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最終更新日:2026/7/2

死亡退職金は相続税の対象。非課税枠と押さえておくべき注意点を解説

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

VSG相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、立川、千葉、埼玉、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡などの全国の主要都市16拠点にオフィス展開し、年間3,500件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】

記事の要約

  • 死亡退職金は、「みなし相続財産」として相続税の対象になる
  • ただし、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があり、これを超えた分だけが課税対象
  • 死亡退職金は受取人固有の財産で、遺産分割の対象外になる

「家族が亡くなり、故人の勤務先から死亡退職金を受け取ることになった。でも、このお金に税金はかかるの?」

結論から申し上げると、死亡退職金は「相続税」の対象です。

この記事では、死亡退職金と相続税の関係をわかりやすくお伝えします。

なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしていますので、何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。

死亡退職金は相続税の対象になる

この記事の全体像1

故人の勤務先から遺族が受け取る「死亡退職金」は、「みなし相続財産」として相続税の対象になります

みなし相続財産とは?

みなし相続財産は、「故人が生前に持っていた財産」ではないものの、実質的には「相続で遺族が得た財産」と同じ性質を持つことから、相続税の対象になる財産のことです。

具体的には、故人の死亡をきっかけに遺族が受け取る「生命保険金」や「死亡退職金」が、みなし相続財産に該当します。


ただし、死亡退職金の支給が確定した時期によっては、下記のように「所得税」の対象になることもあります。

支給が確定した時期 対象となる税金
故人の死亡後3年以内に確定 相続税
故人の死亡後3年を過ぎてから確定 所得税

とはいえ、実際には支給の確定までに3年以上かかるケースは少ないことから、基本的には「相続税」の対象になると考えておきましょう。

なお、受け取った死亡退職金の「全額」に相続税が課されるわけではありません。

死亡退職金には「非課税枠」があり、この枠を超えた部分のみ、課税対象になります。

そこで以下では、死亡退職金の非課税枠について、詳しく見ていきます。

死亡退職金にかかる相続税の非課税枠

この記事の全体像2

死亡退職金には、相続税の負担を軽くするための「非課税枠」が用意されており、下記の式で計算します

計算式

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

この非課税枠は、「法定相続人が受け取った死亡退職金」にのみ適用されます

法定相続人ではない人が死亡退職金を受け取ったときには、この非課税枠は使えないのでご注意ください。

また、計算式のなかの「法定相続人の数」についても、下記の2つの注意点があります。

注意点

  1. 相続放棄した人がいても、その放棄がなかったものとして数える
  2. 養子は、数えられる人数に上限がある(実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで)

それでは、具体的に次の3つのケースでの「非課税枠の考え方」を見ていきましょう。

ケース1:相続人のうちの1人が受け取った

ケース1

1つ目は、故人の「妻」が2,000万円の死亡退職金を受け取ったケースです。

このケースでの法定相続人は「妻・長男・長女の計3人」なので、非課税枠は「500万円 × 3人 = 1,500万円」です。

以上から、相続税の課税対象になる死亡退職金は「2,000万円 – 1,500万円 = 500万円」となります。

ケース2:複数の相続人が受け取った

ケース2

2つ目は、故人の「妻」が1,500万円、「長男」が500万円の死亡退職金を受け取ったケースです。

このように、複数の人が死亡退職金を受け取った場合、「誰がどれほどの非課税枠を使うのか」を自由には決められません。

下記の計算をして、非課税枠を割り当てることになります。

計算式

各人が使える非課税枠 = 非課税枠の総額 ×(その人が受け取った死亡退職金額 ÷ すべての相続人が受け取った死亡退職金の合計額)

今回のケースで、妻と長男が使える「非課税枠」と「課税対象額」は、次のとおりです。

相続人 非課税枠・課税対象額
【非課税枠】
 (500万円 × 3人)×(1,500万円 ÷ 2,000万円)= 1,125万円
【課税対象額】
 1,500万円 – 1,125万円 = 375万円
長男 【非課税枠】
 (500万円 × 3人)×(500万円 ÷ 2,000万円)= 375万円
【課税対象額】
 500万円 – 375万円 = 125万円

ケース3:相続人以外の人が受け取った

ケース3

3つ目は、故人の「母親」が2,000万円の死亡退職金を受け取ったケースです。

上記のケースでの法定相続人は、「妻・長男・長女」の3人です。

「母親」は法定相続人ではないため、今回は非課税枠を一切使えず、受け取った2,000万円がそのまま相続税の対象となります

以上、死亡退職金の非課税枠の考え方をお伝えしました。

相続税を算出する際は、課税対象となる死亡退職金を「遺産総額」に加えて、計算を進めていきます。

相続税の計算方法は、下記の記事で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。


死亡退職金で押さえておくべき注意点

この記事の全体像3

ここでは、相続手続きを進めるうえでの「死亡退職金」に関する注意点として、次の3つを紹介します。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

注意点1:受取人は「会社の規程」で決まる

注意点1

死亡退職金の受取人は、会社の「退職金規程」や「就業規則」で定められているのが一般的です。

この受取人の順位は、民法で定められた相続順位とは異なることがあります。

たとえば、下記の家族構成で法定相続人になるのは、「配偶者」と「子ども」の2人です。

相続人が配偶者と子どものイメージ

一方、会社の規定では「配偶者がいる場合、子どもは死亡退職金を受け取れない」というように、受取人が1人に限定されているケースも多いです。

そのため、「死亡退職金は相続人で分け合うもの」と思い込まず、まずは勤務先の規程を確認するようにしましょう。

注意点2:死亡退職金は「遺産分割」の対象外

注意点2

本来、相続財産は「遺産分割協議」によって、誰が・どの財産を引き継ぐのかを決めていきます。

しかし、「会社の規程で受取人が決まっている死亡退職金」は、「受取人固有の財産」のため、ほかの相続人と話し合うことなく、当然に受け取れます

遺産分割協議書にも、死亡退職金のことを記載する必要はありません。

また、会社に死亡退職金の請求をする際も、ほかの相続人の合意などは不要で、受取人が単独で手続きを行えます。

ただし、会社に受取人の規定がないときには、原則として「遺産分割協議」で誰が受け取るのかを決めることになります。

注意点3:「相続放棄」をしても受け取れる

注意点3

故人に多額の借入金があった場合、「相続放棄」をすることが選択肢に入ります。

相続放棄をすると、貯金や不動産なども含めた「一切の財産」を引き継ぐ権利を失います。

しかし、死亡退職金は、相続放棄をした場合でも受け取れます

これは、死亡退職金は「故人から相続する財産」ではなく、「受取人固有の財産」だからです。

なお、相続放棄をすると、「はじめから相続人ではなかった」ものとして扱われることになります。

このことから、相続放棄した人が受け取った死亡退職金には、非課税枠が使えなくなるのでご注意ください。

死亡退職金に関するよくある質問

まとめ|死亡退職金には、相続税の「非課税枠」がある

今回は、死亡退職金にかかる相続税についてお伝えしました。

まとめ

  • 死亡退職金は、「みなし相続財産」として相続税の対象になる
  • ただし、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があり、これを超えた分だけが課税対象
  • 死亡退職金は受取人固有の財産で、遺産分割の対象外になる

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