東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
オービスとは、速度違反を自動で計測・撮影する装置をいいます。
制限速度オーバーで運転していて、もし前方で何かが明るく光ったと感じたら、オービスに検知された可能性があります。
目にした光がオービスの放ったものだった場合、後日警察から反則金支払いのための出頭を要請する通知が届くでしょう。
オービスは従来、レーダー型の固定式オービスが主流を占めていました。
しかし近年は旧型のものから撤去が進み、検知機能が向上したレーザー計測型固定式や、移動式オービスの設置が進められています。
今回は、移動式オービスについて、主流のレーダー式オービス、ネズミ捕りとの違いや光るタイミングについて、スピード違反の罰則と合わせて解説します。
目次
移動式オービスとは、オービス(速度違反自動取締装置)の一種で、小型(可搬式)と中型(半可搬式)があります。
従来は、レーダー波を対象の車に照射して、反射波の周波数の違いにより速度を測定するレーダー式固定式オービスが主流でした。
2018年頃から固定式オービスに新型のレーザー式が導入され、その後運用を開始した移動式オービスでは、レーザー型が多くを占めています。
レーザー型オービスは、光を対象者に発射して反射光で速度を測定します。
レーダー式では、同時に速度計測できる車両が1台のみで、さらに測定時に他の車両が映り込むと正確な測定ができなくなるなど、測定能力に限界がありました。
これに対して、レーザー式では複数台の速度計測と撮影が可能になっています。
また、移動式オービスは小型で、種類によっては持ち運びや設置も簡単にできるため、場所を取らずに少人数での取締りが可能です。
レーザー式の移動式オービスは、固定式の設置が難しいトンネル内でも運用されています。
これまで取締りが行き届いていなかった生活道路や通学路でのスピード違反取締りが可能になったことから、移動式オービスは全国の警察で導入が進められています。
オービスとネズミ捕りは、どちらも警察が行う速度違反取締りである点では共通しています。
ネズミ捕りの場合、警察官がパトカーや白バイで違反車両を検知して停止させ、現場で違反切符を交付する点でオービスと異なります。
ネズミ捕りは即時に違反車両の運転者を検挙できるのがメリットです。
一方、取締りに人員や取調べスペースが必要で、夜間や早朝、狭い道路での取締りが難しい点に限界があります。
これに対して、オービスの場合、現場で違反車両の運転者を検挙することはできません。
一方で、人員や取調べスペースが不要で、取締りが24時間可能であることが、ネズミ捕り方式にないメリットです。
さらに移動式オービスの拡大により、狭い道路での取締りが可能になっていることも、オービスの特長といえます。
オービスが光るタイミングは、オービスの装置の前を通過する直前の、カメラで撮影される瞬間です。
レーダー式固定オービス、移動式オービスともに、装置の手前10m~15mを通過したときに発光するといわれています。
固定式オービスの場合、一般道で制限速度30km/h以上の超過、高速道路で40km/h以上の超過で光るといわれています。
移動式オービスの場合は一概にいえないのですが、制限速度30km/hの生活道路では、15km/h程度の違反でも光るケースがあります。
スピード違反は、原則として道路交通法違反となります。
道路交通法違反行為に対しては、行政処分(反則金・違反点数)または、行政処分と刑事処分(懲役刑・罰金刑)が科せられます。
違反点数が6点未満の場合は、「交通反則告知書」(いわゆる青切符)が交付されます。
青切符の場合、違反点数は加算されますが、反則金を納めれば刑事責任の対象にはなりません。
ただし、期日までに反則金を支払わなかった場合、道路交通法違反で起訴される可能性があります。
違反点数が6点以上の重大な違反に対しては「告知表・免許種保管証」(いわゆる赤切符)が交付されます。
この場合、行政処分とともに、刑事処分として罰金刑または懲役刑が科せられ、前科も残ってしまいます。
スピード違反の罰則(罰金・反則金・違反点数)は以下の表のとおりです。
反則金/罰金 | 違反点数 | |||
---|---|---|---|---|
超過速度(km/h) | 一般道路 | 高速道路 | 一般道路 | 高速道路 |
15km未満 | 9,000円 | 1 | ||
15km~20km未満 | 12,000円 | 1 | ||
20km~25km未満 | 15,000円 | 2 | ||
25km~30km未満 | 18,000円 | 3 | ||
30km~35km未満 | 6か月以下の懲役 または10万円以下の罰金 | 25,000円 | 6 | 3 |
35km~40km未満 | 35,000円 | 3 | ||
40km~50km未満 | 6か月以下の懲役または10万円以下の罰金 | 6 | ||
50km~ | 12 |
参考:
警視庁 交通違反の点数一覧表
警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表
従来、オービスが光るケースは、高速道路や幹線道路での大幅な速度違反の場合が大半でした。
しかし、今後は移動式オービスの増加により、取締りが必要ながら行き届いていなかった生活道路や通学路などでの速度違反摘発が増えることが見込まれます。
どの道を走っていても、制限速度に違反すればオービスに検知される可能性があるでしょう。
ただし、特に高速道路では、適切な車間距離をとるために制限速度オーバーで走行しなければならないこともよくあります。
そのような場合は、アプリやマップなどを利用してオービスの設置場所を確認しましょう。
スピード違反で検挙された場合は、警察側が速度を機械で計測しているので、違反の事実自体を否定することはほぼできません。
しかし、弁護士に相談することで、刑事処分などで過度に不利益を受けないためのサポートを受けられます。
スピード違反で逮捕された場合など、対応に困った場合は、交通事故・交通トラブルを専門とする弁護士にご相談ください。