籍 750円
住民票の写し・印鑑証明書 約300円(自治体により異なる)
固定資産評価証明書 約300〜400円

相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になることが多いのですが、本籍地の変更(転籍)があった場合は複数の自治体から取り寄せる必要があります

戸籍は郵送で請求することもできますが、定額小為替の発行手数料(1枚につき200円)がかかります。

相続人の人数や、被相続人の転籍回数にもよりますが、書類取得費の合計は5,000円〜2万円程度を目安にしておくとよいでしょう。

参考戸籍の「広域交付制度」で取り寄せの手間を減らせる

2024年3月から始まった「広域交付制度」を利用すれば、本籍地が遠方にある場合でも、最寄りの市区町村の窓口で戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍をまとめて請求できます

全国各地に郵送請求をする必要がなくなるため、定額小為替の手数料や郵送にかかる日数も節約できます。

ただし、取得できるのは窓口に出向く本人、本人の直系にあたる人の分であり、代理人や兄弟姉妹、郵送での利用はできない点にはご注意ください。

登録免許税の計算方法

不動産を相続した場合、法務局で名義変更(相続登記)を行う際に「登録免許税」を国に納めます。

計算式

登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%

たとえば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を相続する場合、登録免許税は8万円です。

固定資産税評価額は、毎年届く「固定資産税の納税通知書」に同封されている課税明細書で確認できます。

手元にない場合は、市区町村の窓口で「固定資産評価証明書」を取得することもできます。

なお、以下のケースに該当する土地は、特例として登録免許税が免除されます(令和9年3月31日まで)。

  • 固定資産税評価額が100万円以下の土地を相続する場合
  • 相続人が相続登記をする前に亡くなり、さらに相続が発生した場合(数次相続)で、亡くなった方の名義にする登記

なお、登録免許税の免税措置は主に土地を対象とする制度であり、建物の相続登記まで一律に免税されるわけではありません。

自分で相続手続きをするメリットと注意点

自分で相続手続きをすることもできますが、相応の時間と手間がかかります。

特に手間がかかるのが、古い原戸籍の取り寄せが必要なケースです。

なかでも「昭和改製原戸籍」は手書きで記録されているうえ、くずし字や旧字体が使われているため、何が書いてあるのか読み取れないことも珍しくありません。

内容を正しく読み解けなければ、相続人の見落としにつながるおそれもあります。

また相続登記では、法務局への書類提出は平日しかできないため、会社勤めの方にとっては負担になります。

自分で手続きするのが向いているのは、相続人が少ない(配偶者と子のみなど)

不動産が1カ所だけ、遺産分割の内容に争いがないといったシンプルなケースです。

それ以外の場合は、専門家に依頼したほうが結果的にスムーズに進むことが多いです。

専門家に依頼した場合の費用相場

相続手続きを専門家に依頼する場合、「誰に、何を頼むか」によって費用は変わります。

インターネット上で「一律◯万円」といった格安プランを見かけることもありますが、戸籍収集や遺産分割協議書の作成などが別料金になっているケースもあります。

見積もりを取る際は必ず「総額でいくらになるか」を確認しましょう。

(1)司法書士に依頼する場合

司法書士は、不動産の相続登記(名義変更)を依頼できる専門家です。

戸籍の収集や遺産分割協議書の作成まで対応してくれる事務所も多くあります。

司法書士に依頼する場合
依頼内容 報酬の目安
相続登記のみ 約6万〜10万円
相続登記+戸籍収集+遺産分割協議書作成 約10万〜15万円

一般的な相続登記(土地1筆・建物1棟)であれば6万〜15万円が相場ですが、以下のような場合は報酬が加算されることがあります。

  • 不動産の筆数が多い(土地・建物がそれぞれ複数ある)
  • 管轄する法務局が複数にまたがる(自宅と別荘が別の地域にあるなど)
  • 相続人の人数が多く、連絡調整が複雑になる

(2)行政書士に依頼する場合

行政書士は、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成、金融機関での名義変更手続きのサポートなどを依頼できる専門家であり、報酬の相場は5万〜15万円程度です。

ただし、行政書士は不動産の登記申請を代行することはできません。
そのため、依頼内容によっては司法書士と連携して手続きを進めます。

(3)税理士に依頼する場合

税理士は、相続税の申告書の作成と税務署への提出を代行する専門家です。

相続財産の評価や節税対策の提案も、業務に含まれます。

報酬の相場は、遺産総額の0.5%〜1.0%程度です。

たとえば遺産が1億円の場合、税理士報酬は50万〜100万円が目安になります。

以下のケースの場合は税理士報酬が加算されることがあります。

  • 土地の評価が複雑(不整形地、借地権など)
  • 申告期限が迫っている(短期間で作業を進める必要がある)
  • 二次相続まで見据えた対策を依頼する

遺産の総額が基礎控除額以下であれば、相続税の申告は不要です。

ただし、「自宅の土地の評価額が正しいか分からない」「小規模宅地等の特例を使えば基礎控除以下になりそうだが、自分で判断できない」といった場合は、税理士に相談しておくと安心です。

実際に、令和6年度の相続税申告における税理士関与割合は86.5%とされています。

相続税が発生するケースではもちろん、「かかるかどうか微妙」なケースでも、早めに税理士に相談しておくことをおすすめします

(4)弁護士に依頼する場合

弁護士は、相続人の間で争いがある場合にサポートしてくれる専門家です。

遺産分割の交渉や調停の代理、遺言の有効性をめぐる争い、遺留分侵害額請求など、法的なトラブルの解決を依頼できます。

弁護士に依頼する場合
依頼内容 報酬の目安
遺産分割の交渉・調停 着手金20万〜50万円+成功報酬(取得額の10〜16%程度)
相続放棄の手続き 5万〜10万円

(5)信託銀行に依頼する場合

信託銀行は「遺産整理業務」として、相続手続き全体を一括で代行するサービスを提供しています。

窓口が1つで済むという手軽さがありますが、費用は最低100万円〜(遺産総額の0.3〜2%程度)と高額です

費用が高くなる理由は、信託銀行自体は士業資格を持っていないため、実際の登記や税務申告は、提携している司法書士や税理士が行うからです。

信託銀行の手数料に加えて、提携先の士業の報酬も別途かかるため、中間マージンが上乗せされる構造になっています。

トータルの費用を抑えたい場合は、信託銀行よりも「グループ内に税理士・司法書士・行政書士が在籍している総合事務所」に依頼するほうが、低コストで手続きできることが多いです。

相続手続きの費用は誰が払う?

「費用は誰が出すの?」というのは、相続人の間でよく疑問に上がるテーマです。

結論:費用は誰が払ってもよい

相続手続きにかかる費用を誰が負担するかについて、法律上の明確な決まりはありません。

相続人同士の話し合いで自由に決めることができます。

実務上は、以下の3つのパターンが一般的です。

費用負担のパターン
負担方法 詳細
パターン1:遺産から差し引く 相続財産(預貯金)から費用を差し引いて残りを分ける。
相続人全員で公平に負担を分けるため、納得感を得やすい。
パターン2:財産を取得する人が負担する 不動産など価値のある財産を引き継ぐ人が、それに付随する費用も負担する。
パターン3:法定相続分で按分する 配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつ負担するなど、法定割合に応じて按分する。

費用の支払いに使える「預貯金の仮払い制度」

相続手続きの費用を払いたくても、口座が凍結されて預金を引き出せないことがあります。

そのようなときに活用できるのが「預貯金の仮払い制度」です。

遺産分割が終わる前でも、金融機関ごとに、一定額の金額まで預貯金を引き出すことができます。

計算式

仮払いの上限額 = 預貯金の残高 × 3分の1 × 法定相続分(1金融機関あたり150万円が上限)

たとえば銀行に900万円の預金があり、法定相続分が2分の1の配偶者であれば、900万円 × 2分の1 × 3分の1 = 150万円まで引き出せます。

司法書士報酬や税理士報酬の支払いに充てることができるので、手元資金に不安がある場合は活用を検討してみてください。

費用を安く抑える方法

相続手続きの費用を少しでも抑えたい方に向けて、3つの方法をお伝えします。

(1)自分でできる部分は自分でやる

「戸籍の収集は自分で行い、登記申請だけ司法書士に依頼する」という分担も可能です。

自分で戸籍収集をすれば、司法書士の報酬が数万円安くなることがあります。

シンプルな相続のケースなら、法務局の無料の相談窓口を利用しながら、自分で登記申請を進めることもできるでしょう。

(2)複数の事務所で見積もりを比較する

司法書士や税理士の報酬は、事務所ごとに異なります。
最低でも3カ所から見積もりを取れば、相場観がつかめます。

見積もりを比較する際は、「基本報酬」だけでなく、オプション料金や実費を含めた「総額」で比べることが大切です。

(3)ワンストップで対応できる事務所を選ぶ

登記は司法書士、税務申告は税理士、書類作成は行政書士など、別々の事務所に依頼すると、窓口が増えて事務所間の連携がうまくいかないことがあります。

税理士・司法書士・行政書士がグループ内に揃った総合事務所であれば、窓口が1つで済み、情報共有もスムーズです。

重複する作業が減るぶん、トータルコストも抑えやすくなります。

相続手続きの費用に関するよくある質問

まとめ:スムーズに相続手続きを進めるために

この記事では、相続手続きの費用について紹介しました。

まとめ

  • 相続手続きの費用は、遺産3,000万円で約15万〜25万円、1億円で約100万〜150万円(手続き費用のみ)が目安
  • 自分で手続きすれば費用を抑えられるが、時間と手間がかかるため、複雑なケースでは専門家への依頼がおすすめ
  • 複数の士業が必要なケースでは、ワンストップで対応できる総合事務所に相談すると、トータルコストと手間の両方を抑えやすい

VSG相続税理士法人では、グループ内の税理士・司法書士・行政書士のほか、提携している弁護士事務所とともに、相続税の申告から不動産の登記、各種名義変更までワンストップで対応しています。

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