東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
目次
旅行先などで急に車が必要になった場合は、レンタカーを借りて自分で運転すると便利です。注意点として、レンタカーを運転している最中に人や物にぶつかって交通事故を起こしてしまうことがあります。
レンタカーを運転中に事故を起こしてしまった場合、罰金や禁固などの刑事責任や、免許停止などの行政処分の対象になることがあります。
また、人を死傷させたり物を壊してしまった場合は、賠償金を支払うことになるため、レンタカーに付いている保険の内容について確認しておくことが大切です。
今回は、レンタカーで事故を起こした場合の責任の種類、保険制度の仕組み、事故を起こした場合の初期対応などをご紹介します。
自分が所有する自動車を運転していて事故を起こした場合だけでなく、レンタカーを運転中に交通事故を起こした場合も同様の責任を負うことになります。
レンタカーで交通事故を起こした場合の主な責任は、刑事責任、行政上の責任、民事責任の3種類があります。
レンタカーを運転中に事故を起こして人を死傷させた場合などは、刑法、道路交通法、自動車運転死傷行為処罰法などの法律に違反する行為として刑事責任の対象になる場合があります。
刑事責任の対象になると、罪の性質に応じて刑罰が科される場合があります。刑罰の種類としては罰金、禁固、懲役などがあります。
刑事責任の対象になる例として、レンタカーを運転中にわざとではなく不注意で人を轢いて死傷させてしまった場合、自動車運転死傷行為処罰法における過失運転致死傷罪に該当します。
過失運転致死傷罪に該当する場合、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金の対象になります。
交通事故における行政上の責任とは、事故を起こした場合に行政処分が科されることです。これは道路交通における秩序を維持することを目的とするもので、刑事罰を科すこととは異なります。
交通事故における行政処分は運転免許に関するものです。自動車の運転者が起こした交通事故の内容に応じて、運転者の運転免許に違反点数が加算されることになります。
違反点数が一定以上になると、免許停止や免許取り消しなどの処分の対象になります。
免許停止になると一定期間は免許の効力が停止されて自動車の運転ができなくなります。免許停止は一定期間のみの処分なので、その期間が経過すれば免許の効力は復活して運転できるようになります。
一方、免許取り消しになるとそれまでに取得していた運転免許の効力が取り消されてしまいます。車を運転したい場合は、もう一度運転免許の試験を受けて再度免許を取得することになります。
免許停止は一定期間限定の処分なのに対し、免許取り消しは一旦処分を受けると免許の効力が復活しないのが特徴です。
免許停止の期間中または免許取り消し処分を受けた後に自動車を運転した場合は、無免許運転として3年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象になるので注意が必要です。
詳しく知りたい方は、「人身事故の違反点数や罰金の基礎知識」を参照してください。
民事責任とは、自動車を運転中に事故を起こして被害者に損害を与えてしまった場合に、民法などの法律の規定に基づいて賠償金を支払わなければならない義務が発生することです。
民事責任における損害は、被害者が死傷してしまった場合の人的損害と、自動車やビルなどの物が壊れてしまった場合の物的損害があります。
民事責任として科される賠償金の種類としては、怪我の治療費、入院や通院の費用、事故によって得られなくなった収入、事故を原因とする慰謝料、事故が原因で壊れた物の修理費、などがあります。
賠償金については事故を起こした加害者が加入している自賠責保険や任意保険から支払われるのが一般的です。レンタカーを運転中に事故を起こした場合は、基本的にはレンタカーの車両にかけられた保険から支払われることになります。
日本でレンタカーを借りる場合、レンタカーを保有しているレンタカー業者がほぼ確実に自賠責保険や任意保険に加入しています。
レンタカーを借りる料金には保険料も含まれているので、レンタカーで事故を起こした場合に保険が適用されるために別途保険料を支払う必要はありません。
レンタカーに付いている保険の種類には、対人補償、対物補償、車両補償があります。
対人補償とは、交通事故によって他人を死傷させた場合に被害者に対して支払うことになる賠償金について、自動車保険の保険金によって補填する制度です。
交通事故によって被害者が亡くなった場合や、重い障害が残ってしまった場合は、損害賠償の額は非常に高額になります。重大な人身事故の場合は、損害賠償の金額が億単位になることもあります。
そのため、レンタカーの対人補償については支払われる保険金の額が無制限に設定されている場合がほとんどです。それによって、人身事故に限っては賠償金の金額がいくら高額になっても基本的には保険金から支払われることになります。
対物補償とは、交通事故によって自動車や建造物などの他人の物を壊してしまった場合の賠償金について保険金から支払うための制度です。
対物補償の支払い対象の例としては、被害者が運転していた自動車、トラックなどの車内の荷物、歩行者の所持品、道路標識や信号機、ガードレール、家屋やビルなどがあります。
レンタカーの注意点として、対物補償については3000万円までなどの上限額が設定されている場合が少なくありません。
例えば上限額が3000万円の場合、レンタカーで事故を起こして3500万円の対物賠償になったケースでは、500万円については運転者の自己負担になります。
高額な建造物や大量の荷物を損壊した場合などは高額な賠償金額になることもあるので、十分注意して運転する必要があります。
車両保険とは、運転していた車が交通事故によって損壊した場合に修理や乗り換えの費用について保険金が支払われる制度です。
レンタカーの車両保険については、車両価格を補填できるだけの内容で設定されている場合がほとんどですので、車両補償の限度額自体についてはあまり心配する必要はありません。
レンタカーを借りる場合、対物補償と車両補償についてはそれぞれ免責額が設定されているケースがほとんどです。
免責額とは、レンタカーで事故を起こして>賠償金を支払わなければならない場合に、免責額についてはレンタカーの利用者が支払わなければならないという制度です。
例えば対物補償と車両補償の免責額がそれぞれ5万円ずつのケースにおいて、レンタカーで事故を起こして損壊した物に対する賠償金が100万円、レンタカーの修理費用が30万円の場合、レンタカーの利用者は合計で10万円を自腹で負担する必要があります。
レンタカーの料金に保険料が含まれているといっても、物損事故やレンタカーを損壊した場合には自腹で負担しなければならない金額が発生することになります。
免責額による自己負担が不安な場合には、レンタカーを借りる際に免責補償制度(CDW)に加入しておく方法もあります。免責補償制度に加入しておけば、事故を起こした場合に免責額についての自己負担を免れることができます。
免責補償制度に加入する場合は、通常のレンタカー料金に加えて一日あたり2000円程度を負担する必要がありますが、万が一の事故の場合の負担額を考えると加入を検討する価値があります。
大見出し:レンタカーで事故を起こしてしまった場合
レンタカーを運転中に交通事故を起こしてしまった場合は、怪我人の有無の確認と救急車の手配、事故車両を安全な場所に移す、事故について警察に連絡する、などの初期対応を迅速に行うことが重要です。
次に、事故についてレンタカーの業者に必ず連絡することが大切です。レンタカーを借りる際の契約内容によっては、レンタカー業者に連絡せずに相手と示談交渉を行った場合などは保険が適用されないと規定されている場合もあります。
レンタカーの利用者が自動車の任意保険に加入している場合は、弁護士特約などが適用されることがあるので、余裕があれば加入している任意保険会社に確認しておきましょう。
詳しく知りたい方は、「交通事故の示談交渉 弁護士特約は利用できる?」を参照してください。
レンタカーを運転していて交通事故を起こした場合、人の死傷や物の損壊についての賠償金は基本的にレンタカーにかけられている保険から支払われることになります。
物損事故やレンタルした車両の損壊については、レンタカーの利用者が数万円程度を自己負担することになるケースが多いので注意しましょう。レンタルの際に免責補償制度に加入するのも有効です。
民事責任についての賠償金はレンタカーの保険で賄えるとしても、事故を起こしたことによる刑事責任や行政上の責任を問われる場合もあるので、安全運転が重要です。