東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
目次
労災は業務災害と通勤災害に分けられていて、労災と認定されるには、それぞれの要件を満たしている必要があります。
就業時間内の昼食休憩中に交通事故に遭ったときには、通勤災害ではなく業務災害に該当する可能性があります。
ただし、その事故に遭った従業員の外出した理由によっては、労災の認定の要件を満たしていないことがありますので注意が必要になります。
社員食堂が設置されていない社屋の内勤者が昼食をとるために外出していたときや、業務上の都合で取引先への移動を昼食休憩の時間を利用していたなど、会社の都合などの業務遂行性が認められる場合は私的行為に当たらないので、労災の認定を受けられる可能性があります。
社員食堂が設置されていて昼食休憩中に就業規則に反して外出したとき、業務と関係なく友人や知人に会うため外出していたときなどは、業務遂行性のない私的行為に該当するため労災の認定が受けられません。
ここでは、労災が認定されるための基準(認定されるための要件)を業務災害と通勤災害に分けて説明します。
業務災害として認定されるためには、業務遂行性と業務起因性の2つの判断基準をクリアしていなければなりません。
業務遂行性とは、従業員が雇用契約に基づいて事業主の支配下にあることで、次の3つに大別されます。
業務起因性とは、従業員が傷病などに遭ったときに業務を行っていたことで、上記の3つの業務遂行性に該当するときに起こった事故や災害などについて判断します。
具体的には以下のように適用します。
通勤災害とは、労働者が通勤によって傷病などの被害に遭うことで、法的な「通勤」の要件に該当している必要があります。
次の3つの移動について、就業に際して合理的な経路・方法で行うことが求められています。
合理的な経路・方法から逸脱・中断すると通勤として認められませんが、次の行為については、例外的に逸脱・中断とされません。
ここでは、昼食休憩中の従業員の行動別に労災が認定されたケースを紹介します。
この場合は、次の理由から労災として認められる可能性が高いといえます。
この場合は、次の理由から労災として認められる可能性が高いといえます。
この場合は、次の理由から労災として認められる可能性が高いといえます。
昼食休憩中であっても、業務遂行性と業務起因性の2つの基準が満たされている限り労災の認定が受けられる可能性があります。
しかし、事業主の中には休憩中ということをもって業務と関係ないとして労災の認定申請に協力してくれないことがあります。
この場合、労災に遭った従業員が積極的に次の対処法をとることをおすすめします。
会社側に労災を認めてもらえなかったときの対処法
それでは1つずつ見ていきましょう。
労災の認定申請手続きは、一般的に事業主を介して行いますが、事業主の協力を得られないときには、従業員自ら行うことも可能です。
労働基準監督署や厚生労働省の公式サイトで必要な書類をダウンロードできますので、業務災害や通勤災害に応じた書類を用意して、所轄の労働基準監督署へ提出しましょう。
また、通院治療している病院を介して手続きができることもあるので、窓口で相談することをおすすめします。
労働災害が発生していたにもかかわらず、事業主がこれを届け出ることなく隠蔽することは、違法行為に該当します。
もし事業主が労災の認定申請に協力しないときには、泣き寝入りすることなく所轄の労働基準監督署へ相談しましょう。
また、労災問題に詳しい弁護士へ相談して、必要があれば然るべき手続きをとれるように代理人として依頼することも得策です。
昼食休憩時中に交通事故に遭ったときに労災が認定されるか否かをテーマに解説してきました。
重要なことは、労災に該当するかどうかは事故に遭った従業員の行動内容によって判断される点です。
私的逸脱行為や規則違反行為などがあれば、業務遂行性や業務起因性が否定されて労災の認定を受けることができません。
もし認定を受けられない場合は、労災問題と交通事故に詳しい弁護士に相談してみるのがおすすめです。