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交通事故に精通している弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所 > 交通事故弁護士コラム > 交通事故予備知識 > 後部座席のシートベルト着用は義務!違反した時の点数を解説

後部座席のシートベルト着用は義務!違反した時の点数を解説

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

この記事でわかること

  • 後部座席でシートベルトをしない違反の罰則
  • 後部座席でシートベルトをしない場合のリスク
  • 後部座席でシートベルトをしなくても違反にならないケース

一般道で、後部座席のシートベルトをしないまま車を走らせる人は少なくありません。

しかし後部座席でのシートベルトは道路交通法で義務化されており、場合によっては罰則もあることをご存知でしょうか?

今回は後部座席のシートベルトをしなかった場合の罰則や、シートベルト非装着で事故に遭った際のリスク等を解説していきます。
ご自身やご家族、ご友人の安全のためぜひ参考にしてみてください。

後部座席もシートベルトが義務

シートベルトの着用は後部座席も含めて道路交通法により義務づけられています(道路交通法第71条の3)。
未装着の場合には、一般道路か高速道路を問わず違反になります。

しかし「後部座席でのシートベルト着用義務は高速道路のみである」と勘違いしている人も少なくありません。
こうした勘違いが多い原因は、一般道においては罰則がなく免許証の違反加点の対象にならない点が挙げられます。

後部座席シートベルトの着用率

令和5年度の『シートベルト着用状況全国調査』によると、後部座席のシートベルト着用率は次のとおりです。

一般道における調査結果

調査箇所数調査対象着用非着用合計着用率
781運転者302,1432,588304,3199.2%
助手席同乗者45,6651,35547,02097.1%
後部座席同乗者24,45631,47955,93543.7%

高速道路等における調査結果

調査箇所数調査対象着用非着用合計着用率
104運転者55,79723656,03399.6%
助手席同乗者18,91126619,17798.6%
後部座席同乗者10,8192,93513,75478.7%

引用:警視庁資料「シートベルト着用状況全国調査結果(令和5年)」

運転席および助手席のシートベルト着用は長年の間高い数値を保っていますが、後部座席においての装着率は、一般道においては未だ50%に満たないのが現状です。

高速道路における後部座席シートベルトの着用率は2007年に13.5%であったところ、義務化が開始された2008年(平成20年)には62.5%まで跳ね上がりました。
その後は増加を続け2023年(令和5年)には表のとおり78.7%まで上昇しています。

シートベルト未着用の違反点数

シートベルト着用義務違反についての違反点数は、次の表のとおりです。

違反点数反則金
一般道路高速道路
座席ベルト装着義務違反(運転席・助手席)1点1点なし
座席ベルト装着義務違反(後部座席)なし1点なし

根拠法令は道路交通法71条の3であり、運転席、助手席、後部座席を問わずにシートベルト非装着は違反になります。

ただし、後部座席においては一般道での違反に罰則がなく、いずれの場合においても反則金もありません

後部座席シートベルトの未着用のリスク

後部座席でシートベルトを着用せずに交通事故にあった場合、車外放出等の重大事故になる可能性が高まり、前席の人が被害を受ける可能性も上がります

交通事故の際の衝撃は、しばしば高いところから落ちる衝撃と比較されます。
衝撃の計算によると時速40kmの自動車では高さ6mからの落下に相当し、時速60kmで14m、時速80kmでは25m、時速100kmになると39mの高さから落ちた衝撃と同等になります。
39mともなるとマンションの13階ほどの高さであり、車のフロントガラスを突き破るほどの衝撃があるのも当然と言えるでしょう。
そうすると「時速100kmも出さないから大丈夫」と思いたいところですが、一般道の低速走行でも甘く見てはいけません。
時速20kmで走行していたとしても、同じく時速20kmの対向車と正面衝突すれば時速40kmでの衝撃になり大けがになる可能性もあります。

大ケガを防ぐためには、一般道路か高速道路に関わらず全席シートベルトを必ず着用するようにしましょう。

子どもの身長とシートベルト

現在の法律では、6歳未満の乳幼児に対してチャイルドシートの装着が義務付けられています。

日本自動車連盟(JAF)では、さらに厳格な基準として6歳以上となっても慎重140㎝に満たない場合にはチャイルドシートの着用を推奨しています。

しかしながら近年、サイズの合わないシートベルトによる腹部圧迫等による死亡事故が増加しており、JAFは2024年8月、翌年度からの推奨基準を伸長150㎝以上に引き上げると発表しました。

着用義務や違反点に関わらず、事故を防ぐための行動が必要になるでしょう。

後部座席のシートベルトが必須ではないケース


後部座席のシートベルトが違反でない場合は、次のパターンに分かれます。

  • バック(後退)時
  • 身体的な理由によりシートベルト着用すべきでない理由があるとき
  • 業務上許される場合

では、それぞれ詳しく解説していきます。

また、スーパーの駐車場等ではシートベルトは義務でないと勘違いしている人もいますが、駐車場は不特定多数が常時走行する道路の扱いです。
原則としてシートベルトを装着しなければなりませんのでご注意ください。

バック(後退)時

駐車や停車のために車をバックさせる際には、より広範囲を見渡して安全確認する必要があるためシートベルトの着用義務は免除されます。

身体的な理由によりシートベルト着用する方が危険な場合

体形やケガ、疾病等により療養上適当でない場合等はシートベルトを着用しなくても良いとされています

詳細は道路交通法71条の3に規定されており、条文は以下のとおりです。

引用:道路交通法71条の3
第1項
(前段省略)ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
第2項
(前段省略)ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
第3項
自動車の運転者は、幼児用補助装置(カッコ内省略)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

本条における『療養上適当でない者』とは、具体的には負傷者、障害者、著しい肥満の者、座高が低いが高い者、妊婦などが挙げられます。

ただしこれらの者が無制限にシートベルトをしなくてもいい訳ではありません。
あくまで「療養上適当でない場合」に装着義務が免除されます。

職業上許される場合

業務上、次のような場合にはシートベルト着用が免除されます。

  • 郵便配達員その他の配送業、牛乳等の配達、宅配クリーニング、許可を受けたゴミ収集業者等がその業務のために頻繁に乗り降りを繰り返すとき
  • 消防士や警察官が業務のために運転するとき
  • 要人警護の警察用自動車による護衛任務や誘導のとき
  • 適法な選挙活動として選挙カーを運転するとき

宅配業等において着用義務が免除されるのは乗り降りが頻繁に必要な場合であり、通常の運転中は免除されない点に注意が必要です。

また一般車両においては乗り降りを繰り返す際にもこのような免除規定はありません

まとめ

今回は、シートベルトの着用義務や違反の際の罰則等を解説しました。

一般道での後部座席についてもシートベルト着用は法律で義務化されていますが、一般道での違反は罰則もないためか着用率は50%に届いていません。

しかし本来は、罰則の有無によってシートベルトを装着するかどうか決めるべきではありません。
シートベルト非装着は本人のほか運転手や同乗者がケガをするリスクも高くなり、死亡率も装着時と比べて十数倍にもなると言われています。

家族や友人・仕事の仲間など同乗者の安全を第一に考え、常にシートベルトを装着するのが望ましいでしょう

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保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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